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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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959/964

935 クマさん、ドワーフの街に行く

 翌日、約束どおりにゴルドさんのところへナイフを受け取りに行く。


「ネルトさん、できてますか」

「2人ともいらっしゃい。ゴルドから預かっているわよ。確認しておくれ」


 ネルトさんはカウンターの上にナイフを置く。

 フィナのナイフ2本とわたしのナイフ2本、計4本。

 店の裏から鉄を叩く音が聞こえてくる。ゴルドさんは仕事をしているみたいだ。


 鞘からナイフを出す。

 綺麗だ。

 メンテナンス前も綺麗だったけど、鞘から出したナイフは預ける前よりも綺麗に見えた。

 フィナも小声で「綺麗です」と呟いていた。

 フィナとわたしは2本とも確認すると鞘に戻す。


「ゴルドさんにお礼を言っておいて。丁寧にありがとうって」

「それが、あの人の仕事だからね」


 わたしとフィナはお礼を言って、店を出る。


「フィナの今日の予定は?」

「ナイフの確認がしたいので、解体がしたいです」


 フィナの願いを叶えるため、クマハウスに戻ってくる。

 フィナは解体場に向かい、ウルフの解体を始める。

 それを少し離れた場所から見学する。

 あいかわらず、滑らかにナイフを動かす。

 そして、水魔法を使って血を綺麗に流していく。


「魔法もうまくなったね」

「うん、たくさん練習したから」


 なんでもそうだけど、練習は必要だ。

 練習もせずにできるのは一握りの天才だけだ。


「たまに、ノア様と一緒に魔法の練習もしているんですよ」


 以前に、そんな話を聞いたような。


「ノア様もクマさんを作るのが上手になっていますよ」


 つまり、たくさん作って練習しているってことだよね。


「もしかして、庭がクマの置物でいっぱいになっている?」


 気になったので尋ねる。


「ノア様は庭をクマさんでいっぱいにしようとしたのですが、クリフ様に止められたと言っていました」


 まあ、普通は止めるよね。


「ノア様、残念そうにしていました」


 こればかりは仕方ない。

 家主の権限だ。

 自由にしたいなら、自分の家を持つしかない。


「でも、ノア様も引き下がらなかったようで、一部は置いてもいいことになったみたいです。でも、それ以上はダメと言われたといっていました」


 つまり、庭の一部にはクマがいっぱいあるってことになる。

 見たいような見たくないような。

 でも、上達している話を聞くと嬉しくなる。


「わたしも練習して、土魔法でクマさんが作れるようになりました」


 そう言って、解体の手を止めて、手の上に土のクマさんを作る。

 近寄って、フィナが作ったクマを見る。

 体は丸みがあり、顔の作りもデフォルメされて可愛く作れている。


「可愛いね」

「お店に行って、ユナお姉ちゃんが作ったクマさんを見て、勉強しました」


 お手本になっているならよかった。

 ……よかったのかな?

 でも、可愛く作れているってことはイメージがしっかりしているってことだ。


「強度は?」

「落とすだけなら壊れないけど、強くたたきつけると、壊れます」

「叩きつけているの?」


 フィナとノアがクマを?


「クマさんではしていないよ。普通の土の塊だよ」


 よかった。

 フィナとノアがクマを地面に叩きつけているところを想像しちゃったよ。


 それから、フィナは休めていた手を動かし、あっという間に5体のウルフを解体する 

 解体したウルフの肉はお店と孤児院に持って行くことになる。

 もちろん、フィナの家の分もある。


 その後は、カガリさんと一緒にドワーフの街に行く日までまったり過ごした。

 人には休息が必要だ。

 働き過ぎはよくない。


 わたしはクマの転移門を開き、和の国に向かう。


「カガリさん一人?」


 待っていたのか、クマの転移門の前にカガリさんがいた。

 でも、シノブの姿がない。

 どこかにいる?


「あやつは来れないそうじゃ。スオウの奴が休みをくれなかったそうじゃ」

「そうなんだ」


 シノブの悲しむ顔が浮かぶ。


「シノブ、頑張ったのに」

「別に休みの話が無くなったわけじゃない。先延ばしになっただけじゃ」


 雇われ者の辛いところだ。

 その点、わたしの店で働いている人には、ちゃんと休みを与えている。

 長期休みがほしいと言われたらOKを出すつもりだけど、誰も休みを取らないんだよね。

 また、今度、みんなで長期の休みをとって、旅行に行くのもいいかもしれない。

 シノブは可哀そうだけど、休みの許可が出るまで待つつもりはない。


「それじゃ、行こうか」

「そうじゃな、酒を買いに行こうか」


 わたしはクマの転移門を開き、ドワーフの街にある転移門に繋げる。

 扉の先はドワーフの街に買った小さい家の中だ。


「暗いのう」


 クマの転移門が置いてあるのは倉庫なので暗い。

 わたしたちは倉庫から出て、リビングに移動する。

 カーテンが閉まっているため部屋は薄暗い。

 わたしはカーテンを開き、空気の入れ換えをするため窓を開ける。


「ここがドワーフの街か。なにもないのう」


 カガリさんは少し体を浮かび上がらせ、窓の外を見る。

 本当に便利な力だ。


「ここは町外れだからね」


 わたしが購入した家は離れた場所にあるので、窓から見える範囲には何もない。

 わたしは風魔法を使って、簡単に空気の入れ替えをする。

 埃も外にだす。

 そして、部屋の空気も綺麗になったので、外に出る。


「あっちだよ」


 わたしたちは店が並ぶ場所に向かう。


「酒はあるかのう」

「ちなみに言っておくけど、美味しいお酒があるかどうかは知らないからね」

「お主、嘘をついたのか?」

「あったら購入するって言っただけだよ。そもそも、わたしはお酒は飲まないから知らないし、興味がないから、分からないよ」


 わたしは未成年だ。

 お酒を飲める年齢でもないし、飲みたいと思ったこともない。

 あの両親がお酒を飲んで騒いでいるのを見て、お酒を飲みたいと思う子供はいない。

 反面教師だ。

 でも、カガリさんみたいに静かにお酒を飲むのはいいと思う。

 カガリさんが窓際でお酒を飲んでいるシーンは絵になる。

 幼女姿なのに、綺麗だった。

 あの姿を見たときに、お酒って美味しいのかなと思ったこともある。

 でも、たまに寝ながらだらしなく飲んでいる姿もある。

 あの姿には幻滅するけど。


「そもそも、この姿で買えるのか? いやまて、購入するときは大人になって。しかしそれは疲れるの」


 なにか独り言を言い出す。

 土産とか適当に言えば購入はできると思う。

 お酒を買うのに身分証明は必要ないよね?

 日本だと年齢確認が必要?

 お酒なんて買ったこともないから、そのあたりのことは知らないけど。


「親に頼まれたでも、知り合いに頼まれたでもいいんじゃない?」

「それじゃと、試飲ができぬぞ」


 ああ、お酒にはそんなのがあるのか。


「そこは全部、買えばいいよ。お金なら、わたしが払うし」


 ここから、ここまで全部くださいでも構わない。

 一度は言ってみたいセリフだ。

 まあ、飴細工を買うときにやったけど。


「不味い酒には金は払いたくない。お主だって、不味い料理には金は払いたくないじゃろう」


 それを言われると反論はできない。

 美味しくない料理を食べたあとに、お金を払いたくない気持ちと一緒だ。

 つまらないゲームを買ったあとも後悔する。

 つまらない映画を見たあとも、お金を払ったことに後悔することも。

 今回ばかりはカガリさんが正しい。

 だからと言って、幼女のカガリさんがお酒の試飲をするわけにはいかない。

 この世界だって、お酒を幼い子供に飲ませてはダメってことにはなっている。

 まあ、試飲ができるかどうかも分からないので、とりあえずは店が並ぶ街道まで向かう。


 わたしたちは店が並ぶ街道までやってきた。


「それにしても、お主はどこに行っても視線を集めるのう」


 すれ違うドワーフたちは、必ずわたしを見る。

 カガリさんの服装も珍しいけど、わたしのクマの格好のほうが目立つ。

 まあ、そんなの気にせずに通りかかった店を覗いたりする。


「ほう、流石ドワーフが作るだけのことはある。装飾品から小物まで芸術品じゃ。サクラに買って行くかのう」


 カガリさんは数点サクラへのお土産を購入する。


「わたしは知り合いの鍛冶屋に行くけど、カガリさんはどうする?」


 店を見ているカガリさんに尋ねる。

 一人でお酒を買いに行かせるのは心配だけど。


「お主の知り合いがおるなら、妾も行く。その者に酒のことを聞けるかもしれぬ」


 まあ、その地域の特産は、そこに住んでいる人に聞いたほうが早い。他人に聞くより、わたしの知り合いってことだね。

 そういうわけで、わたしとカガリさんはロージナさんのところに向かう。

 ちなみにロージナさんは鍛治職人でゴルドさんとガザルさんの師匠だ。


 わたしたちはロージナさんのお店にやってくる。


「ここか?」

「うん」


 店の中に入ると奥からは鉄の叩く音が聞こえる。

 それと同時にわたしを見て驚いている女性がいる。


「クマの嬢ちゃん?」

「お久しぶりです」

「どうしたんだい。調理道具を買いに来たのかい?」

「ううん、ちょっとロージナさんに会いに」


 話しかけてきたのはウィオラさん。

 この鍛冶屋のロージナさんの奥さんだ。

 ロージナさんは奥から鉄の叩く音がするから、仕事中みたいだ。


「呼んでくるから、適当に店の中でも見てて」


 ウィオラさんは店の奥に向かう。

 改めて店内を見る。

 初めてきたときと、かなり変わっている。

 違う店と言ってもいい。

 初めて来たときは調理道具が並んでいた。

 今は、武器が並んでいる。


「ほう、どれもいい武器じゃのう」


 カガリさんはナイフを手にして、いろいろな角度から見る。


「ユナ、あの剣を見せてくれ」


 カガリさんは浮かべば取れるけど、わたしに頼む。

 一応、人に見られる恐れがある場所では自重しているみたいだ。

 わたしは壁にかかっている剣を取り、カガリさんに渡す。

 カガリさんは鞘から剣を抜く。


「ここの職人が街で一番なのか?」

「一番かどうか分からないけど、わたしが持っているナイフを作った人の師匠だよ」

「ほう、あれは良いナイフじゃった。じゃが、ここにある物はいい武器じゃが、迷いが見える」

「嬢ちゃん、幼いのに言ってくれるな」


 声がするほうをみると、ロージナさんがいた。


「迷いが見えるだと、嬢ちゃんにそんなことが分かるのか?」

「長いこと生きてきたからのう。いろいろな武器を見てきた」

「長いこと生きてきた? 嬢ちゃん、面白いことを言うな」


 ロージナさんはカガリさんを見て、笑い出す。

 まあ、嘘じゃないんだけどね。







そんなわけでカガリさんとドワーフの街にやってきました。

シノブは消えましたw


※現在、出版社のクラファンが行われています。

ここでしか手に入らないクマのグッズなどもあります。

気になる方がいましたら、よろしくお願いします。

リンク先は活動報告や旧Twitterよりお願いします。

等身大アクリルスタンドを購入してくださった方、感謝です。



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「長いこと生きてきたからのう。いろいろな武器を見てきた」 「長いこと生きてきた? 嬢ちゃん、面白いことを言うな」      ↑ 人は見かけによらない! カガリはその典型!www
シノブが来れなかったのは残念。 ロージナさんドワーフの里編以来の登場ですね。 あれからまた武器を作り始めたようですがカガリさんに迷いを当てられてしまいました。 さあどうなるやら
>待っていたのか、クマの転移門の前にカガリさんがいた >でも、シノブの姿がない >「あやつは来れないそうじゃ。スオウの奴が休みをくれなかったそうじゃ」 ユナは、シノブが怪我をしてサクラに呼ばれたこと…
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