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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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753 クマさん、新しいスキルを覚える

 ムムルートさんの契約を解除したわたしは、カガリさんの契約も解除するため、魔法陣の絨毯があった部屋に向かう。

 部屋の様子を窺うと、絨毯に描かれている魔法陣を見ているカガリさんがいた。


「これはなんじゃ。これはあの魔法陣と酷似している……応用か? これは分からん。これは……」


 魔法陣が描かれた絨毯だけではなく、魔法陣が描かれた紙もあり、カガリさんは食い入るように見ていた。


「カガリさん」

「なんじゃ。今は忙しい。邪魔をするのではない」

「カガリさんとの契約魔法を解除したいんだけど」

「別にお主の秘密を誰かに話すつもりはないから、不要じゃ」

「それは嬉しいんだけど。わたしもカガリさんを信じているよ。でも、もしも、話さないといけないときが来て、次に和の国に行ったら、カガリさんが笑い死んだことを聞かされたら、嫌だよ」


 カガリさんは魔法陣から目を離し、わたしのことを不思議なものを見るような目で見ている。

 そして、口を開く。


「……分かった」


 カガリさんは素直に従ってくれて、契約魔法の魔法陣の絨毯が敷かれている部屋にやってくる。

 すぐに契約の解除を行う。


「これでいいのじゃろう」


 カガリさんは契約を解除するとすぐに魔法陣の絨毯が置かれている部屋に戻ってしまう。


「魔法陣が気に入ったみたいだな」

「いいの? 貴重な物じゃないの?」

「貴重な魔法陣もある。だが、嬢ちゃんがカガリを信じて契約魔法を解除したように、わしもカガリのことを信じている。カガリは魔法陣を悪用はしないとな」


 それを言われると、なにも言えなくなる。


「そうだね」

「だが、危険なものもある。注意だけはしてくる」


 ムムルートさんは立ち上がると部屋を出ていく。

 部屋に残ったわたしは、床に敷かれている魔法陣を見る。すると、ピコーンと頭の中で音が鳴る。

 わたしは咄嗟に反応する。この音はメール音だ。

 わたしはすぐにステータスを開く。

 メールが届いている。


「スキルを追加したよ」


 神様から、そんな内容のメールが届いていた。

 久しぶりにメールが届いたと思ったら、それだけ?

 でも、スキルの追加をしたという文言は気になるので、わたしはスキルを確認する。

 本当に新しいスキルがあった。


 クマの魔法陣

 魔力で魔法陣を生成できる。


 と書かれていた。

 魔法陣が作れる?

 魔法陣の項目にいくつかある。

 クマの魔法強化の魔法陣、クマの契約魔法の魔法陣。


 もしかして、この2つだけ?

 増えていくのかな?

 それとも、自分で作らないといけないのかな?

 だけど、契約魔法の魔法陣が初期から使えるのはありがたい。

 それぞれを確認してみる。


 クマの魔法強化の魔法陣

 魔法陣の中にいると魔法効果が強化される。

 との一文の下にクマの顔が描かれている。

 これが魔法陣?

 クマの顔の表情が吊り上がり、強そうに見える。

 これをイメージして、魔力で魔法陣を描くの?

 とりあえず、次の魔法陣を確認する


 クマの契約魔法

 お互いのクマの魔法陣に手を置き、契約内容を口にする。お互いに了承することによって効果が発動する。

 契約のことを話そうとすると「クマ」としか言えなくなる。紙に書こうとしても「クマ」としか書けなくなる。

 と書かれていた。

 死なれるよりはいいけど。これではクマの呪いでは? とは言いたくなる。

 そして、効果の下には魔法陣が描かれている。

 その魔法陣は二つのクマの顔が描かれている。

 なんとなくだけど、くまゆるとくまきゅうの顔に似ているのは気のせいかな。

 とりあえず、このクマの顔の上に手を置いて、契約するみたいだ。

 解除方法は同様にして、契約内容を口にしてお互いに了承すれば解除できるみたいだ。


 問題点は魔法陣を暗記しないとダメなのかな?

 増えるか分からないけど、全てのクマの顔の魔法陣を暗記するのは面倒くさい。

 これは要検証だね。


 わたしは契約魔法の描かれている絨毯をくるくるっと巻き、端のほうに置く。

 そして、部屋に誰もいないことを確認すると、試しに魔力でクマの契約の魔法陣を描いてみる。

 まんまる顔のクマさんの顔を二つ描き、目と口を描く。

 最後にお互いのクマの顔を繋げる線を描いて完成する。

 こんな感じだったかな。

 床が魔力で光っている。

 魔力が消えてたら、終わりって感じかな。

 効果があるか検証がしたいところだけど、契約魔法は一人ではできない。


 あと、クマの魔法強化って、さらに魔法が強化するってこと?

 魔法陣の中限定みたいだけど。

 神様、わたしに強化させて、変なものと戦わせようとしてないよね?

 たまたま、魔法陣を見て、与えたのか、謎だ。

 メールは一方通行だから、確認することはできないし。

 まあ、気にしても仕方ないので、ありがたく活用させてもらうことにする。


「お主、何をしておるのじゃ?」


 魔法陣を描く練習をしていると、ムムルートさんとカガリさんが戻ってきた。


「なんじゃ、魔力でクマの絵を描いておったのか?」


 床に描かれているクマの魔法陣を見ながら言う。


「そういうわけじゃないけど。カガリさんはどうして、ここに? 魔法陣を見ていたんじゃないの?」

「ムムルートと魔法陣を見ていたら、ベーナに怒られた」

「片付けずに、次々と広げていたカガリが悪い」

「お主だって、この魔法陣を見てくれとか言って、広げていたじゃろう」


 どうやら、様子を見に行ったムムルートさんもカガリさんと一緒に魔法陣を見ていたらしい。

 それで、部屋が酷いことになり、ベーナさんに叱られたみたいだ。


「う〜ん、このクマの顔は普通の魔力じゃないな」


 カガリさんは話を変えるためなのか、わたしが描いたクマの魔法陣を見ている。


「分かるの?」

「なんとなくだけじゃ」

「これ、契約魔法の魔法陣なんだけど」

「これが契約魔法陣じゃと?」


 わたしの言葉に、再度クマの魔法陣に目を向ける。


「こんな魔法陣、見たことがないぞ。もちろん、全ての魔法陣を知っているわけじゃないが、クマの顔の魔法陣なんて。じゃが、お主だったら、あり得るのか?」


 カガリさんは、わたしと魔法陣を交互にみる。


「カガリさん、試してみたいんだけど、いいかな」

「よかろう。実験台になってやろう」

「嬢ちゃん、確認だが、危険はないのか?」


 ムムルートさんが心配そうに尋ねる。

 まあ、ムムルートさんの魔法陣は死ぬ危険性があった。


「たぶん大丈夫だと思うよ。でも、一度も試したことがないから」


 絶対とは言えない。


「効果が発動して、死ぬってことはなかろう。そんな魔法陣をユナが作るわけがないじゃろう。なにより、このクマの顔が危険っぽくない」


 カガリさんの言葉に、ムムルートさんはクマの顔の魔法陣を見て、納得する。


「それじゃ、ムムルート。お主は耳を塞げ。お主が嬢ちゃんとの契約内容を知っていたら、実験ができぬ」

「わしが、聞き手か?」

「お主しかいないじゃろう」


 そこまで言われてムムルートさんは耳を塞ぐ。


「ほれ、さっさとやるぞ」

「それじゃ、そのクマの顔の上に手を置いて」


 カガリさんは言われるままにクマの顔の上に手を置く。

 わたしはもう一つのクマの顔の上に手を置く。


「ああ、ちなみに契約内容を話そうとすると、クマって口にするみたいだよ」


 わたしがそう説明すると、カガリさんの手がスッとクマの魔法陣から離れる。


「この妾にクマになれと」

「いや、クマはクマって言わないから」

「確かにそうじゃな」


 納得したのか、手をクマの魔法陣に戻す。


「ほれ、ムムルートに知られたくない秘密を話せ」

「えっと……」


 わたしは少し考える。


「お主が履いている下着がクマのパンツってことでよかろう」

「ちょ、それは、超機密情報だよ。なんで知っているの?」

「お主、妾と何度一緒にお風呂に入ったと思っておる。それに、お主の家に世話になったときなど」

「うっ」


 とりあえず、これ以上の秘密はないので、その内容で契約することにする。


「わたしの下着のことは誰にも言わないこと」

「了承じゃ」


 クマの魔法陣が一瞬、強く光る。

 契約が結ばれた感じだ。


「これで、契約完了じゃのう」


 カガリさんはムムルートさんのほうを見ると、耳を塞ぐのを止めるようなジェスチャーをする。

 ムムルートさんは耳から手を離す。


「もう、いいんだな」

「それじゃ、言うぞ」


 カガリさんが、そう宣言をして口を開く。


「クマ」


 カガリさんの口から「クマ」って単語が出た。


「クマ?」


 ムムルートさんは首を傾げる。


「秘密を言おうとすると、『クマ』って言うみたい」


「クマクマクマ」


 カガリさんは、さらに話そうとするが、クマを連呼する。

 どうやら、わたしの下着のことを話そうとしているみたいだ。


「どうやら、本当にクマとしか言えないみたいじゃのう。恐ろしい呪いじゃ」


 カガリさんは怯えた表情をする。


「いや、死ぬよりいいでしょう」

「確かにそうじゃな」


 次に紙に書こうとするが、紙にはクマクマクマって単語が書かれていた。


「まさしく、クマの呪いじゃな」


 まあ、わたしも初めはそう思ったけど。あらためて他の人にクマの呪いなんて言われると、悲しいものがある。

 契約魔法が実証されたので、契約を解除する。


「あとは、解除されているか確認じゃな」


 カガリさんはムムルートさんのほうを見る。


「ちょっ」


 わたしは止めようとするが、カガリさんは口を開く。


「この嬢ちゃんの下着は……」


 そこまで言って、止める。


「解除はできておるな。普通に話すところじゃったわ。言わぬから、離せ」


 わたしはカガリさんの肩を掴んでいた。


「妾もおなごじゃ、話すわけがなかろう」

「そうだけど」


 そのまま話すかと思った。

 とりあえず、クマの契約魔法陣の効果は立証でき、無事に解除もできた。

 今後、契約魔法を使うようなことがおきても、ムムルートさんに頼まなくてもよくなりそうだ。

 ただ、「クマクマ」って口にするカガリさんが可愛かった。




前々から覚えさせたかったスキルです。

初めて契約魔法をしたときに、作ったら面白いかなと思ったままタイミングがなく、放置していました。


【お知らせ】

小説の更新日は日曜日、水曜日になります。

投稿ができない場合、あとがきなどに報告させていただきます。


奥飛騨クマ牧場とのコラボが2023年12月31日まで期間延長決定しました。


【発売予定表】

【フィギュア】

POP UP PARADE くまクマ熊ベアーぱーんち! 2023年08月

フィナ、ねんどろいど 2024年1月31日予定 

KDcolle くまクマ熊ベアーぱーんち! ユナ 1/7スケール 2024年3月31日

【アニメ円盤】

1巻2023年7月26日発売

2巻2023年8月30日発売

3巻2023年9月27日発売

【書籍】

書籍20巻 2023年8月4日に発売しました。

コミカライズ10巻 2023年5月2日発売しました。

コミカライズ外伝 1巻 2023年6月2日発売しました。

文庫版8巻 2023年6月2日発売しました。(9巻は準備中)


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。


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― 新着の感想 ―
らりるれろ!らりるれろ! ムムルートとカガリで魔法陣について話すとき、てっきりあのスライムの件かと思った
クマの祟り?強化魔法の方はクマさんが襲いかかって来るとか?
[一言] ムムルートさんはくまさんパンツのことは知っているはずでは、、 (235話より)
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