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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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776/934

752 ノア、村を見学する

※前回の話。2023/08/07 23:00に修正させていただきました。

修正内容、カガリさんがベーナさんと知り合っていたのに、知り合いではなかったことになっていた。

(587話で2人は知り合っていました)

これは作者の確認不足でした。申し訳ありません。

報告してくださった皆様、ありがとうございました。


 ユナさんとカガリさんはルイミンさんのお爺さんと一緒に行ってしまう。

 カガリさんとムムルートさんの2人のことを見ていましたが、不思議な関係です。

 村に来る間も2人で会話をしていました。ときおり、笑い声も聞こえてきていました。

 なんとなくですが、長年の友達のような関係に見えました。

 ですが、年齢の差が……。


「ルイミンさん、サクラ。お聞きしたいのですが、カガリさんとムムルートさんはどういう関係なのですか?」


 気になったので尋ねてしまう。


「えっと……」

「その……」


 ルイミンさんとサクラはお互いの顔を見て、困った表情をします。


「もしかして、聞いてはいけないことでしたか? それなら別に……」


 2人を困らせるつもりはありませんでした。

 ただ、2人の年齢のことを考えると。


「もしかして、カガリさんはムムルートさんの娘さん!?」


 隣にいたミサが声を上げる。


「違います!」


 ですが、すぐにルイミンさんが否定します。


「村の中で変なことを言わないでください」

「申し訳ありません」


 ミサが謝罪します。

 ですが、わたしも、口に出さずにいましたが、その考えはありました。

 サクラのほうを見ると考え込む仕草をしている。

 そして、ゆっくりと口を開く。


「ムムルート様とカガリ様は、昔からの友人なのです」

「友人?」

「昔からの友人と言っても、年齢が……」


 カガリさんはかなり幼い。

 逆にムムルートさんは長寿のエルフの中でも歳を取っているように見えます。

 わたしが思っている以上の年齢かもしれません。


「詳しいことはお話しできませんが、カガリ様はムムルート様と同等の長寿のお方です」


 流石に、その言葉にわたしもミサも驚く。


「国でも、一部の者しか知らないことですので、内密にお願いします」


 そんな重要なことを聞いてもよかったのでしょうか。

 サクラがわたしたちを信用して話してくださったと思います。


「はい、絶対に言いません」

「わたしも、申し訳ありません。変なことを言って。お話ししないことをお約束します」


 わたしとミサは約束します。

 ですが、これで心の中で気になっていたことがスッキリしました。

 ユナさんが「カガリさん」と年上のように扱い。サクラやシノブさんの敬意を示す態度。王家の血筋でもない人が、国王に会い、意見を言える立場。

 それと人の目がつかない場所でひっそりと1人で暮らしていること。

 全てが納得することができました。

 それと同時に、わたしの心の中の世界が広がったように感じます。

 妖精のこともそうでしたが、世界にはわたしが知らないことばかりです。

 世界は謎に満ちていて、不思議がいっぱいです。

 まだ、この世界にはわたしの知らないことがたくさんあります。

 この目でいろいろな物を見て、いろいろな人から話を聞き、しっかりと学び、そして、楽しみます。


「ちなみにフィナは知っていたのですか?」

「……はい」


 フィナは申し訳なさそうに頷きます。やっぱり、フィナは知っていたのですね。

 わたしはこれ以上、カガリさんとムムルートさんの話は聞かないことを示すため、話を変えます。


「フィナとシュリは、この村に来たことがあるんですよね」

「はい」

「うん、あるよ」


 フィナとシュリは答えてくれます。

 和の国もそうでしたが、羨ましいです。

 それと、教えてもらえていなかった悲しみもあります。

 だから、今回の話をユナさんから聞いたとき、ミサには内緒にしておきたくありませんでした。

 いつかミサが知ったとき、悲しむと思うから。

 だから、ミサも一緒に来ることができて、本当によかったです。


「サクラは来たことがあるのですか?」

「一度だけですが、そのときは和の国に大蛇が現れたときです。村をゆっくり見る時間も、余裕もありませんでした」

「あのときは、大変でした」


 サクラとルイミンさんは笑っていますが、本当に大変だったんでしょう。


「今日はゆっくりと案内しますね。とは言っても、なにもない村だけど」


 ルイミンさんの言葉に笑いが起きる。


「いえ、みんなと一緒におでかけ出来るだけで、楽しいです」


 わたしもサクラと同じ事を思っていました。

 ルイミンさんは、なにも無い村と言いますが、実のところ、他の村にもほとんど行ったことがありません。

 お父様が連れて行ってくれることはありませんでしたし、わたし1人で行くこともありません。

 王都や他の街に行くときに、立ち寄るぐらいです。それも宿などに泊まるだけなので、じっくりと村の中を歩き回ったことはありません。この前、プリメさんのお姉さんを探しに村に寄ったぐらいです。あれも、すぐに移動しましたから、見たことにはならないかもしれません。

 だから、何もないと言っても、わたしの目には新鮮に映ります。

 それはミサも同様なのか、キョロキョロと周りを見ています。


「シュリ、勝手に動かない」


 どうやら、わたしたちだけではなかったみたいです。

 フィナとシュリも楽しそうにしています。


 わたしたちは村の中を歩きます。

 村の人たちが、わたしたちのことが気になるのかチラチラと見ています。


 話をしながら村の中を歩いていると子供たちが、離れた場所からわたしたちのことを見ています。

 そして、5人ほどの子供たちが、わたしたちのところに近寄ってきます。


「クマさんだ~」


 子供たちは、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんに抱きつきます。

 どうやら、わたしたちに近寄ってきたのではなく、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんだったみたいです。


「ほら、お客様が来ているんだよ。邪魔はしちゃダメだよ」


 ルイミンさんが優しく子供たちに注意する。


「ごめんなさい」


 子供たちは謝り、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんから離れます。


「くまきゅう様とくまゆる様は、ここでも好かれているのですね」

「くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんは可愛いですから、この村でも大人気ですよ」


 流石、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんです。

 わたしたちは交流を深めるため、子供たちと遊ぶことにしました。

 子供たちは久しぶりにくまゆるちゃんとくまきゅうちゃんに会えて嬉しそうです。

 わたしたちが子供たちと遊んでいると、わたしたちを見守っていたシノブさんが険しい顔になり、辺りを見回しています。


「シノブ?」


 不審に思ったサクラが尋ねます。


「誰っすか?」


 シノブさんが声をかけると、わたしたちの前に男の人が現れました。

 気付きませんでした。

 いきなり現れたように見えました。


「騒がしいと思ったら。ルイミン、この者たちは?」

 

 男の人はシノブさんの言葉を無視して、ルイミンさんに尋ねます。

 男の人は何か、探るような目でわたしたちを見ています。

 このような目をする人たちを何人も見たことがあります。

 貴族や商人が品定めをするときの目です。


「黒いクマと白いクマがいるってことはユナが来ているのか?」


 男の人はくまゆるちゃんとくまきゅうちゃんを見てから、ルイミンさんを見ます。


「はい。ユナさんはお爺ちゃんのところにいますよ。この子たちはユナさんのお友達です」

「ユナの……」


 なにか、納得した表情に変わる。


「ユナさんがお爺ちゃんのところにいる間、みんなを村に案内しているんです」

「そこの娘は?」


 男の人がシノブさんを見ます。


「えっと、彼女はシノブさんで、この女の子、サクラちゃんの護衛? お世話? なのかな?」

「シノブっす」

「……強いな」


 男の人の言葉にシノブさんは驚きの表情をします。


「わたしは弱いっすよ。ユナの足元にも及ばないっす」

「あの娘と比べることが間違っている」

「……そうっすよね」


 なにか、通じたものがあったのか男の人とシノブさんは小さく笑う。

 この人もユナさんの強さを知っている一人なのかもしれません。

 わたしが知らないところでユナさんはいろいろな人に会っていたんですね。


「ルイミン、長が知っているなら問題はないが、騒ぎだけは起こすなよ」


 男性はそれだけ言うと、立ち去ってしまいました。


「少し、怖い人でした」


 ミサはホッとした表情を浮かべる。

 わたしも、少し怖かったです。


「えっと、ラビラタさんは村を守ってくださっている方なんです。ぶっきらぼうですが、悪い人じゃないので。許してあげてください」

「わたしは気にしていませんので大丈夫です」

「はい、わたしも」


 わたしの言葉にサクラたちも頷く。

 貴族って事から、仕事に忠実って人は何人も見てきました。

 だから、あのような人がいることも知っています。

 お母様曰わく、生き方が不器用な人だと言っていました。

 あの人も、村を守るためにあのような態度をとったのでしょう。


 それから、わたしたちは子供たちのおかげで村の人たちの警戒心もなくなり、ユナさんの知り合いだと知ると、森で採れる果物をいただいたりしました。

 どれも美味しかったです。


 子供たちとは別れ、ルイミンさんのご両親に挨拶をしたりしました。

 ルイミンさんの両親は優しそうな人だった。

 ルイミンさんの弟も可愛かった。

 それから、ルイミンさんのお姉さんの話を聞いた時は驚いた。


「まさか、王都の冒険者ギルドのギルドマスターがルイミンさんのお姉さんとは」


 王都の冒険者のギルドマスターとは会話はしたことはありませんが、何度か見たことがあります。

 確か、ルイミンさんと同じ薄緑の髪の色をした綺麗な女性でした。

 世界は広いですが、どこかで誰かと繋がっているんですね。



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 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます。 [一言] ノアはいい加減フィナにコレは知っていたのかと訊くのをやめて欲しい。知らされてなくて悲しいのは仕方ないけど相手が悲しい顔されて傷付く事も覚えて欲しいかな…
[気になる点] 今回の話も結局何がしたいの?というのが本音です。ただ過去の話に登場人物を数人増やした使いまわしで話が薄っぺらいものになっていてネタ切れしてるのが見え見えです。1部の頃のような話ごとにあ…
[一言] 村を助けた時の報酬であった神聖樹の枝ってもらったかな まだならそろそろ貰って何かに使ってほしい 定番なら魔術の杖かな
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