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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい大陸を発見する
640/901

622 クマさん、召喚鳥から手紙を受け取る

申し訳ありません。

ここから、アニメの番宣小説と本編が入れ替わりに投稿されています。

読者様にはご迷惑をおかけします。


 スライム事件から数日が過ぎた。

 久しぶりに引きこもって、まったりしている。といっても、元の世界のように家に一人でまったりはできない。

 この世界に来て、わたしの家に来る人物が増えた。


「ユナお姉ちゃん、たまにでいいので、また魔法を見てください」


 フィナはスライムのことがあってか、そんなことを言い出した。

 フィナが真剣にお願いするので、「いいよ」と答えた。

 なにより身を守るための手段が多いのはいいことだ。


 それから、ノアが勉強の合間に遊びに来たりもした。


「くまゆるちゃん、くまきゅうちゃん。こっちですよ」


 ノアが子熊化したくまゆるとくまきゅうと遊んでいる。


「やっぱり、クマさんは最高です」


 自分のところに近づいてきたくまゆるとくまきゅうを抱きしめると、ノアは満足気な表情をする。


「これで、また勉強を頑張れます」

「それなら、よかったよ」


 平和だ。


 それから、ティルミナさんからお店は順調だという話を聞き、院長先生からも生活に問題はないと言われ、わたしはなにをすることもなく、まったりしている。

 冒険も楽しいけど、こういうのんびりした時間を過ごすのもいいよね。


 ベッドの上で、くまゆるとくまきゅうと一緒にゴロゴロしていると、くまゆるとくまきゅうが「「くぅ〜ん」」と鳴き、窓を見る。

 

「どうしたの?」


 くまゆるとくまきゅうが見ている窓を見ると、大きな鳥がいた。

 一瞬、驚くがすぐにサーニャさんの召喚鳥だと分かった。

 鳥は鷲のように大きく、窓を開けると部屋の中に入り、椅子の背もたれにとまる。

 サーニャさん、見ているのかな?

 サーニャさんは召喚鳥の目を通して、遠くに離れているものを見ることができる。

 便利だけど、犯罪にも使えそうな能力だ。

 それを言ったら、魔法なんて犯罪に使い放題だ。

 包丁だって、美味しいものを作ることができるが、人を刺せば凶器にもなる。

 なんでもそうだけど、力は使う人の心次第だ。

 わたしは鳥の前で手を振ってみるが、鳥を操ることはできないはずなので、反応はない。

 とりあえず、前回同様に鳥の首を見ると筒が括り付けられている。


「手紙だよね?」


 わたしは召喚鳥の首に取り付けられている筒の蓋を開けると、中からまるまった紙が出てくる。


「なんだろう。面倒事じゃないよね」


 嫌な予感しかしないけど、見ないわけにはいかないよね。

 わたしは丸まった紙を広げる。

 やっぱりサーニャさんからだ。

 面倒くさいことかと思ったけど、違った。

 どちらかと言うとフィナ宛の手紙だった。

 なんでも、年に一度、王都の冒険者ギルドが主催する解体技術を競うイベントが行われるらしい。

 それにフィナも参加してほしいと言う、お願いの手紙だった。

 そんなイベントがあるんだね。

 これはフィナに伝えないとダメだね。


「くぅ」


 召喚鳥が鳴く。


「ほら、帰っていいよ」

「くぅ」


 鳥は窓から飛び出さない。


「もしかして、手紙の返事を待っているの?」


 とりあえず、すぐに返事はできないので、フィナに伝えることだけを紙に書いて、鳥の筒の中に入れる。

 鳥は手紙が筒の中に入ったのを確認すると、窓から飛び立っていった。


 わたしは窓を閉めるとフィナの家に向かう。

 フィナは家のお手伝いをしており、ティルミナさんとシュリは買い物に行っていた。

 そして、その代わりに昼間なのに珍しい人物が家にいた。


「ゲンツさん、家にいたんだ」

「今日は休みだからな」


 当たり前のことだけど、冒険者ギルドに定休日はない。だから、ローテーションで休みになる。


「ユナお姉ちゃん、お茶をどうぞ」

「ありがとう」


 わたしはお茶を飲む。

 うん、美味しい。


「それで、今日はどうしたの?」


 わたしはサーニャさんから手紙が届いたことと、手紙の内容について話す。


「わたしが解体の……」

「そういえば、そんなものがあったな」


 一緒に話を聞いていたゲンツさんが口を開く。


「お父さん、知っているの?」

「フィナは知らないのか」

「うん」

「まあ、王都の冒険者ギルド主催のイベントだからな。それに、フィナは最近まで……」


 ゲンツさんは過去のフィナのことを思い出したようで、口を閉じる。

 そうだ。今は想像もできないから忘れがちだけど、少し前まで、フィナは生きることで精いっぱいだった。

 そんな王都などのイベントなんて、知らなくても当然だ。


「お父さん、今は幸せだから」


 フィナの言葉にゲンツさんは嬉しそうに微笑む。


「それで、どんなことをするの?」


 手紙には解体のイベントがあるから、フィナに参加してほしいとしか書いていなかった。

 内容についてはなにも書かれていなかった。


「簡単に言えば、解体技術や知識を競うイベントだな。主に参加者は冒険者や冒険者ギルドの職員がメインだ」

「ゲンツさんは参加したことはあるの?」

「ない!」


 そんなに胸を張って威張らなくても。


「まあ、基本、王都にある冒険者ギルドが中心になってやるから、移動手段も宿屋も自費だ。仕事を休んでまで、行くメリットはないからな」

「それじゃ、クリモニアのギルドから誰も参加はしないの?」

「数日間、クリモニアを離れることになる。それに、あくまで王都の主催のお祭りみたいなものだから、給金もでない」


 確かにお給金が出ないのは辛い。

 そう考えるとクリモニアから参加するメリットは低い。 


「それにギルドマスターが許可を出さないと職員は参加することはできない」

「そうなの?」

「もし全員参加したら、冒険者ギルドの職員がいなくなってしまうからな」


 それはそうだ。全員参加したら、冒険者ギルドの仕事に問題が起きてしまう。


「それにギルドマスターが許可を出すってことは、街のギルド代表みたいなものだ」

「それじゃ、わたし、クリモニアの代表なの?」

「それは違うだろう。他の街のギルド職員が参加する場合はだ。フィナはギルド職員ではないし、ユナの話じゃ、王都のギルドマスターの紹介になる。だから、フィナの場合は王都のギルドマスターの紹介枠になるんじゃないか?」

「わたしが、王都のギルドマスターの紹介枠……。無理です!」


 フィナは首を横に振る。


「確認だけど、冒険者は自由参加なの?」

「冒険者は自由だからな。なんだ? もしかして、ユナも参加するのか? 知らない間に解体ができるようになったのか?」


 ゲンツさんが少し驚いた表情をするが、わたしが解体できるわけがない。


「参加もしないし、解体はできないし、今後もするつもりもないよ」

「ユナお姉ちゃんは、一生解体できないままでいいです」


 フィナが声をあげる。

 なんだろう。一生ダメな子でいてくださいって聞こえるのは気のせいだろうか。


「大丈夫だよ。一生、解体するつもりはないから」

「それって、冒険者としてどうなんだ?」


 ゲンツさんが呆れた表情をするが、解体なんて都会育ちの貧弱娘には無理だ。

 わたしは魔物を解体する技術も知識も経験もないダメな方向の三拍子が揃っている。

 もし、参加しても一回戦落ち、予選落ちは間違いないだろう。

 もっとも、参加するつもりはないけど。


「フィナ、参加してみたらどうだ?」

「……!」

「いい経験になる」

「……でも」

「それに、ユナが一緒に行ってくれるんだろう?」

「それは一緒に行くけど」


 フィナが参加するなら、もちろん、わたしも一緒についていく。


「なら、安心だ」

「でも、お母さんが」

「ティルミナが止めると思うのか?」


 フィナは少し考えて、首を横に振る。


「だろう。フィナ、一人じゃ行かせないと思うが、ティルミナのユナへの信頼度は高いからな」


 嬉しいけど、ハッキリと言われると、気恥ずかしい。

 フィナとゲンツさんと話をしているとドアが開く。


「あら、ユナちゃん」

「ユナ姉ちゃん!」


 ドアから顔を出したのは買い物に行っていたティルミナさんとシュリだった。


「どうしたの?」

「ティルミナさんのわたしへの信頼度が高いから、フィナを自由にしていいって話をしていただけだよ」


 わたしがそう返答するとフィナが「違います!」と恥ずかしそうに言う。


「それで、なんの話をしていたの?」


 ティルミナさんは買ってきた品物を片付けながら、尋ねてくる。

 わたしはサーニャさんの手紙のことを伝える。


「それで、ユナちゃんが一緒に行けば、わたしが許可を出すってことね。ゲンツの言うとおりね。ユナちゃんほど、安心して任せられる冒険者はいないわよ」


 信じてくれるのは嬉しいものだ。


「あら、でも、今回は護衛ってことだから、依頼料が発生するのかしら? 友人価格でまけてくれると嬉しいんだけど」

「お金なんていらないよ」


 フィナたち家族からお金を取るようなことをするつもりはない。


「でも、フィナの勇姿をわたしも見たいわね」

「わたしも!」


 ティルミナさんの言葉に、シュリも手をあげる。


「それじゃ、ティルミナさんも行きます?」

「いいの?」

「仕事に問題がなければ」


 クマの転移門を知っているし。


「そうね。少しぐらいなら、卵のことならリズさんやニーフさんに任せて、お店のことも前もってやっておけば大丈夫だと思うわ」

「それじゃ、俺も」


 ティルミナさんの話を聞いてゲンツさんも同行の意志を示すが、却下される。


「ゲンツは海に行ったとき、冒険者ギルドのみんなに迷惑をかけたでしょう」

「そ、そうだが」

「それに、一家の大黒柱として、頑張ってほしいわ」


 ティルミナさんはゲンツさんに向かって微笑む。


「お父さん、頑張って」

「わ、わかった」


 シュリにまで言われたら、頷くしかない。

 ゲンツさん、可哀想だけど、家族に頼られるのも夫の役目だ。

 なにより、独り身では家族から頼られることもできないから、これはこれでいいかもしれない。

 現在のわたしでは、独り身で終わりそうだけど。

 どこからともなく、くまゆるとくまきゅうが「「くぅ〜ん」」と鳴くのが聞こえた。


遅くなり申し訳ありませんでした。

本編の続きになります。

フィナやノアはアニメの番宣のことは知りませんので、混ぜないでいただければと思います。

毎週日曜日に本編、水曜日は番宣小説を投稿させていただければと思います。

本編を楽しみにしている読者様にはご迷惑をおかけします。


【お知らせ】

11月30日(月)19:00~21:50

ニコニコ生放送にて#01~#07の一挙放送が決定しました。

見逃したり、もう一度見たいと思った方がいましたら、よろしくお願いします。

詳しいことは活動報告にてお願いします。


また、TVアニメ「くまクマ熊ベアー」ちょこっと生放送するんだべあー!Part2が決定しました。

12月2日(水)20:00~YouTubeになります。

詳しいことは活動報告にてお願いします。


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。




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― 新着の感想 ―
[一言] 課題と自由があったら キングスコルピオン、クイーンオオスズメバチ、キングサンドワーム、コカトリス、ワイバーンのどれかを出してほしいね
[一言] >ユナ「私は一生解体できないままでいい」 >>女性恐怖症の某創造神「うせやろ…(愕然)もったいない…」
[気になる点] ルイミン、サクラ、カガリとかも応援に来るのかな? ノアに転移門の事を話すなら、ここを逃すとだいぶ先になりそう… [一言] エレローラ宅にて エレローラ「シュリちゃん、どっか行きたいとこ…
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