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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける
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679 ハーレムパーティー ローザ視点

前話で、深夜に読んだ読者様には申し訳ありませんでした。

ローザさんの名前をメルと間違えてしまいました。

あと砂漠編のときにも書いたかもしれませんが?(書いていなかったから申し訳ありません)

前回のあとがきにも追記させていただきましたが、書籍合わせのため、トメア→ローザとなっています。

読んでいる読者様には、いろいろとご迷惑をおかけします。

 わたしは魔法使いで、冒険者をしているローザ。

 リーダーのブリッツに、魔法使いのラン、剣士のグリモスと共に冒険者をしている。

 わたしたちはいろいろな場所で仕事をし、いろいろな場所を回っている。

 そんなわたしたちは絶賛迷子中だ。


「ここはどこなのよ」

「迷子になった」

「すまない」


 わたしの叫びにランが状況説明をし、なぜかグリモスが謝る。


「グリモスのせいじゃないわよ」

「これも、ブリッツが他の港街に行こうと言ったのがいけなかったのよ」

「いや、みんなも反対はなかっただろう」


 わたしたちは王都や街の中や森の中で迷ったのではなく、この世界のどこにいるかが分からなくなった。

 わたしたちは、1つの場所にとどまらず、いろいろな場所に行くことが多い。今回もミリーラの町で仕事を終えたあと、新しい街を目指して、クマの石像があるトンネルを通ってクリモニアにやってきた。それからお金を稼ぎながら自由に、王都やいろいろな場所へ行った。

 ときには砂漠の街で依頼を受けたりもした。そのときに、ミリーラの町で共に盗賊討伐したユナちゃんに出会ったりもした。

 あのときは、遠くで知り合いに会えたことに、嬉しかったことと同時に驚いた。

 クマって、砂漠も移動できるんだね。

 ユナちゃんと再会し、別れた後も、いろいろな場所に行き、砂漠を越えたりして、いろいろな街を渡り歩いた。そして、わたしたちは海がある大きな港町に到着した。

 港町はミリーラの町と違って、活気があり、人が多かった。

 でも、もしクラーケンが現れでもしたら、ここの人たちも多くの人が仕事を失い、路頭に迷い、廃れていく可能性は十分にある。

 海を見ていると、ミリーラの町が懐かしくなってくる。

 わたしたちは遠くまで来たので、一度は戻ろうと考え、この港からミリーラの町に行けないか尋ねてみたが、誰一人としてミリーラの町のことは知らなかった。

 ここから船に乗ってミリーラの町に戻れたら楽だったけど、そんなに甘くなかった。

 だけど他の港街に行く船はあると言う。


「その港街なら、ミリーラの街のことを知っているかもしれないから、行ってみるか」


 ブリッツの一言で、わたしたちは路銀稼ぎをしつつ、船の護衛をすると船代がタダになるということで、商船の護衛として乗り込んだ。

 海には海賊が出るらしいが、襲われる可能性は低いらしい。だから楽な仕事かと思っていたら、運悪く海賊に襲われた。

 船は海賊船の接近を許し、わたしたちは船を守るために海賊船に乗り込んで戦った。

 ブリッツとグリモスが前で戦い、わたしとランが後方から魔法で援護しながら戦う。海賊たちも予想外の反撃にたじろぐ。人数が多いだけで、実力的には弱い。

 ただ、揺れる船の上というのは厄介だ。

 走るとバランスが崩れる。武器を振るうと、踏ん張りがきかずバランスが崩れる。

 わたしとランは後方から魔法を放っているだけだから大丈夫だけど、ブリッツとグリモスは船に乗ったときは、少し苦労していた。

 わたしたちは、連携で1人ずつ確実に倒して、海賊の人数を減らしていく。

 このままいけば船を守り切れると思ったとき、乗っていた船が海賊船から離れるという行動を取っていた。

 気付いたときにはすでに遅く、飛び移れないほど離れていた。

 わたしたちは叫ぶが、船はわたしたちを残して海賊船から離れていった。

 わたしたちに海賊を押し付けて、逃げたのだ。


 わたしたちは海賊たちを縛り上げ、交渉し、船を動かさせて、街の港に向かわせた。

 その途中で運悪く天候が崩れ、嵐になり、船の帆は壊れ、わたしたちは漂流することになる。

 あたりは一面海で、陸は見えず、このまま死ぬかと思ったとき、通りかかった漁船に助けてもらい、どうにか無事に港町に到着することができた。

 捕らえた海賊も引き渡し、無事に終わったと思ったが、この港町は、わたしたちが出発した港街ではなく、小さな港町だった。

 他の街とは交易はなく、ミリーラの町はもちろん、出航した港街に行く船もなく、交渉したが無理だった。

 わたしたちは帰る方法を失った。

 しかも、最悪なことに持っているお金が使えなかった。

 わたしたちは、持っていた物を売ったり、冒険者ギルドでお金を稼いだりしながら、この地のことを調べた。

 この国は小国で他の国のことを知っている者は少なかった。ギルド関係なら多少なりとも情報はあったが、帰る方法を得ることはできなかった。

 わたしたちは帰る手段を探すため、この国の首都に向かうことにする。

 首都なら元の国に帰ることができる情報を得ることができるかもしれないと思ったからだ。

 わたしたちは、街と街の間を移動する馬車の護衛をしながら移動する。

 何度目かの馬車の護衛をしながら移動していると、魔物が現れた。わたしたちは馬車から降りて、魔物と戦った。

 魔物と戦っていると、護衛をしていた馬車は、わたしたちを囮にするように、わたしたちを置いて逃げてしまった。

 この国は、護衛をしている者を囮にして、逃げる習慣でもあるのかと問いただしたい。

 まあ、全てではないことは分かっている。ここに来るまでに何度も護衛をしている。中には優しい人もいた。なにもなかったのに、多く護衛料をくれた人もいた。

 良い人もいれば、悪い人もいる。運が悪かったと言うしかない。

 魔物を倒したわたしたちは道に沿って歩き、夜は交代しながら眠りに就くが、魔物に襲われたりした。

 体は疲れていたが、移動したほうがいいと決めたわたしたちは、日が昇ると同時に移動し始める。そんなとき、運良く街に向かう馬車に拾ってもらうことができた。

 近くの村から、野菜を街に売りに行くと言う。

 わたしたちは、厚意に甘え、馬車に乗せてもらった。

 魔物との戦いや、寝られなかったことや、歩き疲れていたこともあって、皆、馬車の中で寝てしまった。

 馬車の男性に起こされたときには、知らない街の入り口に馬車は止まっていた。

 馬車に乗せてくれた男性にお礼を言って降りると、馬車は街の中に入っていく。

 残されたわたしたちは、情報を集めるため、街の中に入ることにする。

 門番に街の名前を聞いたが、知らない街だった。

 迷子の連鎖もここまでくれば、呪われているとかしか思えない。

 そして、街の入り口で、いろいろと忠告っぽいことを言われたので、尋ね返そうとしたが、後ろから街に入る人がいて、尋ねることもできず、街の中に入らせられる。


「ここはどこなのよ」

「迷子になった」

「すまない」


 わたしの叫びにランが状況説明をし、なぜかグリモスが謝る。


「グリモスのせいじゃないわよ」

「これも、ブリッツが他の港街に行こうと言ったのがいけなかったのよ」

「いや、みんなも反対はなかっただろう」


 あの港街の船の護衛を受けたのがいけなかった。

 あの船が逃げ出さなければ、こんなことにはならかった。


「砂漠を渡らなければ」

「港街から離れなければ」

「今更、言っても仕方ないだろう。進めば、きっと道は開かれる。諦めなければ、きっと戻れるさ」


 ブリッツのこの楽観が、せめてもの救いかもしれない。暗くなるよりはいい。

 でも、それは簡単なことではないと思っている。

 何年かけたとしたとしても帰る。


「もう、帰れなくなったら、ここでブリッツと2人で暮らすしかない」

「ちょ、なにを言っているのよ」


 わたしが前向きに考えていると、ランがとんでもないことを言い出す。

 ブリッツはランと結婚はしないでしょう。

 だって、わたしと……。


「それよりも、今後のことを話そう。まだ戻れないと決まったわけじゃない」


 空気が読めていないブリッツは、脳天気なことを言う。

 わたしは何気なく道の反対側を見ると、可愛らしいクマの格好した女の子が歩いているのが見えた。


「ああ、あそこにユナちゃんが歩いている幻覚が見えるわ」


 幻覚が見えるほど、精神的に参っているみたいだ。

 ミリーラの町で出会った不思議な少女。可愛らしいクマの格好しているのに、とても強い女の子。

 いろいろな国や街を見てきたが、あのような服を着ている子は一度も見たことがない。

 だから、幻覚だと思う。


「わたしもユナが歩いているように見える」


 ランも同じ方向を見ながら言う。

 どうやらランも疲れて、わたし同様に幻覚を見ているみたいだ。


「あの女の子が抱いている動物がクマに見える。くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんに会いたい。モフモフしたい。抱きしめたい」


 女の子は動物を抱いている。

 確かに、ランの言う通りにクマの格好した女の子が抱いているのはクマのように見える。


「わたしには、ユナ本人に見える」


 ついにグリモスにまで幻覚が見えてしまったみたいだ。

 ユナちゃんがこんな場所も分からないところにいるわけがない。


「みんな疲れているのよ。宿で休みましょう」

「いや、あれ、本当にユナじゃないか?」


 ブリッツまでがそんなことを言い出す。


「おまえたち、ちゃんと見ろ」


 あらためて反対の道に歩いているユナちゃんらしき人物を見る。

 クマの格好。あのぷっくりと膨らんだお腹。あの可愛らしい顔の女の子。

 わたしは走り出していた。

 近くになれば、なるほど分かる。

 間違いない。

 ユナちゃんだ。


「ああ、ユナちゃ~~~~~~ん!」


 わたしはユナちゃんに抱きついた。


「ローザさん?」

「わああ、ユナちゃんだ。本物のユナちゃんだ」


 ユナちゃんが、驚いた顔でわたしを見ている。

 間違いなく、わたしが知っているユナちゃんだ。

 ユナちゃんは戸惑っているが、わたしに続き、ランもユナちゃんに抱きつく。


「本当にユナだ」

「どうして、2人がこんなところにいるの!?」


 それはこっちのセリフよ。

 どうして、ユナちゃんが、ここにいるのよ。



再会したブリッツたちは迷子中でした。


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ハーレムらしくお手付きだったか [一言] 妖精の森を経由して帰るのかな 転移門は使えないし
[良い点] 良かったねとほんわかした話でした。 問題は解決してないけど。 [気になる点] ギルド登録してなかったから、ギルド資料も見られなかったけど、合流したから地図とか資料とか見られるようになるのか…
[一言] ■通貨の余談 例えば1840年頃のエドから1484年の御フランスにタイムスリップしたとします 当然ですが1文銭は使えない 当時の御フランスは銀貨オンリーで、しかも四角い穴の空いた銅のコイン…
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