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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい大陸を発見する
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アニメ番宣小説 その11

番宣小説です。

 早いもので、本日で10回目。アニメも今日を入れて残り3話となった。

 そんな残り僅かとなったけど、今日もフィナとノアが家にやってきている。


「わたしは登場するでしょうか。楽しみです」

「あまり、期待しないほうがいいと思うよ」


 予告を見る限り、ミリーラの町に行く話だったので、ノアは登場しないと思う。登場しても、ほんの少しぐらいだろう。


「どうしてですか? ユナさん、知っているのですか?」

「多分だけどミリーラの町に行くお話だと思うよ」


 アニメはわたしを中心に作られているので、記憶を辿ればそうなる。なにより予告を見てしまった。


「そういえば、国王陛下の誕生祭が終わったあと、ユナさんは海が見たくて、ミリーラの町に行ったんですよね。それで、お父様が、忙しくなって、愚痴をこぼしていました」


 あのときのクリフが疲れた表情をしていたことを思い出す。

 わたしのせいじゃないよ。


「それじゃ、わたしの出番はないんですね」


 ノアは、納得した感じだけど、少し落ち込む。


「それじゃ、わたしも登場しないのかな?」


 フィナもミリーラの町に関わっていない。クラーケン事件が終わった後に、ミリーラの町に行ったから、出るとしても後半になると思う。


「フィナ、残念ですが、今日はユナさんの冒険を楽しみましょう」

「はい」


 お互いに微笑み合い、2人の友情が深まる。

 ……だけど、それは、アニメが始まった瞬間、壊れることになる。

 いきなりフィナの登場だ。


「フィナです」


 フィナはクマフォンを見つめている。

 そして、わたしが雪山からクマフォンを使って、フィナと話を始める。


「な、何ですか。このクマさんの形をしたものは!? しかも、別々の場所にいる2人が、お話をしています!?」

「えっとクマフォンって言って、遠くの人と会話ができる魔道具だよ」


 王都で多くの魔物を倒したことで、新しいスキルを覚えた。

 それが、遠くの人と会話ができるクマフォンのスキルだった。


「それって、つまり、ユナさんといつでも会話ができるってことですか?」

「まあ、そうなるかな?」

「フィナ、ズルイです。自分だけ。それに、そんな大切なことを黙っているなんて、クマさんファンクラブ会員の裏切り行為です」


 ノアはビシッとフィナを指さす。


「わたしがフィナに黙っておいてってお願いしたからだよ。だから、フィナを責めないであげて」

「うぅ、わかりました。でも、一人だけアニメに出てズルいです。せめて、わたしもくまふぉんが欲しいです」


 ここで断ると、面倒くさいことになりそうなので、クマフォンをノアに渡してあげる。


「これで、いつでも、ユナさんとお話ができます」

「理由なしで使ったら、取り上げるからね」


 注意だけはしておく、毎日使われでもしたら、面倒くさいを通り越して、うざったくなる。


 そして、テレビには子熊化したくまゆるとくまきゅうと遊ぶフィナの姿が映る。

 くまゆるとくまきゅうの子熊化も新しく覚えたスキルだ。


「いつも、フィナばかりでずるいです」


 そして、映像は雪山でフィナと会話するわたしになり、くまゆるが何かを見つける。

 ここは、現実どおりにミリーラの漁師のダモンさんとユウラさんが雪の中で倒れていた。

 わたしは、二人を救いだし、クマハウスの中で休ませる。

 2人から話を聞くと、海にクラーケン、街道に盗賊が現れ、食料を得るのが困難になったと言う。

 それで、食料を求めて、雪山を越え、クリモニアに向かうところだったが、力尽きて倒れてしまったそうだ。


「お父様から話は聞いていましたが、クラーケン、それに盗賊。大変なことになっていたんですね」


 話だけを聞くと、どうしても他人事になる。

 海外の大変なニュースを聞いても、心の中で可哀想と思っても、それだけだ。

 こういうことは、実際に自分の目で見て肌で感じないと、分からないことなのかもしれない。


 そして、ミリーラに行くわたしに、ダモンさんとユウラさんは一緒に連れて行って欲しいと頼んでくる。

 護衛料を出すと言われるが、こんな状況の2人から、お金は受け取らない。


「ユナさん、優しいです」


 フィナとノアの目の前だ。見捨てないで、お金の要求もしないでよかった。

 もちろん、何でもかんでも無償で助けるのはよくない。

 自分にできることはさせるべきだと思う。

 でも、吹雪く雪山で2人ができることは何もない。

 

 くまきゅうにダモンさんとユウラさんを乗せて、ミリーラの町にやってきた。


「みなさん、表情が暗いです」


 町に活気はなく、人々の表情は暗く、わたしのクマの格好にも反応がない。

 でも、そんな中、食料を求める声が上がる。

 そこには、暴利価格で食料を売る商業ギルドの人たちと住民たちがいた。

 価格が高いことに怒る住民。そこに商業ギルドのギルドマスターが登場する。

 うろ覚えだけど、こんな男がいたね。

 何でも、漁師や冒険者が命懸けで手に入れた食料だから、高いのは当たり前だと言う。

 

「この太った人、ムカつきます」

「そんな値段じゃ、買えないです」


 ノアとフィナがギルドマスターの言葉に怒る。

 だが、砂漠にある水は、お金や宝石よりも価値がある。

 この世にはお金では買えない物だってある。




 食料が少なくなっている現状では、それに近い状況だ。



 だから、男の言葉も理解できるが、足元を見過ぎだ。


 そんな様子を見ながら、わたしたちはダモンさんの家に向かう。

 ダモンさんの家では、二人を心配する子供たちが待っていた。

 子供たちは帰ってきてくれた両親に泣きながら抱きつく。


「ユナさんが、海に行こうと思わなかったら、お二人は死んでいたかもしれないんですよね」

「よかったです」


 偶然でも、ダモンさんとユウラさんを救うことができてよかったと思う。

 全ての命を助けることはできないけど、わたしの行動で救われた命があるのは嬉しいことだ。


 ダモンさんとユウラさんの子供たちがお腹を空かしていたので、フィナが解体してくれたウルフの肉を提供する。


「フィナが解体してくれて助かったよ」


 わたしの言葉にフィナは嬉しそうにする。

 そして、食糧難を少しでも解消できればと思い、わたしは王都で討伐したウルフを提供(在庫の処分)しに冒険者ギルドにやってくる。

 ギルドの中には肌を露出した色っぽい女性がお酒を飲んでいた。


「アトラさんです」

「あの格好は、恥ずかしくないのでしょうか?」


 2人はアトラさんと面識があるので、すぐに色っぽい女性がアトラさんだと分かる。

 わたしは初めて見たとき、大人の店だと思ったよ。

 あの格好は、自分のプロポーションがいいと分かっているから、できるんだよね。

 わたしの貧相な体では、できない格好だ。

 クマの着ぐるみか水着のような服で、街中を歩けと言われたら、わたしはクマの着ぐるみを選ぶ。

 もちろん、上から違う服を着るのはなしの場合だ。

 ゲームだと、水着のような服でも装備をしたら、他の装備はできないからね。


 アニメでは、わたしが冒険者で食料の提供(在庫処分)に来たと言っても、アトラさんは信じてくれない。


「ユナさんは、本当に冒険者なのに」

「ウルフもたくさん、持っているのに」

「まあ、こんなクマの格好した女の子が冒険者だとは思わないから仕方ないよ」


 でも、アトラさんは、わたしのギルドカードを確認すると態度を変え、無事にウルフを提供(在庫処分)することができた。


 翌日、海でクラーケンを眺めるわたし。

 クラーケンは優雅に泳いでいる。

 あんなのが泳いでいたら、海に船を出すことはできない。


「大きいです」

「ユナお姉ちゃん、あの大きい魔物と戦ったの?」

「でも、ユナさん。倒す方法がなくて、困っています」


 アニメのわたしも言っているが、海で戦う手段がない。

 チート装備のクマでも、海の上を歩けないし、海の中を潜ることもできない。海の中にいるクラーケンと戦う手段を持っていない。


「でも、ユナさん。倒したんですよね?」

「まあ、一応」

「どうやって倒したんですか?」

「それを言ったら、アニメが楽しめなくなるよ」


 まあ、巨大なワームを餌にして、イカ釣りをしただけだけど。


「そうですが、でも気になります。ちなみにフィナは知っているんですか?」

「わたしも、知らないです」


 フィナも知らないと知ると、ノアは安心した表情になり、クラーケンを倒した方法を尋ねてこなかった。

 そして、わたしが海にいると、アトラさんがやってきて、本日分のウルフの提供を頼まれる。

 そんなわたしたちを見る人影がテレビに映る。


「あっ、ユナお姉ちゃんの後ろ」

「何か、怪しい人がユナさんを見ています」

「でも、ユナお姉ちゃん、気づいていないです」


 2人はテレビに向かって言うが、後ろに目があるわけではないので、気づくことはできない。


 そして、その日の夜。わたしが気持ちよく寝ていると、子熊化したくまゆるとくまきゅうに起こされる。

 くまゆるとくまきゅうはドアを見つめる。

 わたしが探知スキルを使うと、人の反応があり、反応はわたしの部屋の前で止まる。


「誰か、来たのでしょうか?」


 そして、部屋の中にいるわたしの許可もなく、鍵が開けられ、ドアが開く。


「男の人です」


 見知らぬ2人の男が部屋の中に入ってくるが、仁王立ちするわたしの姿がある。

 睡眠の邪魔をされて怒るわたし。

 今更だけど、そこは乙女の部屋に無断で入ってきたことに怒ろうよ。

 食事もゲームも睡眠も大切だけど。

 侵入者の男性二人は、クマパンチによって倒される。


「どうして、ユナさんを襲ったんでしょう」


 その理由を尋ねると、わたしのアイテム袋が目当てだったらしい。

 誰かに命令されたらしいので、そのことを尋ねるが、答えようとはしない。

 なので、現実のわたしが行った方法をアニメのわたしも行う。

 くまゆるとくまきゅうが巨大化(通常サイズ)し、歯をむき出しにして男たちを脅かす。


「くまゆるちゃんと、くまきゅうちゃんが、可愛くないです」


 それはわたしも同意だ。


「「くぅ〜ん」」


 フィナとノアの腕の中にいるくまゆるとくまきゅうが悲しそうに鳴く。


「まあ、わたしが、脅かしてもらうようにお願いしたからね」


 その脅しが成功して、男たちは洗いざらい話す。

 わたしを襲ったのは街道にいる盗賊で、目当てはウルフなどが入ったアイテム袋だった。

 クマさんパペットは盗むことなどできないのに。


 睡眠の邪魔をされたわたしは、盗賊の隠れ家を聞き出すと、くまゆるとくまきゅうを連れて、盗賊討伐に向かう。

 そして、酒盛りをする盗賊と戦うわたし。

 そこで、アニメが終わってしまった。


「ああ、終わってしまいました。あの盗賊はどうなったんですか」

「わたしが、ここにいるってことは、分かると思うけど」

「そうですが。こんないいところで終わるなんて、酷いです」

「続きは一週間後だね」

「長いです」


 こればかりは仕方ない。

 でも、ノアは登場しなかったけど、なんだかんだで楽しんだみたいだ。



 数日後、いつもどおりに、公式サイトを確認しにいく。この作業が日常化しつつある。でも、これもあと二週間で終わる。あっという間の3ヶ月間だった。


 公式サイトで次回の話を確認すると、クラーケン討伐になるみたいだ。

 まあ、現実のわたしも、盗賊討伐をしたあとにクラーケン討伐をしている。話の流れは一緒だ。

 アニメはクラーケンを討伐して終わりみたいだ。

 寂しくはあるけど、いつかは終わりがくる。

 でも、よくよく考えたら、ここでアニメが終わるってことは、従業員旅行の話がないってことだ。

 夏になれば、ミリーラの町にみんなで遊びに来ることになっている。つまり、水着姿を見られることがないってことだ。

 それはそれで、よかったかもしれない。

 流石に水着姿を見られるのは恥ずかしい。


 他に情報がないかと見ると、新しいミニアニメが公開されている。フィナがわたしの髪の毛で遊んでいる。

 そんなフィナを見て、将来はヘアーメイクアーティストに成れるかもしれないと思った。


 他には、このアニメの「くまクマ熊ベアー」#01~10 いずれかのアフレコ台本を抽選で10名にプレゼントキャンペーンがあるらしい。

 どの話が人気があるのかな。

 わたしは……かな。



【お知らせ】

本日より、くまクマ熊ベアーアニメ11話の放映が始まります。

残り2話です。よろしくお願いします。


AT-X 毎週水曜日 21:00~

TOKYO MX 毎週水曜日 23:30~

BS11 毎週水曜日 25:00~

サンテレビ 毎週木曜日 25:00~

KBS京都 毎週金曜日25:00~


他にもネット配信などもあります。

そちらはアニメ公式サイトにてお願いします。


【本編について】

毎週日曜日に投稿ができればと思っています。

水曜日はいつもどおりに番宣小説を書かせていただきます。

本編を楽しみに待っている読者様にはご迷惑をお掛けします。


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
某有名RPG3の盗賊頭カン○タみたいに何度も出てくる盗賊が一人(笑) 「ぶ、ブラッディベアがなんでこんなところに!」
[気になる点] 公式サイト、watherfoxで行くと必ずクラッシュします。 アニメ開始当時は行けたはずなのに。 再起動しないと駄目かも。 [一言] あぬレコ台本のプレゼント、ツイッターアカウントな…
[気になる点] 番宣なのに一話遅れ。 [一言] 原作付きアニメとしては良い出来ですね。 第一話の矛盾点は最終話で解消されるのか、気になります。 VRMMOで倒したブラックバイバーがいつのまにか、異世界…
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