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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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945/946

921 クマさん、手紙が届く

 翌日、朝食を食べ終わると、サクラは勉強、シノブは城下町の見回りに行き、わたしとカガリさんは手合わせをしている。


「お主の体力は信じられないのう」


 カガリさんは体を休め、冷たいお茶を飲む。 

 わたしは笑って誤魔化し、冷たいお茶を飲む。

 動いたあとの冷たいお茶はおいしい。

 カガリさんと小休憩していると、巫女服を着た女性がやってくると、わたしの格好を見ながら「えっと、お手紙です」と言って、白い封筒を差し出してくる。


「なんじゃ、お主に手紙か?」


 隣で休んでいるカガリさんが渡された手紙を見る。


「門兵が言うには子供がクマの格好した女の人に渡してほしいと、持ってきたと言っていました」


 カガリさんの質問に女性は答える。


「子供?」


 ファンレター? ってバカなことが脳裏に浮かぶ。

 

「でも、二通も?」


 そう、手紙は二つあった。


「別々の子供が持ってきたそうです」


 もう、子供は帰してしまったので、子供から話を聞くことはできないと言う。

 それ以上のことは分からないってことなので、手紙を受け取ると女性は行ってしまう。


「お主、知り合いがいるのか?」

「いないよ。そもそも、わたしがここにいるってことは誰も知らないよ。まあ、手紙を読めば分かるよ」


 差出人を確認すれば分かることだ。

 わたしは封を切り、手紙の内容を確認する。


『今晩、前回、戦った場所で待つ。1人で来い』


 それだけが書いてあった。


「なんと書いてあったのじゃ」


 わたしはカガリさんに手紙を渡す。


「今晩、前回、戦った場所で待つか。例の男からの手紙じゃな」


 そうだよね。

 黒男からの呼び出しだ。

 やっと来たって感じだ。


「行くのか?」

「行くよ」


 どこかに逃げられても困るし、いつまでもつけ回されても困る。

 さっさと決着をつけて、クリモニアに帰りたい。


「それじゃ、もう一通の手紙は誰からじゃ?」


 確かに誰からだろう?

 これ以上、和の国に知り合いはいないはずだ。

 わたしは手紙の封を切り、手紙を確認する。

 内容を読んだ瞬間、頭を抱えたくなった。

 カガリさんの予想が当たってしまった。


「どうしたのじゃ?」


 わたしは無言で手紙をカガリさんに渡す。


「戦いたい。今晩、前回会った場所に1人で来てほしい。ジュウベイ」


 カガリさんは手紙の内容を読む。

 こちらには名前が書いてあったので、差出人はすぐに分かった。


「お主、人気者じゃのう」

「嬉しくないよ」


 まさか、黒男だけでなく、ジュウベイさんから再戦の申し込みがあるとは思わなかった。

 いや、カガリさんの話を聞いて、そんな可能性もあるかもとは思っていたけど。


「どうして、同じ日の同じ時間、同じ場所かな。しかも、同時にわたしって」

「どうするつもりじゃ」

「どうするって、両方と戦う? そもそも、ジュウベイさんの相手はカガリさんがする?」


 カガリさんはジュウベイさんと戦うつもりでいるから、この数日間、わたしと手合わせをしていた。


「そのつもりじゃったが、お主、ご指名だからのう。邪魔はできんじゃろう」

「いやいや、妖刀右京を取り戻すんでしょう。そこは戦おうよ」

「ふふ、冗談じゃよ。ジュウベイの奴が妾で納得するか分からんが、一緒に行こう。妾、子供一人ぐらい一緒に付いて行っても大丈夫じゃろう」


 その言葉を聞いて安堵する。


「それで、このことは誰かに話すのか?」

「話さないほうがいいよね」


 1人で来いと書かれている。


「そのほうが、いいじゃろうな。両方とも一人で来いと書かれておる。妾は子供だからおまけと見てくれるかも知れぬが、国王が兵士でも配置でもしたら、あやつらは現れんじゃろう」

「だよね」


 ぞろぞろと大人数で行ったり、周囲に兵士が隠れているのに気付かれたら、現れないと思う。

 わたしだって、戦いたい人物がいたとしても、人をたくさん連れてきたり、人を潜ませていたら、戦いは諦めると思う。


 手紙をクマボックスにしまい、夜の戦いに備えて、練習をし、体を休ませる。

 サクラと昼食を食べたり、まったりして時間を過ごす。

 夕刻にはシノブも帰ってくる。


「師匠、どこにいるっすか」


 今晩、会うことになっているけど、話すことはできない。


「足取りも掴めないのか?」

「なにも掴めていないっす。城下町も広いっすから、人手が足らないってこともあるっすけど、身を潜ませたら一流っす」

「それじゃ、わたしと戦った男については?」


 こちらも今晩会うことになっているけど、足取りを尋ねてみる。


「ユナに顔を描いてもらったっすけど。大っぴらに探すことができないから、難航しているっす」

 シノブに頼まれて、黒男の似顔絵を描いてあげた。

 あくまで参考程度だ。

 思い出して描くのは苦手だ。

 目の前に描くものがあって描くのと、思い出しながら描くのでは天と地の差がある。

 たまに動物の絵を描けって番組があったけど。

 パンダの黒白部分が分からない人が多かった。

 人の記憶なんて、曖昧だ。

 見ずに描けるのは才能だと思う。

 だから、わたしの描く黒男の似顔絵は微妙だった。

 まあ、これがフィナだったら描けるけどね。


 ……夜。

 サクラとシノブの2人が寝たのを確認すると、わたしとカガリさんは動く。

 サクラとシノブには手紙のことは話さなかった。

 サクラに話せば心配をさせるし、シノブに話せば国王に漏れるかも知れない。

 だから、わたしとカガリさんは2人が寝るまで待っていた。


「くまきゅう、サクラのことをお願いね」


 サクラとシノブが起きないように小さい声でお願いする。


「くぅ~ん」


 念の為、くまきゅうには残ってもらい、サクラの護衛をしてもらう。

 過去に、黒男がミサを攫った経歴がある。

 わたしを呼び出して、わたしがいない間にサクラを攫う可能性もある。

 今回は男の呼び出しに出向くから、そんなことはないと思うけど。あの男を全面的に信用するつもりはない。

 なので、くまきゅうに護衛をお願いする。


「2人とも、トイレっすか?」


 わたしたちが動き出したことで、シノブが起き上がる。

 起こしてしまったみたいだ。

 それとも、ちょっとした物音で起きれるように訓練してきたのかもしれない。

 わたしなんて、寝たら朝まで起きられない。

 だから、くまゆる、くまきゅう目覚ましは必要になる。

 わたしはカガリさんを「どうする?」って感じに見る。


「時間的に大丈夫じゃろう。それに行き先を言わなければ、誰にも伝えることはできぬ。それに、話せばサクラの傍を離れることもできぬ」


 確かに、現状ではシノブの行動に制限が付く。

 ジュウベイさんと会う場所を教えなければ付いてくることになる。そうなれば、城への報告は遅れる。

 さらに夜だ。城の門は閉まり、サタケさんや国王に会うにも時間がかかる。

 さらにシノブの性格だ。寝ているサクラを一人にしないと思う。

 だから、わたしは伝える。



「ちょっと、ジュウベイさんと会ってくるよ」

「ど、どういうことっすか!?」


 わたしは手を伸ばし、シノブの口を塞ぐ。


「サクラが目を覚ますでしょう」


 サクラは静かに寝ている。

 シノブはサクラを見て、小さく頷く。

 わたしはシノブの口を塞ぐ手を離す。


「師匠に会えたっすか?」


 サクラを起こさないように小さい声で尋ねてくる。


「ううん、手紙で」

「手紙っすか?」


 わたしはクマボックスからジュウベイさんの手紙をシノブに渡す。

 シノブは窓から入る月明かりで手紙を読む。


「師匠と戦うっすか?」

「ジュウベイさんは戦いたいみたいだからね。もちろん、話し合いで戦わないですむなら、それが一番いいけど」


 ジュウベイさんと戦うのは面倒だ。できるなら戦いたくない。


「カガリ様も行くっすか?」

「妖刀右京の件もある。ジュウベイ次第では、妾が戦うつもりじゃ」

「この、前回会った場所ってどこっすか?」

「教えられないよ。話せば報告するでしょう」


 それがシノブの仕事だ。

 今から報告に行っても、間に合わないと思うけど。戦いの最中に兵士と一緒に現れ、それを見たジュウベイさんと黒男が逃げたら困る。


「それじゃ、わたしも一緒に行くっす。それならいいっすよね」

「シノブは残れ」

「どうしてっすか?」


 カガリさんの言葉にシノブが反論する。


「手紙はもう一通ある」


 わたしは黒男からの手紙も見せる。


「ユナ、人気者っすね」


 カガリさんと同じことを言われる。

 全然嬉しくないから、代わってほしいぐらいだ。


「ぞろぞろと行けば、現れないかも知れぬ」

「それじゃ、カガリ様もダメっすよね。手紙には両方ともユナ一人って書いてあるっす」

「子供姿の妾なら、ギリギリ許されるじゃろう。お主が現れたら、逃げられるかもしれぬ」


 まあ、子供と大人では違う。


「隠れて」

「ジュウベイが気づかないと思うのか」

「それは……」

「お主は残ってサクラを守ってくれ。サクラが起きたときに、誰もいなかったら心配するじゃろう。サクラを安心させてやれるのはお主だけじゃ」

「一応、くまきゅうも置いていくから」


 護衛と目覚めたときに、わたしたちがいなかったら不安になるかも知れない。でも、くまきゅうがいれば安心させることができる。


「……分かったっす。ちゃんと戻ってきてくださいっすよ」

「別に死にに行くわけじゃないよ」

「そうっすけど」

「ジュウベイも殺しまではしないじゃろう」


 そうだけど。妖刀の攻撃を食らったら、普通は大怪我をするよね。

 クマ装備って、妖刀からも守ってくれるのかな。

 まあ、あらゆる魔物の攻撃から守ってくれたクマ装備だ。

 大丈夫だと信じたい。


「あと手紙の件は報告するな。この件は妾とユナで終わらせる。騒ぎを起こせば、ジュウベイがどうなるか分からん。それはお主も嫌じゃろう」


 確かに、大騒ぎになればジュウベイさんの立場がどうなるか分からない。

 現状なら、妖刀を回収したってことで終わる。


「分かったっす。師匠のことをお願いするっす」


 シノブは頭を下げる。

 サクラのことはシノブとくまきゅうに任せ、くまゆるに乗ったわたしとカガリさんは塀を飛び越え、屋敷の外に出る。



2人からの呼び出し、しかも同じ時間、同じ場所。

戦いの予見ですね。


あと、メリークリスマスです。

もう今年も終わりですね。

おかしい、今年が始まったばかりだと思ったのに、終わるなんて。


MITACLE(ミタクル)様より、ユナがブロック化することになりました。

 詳しいことは活動報告を見ていただければと思います。

予約期間:2025/12/01(月)〜2026/01/16(金)


※「くまクマ熊ベアー」のコミカライズが読める「コミマガ」のアプリが始まりました。ちなみに他社作品の有名作品も読めますので、よろしくお願いします。あと、お気に入りに入れていただけると嬉しいです。


※くまクマ熊ベアー10周年です。

原作イラストの029先生、コミカライズ担当のせるげい先生。外伝担当の滝沢リネン先生がコメントとイラストをいただきました。

よかったら、可愛いので見ていただければと思います。

リンク先は活動報告やX(旧Twitter)で確認していただければと思います。


※PRISMA WING様よりユナのフィギュアの予約受付中ですが、お店によっては締め切りが始まっているみたいです。購入を考えている方がいましたら、忘れずにしていただければと思います。


※祝PASH!ブックス10周年

くまクマ熊ベアー発売元であるPASH!ブックスが10周年を迎え、いろいろなキャンペーンが行われています。

詳しいことは「PASH!ブックス&文庫 編集部」の(旧Twitter)でお願いします。


※投稿日は4日ごとの22時前後に投稿させていただきます。(できなかったらすみません)

※休みをいただく場合はあとがきに、急遽、投稿ができない場合はX(旧Twitter)で連絡させていただきます。(できなかったらすみません)

※PASH UP!neoにて「くまクマ熊ベアー」コミカライズ公開中(ニコニコ漫画、ピッコマ、pixivコミックでも掲載中)

※PASH UP!neoにて「くまクマ熊ベアー」外伝公開中(ニコニコ漫画、ピッコマ、pixivコミックでも掲載中)

お時間がありましたら、コミカライズもよろしくお願いします。


【くまクマ熊ベアー発売予定】

書籍21巻 2025年2月7日発売しました。(次巻、22巻、作業中)

コミカライズ13巻 2025年6月6日に発売しました。(次巻14巻、発売日未定)

コミカライズ外伝 4巻 2025年8月1日発売しました。(次巻5巻、未定)

文庫版12巻 2025年6月6日発売しました。(次巻13巻、発売日未定)


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
「三銃士」ですかね?ユナは読んだことないかも…三人の妖刀使い…「三人で争わせて勝利した奴に一騎打ち」を申し込めば?妖刀持ちなら協力してかかってくる正気はない…
うまくジュウベイと黒男を言いくるめて「勝った方と戦うよ」とすれば、1回で済みますね
ジュウベエと黒男がつるんでたりしないよね 本当にうざいのでどちらかだけでも先に片付けたいのに 2人でやってくるとかいやすぎる
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