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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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954/964

930 クマさん、報告する

 ジュウベイさんと黒男をサタケさんに引き渡してきたわたしたちはサクラの屋敷に戻ってきた。

 深夜、正面門の扉から帰るわけにはいかないので、出てきた塀の前までやってくる。

 そして、わたしとカガリさんを乗せたくまゆるは軽々と塀を跳び越えて中に入る。


「ユナ様、カガリ様!」


 くまゆるが地面に着地すると同時にサクラが駆け寄ってくる。

 やっぱり、起きていたみたいだ。

 わたしとカガリさんはくまゆるから降りる。


「おふたりとも、怪我はしてませんか?」

「大丈夫だよ」

「しておらんよ」


 わたしたちの言葉にサクラは安堵する。

 かなり、心配させたみたいだ。


「お帰りなさいっす」

「くぅ〜ん」


 サクラの後ろからシノブとくまきゅうがやってくる。


「ただいま。くまきゅう、サクラを守ってくれてありがとうね」


 シノブに声をかけ、くまきゅうの頭を撫でる。


「本当にくまきゅうの言うとおりに帰って来たっす」


 なんでも、わたしたちが帰ってくる少し前に、くまきゅうが反応して、サクラたちに教えてくれたそうだ。


「それじゃ、もう遅いし、寝るかのう」


 カガリさんが小さくあくびをする。


「寝るっすか?」

「寝る時間じゃろう」


 寝る時間どころか、夢の中だ。


「そうっすけど。どうなったか気になって寝られないっすよ」

「ユナがジュウベイに勝って、妾がユナを追いかけていた男に勝った」


 カガリさんが簡単に説明し終えると小さい欠伸をする。


「それじゃ、寝るかのう」


 カガリさんはあらためて言う。


「説明は、それだけっすか?」

「妖刀は無事に回収した。他に聞きたいことはないじゃろう」

「そこは、どうして、師匠とユナが戦うことになったとか、どうしてカガリ様が男と戦うことになったとか、あるっすよね? わたしは師匠とカガリ様が戦うものだと思っていたっす」

「そんなことが気になるものか? サクラは気になっていないじゃろう」


 カガリさんは同意を求めるようにサクラに目を向ける。

 でも、サクラの反応はカガリさんが欲しい反応ではなかった。


「えっと、わたしも気になります」

「面倒じゃのう」


 わたしたちは縁側に座り、今回の戦いについて説明した。


「やっぱりついていけばよかったっす。師匠とユナの戦い見たかったっす」

「別に面白いものじゃないよ」

「妾は面白かったが」

「カガリ様と男の戦いも見たかったっす」


 それは、わたしも見たかったかも。


「でも、これで全ての妖刀を回収できたんですね。よかったです」

「亡くなった者や怪我をした者もいるが」


 最小限に抑えられたと思う。


「スオウの奴にしっかり、妖刀を管理させないといかんのう」

「大丈夫だと思うっすよ。防犯はしっかりすると言っていたっす」

「ならいいが」


 それから、ジュウベイさんとどんな戦いをしたのかという話になり、わたしもカガリさんと黒男の戦いが気になっていたので、聞いたりした。

 そして、しばらくするとくまきゅうが小さく「くぅ〜ん」と鳴く。

 くまきゅうを見るとサクラがくまきゅうに寄り掛かるように寝ていた。


「心配して疲れていたのと、安心して気が抜けたのじゃろう」

「それにいつもは寝ている時間っす」


 みんなが優しくサクラを見る。

 可愛らしい寝顔だ。


「くまきゅう、サクラをゆっくり布団に運んであげて」

「くぅ〜ん」


 くまきゅうはサクラを抱えると部屋の中に入り、布団の上に寝かせ、掛け布団をかける。


「妾たちも寝るとしよう」

「そうだね」

「眠いっす」


 わたしたちもそれぞれの布団の中に入り、眠りに就く。

 疲れていたのか、戦いが終わって気が抜けたのか分からないけど、布団に入ると、その後の記憶はなかった。


 翌日、わたしとカガリさんは昼近くまで寝てしまった。サクラとシノブはちゃんと朝になると起きていた。


「起こしてくれてもよかったのに」

「いえ、お疲れだった2人を起こすわけにはいきません」


 サクラは、あんな遅くに寝たのにもかかわらず、朝早く起きていたそうだ。「毎日のことですから、自然に目が覚めました」と言っていたけど、大丈夫かな。

 シノブは仕事柄、睡眠が短くでも大丈夫だと言っていた。

 睡眠を削ってまで仕事って、早死にする典型だね。

 でも、早く起きた2人は、わたしとカガリさんが起きないように気を回してくれたそうだ。シノブは「無理矢理に起こして、カガリ様が暴れたら大変っすから」と笑いながら言っていた。

 だけど、2人には睡眠は大切だと、言いたい。

 だから、2人には今日はしっかり寝るように言った。


 起きたわたしとカガリさんはお昼を食べてから城に行くことになった。

 サクラの護衛は必要無くなったので、シノブも一緒についてくる。

 そんなわけで、わたしとカガリさん、シノブを乗せた馬車は城に向かっている。

 ちなみにくまゆるとくまきゅうは送還してある。


 しばらく馬車に揺られ、城までやってくる。

 わたしたちが到着すると、サタケさんが待っていた。

 なにか、眠そうだ。


「サタケさん、寝てないっすか?」

「誰かさんたちから深夜に叩き起こされ、詳細も分からず後始末をする羽目になったが、少しは寝た」

「わたしたちが悪いって言いたいの?」

「妾たちが、命がけで戦ったと言うのに、そんな風に言うのかのう」

「そんなつもりはない。ただ、事実を言ったまでだ」


 確かに事実だけど。

 わたしたちはジュウベイさんと黒男をサタケさんに押し付けて帰ったけど、その後始末をするため、サタケさんは寝る時間がなかったそうだ。


「なら、寝ていてもよかったんじゃない?」

「寝てられん。それにスオウ王が、『いつ来るんだ』と何度も聞いてくる」


 だから、わたしたちを、ここで待つことにしたらしい。

 その間、わたしたちは寝ていたと。

 悪いことをしたと思うけど、深夜に戦い、サクラたちに説明、寝たのが遅かったのだから仕方ない。

 わたしたちだって、深夜にジュウベイさんたちと戦って疲れているんだから、悪くない。

 だから、サタケさんも遅くなったことには文句は言ってこなかった。

 わたしたちはスオウ王のところに向かう。

 わたしたちが部屋に入ると、スオウ王が人ばらいをさせる。

 部屋にはわたしとカガリさん、シノブ、サタケさん、スオウ王が残る。


「遅かったな」

「なんじゃ、文句があるなら帰るぞ」

「そうだね」


 せっかく来たのに文句を言われるなら帰る。


「そんなつもりで言ったんじゃない。現状なにも分からないから、報告が欲しかった」

「そんなのジュウベイと男から聞けばよかろう」


 そうだよ。

 わたしたちより、本人たちのほうが詳しい。


「まだ、寝ている」

「なんじゃと?」

「寝ているの?」


 ありえないんだけど。


「魔力欠乏症だそうだ。医者が言うには、妖刀に魔力が吸い取られたのではないかと言っていた」

「情けないのう」

「命に別状はないから、しばらくしたら目が覚めると報告を受けている。だから、現状ではなにも分かっていない。サタケはお前たちが改めて今日出直すと言っていたが、時間は分からないと言うしな」

「こっちは、深夜に妖刀を持ったジュウベイさんたちと戦って、疲れているんだから、仕方ないでしょう」

「分かっている。だから、サクラのところに人を行かせなかっただろう」


 確かに、誰も城から呼びに来ていない。


「そんなわけだ。説明を頼む」


 わたしは2人から手紙が届いたことから話す。


「なぜ、報告しなかった」

「わたし宛てだし、報告したことが知られたら2人が現れないかもしれないでしょう」

「お主に伝えて、兵士でも集めさせてみろ。妾だったら、姿は見せぬ」


 わたしとカガリさんからそう言われたら、スオウ王もサタケさんも言い返せない。


「シノブ、お主の判断は? 報告の義務はあったはずだ」


 わたしたちに言い返せないと思ったスオウ王はシノブにターゲットを変える。


「わたしは、ユナとカガリ様にサクラ様の護衛を任されたっす。報告には行けなかったっす」

「手紙でもよかろう」

「ここはユナとカガリ様に任せるべきと思ったっす。妖刀を持った師匠に2人以外に勝てる人がいるっすか? いたとしても被害が出るだけっす。それが分かっていたから、スオウ王も今回のことをユナに任せたっすよね。それに知ったのは深夜っすよ。この国の王を叩き起こすなんてできないっす」


 シノブにも言われてスオウ王とサタケさんは黙ってしまう。


「手紙の件は分かった。それで、手紙を受け取ったユナはジュウベイと男のところに向かったわけか」

「時間も場所も同じだったからね」


 そして、黒男が妖刀右京を持っていたので、カガリさんが戦うことになったので、わたしがジュウベイさんと戦うことになったことを説明する。


「それで、妖刀を持ったジュウベイに勝ったと」


 サタケさんが信じられないようにわたしを見る。


「確認だが、怪我は?」

「してないよ」

「カガリ、おまえさんは?」

「妾も大丈夫じゃ」

「そういえば、ジュウベイさんと男の怪我のほうは?」


 一応、治療はしたけど。


「大丈夫だ。死ぬような怪我はないと報告は受けている。それで、回収した妖刀は?」


 昨日はジュウベイさんと黒男を引き渡して帰ってきてしまったので、妖刀は渡していなかった。


「ここにあるよ」


 わたしはクマボックスから3本の妖刀を取り出し、スオウ王の前の机に置く。


「危ないのでは」


 サタケさんがスオウ王の前にある妖刀を心配そうに見ている。

 また触れたら、魅入られるのではと思っているのかもしれない。


「妾が封印を施したから、触れても大丈夫じゃ」

「不安なら、わたしが運ぼうか?」

「いや、大丈夫だ」


 サタケさんは恐る恐る妖刀に触れる。

 そして、反応しないことが分かると、ホッとした表情になり、3本の妖刀をしっかりと掴む。


「サタケ、念のため。すぐに封印の強化の指示を」

「了解しました」


 サタケさんはスオウ王に一礼すると部屋から出て行く。



それぞれに報告です。


※「くまクマ熊ベアー」のコミカライズが読める「コミマガ」のアプリが始まりました。ちなみに他社作品の有名作品も読めますので、よろしくお願いします。あと、お気に入りに入れていただけると嬉しいです。


※くまクマ熊ベアー10周年です。

原作イラストの029先生、コミカライズ担当のせるげい先生。外伝担当の滝沢リネン先生がコメントとイラストをいただきました。

よかったら、可愛いので見ていただければと思います。

リンク先は活動報告やX(旧Twitter)で確認していただければと思います。


※PRISMA WING様よりユナのフィギュアの予約受付中ですが、お店によっては締め切りが始まっているみたいです。購入を考えている方がいましたら、忘れずにしていただければと思います。


※祝PASH!ブックス10周年

くまクマ熊ベアー発売元であるPASH!ブックスが10周年を迎え、いろいろなキャンペーンが行われています。

詳しいことは「PASH!ブックス&文庫 編集部」の(旧Twitter)でお願いします。


※投稿日は4日ごとの22時前後に投稿させていただきます。(できなかったらすみません)

※休みをいただく場合はあとがきに、急遽、投稿ができない場合はX(旧Twitter)で連絡させていただきます。(できなかったらすみません)

※PASH UP!neoにて「くまクマ熊ベアー」コミカライズ公開中(ニコニコ漫画、ピッコマ、pixivコミックでも掲載中)

※PASH UP!neoにて「くまクマ熊ベアー」外伝公開中(ニコニコ漫画、ピッコマ、pixivコミックでも掲載中)

お時間がありましたら、コミカライズもよろしくお願いします。


【くまクマ熊ベアー発売予定】

書籍21巻 2025年2月7日発売しました。(次巻、22巻、作業中)

コミカライズ13巻 2025年6月6日に発売しました。(次巻14巻、発売日未定)

コミカライズ外伝 4巻 2025年8月1日発売しました。(次巻5巻、未定)

文庫版12巻 2025年6月6日発売しました。(次巻13巻、発売日未定)


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
この話は長すぎて、特に面白いわけではありません。これから驚きのある話が見られることを願っています。
>サタケさんはスオウ王に一礼すると部屋から出て行く これで今、スオウ王の執務室にいるのは、スオウ王本人とユナ、カガリさん、シノブの四人だけになりましたが・・・ここでスオウ王から"衝撃の事実”が明かさ…
ジュウベイさんとブラッドの身柄は確保し、「妖刀」も全部回収できました。 次は愈々、今回のユナたちの働きに対する、スオウ王からの「報酬」の話になるのでしょうね。 特にユナに関しては、強者故の"本能”かも…
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