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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい大陸を発見する
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594 クマさん、ミアとキャロルを助ける

 適当に部屋を探索するけど、お宝らしき魔道具は見つからない。


「そもそも、お宝はそこら辺の部屋に転がっていないと思うんだけど」

「そうじゃのう。そうなると隠し部屋とかを探すべきかもしれぬのう」


 たしかに、お宝といえば隠し部屋が定番だ。もしくは、宝物庫とか?


「といっても、隠し部屋なんて簡単に見つからないと思うよ」

「適当に、魔法で壁を壊して探してみるかのう?」


 壁ぐらいなら、魔法でもクマパンチでも壊せそうだ。

 でも、わたしとカガリさんの話を聞いていたフィナから反対の言葉がでる。


「ダ、ダメだよ。これ以上、建物を壊したら」

「別に誰も住んでいないんだから、少しぐらい壊しても、いいと思うけど」

「誰も住んでなくても、壊すのはよくないよ」


 フィナが真剣に言う。

 まあ、フィナが言うことも理解できる。

 廃墟になったからといって、わたしたちが勝手に壊してもいいことにはならない。

 放置された建物のガラスを割ったり、壁に落書きをするようなものだ。

 このあたりは人としてのモラルの問題だ。


「分かったよ。壊さないよ。でも、怪しい場所があったら、少しぐらい壊してもいいよね?」

「……うん、怪しい場所なら」


 フィナからも許可をもらったので、怪しいところがあった時に限り、壊しても良い事になった。

 どこかに、怪しいところはないかと探していると、離れた場所でガシャンと鉄が崩れるような音が響き渡る。


「ユナお姉ちゃん?」

「何かが倒れたのかのう?」

「そうみたいだね」


 ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン。


 でも、鉄が崩れるような音が何度も聞こえ始める。


「なんじゃ?」

「フライパンや鍋を落とした音?」


 フィナが首を傾げながら答える。


「それにしては、音は続いているね」


 ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン。


「よく、分からんのう」

「見に行ってみようか」


 わたしたちは音がするほうへ足を向ける。


『……早く、逃げるわよ!』

『待ってよ〜』


「人の声がするよ」

「本当じゃのう。さっきの小娘たちみたいじゃな」


 まあ、ここにいるのはわたしたち以外だと、さっきの女の子2人だけだし。


「もしかして、魔物に襲われているかもしれぬな」

「それじゃ、早く助けにいかないと!」


 のんびりと言うカガリさんに対して、フィナが慌てたように叫ぶ。

 くまゆるとくまきゅうが慌てていないってことは魔物ではない。

 もしかして動物でもいたのかな。廃墟なら動物が住んでいてもおかしくはない。

 虎とかライオンとか、熊じゃないよね?


「それで、どうするんじゃ? 助けに行くのか?」


 まあ、見捨てるのも気が引けるし、2人の死体が転がっていて、動物に食べられでもしているところを見たら、トラウマどころの騒ぎじゃない。

 夢に出てきそうだ。


「まあ、わたしたちのことを心配してくれたみたいだし、悪い子じゃないみたいだから、助けにいくよ。くまゆる、くまきゅう。声がした方へ向かって」

「「くぅ〜ん」」


 わたしたちを乗せたくまゆるとくまきゅうは、部屋から出て通路に移動すると、階段を駆け下りていく。そして、外に出ると、そこには想像もつかない出来事が起きていた。


「あれはなんじゃ?」

「鎧が動いている?」


 中世のヨーロッパの甲冑騎士らしきものが、ミアとキャロルの2人を追いかけている姿があった。

 鉄の音の正体は甲冑が動いている音だった。

 甲冑騎士は、走るっていうよりかは、早歩きで追いかけているって感じだ。

 探知スキルを使って確認してみるが、魔物の反応はない。2人のマークだと思われる反応だけが移動している。

 魔物じゃない?

 だから、くまゆるとくまきゅうも反応しなかった?


「こっちに来るな〜」

「だから、慎重に通ろうって、言ったのに〜」

「だって、今まで、平気だったんだから、大丈夫だと思うでしょう」


 走りながら、言い合っている。

 話しながら走って、息切れしないのかな?


「元気そうじゃのう」

「でも、助けないと」


 確かに元気そうに逃げているけど、甲冑騎士に追われているのも事実だ。

 甲冑騎士の手には剣が握られている。このままじゃ2人が危ない。


「それじゃ、わたしが助けに行ってくるから、カガリさんとくまゆるとくまきゅうはフィナをお願い」

「分かった。フィナのことは任せるがいい」

「「くぅ〜ん」」


 フィナのことはカガリさんとくまゆるとくまきゅうに任せ、わたしは走ってくる2人の前に立つ。


「さっきのクマ!? 危ないわよ!」

「逃げて~~~~」


 どうやら2人とも、わたしの心配をしてくれているらしい。


「そのまま、わたしの後ろに駆け抜けて!」


 わたしに向かって走ってくる2人に言う。

 2人がわたしの横を駆け抜けていくのと同時に、準備していた土魔法を甲冑騎士に向かって放つ。

 土の塊は走る甲冑騎士に命中し、甲冑騎士はバラバラになって崩れる。

 思ったより簡単に倒すことができた。


「大丈夫?」


 後ろを振り返り、2人に確認する。

 2人は息があがっているようで、「はぁ、はぁ」と息を吐いていた。


「た、助かったわ。でも、早く逃げるわよ」

「逃げる? もう倒した…」


 よ、と言葉を続けようとしたとき、後ろで金属が動く音がする。わたしが振り返ると、崩れた甲冑が動いていた。そして、バラバラになった甲冑は、くっつき、元に戻る。


「ちょ、なに、あれ!」

「だから、逃げようと言ったのよ」


 ミアが文句を言うが、バラバラになった物がくっつくと、誰が思う?


「どうやったら、止まるの?」

「体のどこかに、制御する魔石があります。それを破壊すれば止まるはずです。でも、甲冑に取り付けられている魔石の箇所がみんな違うので、魔石の場所が分からないんです!」


 キャロルが声をあげながら教えてくれる。

 倒す方法が分かれば問題はない。

 甲冑全てを潰す。あるいは電撃を流して魔石を破壊すればいいだけのこと。


「あとはわたしに任せて、2人は下がっていて」

「ちょ、話を聞いていたの!? 簡単に倒せないのよ」

「大丈夫だよ」


 わたしは安心させるようにミアに言うと、甲冑騎士に向かって駆け出す。甲冑騎士が、持っている剣を振りかざしてくる。

 遅い。

 わたしは避けて、甲冑騎士の体にくまさんパペットで軽く触れ、電撃を流す。

 甲冑騎士の動きは止まり、崩れ落ちて、今度こそ動かなくなる。


「倒したの?」


 ミアが不安そうに尋ねてくる。


「倒したと思うよ」


 わたしは崩れている甲冑騎士に近づき、転がっている頭をサッカーボールのように蹴り飛ばす。頭は遠くに飛んでいく。残った他の部分も動く様子はない。

 その様子を見たミアとキャロルはホッとした表情になる。


「ユナ、もう大丈夫か?」


 離れた位置からカガリさんが声をかけてくる。


「大丈夫だよ」


 フィナとカガリさんを乗せたくまきゅうとくまゆるが、わたしたちのところにやってくる。

 カガリさんは、くまきゅうから降りると、甲冑騎士に近づく。


「もう、動かないのか?」

「動力になっている魔石を壊したからね。それで、これはなんなの? 魔物じゃないみたいだけど」


 わたしは、足元に転がっている甲冑に目を向けながら、ミアたちに尋ねる。

 ミアとキャロルは顔を見合わせると話し始める。


「わたしたちは守護騎士と呼んでいます」

「守護騎士?」

「この建物を守っている騎士って意味よ」

「昔の人が侵入者対策で作ったみたいです」


 つまり、人工的に作られた物ってことか。

 なるほど、魔物じゃないから、探知スキルにも反応しなかったし、くまゆるとくまきゅうも反応しなかったわけか。

 うん、納得した。


「それで、お主たちは、妾たちに何か言うことはないのか?」

「まあ、今回は助かったわ。ありがとう。そんな変な格好しているのに、強いのね」


 どこに行っても、クマの着ぐるみは変な格好みたいだ。

 まあ、美しい格好とか言われても、反応に困るだけだけど。


「本当に、ありがとうございました」


 キャロルもお礼を言うと、カガリさんが何かをたくらんだような笑みを2人に向ける。


「それじゃ、助けたお礼をしてもらうとするかのう」

「もしかして、お金を請求するの!?」

「その、わたしたちはお金はあまり持っていなくて」


 2人は困った顔をする。


「別に金なんていらん。ただ、ここのことをほんの少しばかり教えてくれればいいだけじゃ」


 幼女が悪い笑みを浮かべる。

 なるほど、お礼として情報を提供してもらうらしい。それなら、わたしたちの情報を話さなくてもいいし、一方的に話を聞くことができる。

 でも、こんな悪い顔をする幼女は、世界中捜してもいないよね。

 ミアとキャロルの2人もドン引きしている。

 まあ、見た目が幼女でも中身は数百年生きているお婆ちゃんだから、仕方ない。


「ユナ。お主、変なことを考えておらぬか?」

「わたしが言うのもあれだけど、外見と中身が合っていないと、これほど違和感があるんだなと認識しただけだよ」


 クマの格好も、わたしみたいながさつな女の子ではなく、もっと可愛らしい女の子のほうが似合っていたと思う。


 そして、わたしたちは、2人を助けたお礼として、情報を提供してもらうことになった。




申し訳ありません。

以前、投稿を3日置きと書きましたが、3日~4日とさせていただきます。


ミアとキャロルと再び合流です。


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。お礼の返信ができないため、ここで失礼します。



※追記

次回の投稿は3/27とさせていただきます。

くまなの

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ミアとキャロルが守護騎士って呼んでるの594話しかない説浮上wwwwwwwwww [一言] 頑張ってください!!!
[一言] なんだか今回のシーン、コミカライズできっと見たいシーンです。(とおおおおおい先ですが)
[一言] くまゴーレムに魔石をくっつけたみたいな 野生動物に魔石が埋め込まれたみたいな 人か、あるいはナニかの作遺物ということ
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