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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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698 クマさん、ローネの話を聞く

 ベッドで寝ている男の名前はリヤン。

 ローネを見ることができた人。リヤンの頼みでこの街にやってきたこと。領主に会ったこと。2人は妖精の研究をしていたこと。ローネも研究の手伝いをしたこと。そして、領主はローネを自分の物にするために、リヤンを閉じ込め、魔力を奪い自分の物にしていること。それは今も続いていること。魔力を奪われ続けるとリヤンは死んでしまうこと。この部屋が彼に魔力を注いでいること。その魔力のために住民から魔力を奪っていること。住民の反発や魔物を倒すために騎士に力を与えていること。


 ローネは全て話してくれた。


「お姉ちゃん……」

「ローネさんが可哀想です」


 つまり、妖精のローネが見える彼に嫉妬して、自分もローネが見えるようになるために、ここまでのことをしたということらしい。

 呆れてものが言えない。

 でも、自分が欲しいものを相手が持っていたら、疎み、憎み、奪う人は存在する。


「それじゃ、この部屋にある魔法陣は魔力供給用なんだね」


 リヤンが寝かされている場所を中心に、床には魔法陣と魔石が嵌められている。


「だけど、どうやって力を強化させることができるの?」

「仕組みは分からない。2人の研究で、できることが分かったのよ」


 ノアやクリフの話を聞くかぎりでは、妖精は夢物語のような存在で、妖精に会うことができれば幸運とされている。そんな存在だから、妖精について知られていることは少ない。

 妖精が見える人で、妖精の研究をしようとした人はいなかったのかもしれない。


「あと、リヤンさんの魔力をどうやって、領主に流れ続けさせているの?」


 イメージ的にお互いに近くにいれば可能なような気がする。漫画でも「わたしの魔力を使って!」とか言って、魔力を渡すことがある。でも、それだって、近くにいて、触れたりしてできることだ。

 わたしもフィナとノアに魔法の扱いを教える時に、手を握りながら魔力を流してあげた。

 でも、ローネの話を聞くかぎり、この瞬間もリヤンから領主に魔力が流れ続けている。


「彼の体を見て」


 寝ている男性の体を見るのは抵抗があるが、言われるままに見る。

 痩せ細り、生きているのが不思議なぐらいだ。


「ノアは、無理して見なくても」


 一緒に見ているノアに言う。


「いえ、大丈夫です」


 ノアは力強く答える。

 フィナといい、ノアも強いな。 


「それで、この男を見れば分かるの?」

「どこでもいいから、服を捲ってみて」


 15才の乙女が寝ている男の人の服を捲るのは少し抵抗があるが、ローネの言われるままに服を軽く捲る。


「これは……」


 わたしもノアも声が出なくなる。

 彼の腕や足、体中に魔法陣みたいなものが描かれていた。


「その体に描かれている魔法陣が、離れているあの男に魔力を流しているの」


 この部屋を見て、男の体を見る。


「つまり、この部屋はリヤンに魔力を入れる部屋であり、リヤンに描かれている魔法陣の模様は領主に魔力を流すためのものってことは……」

「ここからリヤンさんを運んだら……」


 ノアも気づいたみたいだ。

 頭の回転が速い。


「魔力の供給が受けられなくなって、魔力だけが奪われることになる」


 この部屋から彼を連れ出すことで、領主に流れる魔力が切れれば、一番楽だった。


「えっ、どういうことなの?」


 プリメだけが分かっていないようだ。


「彼をここから連れ出すことができない。連れ出せば、死ぬかもしれない。そして、彼をこのままにして、ローネはここから離れることはできないってことだよ」


 だから、ローネは領主の言いなりになり、愛玩動物のように扱われていたと。

 怒りを覚える。


「もっとも、わたしの小さい体じゃ寝ている彼を連れ出して逃げることなんてできなかったけどね」

「……お姉ちゃん」


 プリメが悲しげな表情をするローネを見る。


「そんな。この変な模様がダメなんでしょう」


 プリメは寝ている男のお腹に降りると、小さい手で擦り始める。でも、魔法陣は消えない。


「プリメ……」


 わたしも彼の腕に描かれている魔法陣をゴシゴシとクマさんパペットで擦ってみるが、やっぱり消えない。

 洗剤でやってもダメだよね?

 この世界に油性マジックはないし、刺青でもないと思う。


「これって、何で描いたのかな?」


 それが分かれば消せるかもしれない。

 消せれば、この部屋から連れ出すことができる。


「たぶん、魔力で描かれたものだと思います」


 ジッと男に描かれている魔法陣を見ながら、ノアが言う。


「魔力で描かれた?」

「はい。魔法陣の描き方はいろいろとあります。地面に溝を掘って、長い間効果を得るものとか」


 ああ、砂漠のピラミッドがそうだった。それから、ムムルートさんの絨毯もそうなるのかな。


「一時的なものなら普通のペンで描いたりもします。でも、この人の体に描かれている魔法陣は魔力で描かれたものだと思います」


 そういうとノアは光の魔法を作り出し、地面に何かの模様が浮かぶ。その上に光魔法を置く。


「これは?」

「均等の魔法陣です。簡単に説明すると、魔力を細く長く光り続けさせるものです。普通の光魔法の1分間光らせる魔力が10とします。それを魔力量は1だけで、その十倍の長さを光り続けさせることができます。ただし、光の明るさもそれに比例して弱くなってしまいますが」

「ノアは凄いね。そんなことを知っているなんて」

「はい。最近、魔法の勉強しているので」


 ノアは褒められて嬉しそうにする。


「それで、魔力で描かれていると消えないの?」

「魔力が無くなるまで、擦ったりした程度では消えないと思います」

「それじゃ、魔法で魔法陣を壊すとか?」

「地面に描かれているなら、壊せるかもしれませんが……」


 ノアは寝ているリヤンを見る。

 人で試すわけにはいかない。


「そんなのダメよ! そんなことしたら、リヤンが死んじゃう」


 ローネの言うとおりに、彼に描かれている魔法陣を消すために、攻撃魔法を使うわけにはいかない。

 ちょっとぐらいならと、思ってしまうが、それは最後に、どうしようもないときに使うしかない。あとで回復魔法を使って……。


「なのでリヤンさんの魔法陣は魔力が続くかぎり、消えないと思います」


 この魔法陣の描かれている魔力の源は、この彼本人のもの。

 そして、彼は眠ったままだ。その魔力は今も領主に流れている。彼の魔力はこの部屋から得ている。

 ここから動かせば、彼への魔力の供給は絶たれ、それでも魔力は領主に流れる。そうなれば、一方的に魔力が減るだけになり、彼は魔力を領主に奪われ続けることになる。

 そうなれば彼は…………。

 まずは領主と彼の繋がりを切らないと。


「彼を遠くに移動させたら、領主への魔力の流れは止まるのかな?」

「そういえば、2人がどのくらい離れても大丈夫なのか、研究していたことがあったけど」


 ローネがそんなことを言い出す。


「そうなの? どのくらい離れても大丈夫なの?」

「確か、リヤンが街に出かけても、わたしのことが見えたことに、あの男は喜んでいたわ」


 そのぐらい?


「それじゃ、街の外に出たり、それ以上に離れた場所は?」


 それがクリモニアだったら。


「そんなこと知らないわよ。2人も、そこまで調べていなかったと思うし」


 まあ、知っているほうがおかしい。

 トランシーバーの電波がどこまで届く? と聞いているようなものだろう。

 そんなことはトランシーバーの性能によって異なる。説明書を見たり、教えてもらわなければ分からない。


「なら、試してみよう」


 分からないことはやってみればいいだけだ。そうやって、人は成長していくものだ。


「何をするつもりなの?」

「彼を遠くの場所に運んで、領主との魔力の繋がりが切れるか確かめてみるんだよ」


 流石にこの部屋の魔法陣を壊して、取り返しが付かないことは避けたい。


「遠くまで運び出してるうちにあの男に気づかれるわよ。それに、どこまで離れれば繋がりが切れるか分からないし……」

「お姉ちゃん、ユナは妖精の鏡みたいなことができるのよ」

「まあね」


 わたしはクマの転移門を出して、クリモニアへ繋げる。

 そして、彼を持ち上げて、くまゆるの背中に乗せ、クマの転移門を通ってクリモニアに移動する。ノアとプリメとローネもついてくる。


「ここは?」


 ローネが不思議そうにクマの転移門がある部屋を見渡している。


「もの凄く離れた場所と思ってくれればいいよ」


 実際は位置関係が分からないから距離は分からないけど、ローザさんたちの言葉どおりならクリモニアから相当離れているはずだ。

 わたしは全員がクリモニアのクマハウスに移動するのを確認するとクマの転移門の扉を閉める。これで、領主との繋がりが消えれば、作戦の半分は達成だ。

 彼をくまゆるから、簡易ベッドに寝かせる。


「どう?」

「もしかして、成功?」


 と思ったが、そう上手くはいかない。


「うぅ」

「リヤン!」


 男が苦しみ始めた。

 繋がりが切れていない。

 わたしはクマの転移門の扉を開け、元の部屋に戻り、男をベッドの上に寝かせる。

 魔力が元に戻ったのか、男性は落ち着き始める。

 ここから、彼を動かすことはできない。

 領主から、魔法陣を消す方法を聞き出さないとダメだ。


 どうしようか考えているとくまゆるとくまきゅうが「「くぅ~ん」」と鳴き、わたしたちがやってきた階段のほうを見る。


 わたしは探知スキルを使う。

 階段がある方向から人の反応がある。

 誰かがやってくる。


いつも、最後の辻褄合わせに苦労します。

その理由はなんとなくで書いているからです。

リヤンを動かせない理由とか、魔力譲渡とか、離れている領主に魔力が流れている理由とか、頭の片隅にふんわりと考えているだけなので、細かい部分を考えていないんで、最後に苦労します。

それは、今回だけでなく、毎回、お話の最後で辻褄合わせに苦労しています。

過去に学ばない作者です。


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。


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― 新着の感想 ―
[一言] 流石にやりすぎ設定な魔法陣かな? 多分この距離で供給が一時的にでも途切れないってことは魔力供給の受け渡しに遮蔽物無視かつタイムラグがほぼ無いんだよね? これ研究進めてクマフォンみたいな魔法…
[良い点] やるべきことがハッキリしたのでいよいよ大暴れ!…となかなかいかないのがもどかしいですけど、ここからスカッとした展開になるように期待しています [気になる点] リヤンから領主に魔力が流れてい…
[一言] 「くまゆる。なにを口に咥えているの?」 まさかこれかな。
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