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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい大陸を発見する
628/904

ミニミニショートストーリー ミニ劇 「勇者はクマ」

本編ではありません。

1話完結話です。

 くまゆるとくまきゅうとクマハウスでのんびりしていると、フィナとノア、シェリーの3人がやってきた。

 なんでも、くまゆるとくまきゅうに頼みたいことがあると言う。


「それで、頼みたいことって?」

「実は孤児院で劇をすることになったんです」

「劇?」


 ノアの説明によると、孤児院の子供たちが劇を見たことがない、と聞いたノアが、フィナと一緒にミニ劇をすることを思いついたらしい。


「出演はわたし、フィナ。シェリーには着る服や、他にもお手伝いをしてもらうつもりです。その劇にくまゆるちゃんとくまきゅうちゃんにも出てもらいたくて」


 それで、くまゆるとくまきゅうにお願いってわけか。


「くまゆるとくまきゅうがいいなら、わたしはいいけど、どうする?」


 わたしがくまゆるとくまきゅうに尋ねると「「くぅ~ん」」と鳴く。表情は任せてって感じだ。


「いいって」

「くまゆるちゃん、くまきゅうちゃん、ありがとうございます」

「それで、どんな劇にするの?」

「それは見てからのお楽しみです」


 ノアは微笑み、教えてくれなかった。

 ただ、劇のお話はノアが考えたそうだ。


 わたしはのけ者にされ、フィナ、ノア、シェリー、くまゆるとくまきゅうの演劇の練習が始まった。

 ノアたちに尋ねても教えてくれないし、くまゆるとくまきゅうに尋ねても「「くぅ~ん」」と鳴くだけだ。

 まあ、楽しみは当日までとっておくことにする。


 そして、数日後。

 孤児院の庭で、ミニ劇が行われる。

 ノアに劇をする後ろに壁を作ってほしいと頼まれたので、土魔法で作ってあげる。


「ユナさん、ありがとうございます」

「うぅ、みんなの前でやるんですよね」


 フィナが集まってきた孤児院の子供たちを見て、少し恥ずかしそうにする。


「フィナ、恥ずかしがったらダメですよ。恥ずかしがったら、それが見ている人に伝わって、劇がつまらなくなりますから」

「……はい。でも、上手にできるか心配です」

「大丈夫です。あれだけ練習したのですから」


 ノアはフィナの手を握りしめ、安心させる。

 

 わたしと孤児院の子供たち、それから、院長先生にリズさん、ニーフさんにティルミナさんにシュリは地面の敷物の上に座り、フィナたちの演劇を見る。

 シェリーが出てくると、お辞儀をして、台本らしきものを手にする。

 「勇者はクマ!」

 タイトルコールで吹き出しそうになった。

 そして、シェリーによるプロローグが始まる。

 どうやら、シェリーがナレーション(ナレ)をするみたいだ。


(ナレ)「あるところに2人の女の子がいました。見た目は普通の女の子。ですが、女の子たちは世界中にいる魔物を討伐するために、各地を旅をしている女の子でした。今日も、この近くの森に人を襲う魔獣がいると聞きやってきたのです」


 ノアとフィナが、わたしが作った壁の後ろから出てくる。


「ここですね」

「はい」

「ここに魔獣がいるのですね」


(ナレ)「2人は森の中に入っていきます」


 ノアとフィナは森の中を歩く演技をする。


(ナレ)「静かな森の中、魔獣を探して歩き続ける2人。そんなとき、不気味な鳴き声が聞こえてきます」


「「くぅ~ん」」


 聞こえてきたのは不気味な声でなく、可愛らしい、くまゆるとくまきゅうの鳴き声だった。

 壁の裏からくまゆるとくまきゅう……が現れる?

 くまゆるとくまきゅうの体は黒い布が覆い被されている。

 頭には角らしきものもある。


(ナレ)「森の奥から現れたのは、多くの人間を食べてきた一角魔獣でした」


 くまゆるとくまきゅうは二本足で立ち上がり、ノアとフィナを威嚇するように「「くぅ~~~ん」」と唸るように鳴く。

 うん、可愛い。


「現れましたね。一角魔獣。これ以上の悪さは許しません。フィナ、変身です」

「はい」


 ノアがそう言うと、フィナとノアは、わたしが作った壁の裏に移動する。

 そして、わずか数秒で出てくる。

 服装が変わっている。

 ノアは黒いクマの着ぐるみ姿。

 フィナは白いクマの着ぐるみ姿。


「わたしはブラッククマ!」

「わたしはホワイトクマ!」


 ノアとフィナがポーズをとる。

 ノアは凛々しく。

 フィナは恥ずかしそうな表情だ。

 そして、2人がポーズをした瞬間、子供たちから歓喜の声があがる。

 なに? そのブラッククマとホワイトクマって?

 それって、わたしの格好?


(ナレ)「2人はクマの力の宿った勇者でした」


 なに? その設定!?

 ツッコミどころが多いよ。

 まあ、タイトルも「勇者はクマ」とか言っていたけど。

 劇を止めたくなるが、子供たちは楽しそうに見ている。

 そして、クマに変身したノアとフィナと一角魔獣のくまゆるとくまきゅうとのバトルが始まる。

 ノアとフィナが演技で攻撃をすると、くまゆるとくまきゅうも、その演技に合わせて、攻撃を躱したりする。

 動物で、ここまで演技ができるのはくまゆるとくまきゅう以外いないはずだ。

 そう考えると、ノアのキャスティングは間違っていない。


「クマキック!」

「クマパンチ!」


 初めは恥ずかしそうにしていたフィナも、真剣な表情で演技をしている。

 でも、くまゆるとくまきゅうも負けていない。

 くまゆるとくまきゅうは、2人の攻撃を弾き返す。くまゆるとくまきゅうの体当たり(軽い)を受け、ノアとフィナは地面に倒れた。


(ナレ)「勇者クマは倒れて動かなくなります」


 子供たちから「がんばれ、ブラッククマ!」「負けないで、ホワイトクマ!」と声援が飛ぶ。

 その声援が届いたのか、ノアとフィナが力を振り絞って、立ち上がる。

 子供たちは歓声を上げる。

 演劇ってよりは、どこかのヒーローショーを見ている感じだ。

 まあ、実際に見たことはないけど。


「こうなったら、2人の力を合わせましょう」


 ノアとフィナは立ち上がり、手を繋ぐ。

 2人の握った手が光りだす。

 どうやら、手に光の魔石を握っているみたいだ。


(ナレ)「勇者ブラッククマと勇者ホワイトクマの体が光りだします」


 シェリーのナレーションの間に、ノアとフィナは壁の裏に移動する。


(ナレ)「2人の力がお互いに流れます」

 

 ノアとフィナがいないけど、シェリーがナレーションする。

 そして、2人が壁の裏から出てくる。

 2人の格好が違った。


「ブラックの力にホワイトの力を」

「ホワイトの力にブラックの力を」


 2人の格好は黒と白のクマだった。

 正確には体の真ん中で分けるような左右の色が違う。

 ノアは右が黒で左が白。

 フィナは右が白で左が黒だ。

 もしかして、シェリーに作らせたの?

 そんな、半分の黒白の格好したノアとフィナが、くまゆるとくまきゅうに攻撃をしかける。


「やっ!」

「とぅ!」


 ノアとフィナの攻撃がくまゆるとくまきゅうに当たり、くまゆるとくまきゅうは地面に倒れて動かなくなる。


(ナレ)「お互いの力を混ぜた、勇者ブラッククマと勇者ホワイトクマは、一角魔獣を倒すことができました」


「「くぅ~ん」」


(ナレ)「一角魔獣は最後の力を振り絞って、逃げようとします」


 ノアとフィナがくまゆるとくまきゅうに止めを刺そうとする。そのとき、観客席から声があがる。


「かわいそうだよ!」

「殺さないで!」


 くまゆるとくまきゅうに止めを刺そうとするブラッククマに向かって、子供たちが叫ぶ。


「大丈夫です。わたしの力を」

「わたしの力を」


 ノアとフィナが、くまゆるとくまきゅうに力を注ぎ込む演技をする。

 手に持っている光の魔石が光る。

 すると、くまゆるとくまきゅうの被っていた布が取れ、普通のくまゆるとくまきゅうとなる。


「これから、わたしたちの召喚獣です」

「「くぅ~ん」」


(ナレ)「無事に魔獣を倒すことができ、平和が戻ってきました。勇者は次の魔物を倒すため、旅を続けるのです」


 ノアとフィナはくまゆるとくまきゅうに乗って、旅立って行くシーンで終わる。

 観客席から拍手があがる。

 ティルミナさんは泣いている。

 感動シーンなんてあった?

 ツッコミは追いつかなかったよ。

 だけど一言だけ言いたい。

 それ、別のクマだからね。

本編ではありません。

本編は17巻の作業や他の仕事の合間みて書きだめ中です。(現在3話ほど)

短編で申し訳ありませんが、お楽しみください。


【お知らせ】

ABEMA.tv様にて、クマアニメ先行配信が決まりました。

いち早くクマのアニメを見ることができます。

詳しくは活動報告にてお願いします。


【お知らせ】

活動報告にて、17巻の書き下ろし、及び、店舗特典のSSを募集しています。

参考にさせていただければと思います。

範囲などは活動報告にて、お願いします。


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部、漢字の修正については、書籍に合わせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] (ナレ)みたいに文頭に発言者示すのは(台本や、SNSとかネットはともかく)小さい子向けの本になるから、ノベル作家としては避けた方が良いかと…… ──あるところに2人の女の子がいました…
[一言] ふたりはプリクマ?!
[一言] プリキュ○かと思ったら、木星帝○の総○閣下が! 思わず手に変型するロボが脳裏をよぎった
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