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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける
844/929

820 クマさん、冒険者の話を聞く

申し訳ありません。

冒険者4人と書いていましたが、2人に修正させていただきました。

詳しくは後書きに書かせていただいています。

冒険者が2人として、読んでいただければと思います。

過去分は修正済みです。

くまなの


 探知スキルで確認する。

 反応はない。

 今度こそ、巨大スネイクを討伐することができたみたいだ。

 双頭蛇なことや、毒がある以外は巨大な蛇なだけだ。

 もし、初めから双頭で戦っていたら、少しは面倒だったかもしれないけど、大蛇と戦ったわたしからしたら、敵ではない。


「ユナ!」


 くまゆると一緒にマーネさんが駆け寄ってくる。


「マーネさん、ありがとう。助かったよ。くまゆるもナイス投球だったよ」

「くぅ〜ん」


 くまゆるは嬉しそうに鳴く。

 くまゆるを褒めていると、くまきゅうが悲しそうにやってくる。

 活躍できなかったから、いじけているのかもしれない。


「くまきゅうも、2人を守ってくれてありがとうね」


 くまきゅうがスネイクに追いかけられていた2人を気にした位置にいたことを知っている。

 スネイクが2人を襲うようなら、2人を助けに行けるように。

 わたしが危険なら、わたしを助けに行けるように。

 そんな位置にいた。

 だから、安心して戦うことができた。

 わたしは、くまゆるとくまきゅうにお礼を言って、頭を撫でてあげる。


「ユナ、体は大丈夫。毒の影響は?」


 わたしは体を確認する。

 気持ち悪いとか、怠いとか、そんなことはない。


「大丈夫だよ」

「よかった。毒の種類が分からないから、もし毒の影響を受けていたら、危険だったわ」

「マーネさんでも分からないこともあるんだね」

「当たり前よ。一応、何種類か解毒剤は用意してあるから、もし、体に異常が起きたら、すぐに言って」


 流石マーネさんだ。解毒剤も用意してあったんだ。


「それにしても、双頭のスネイクが現れるとは思いもしなかったわ」

「やっぱり、珍しいの?」

「大きいスネイクも珍しいのに、双頭のスネイクなんて、昔の噂話で聞くぐらいよ。普通の冒険者なら一生会うことなんてないわ」


 確かに、こんなのが何匹もいたら困る。


「まあ、無事に倒せてよかったよ」


 わたしたちが話をしていると近づいてくる足音が聞こえてくる。

 スネイクに追いかけられていた2人だ。

 くまゆるとくまきゅうがわたしたちの前に出る。


「待ってくれ。危害を加えるつもりはない」


 男性がくまゆるとくまきゅうの行動に答える。


「くまゆる、くまきゅう、ありがとうね。大丈夫だから、下がって。マーネさんの傍にいてあげて」


 くまゆるとくまきゅうは下がり、マーネさんの左右に立つ。


「俺はゼクト。こっちは妹のリディアだ」


 ゼクトと名乗った男性は25歳ぐらいで、剣士風の装いをしている。無精ヒゲがあるので、もう少し若いかもしれない。

 リディアと紹介された女性は、20歳ぐらいで、狩人っぽい格好をしている。


「わたしはユナ」


 わたしは名乗ってから、後ろを軽く目を向ける。


「わたしはマーネ」


 お互いに名前だけ名乗る。

 

「助けてくれてありがとう。助かった」

「もう、ダメかと思ったわ。ありがとう」


 ゼクトと名乗った男性とリディアと紹介された女性がお礼を言う。

 緊張が解けたのか、2人はその場にへたりこんだ。

 走って、疲れていたみたいだ。


「まず、確認したいことがあるが、いいか?」

「わたしたちがここにいる理由?」

「いや、それも気になるが、それ以上に、気になることが……」


 2人が顔を見合わせる。

 森深くに女の子がクマと一緒にいる以上に気になることってある?


「どうして、嬢ちゃんは、そんな格好をしているんだ」


 2人の視線が、わたしに向けられる。

 わたしは自分の格好を見る。

 マーネさんもわたしを見る。


「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


 わたしを含めた、4人の間に沈黙が流れる。

 そんな沈黙を破ったのはマーネさんだった。


「その子はクマ好きなのよ。だから、格好については、気にしないであげて」

「そ、そうなんだな」

「と、とっても似合っているわ」


 なにか、可哀想な子を見るような目で見られている。

 その説明の仕方だと、否定はできない。

 クマ好きを否定すれば、くまゆるとくまきゅうが悲しむ。

 だから、わたしの返答は「そうだよ。だから、気にしないで」と言うしかなかった。


「それで、あらためて確認だが、嬢ちゃんたちはどうしてこんな森にいるんだ」

「女の子、2人で来るような場所じゃないわよ」

「わたしたちのことを尋ねる前に、助けられたあなたたちが先に話すのが礼儀だと思うわよ。それに、あなたたちも2人でしょう」


 マーネさんが年長者らしく尋ね返す。

 見た目は子供だから、冒険者たちは驚いた表情をする。


「そうだな。俺たちは、ここから少し先のトゥーラの街から来た冒険者だ」


 トゥーラ?

 もしかして、王都からの道の先にあった街の名前?


「その冒険者が、どうして、こんな森に?」


 マーネさんの質問に冒険者は顔を見合わせる。


「俺たちは、とある薬草を採取しにきたんだ」

「薬草!?」


 マーネさんが薬草って、言葉に反応する。


「どんな薬草を探しているの? 見つけたの? 見せて?」

「なんだなんだ」


 いきなりのマーネさんの反応にゼクトさんは驚く。


「残念だけど、採取はできていないわ」


 ゼクトさんの代わりにリディアさんが答える。


「俺たちはこの時期に薬草を採取しにきた」

「でも、その花が咲いている場所の近くに魔物がいて、採取することができなかったの」

「それで、採取は諦め、様子を見ることにしたんだが、あのスネイクが、俺たちに気付きまとわりついてきた」

「ここ二日ほど、ずっと逃げ回っていたの」


 あんなスネイクに二日間も追いかけられていたの?


「巻いたと思っていたんだけど」

「洞窟に戻って来たところで、襲われることになった。さらに最悪なことに、逃げる先は洞窟の中にしかなかった」


 そして、逃げているところで、わたしたちと遭遇したってことらしい。


「あらためて礼を言う。ありがとう」


 ゼクトさんは軽く頭を下げる。


「でも、2人だけで、この森に入るのは危険じゃない?」

「魔物討伐なら、2人では危険かもしれない。でも、採取だけなら、人数が少ないほうがいい。魔物に気付かれずに進むことができる」


 確かに、敵地侵入みたいなゲームをしたことがあるけど、人数が多い方が見つかりやすい。

 100人で侵入しようものなら、すぐに発見される。

 だから、魔物討伐が目的でなければ、少ない人数なのは理にかなっている。

 もっとも、魔物と戦うことになった場合は、誰も助けてくれないから、危険度は高い。

 もし、わたしが巨大スネイク倒していなければ、どうなっていたか分からない。


「その採取する薬草の名前は?」

「……すまない。教えることはできない」

「もしかして、毒草?」

「違う。毒草じゃない」

「それなら、言えるでしょう」

「他の人に知られれば、奪い合いになる」


 もし、貴重な薬草なら、取り合いになる。

 だから、王都の冒険者ギルドでも、森に関する資料はなかった。


「命を救ってもらったのに?」

「それは…………」


 マーネさんの言葉に2人は顔を見合わせる。


「冗談よ。簡単に話すようじゃ、冒険者として失格よ。でも、冒険者として、助けてもらったのに、お礼の言葉だけじゃ」


 マーネさんは大人らしく、取り引きを始める。


「とりあえず、この先の情報をちょうだい」

「まあ、それぐらいだったら」


 その辺りが落としどころかもしれない。

 冒険者が探している薬草と、わたしたちが探している薬草が同じ可能性もある。

 でも、貴重な薬草なら、簡単に話すことはできない。


「その前に、こっちを片づけましょう。わたしたちが倒したんだから、貰ってもいいわよね」


 マーネさんが確認するように2人に尋ねる。


「ああ、問題ない」

「ユナ、アイテム袋に入る?」


 許可をもらったマーネさんが尋ねてくる。

 クマハウスがアイテム袋に入ることを知っているから、入るか確認みたいだ。


「大丈夫だよ」


 わたしは巨大なスネイクに近づき、クマボックスの中に入れる。

 それを見た2人は驚く。


「あんな、大きいものが」


 クマボックスのことを説明する必要はないので気にしないでおく。

 それから、スネイクが吐いた毒も土を盛って、触れないようにする。

 これで空気中に舞うこともないはずだ。

 スネイクの処理が終わると、マーネさんがゼクトさんとリディアさんに近づく。


「あなたたちは、これを足とかに掛けて」


 マーネさんは液体が入った瓶を差し出す。


「これは?」

「もしかして、スネイクに投げたもの?」


 リディアさんは瓶を見る。


「ええ、スネイクが嫌う匂いがする液体よ。あなたたちが襲われでもしたら、面倒くさいからね」

「そんなものが。これを売ってくれないか。これがあれば、この洞窟を通るときに楽になる」

「悪いけど、ここでは売れないわ。欲しいなら魔法省を通して、注文して」

「魔法省?」

「わたし、魔法省で働いているのよ。だから、個人で売買はできないのよ」


 マーネさんの言葉が信じられないような目で、2人はマーネさんを見る。

 まあ、見た目は子供だからね。


「個人で売買できないんだ」

「わたしは国のお金で研究をしているのよ。それを個人売買できるわけがないでしょう。もし、発覚したら、クビよ」


 そう言われたら、そうだ。

 会社のお金で研究して開発したものを、個人で売ることはできない。

 しかも、国のお金で買った素材で作り、個人で販売なんて、社会人経験がないわたしでも、ダメなことぐらい分かる。


「とりあえず、売ることはできないけど。今回、使用する分に関してはお金は不要よ」

「助かる」


 2人はお礼を言って、それぞれの足や服に掛ける。

 これで、スネイクは近寄ってこないはずだ。

 わたしとしたら、コウモリにも襲われない薬もあると嬉しいんだけど。

前書きに書きましたが、冒険者を2人した理由ですが。

プロットでは「冒険者と会う」「薬草を探している」。

そして「薬草を探している理由」。ここを書いてみる(次回分)と、4人だと理由付けが弱く、なんで?となってしまうため、2人の兄妹とさせていただきました。

読んでくださっているみなさんを混乱をさせてしまい、申し訳ありません。 くまなの


※申し訳ありません。しばらく投稿は日曜日だけとさせていただきます。


【書籍発売予定】

書籍20.5巻 2024年5月2日発売しました。(次巻、21巻予定、作業中)

コミカライズ12巻 2024年8月3日に発売しました。(次巻、13巻発売日未定)

コミカライズ外伝 2巻 2024年3月5日発売しました。

文庫版10巻 2024年5月2日発売しました。(次巻、11巻10月4日発売予定)


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
「俺たちはこの時期に薬草を採取しにきた」 このセリフ、なにか違和感が… バイパーは大丈夫だったからこの蛇もフィナが解体するのかな? まあ、驚きはするだろうけどw というか、前にユナも言ってたけど小さ…
[一言] しかし蛇とよくよく縁があるな…
[良い点] 修正出来るのがネットの良いところですね お疲れ様です [気になる点] 迷い花が目的なのかな [一言] 感想を書くのも頭を使うので作品を創作するのも大変だなと思います
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