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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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755 クマさん、川で遊ぶ

前回のクマさん、ファンクラブ会員のことでコメントくださったみなさん、ありがとうございます。

ファンクラブの会員番号修正させていただきました。

0番、ユナ

1番、ノア

2番、フィナ

3番、ミサ

4番、シュリ

5番、シェリー

6番、シア

7番、エレローラ

8番、サクラ

9番、ルイミン

※一部、書籍版のみ記載あり、web版の読者様にはご迷惑をおかけします。

 クマの契約魔法のことをカガリさんに尋ねられたけど、わたしも詳しいことは分からないので、誤魔化すのが大変だった。


「こんな魔法陣で発動するなんて不思議じゃのう」


 試しにカガリさんがクマの魔法陣を真似して作ってみたが、発動はしなかった。

 どうやら、わたしの魔力でないとクマの魔法陣は発動しないみたいだ。

 わたし専用の魔法陣ってことらしい。


「どこかに、お主の魔力でないと発動しない仕組みが組み込まれているのじゃろう」

「そんなことできるの?」

「お主が作った魔法陣じゃろう」

「いや、知り合いっていうか、なんというか」

「まあ、お主が、そのあたりのことを話したくないなら、聞かぬ。魔力には個人を判別する方法がある」

「神聖樹の中に入るときの判別に近いものだろう」


 ムムルートさんがカガリさんの説明に付け足す。

 確かに言われてみて納得だ。

 神聖樹があるところにはムムルートさん、サーニャさんなど、一部の人しか入ることができない。


「それの応用として、妾がいた島も魔力によって、男性か女性かで判断して、立ち入りを禁止していた」


 二人に言われてみて、できないことではないことは分かった。

 神様も悪用されないように、わたし専用の魔法陣を作ってくれたみたいだ。

 クマ装備はもちろん、クマの転移門、クマフォンも全てがわたし専用となっている。

 それを考えれば、魔法陣もわたし専用となってもおかしいことではない。

 知られても悪用がされない対策かもしれない。


 それから、ムムルートさんの家にある魔法陣のことを調べたいカガリさんを残し、わたしはフィナたちの様子を見に、一人、ムムルートさんの家を出る。


 えっと、フィナたちはどこにいるかな。

 全員、クマフォンのことは知っている。

 問題点は、周りに誰かがいて、使えないぐらいだ。

 その場合は出ないと思うので、とりあえず、人がいないところに移動し、クマフォンを取り出す。

 そして、フィナの持つクマフォンに繋がるように魔力を流す。

 すると、すぐにクマフォンからフィナの声がしてくる。


『ユナお姉ちゃん?』

「フィナ、今、どこにいるの?」


 クマフォンに出られる場所にいるみたいだ。


「川の近くです」


 川か……それなら、場所は分かる。


「今から行くから、動かないでね」


 通話を切ると、フィナたちのところに向かう。

 川は来たことがある。少し先に行けば、滝があり、初めてエルフの村に来たときに、クマハウスを置いた場所だ。

 その時にヴォルガラスに襲われたのは懐かしい思い出だ。

 わたしは川までやってくると、探知スキルを使う。

 人の反応とくまゆるとくまきゅうの反応がある。

 この先みたいだね。

 わたしは小走りで移動する。

 ……いた。


「ユナさ〜ん」


 ノアが手を大きく振っている。

 それを真似するように、シュリも手を振り、そんな二人を見て、ミサとサクラは微笑んでおり、フィナは楽しそうにしている。

 くまゆるとくまきゅうの「「くぅ〜ん」」の鳴き声も聞こえてくる。

 シノブもちゃんと護衛の仕事をしているみたいだ。


「川で遊んでいたの?」

「はい」


 みんなが、わたしの周りに集まってくる。


「シノブさんが投げる石が川の上を跳ねるんです」

「石が跳ねる?」

「はい。石がぴょん、ぴょん、ぴょん、ぴょんって、何回も跳ねるんです」

「川に落ちないんです」

「わたしたちがやっても、一回も跳ねないで、水の中に落ちちゃうのに」


 テレビやネットで見たことがある。

 水切りだっけ?

 石を川や湖に投げて、石が水の上を跳ねていくやつ。


「川の中に入って遊ぶのは危険だったから、教えたっす」

「シノブ、本当に魔法じゃないんですよね」

「魔法じゃないっす」

「嘘です。石が水の上を跳ねるわけがないです」


 どうやら、ここにいるお嬢様方は、水切りを知らないみたいだ。

 まあ、サクラ、ノア、ミサは本物のお嬢様だ。水切りなんて遊びなんてしないだろうし、知らないと思う。

 フィナとシュリも父親がいなく、母親のティルミナさんは病気だったから、そんな遊びをすることもなかったと思う。


「ルイミンも知らないの?」

「はい、知らないです」


 唯一、知ってそうなルイミンも首を横に振る。


「ふふ、ユナもやってみるっすか?」


 そう言って、シノブは石を川に向かって投げる。

 石は川の上をぴょん、ぴょん、ぴょん、ぴょん、と6回ほど跳ねて、川の中に沈む。


「こればかりは、ユナに負けないっすよ」


 別に負けてもいいんだけど。

 シノブのドヤ顔を見たら、叩き潰したい気持ちになった。

 でも、わたしは水切りなんて遊びはしたことがない。川で遊ぶような子供じゃなかったし。

 誘ってくれる友達もいなかったし……。

 言っていて、悲しくなってくる。

 それに、女の子は川に行っても水切りなんて遊びはしないと思う。

 男の子の遊びだ。


 だがしかし、やったことがないのは現実世界での話だ。

 ゲームイベントで、水切り大会があった。

 何回跳ねるか、競うイベントだった。

 ステータスは100を渡され、筋力、速度、運の3つに自由に振り分けて、行うものだった。

 初心者も上位に食い込めたので、それなりに人気があった。

 わたしも挑戦したが、腕の振り方、角度、石の大きさ選び、重さ、形、それらは経験が必要だったので、現実世界の経験がある者が上位に食い込んだイベントだった。

 上位に食い込めなかったけど、それなりに調べてイベントに参加したので、多少は水切りはできる。

 わたしは地面に転がっている石を見る。

 どんな石を使えば良いかぐらいの知識はある。

 平べったい石が良い。野球ボールみたいな丸い石は跳ねない。

 わたしは円盤みたいな薄い小石を見つける。

 これでいいかな。

 そして、投げ方。

 水平に投げること。

 クマの口に咥えられた小石を川に向かって川と水平になるように投げる。わたしの手から離れた小石は川の上を跳ねていく。ぴょん、ぴょん、ぴょん、ぴょん、と。

 そして、最後に小石は川の中に沈んでいく。


「ユナさん、凄いです」

「シノブさんより、跳ねました」

「たくさん、はねた!」


 ノア、ミサ、シュリが騒ぐ。


「大したことじゃないよ」

「うぅ、その大したことじゃないユナに負けたっす」


 シノブが落ち込む。

 ああ、面倒くさい。

 落ち込むシノブはほっとくことにする。


「ユナお姉ちゃん、どうやったの?」

「そうだね。川と水平に投げるのがコツだね」

「シノブさんも同じように投げていましたので、わたしたちも同じように投げたのですが、できません」


「あとは石だね」

「石ですか?」


 わたしは地面に転がっている小石に目を向ける。

 その中から、一つ石を拾う。


「こんな感じの平べったい石がいいよ」


 わたしは拾った石を見せる。


「そして、この石をなるべく水面と平行になるように投げると……」


 わたしはもう一度、川に向けて投げる。

 小石はぴょん、ぴょん、ぴょん、ぴょん、と跳ねる。


「跳ねました」

「わたし、石の形は気にしていませんでした」

「はい、わたしも」

「シノブ、黙っていましたね」


 サクラがシノブのことを軽蔑するような目で見る。


「そんな目で見ないでほしいっす。ちょっと、みんなに褒めてほしかっただけっす」

「ちゃんと、教えてくれましたら、褒めていました」

「うぅ」


 シノブが項垂れる中、ノアたちは石を探し始める。

 そして、各々が、石を見つけると、投げ始める。


「できました」

「3回跳ねました!」

「わたしは5回です」

「うぅ、2回だった」


 ルイミン、ノア、ミサ、シュリが投げたあと、フィナとサクラが投げる。


「1、2、3、4、5、6……」

「6回でした」

 

 フィナとサクラの跳ねる回数は同じだった。


「もう一回です」

「わたしも」


 ノアたちが再挑戦するために、石を探し、何度も川に投げ始める。

 そして、わたしたちは川で遊び、滝を見たりした。そのたびに、ノアたちは歓声を上げていた。

 貴族の令嬢は、あまり経験がないのかもしれない。

 フィナとシュリだって、森の深くまで行くことはないし、滝を見ることもないと思う。

 ちなみに今回は、ヴォルガラスに襲われることもなく平和だった。


 そして、エルフの村で遊んだわたしたちは、和の国に帰ることになった。

 その途中でカガリさんを回収して、サクラの契約魔法の解除を行った。


「それじゃ、ムムルート。また来る」

「ああ、いつでも来い」


 わたしたちは和の国に戻ってきた。

 その中にはルイミンの姿もある。

 ルイミンが、もう少しみんなと一緒にいたいと願ったためだ。

 みんなの希望で通常サイズのくまゆるとくまきゅうを召喚すると、囲むようにみんなが寝ることになった。

 明日は別れることになっているので、みんな夜遅くまで、楽しそうに話をしていた。

 シュリが一番初めに寝たかと思うと、部屋の中は静かになっていく。

 川遊びで疲れていたみたいだ。


 わたしは窓に近づき外を眺める。

 静かだ。

 湖が綺麗だ。


「なんじゃ、お主は寝ないのか」

「そういうカガリさんだって」


 カガリさんが隣にやってくる。


「一応、お主に礼を言おうと思ってな。久しぶりにムムルートに会えて、楽しかった」


 カガリさんにお礼を言われると、少し嬉しいものがある。


「なら、よかったよ」

「今度は数日間いてもいいかもな」

「そのときは、スズランさんに誤魔化す内容を考えてから行ってくださいっすよ」


 わたしとカガリさんの話にシノブが入ってきた。


「ここにスズランさんが来たときにカガリ様がいなかったら心配するっすよ」

「あやつは、心配性じゃからな」

「それだけ、カガリ様を大切に思っているってことっすよ」

「まあ、誤魔化すことができるようだったら、連絡をちょうだい。移動させるだけなら、大丈夫だから」


 それから、幼女姿のカガリさん、クマの格好したわたし、忍者のシノブの大人組3人は、しばらく話をしてから寝た。

 ……大人だよ。

 ちなみに、シノブの契約解除はしなかったよ。



水切りについては、ユナが詳しく知っていると違和感があるため、あまり詳しいことは書いていませんので、ご了承ください。あくまで、基本的なことだけになります。


8月30日はTVアニメ「くまクマ熊ベアーぱーんち」2巻の発売日になります。

よろしくお願いします。


【お知らせ】

小説の更新日は日曜日、水曜日になります。

投稿ができない場合、あとがきなどに報告させていただきます。


奥飛騨クマ牧場とのコラボが2023年12月31日まで期間延長決定しました。


【発売予定表】

【フィギュア】

POP UP PARADE くまクマ熊ベアーぱーんち! 2023年08月

フィナ、ねんどろいど 2024年1月31日予定 

KDcolle くまクマ熊ベアーぱーんち! ユナ 1/7スケール 2024年3月31日

【アニメ円盤】

1巻2023年7月26日発売

2巻2023年8月30日発売

3巻2023年9月27日発売

【書籍】

書籍20巻 2023年8月4日に発売しました。

コミカライズ10巻 2023年5月2日発売しました。

コミカライズ外伝 1巻 2023年6月2日発売しました。

文庫版8巻 2023年6月2日発売しました。(9巻は準備中)


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。


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― 新着の感想 ―
シノブの契約魔法が解除されないのはまあお約束としても、せめてクマの契約魔法の方に切り替えてあげてもよかったのでは。しゃべれない条件が広がってたりすると面白いですね。クマさんファンクラブのことをユナに話…
水切り、懐かしいですね♪遠い昔にやって遊んだ事があります。
[一言]  平行よりは、若干進行方向に向かって前側が上がり気味に投げるべきだったと思うんだけど、必ずしも間違いとは言えないからまあいいのかな……。
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