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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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756 クマさん、砂漠の街にやってくる




 わたしたちはクマの転移門の前にいる。


「また、来てくださいね」


 サクラは少し寂しそうだ。


「サクラも一緒に来られたらよかったのに」

「いきなりのことだったので、何日も離れることはできません」


 サクラは予定があるので、帰らないとダメとのことだ。

 昨日、一日、空けるのも予定をずらしたとのこと。


「また、みんなと一緒に来るよ」

「はい、またユナさんに連れてきてもらいます」


 ノアたちがわたしを見る。


「連れて来るのはいいけど。ちゃんと外出許可がもらえたらね」


 今回のように何日も外泊をさせるわけにはいかない。


「日帰りなら問題ありません」


 たしかに、それだったら、言い訳もできる。


「うぅ、ユナお姉様と同じ街に住んでいるノアお姉様やフィナちゃんたちが羨ましいです」


 一人違う街に住んでいるミサは、日帰りってわけにはいかない。


「いつでも、クリモニアに遊びに来てください。なんなら、クリモニアに住むのもいいですね」

「お母様とお父様と離れて暮らすのは……」


 まだ、ミサは10歳だ。両親と離れて暮らすことはない。

 ノアの姉のシアみたいに王都の学園に通うことになれば、街から離れることになる。

 だから、そのときまで両親と離れることはない。


「まあ、みんな集まったら来ればいいよ」

「そのときは、わたしのところにも来てくださいね」


 ルイミンも一人離れた場所に住んでいる。


「はい、そのときは行きます」


 わたしはクマの転移門の扉を開け、エルフの村へ繋げる。


「それじゃ、みなさんに会えて楽しかったです。また会いましょう。くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんも遊びに来てね」

「「くぅ~ん」」


 ルイミンはくまゆるとくまきゅうを撫でてから扉をくぐり、手を振る。ルイミンにサクラたちも手を振り返す。

 そして、わたしはクマの転移門の扉を閉める。


「それじゃ、わたしたちも行こうか」


 わたしは次の目的地である扉を開く。


「ユナさん、来るときは前もって連絡をください。予定を空けますので。みなさん、楽しかったです。今度はみなさんの街にいきたいです」


「そのときは、案内しますね」

「もちろん、そのときはわたしも行くっすよ」

「シノブも?」

「そんなに嫌がらないでほしいっす。泣くっすよ」


 シノブは泣き真似をする。

 でも、ここで約束すると面倒くさいことになるので、わたしはカガリさんを見る。


「えっと、サクラの護衛なら、カガリさんに頼むから」

「妾か?」

「カガリさんなら、信用できるし」

「ユナって、カガリ様を信用しているっすよね」

「なんだかんだで、カガリさんにはお世話になっているし、大人だしね」


 カガリさんは見た目こそ幼女だけど、頼りになる人だ。

 シノブはいつも笑っているので、本心が分かりにくい。

 だからと言って信用できないと言っているわけじゃない。でも、100%信じられるかと言われたら、即答はできない。


「ふふ、よかろう。前に行ったときは、寝込んでおったからのう。妾に任せるがよい。シノブは残っておるがよい」

「そんなことを言わないでほしいっす!」


 みんなから笑いが起きる。


「くまきゅう様、くまゆる様も来てくださいね」

「「くぅ~ん」」


 サクラは最後にくまゆるとくまきゅうを抱きしめ、別れを告げる。

 サクラがくまきゅうから離れるのを確認すると、わたしはクマの転移門を通り、くまゆる、くまきゅうと続く。

 手を小さく振るサクラを見ながら、扉を閉める。


「サクラさんもルイミンさんもいい人でした」

「カガリさんは、不思議な人でした」

「シノブさんは、なんというか、掴み所のない人でした」


 どうやら、わたしが感じていることと、みんながシノブに感じていることは同じらしい。


「それで、ユナさん、ここはどこですか?」


 ノアは部屋を見渡す。

 ここからでは、どこなのか分からない。


「砂漠の街、デゼルトだよ」


 ドワーフの街も考えたけど、貴族の令嬢を連れて行っても楽しくないだろうし。

 文化が少しでも違うほうが勉強になると思ったから、ここを選んだ。


「砂漠の街、デゼルト……」

「確か、王都の南にある街ですよね」

「どこにも属していない街だったはずです」


 ノアとミサは自分たちが持っている知識の引き出しから答える。


「2人とも、詳しいね」

「クリモニアとは関わり合いがないので、ほとんど知りませんので、知識としてあるだけです」

「はい、わたしもです。ですが国にとって重要な街だと聞いています」


 それでも、凄いと思う。ちゃんと勉強をしているってことだ。


「だから、何があるか楽しみです」

「わたし、知っているよ。ここ、鳥さんに乗れるんだよ」


 シュリの言葉にノアとミサが首を傾げる。

 シュリも偉い。街の名前を出しただけで、どの街か理解している。前に来た場所のことをちゃんと理解しているってことだ。


「鳥に乗るんですか?」

「うん、大きい鳥さん」


 シュリは小さい体を使って、鳥の大きさをノアとミサに伝えようとする。

 それでは伝わらないと思ったのか、フィナが言葉を続ける。


「えっと、人が乗れるほどの大きい鳥がいるんです。前に来たときに、シュリと一緒に乗ったんです」

「人が乗れる鳥……」

「そんな鳥は見たことがないです」


 ノアとミサでも知らないことはあるみたいだ。


「あとあと、大きいトカゲさんもいるよ」

「大きいトカゲですか!」


 シュリは知っていることを口にする。

 そのたびに、ノアとミサは驚く。

 シュリが言っている大きなトカゲはラガルートと言い、砂漠では馬の代わりに乗る生き物だ。

 魔物だけど、人と共存している。


 わたしはくまゆるとくまきゅうを送還すると、フィナたちを連れて家の外に出る。


「うぅ暑いです」

「それに日差しも強いですね」

「これでも、水の結界があるから涼しいほうだよ」

「水の結界ですか?」

「だから、街の外はもっと暑いよ」


 わたしはクマの服のおかげで、温度調整してくれるから、砂漠でも快適だ。

 前に街の外でフードを試しに取ったことがあったけど、かなりの暑さだった。


「家はクマさんではないのですね」


 ノアが振り返って、家を見ながら言う。


「クマだと目立つから、購入したんだよ」


 わたしたちは街の中を歩く。


「ユナさん、あれはなんですか!?」

「大きいトカゲです」

「もしかして、先ほど、シュリが言っていた」

「うん、ラガルートだね」

「本当に人が乗っています」

「ここでは馬代わりだからね」


 ノアとミサは不思議そうにラガルートを見ている。


「乗ってみたい?」

「いえ、わたしは……」

「はい、わたしも……」


 ノアとミサは断る。

 もしかして、爬虫類は苦手なのかもしれない。

 まあ、わたしも苦手だけど。


「どうして、楽しいよ」


 シュリは一人、乗りたそうにしている。

 好奇心の塊のお年頃なのかもしれない。


「それに、なんというか、もふもふがないので」

「乗るなら、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんに乗りたいです」


 もし、くまゆるとくまきゅうがその言葉を聞いたら、とても喜んでいたと思う。

 まあ、わたしもあの大きなトカゲに乗るなら、くまゆるとくまきゅうを選ぶ。


 とりあえず、ラガルートに乗りたいと言い出さなかったので、わたしたちは街を見ながら歩く。


「やっぱり、服装が違うので、目立ちますね」

「みんな見ています」


 ノアとミサが自分たちの服装を見ながらいうが、原因はわたしだと思う。あちらこちらから、「くま」「クマ」「熊」「ベアー?」と単語が聞こえてくる。

 ほとんど来ていない街だと、このような反応をされる。


「それなら、服を買って着替えようか」

「そこまでしなくても……」

「フィナとシュリならともかく、ノアとミサの服装はお嬢様で、目立つからね」


 わたしたちは街の中を適当に歩き、服屋を見つけると服を購入して、着替える。

 みんなが着替えた服は、この街の知り合いのカリーナが着ていた服に近い。


「そういえば、この街にはお知り合いはいないのですか?」


 わたしがカリーナのことを考えていたら、ノアが尋ねてくる。


「いるけど」


 カリーナは、この街の領主の娘だ。

 ピラミッドを攻略するときに、共にした少女だ。


「ちなみに確認ですが、その人は女の子ですか?」

「よく分かったね」


 わたしの言葉に、ノアがやっぱりって顔をする。


「フィナは、その女の子のことは知っているのですか?」

「えっと、はい。カリーナちゃんって言う女の子です」

「その女の子に会いに行かないでいいのですか?」

「カリーナはあの門のことは知らないからね」

「そうなんですね」


 そう説明すると、ノアとミサが少し嬉しそうだ。


「でも、街に来たのに会いに行かなかったら、カリーナちゃん、残念がると思います」


 フィナがカリーナの気持ちになって答える。

 会いに行くとなると、カリーナだけでなくなる。カリーナの両親のバーリマさんとリスティルさんにも挨拶をしないといけない。

 少し、面倒くさいと思っているわたしがいる。


「そうだけど。すぐに帰るし、来たことは分からないよ」

「ユナさん、それは無理かと」


 ノアが周りを見る。

 すれ違う人たちが、わたしのことを見ている。


「ユナお姉様の格好は目立ちますから」

「だから、一緒に着替えればよかったのに」


 いや、クマの服を脱いだら、なにかあったときにフィナたちを守れないから、着替えることはできないよ。

 まあ、そんなことは言えず。


「そうだね。時間があったら会いに行ってくるよ」

「ご一緒します」

「来るの?」

「ユナさんが、どんな女の子を助けたのか、気になります」

「いや、普通の女の子だよ」

「それは、会ってから確認します」


 何を確認することやら。

 とりあえず、わたしたちは街並みを見ながら、みんなの希望で鳥に乗るため湖の鳥乗り場に向かう。


サクラとはお別れです。

いつかはクリモニアに連れてきたいですね。


グットスマイルカンパニー様より、POP UP PARADE くまクマ熊ベアーぱーんち!のユナのフィギュアが発売になりました。とっても可愛いです。

8月30日は「くまクマ熊ベアーぱーんち」円盤2巻の発売日です。こちらもよろしくお願いします。


【お知らせ】

小説の更新日は日曜日、水曜日になります。

投稿ができない場合、あとがきなどに報告させていただきます。


奥飛騨クマ牧場とのコラボが2023年12月31日まで期間延長決定しました。


【発売予定表】

【フィギュア】

フィナ、ねんどろいど 2024年1月31日予定 

KDcolle くまクマ熊ベアーぱーんち! ユナ 1/7スケール 2024年3月31日

【アニメ円盤】

1巻2023年7月26日発売

2巻2023年8月30日発売

3巻2023年9月27日発売

【書籍】

書籍20巻 2023年8月4日に発売しました。

コミカライズ10巻 2023年5月2日発売しました。

コミカライズ外伝 1巻 2023年6月2日発売しました。

文庫版8巻 2023年6月2日発売しました。(9巻は準備中)


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。


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― 新着の感想 ―
[一言]  熊の服を脱いだら、ユナは暑くてすぐダウンしちゃうよね(笑)。
[一言] ユナのことを一番心待ちしているのはカリーナではないでしょうか? 歳の近い友達も居なさそうですし。 会っていかないのはさすがに非道いですw
[一言] 本当に中身が無いスカスカの話になってますね。今度はこの街の過去登場キャラと話して終わりで また次の街に行って同じ事の繰り返し。その話ごとの個性が無い総集編を見せられてる気分です。web版を書…
感想一覧
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