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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、ノアとフィナの誕生日を祝う
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566 クマさん、クリフに驚かれる

 談話室で、ララさんに神聖樹のお茶を淹れてもらい、休憩をしていると、クリフがやってくる。


「魔法はどうだ? 難しいだろう」

「はい、とっても難しいです。魔力の集める量が少ないのか、イメージする力が足りないのか分かりませんが、ユナさんみたいに明るい光魔法を作ることができません」


 ノアは、少し、しょんぼりした表情で答える。

 だが、それとは対照的にクリフは驚いた表情をする。


「ちょっと、待て。まさかと思うが、もう魔法を使えるようになったのか?」

「使えるといっても、このぐらいです」


 ノアはララさんにカーテンを閉めてもらい、部屋を暗くしてもらう。地下室ほどではないが、部屋が暗くなる。

 そして、ノアはペンダントを握り、目を閉じ集中する。

 すると、ペンダントを握っている右手が光る。

 眩しくはないが、暗いってわけでもない。夜中にトイレに行くときに使うにはちょうどいい明るさだ。


「冗談だろう」


 もしかして、まだ、この程度とか、と思っているの?


「まだ、覚えたばかりなんだからこれからだよ」


 わたしはノアを擁護する。

 まだ、始めたばかりだ。なんでも、簡単にできるものではない。


「何を言っている。普通、一日、いや半日で、魔法が覚えられるわけがないだろう。魔力の集め方、イメージの仕方。慣れるまで時間がかかる。そのきっかけを掴むのに時間がかかるんだぞ」


 どうやら、魔法が使えるようになったことに驚いていたみたいだ。

 確かに、ノアもそんなことを言っていた。二人がすぐに使えるようになったので、そんなものだと思っていた。


「そんなことを言っても、二人ともすぐに使えたよ」


 わたしがそう言うと、クリフはフィナのほうを見る。


「フィナ嬢も?」

「はい。ノア様より暗いですが」

「見せてもらっても?」

「えっと、はい」


 フィナはポケットから指輪を取り出し、人差し指に嵌め、ノアと同じように目を閉じ、集中して光魔法を使う。

 フィナの手が光る。

 二人が魔法を見せると、ララさんはタイミングをみて、カーテンを開ける。


「ユナ。おまえ、どうやって教えたんだ?」

「どうって、ノアに教わったとおりに教えてあげただけだけど」


 ノアに確認をするように、ノアに視線を向ける。


「はい。普通に、魔法が使える人が相手の手を握って、魔力の感覚を覚えさせる。ユナさんはその通りにやってくれただけですが、間違っていましたか?」

「いや、間違ってはいない。だが、先ほど言ったが、魔力を感じられるようになるまで、数日はかかる。そして、魔力を感じられるようになっても、魔力を集めることに苦労する。そして、魔力が集められるようになっても、魔法のイメージで苦労する。だから、半日で魔法を使えたことが信じられなかっただけだ」

「それじゃ、つまり二人が優秀だったってことだね」


 クリフの会話からすると、二人に教えた方法は一般的な方法で間違いないみたいだ。つまり、特殊な教え方でもなく、クマ魔法で潜在能力を引き出したわけでもない。まあ、そんな魔法もスキルもないけど。

 そうなると、初めから二人には魔法を使う才能があったってことになる。嬉しい限りだ。


「ユナさんの魔力が体の中を動いてくれましたから、自分の魔力をすぐに感じることができただけです。きっと、ユナさんの魔力の流し方が上手だったんだと思います」


 ノアの言葉にフィナも頷いている。

 嬉しいけど、わたしを褒めてもなにもでないよ。


「まあ、魔法が使えるようになったんならいい。だが、この先は自分の魔力量とイメージによって成長も変わってくる。一人前になるには、先が長いぞ」


 確かに、持っている総魔力量や、一ヶ所に魔力を集められる魔力量、それにイメージ力によって、魔法は変わってくる。

 たまに魔力量はたくさん持っているけど、自分では魔法が使えない漫画や小説があった。持っている魔力量、魔力を集めること、イメージする力、どれか1つが欠けても魔法は使えないし、どれか1つでも弱いと魔法も弱くなる。強い魔法を使うことができるのは狭き門ってことだ。そして、全てを持っている者が優秀な魔法使いってことになるんだろう。

 でも、二人は魔法の世界に一歩目を踏み込んだだけだ。これから、一歩、一歩、進んでいけばいいと思う。だけど、チート装備を使って魔法を使っている身としては、そんな偉そうなことは口にできないけどね。


「それで、わたしはどこまで教えればいいの?」


 その辺りの話をしていなかったので、確認する。一応、目処がほしい。


「それはノアにも言ってあるが、できる範囲でいい。魔法はやれと言って、できるものではないし、得意不得意の魔法もある。それは、魔法を使っていく中で、自分で見つけていくしかない」


 確かに、人には得意不得意がある。魔法の交流会のとき学生も得意不得意ははっきりとしていた。


「お父様、もしかして、お姉様が参加した、魔法の交流会に行かせてくれたのは、いろいろな魔法をわたしに見させるためだったんですか?」

「一つの魔法に固執するのはよくない。固定観念が入って、他の魔法が使えなくなるかもしれない。魔法の交流会は、いろいろな魔法を見ることができるから、魔法のイメージの勉強になる」


 確かに、火の魔法一つとっても、いろいろな形の魔法がある。火の玉のような炎だったり、矢のような炎だったり、纏わりつかせる炎だったり、いろいろだ。

 そう考えると、あの魔法の交流会はイメージを勉強するには、最適だったかもしれない。


「そうなら、フィナも一緒に連れていってあげればよかったです」


 それには同意だ。水魔法を使いたいフィナにも、見れば勉強になったはずだった。

 でも、フィナの場合は、解体に必要な水が出せればいいのかな?


 そして、話を聞いたクリフは部屋から出ていき、わたしたちも、本日の魔法はここまでとする。ノアは残念そうにしたが、やりすぎはよくないし、まだ1日目だ。

 ノアとフィナには今日は魔法を使わないように注意しておく。

 魔力の回復がどの程度か分からない現状では、使わないほうがいい。

 また、明日、来ることを約束してわたしとフィナは、お屋敷を後にする。


 フィナを家に送るとき、歩きながら、尋ねたかったことを尋ねる。


「クマフォンはどうやって使っているの? 魔力を集めることができないって言ったけど」

「他の魔石を使うのと一緒です。触って、ユナお姉ちゃんをイメージしたら、お話しできますよ」

「それじゃ、意図的に魔力を流しているわけじゃなかったんだね」


 ようは、部屋にある光のスイッチと一緒ってことみたいだ。

 魔石に触れると、魔力線を通って、部屋の光を灯す。ミリーラにあるトンネルも同じようになっている。

 ただ、クマフォンの場合は「繋がる」「話をする」って追加のイメージでクマフォンと繋がるみたいだ。


 あらためて魔力について考えてみる。

 魔力は、考えれば考えるほど謎だ。ゲームではそういうものとして使っていたし、この世界でも気にせずにゲームの線上にあるものとして使っていた。今まで、魔力がなにかなんて考えたこともなかった。

 ただ、魔力って、静電気に近いのかな?

 体に静電気があっても、普通では感じ取れない。集めようとしても、意図的に集められない。もちろん、媒体があれば集められる。

 そう考えると、魔力って、静電気に似ているかもしれない。

 そんな風に考えても、答えがあるわけでもないし、導き出せるわけでもない。魔力のことを深く考えても仕方ない。別に不都合があるわけでもないので、細かいことは気にしないでおく。


 翌日、フィナと一緒にノアの家にやってくる。そして、昨日と同じように地下の暗い部屋で光魔法の練習だ。


「昨日より明るくなりました」


 確かに、昨日より明るい。


「ノア様、凄いです」

「もしかして、昨日、あれから練習とかしてないよね?」


 クリフからも魔力の使い過ぎには注意されている。


「し、してませんよ」


 ノアは目を逸らし、分かりやすい表情をする。


「使ったんだね」

「うぅ、使いましたが、練習ではないです。夜、寝るときに魔法が使えるのが嬉しくて、少しだけ魔法を使ってみただけです」


 ノアが素直に話すと、フィナも口を開く。


「その、実はわたしも、嬉しくて、お母さんたちの前で魔法を使っちゃいました。ユナお姉ちゃん、ごめんなさい」


 まあ、わたしだって、ゲームの世界で初めて魔法が使えたときは感動した。本当に魔法使いになった気分だった。

 だって、手から炎や水が出るんだよ。あのときの感動は忘れられない。だから、ノアとフィナの魔法が使えて、嬉しい気持ちはよく分かる。なので、強く叱ることはできない。


「でも、ほどほどにね」


 二人は返事をする。


「ユナさん、光魔法もいいですが、他の魔法は使ってみたらダメですか?」


 他の魔法を確かめてみないと、どの属性の魔法が得意なのか分からない。でも、まだ二日目だ。光魔法をもう少し使えたほうがいいと思う。


「とりあえずは、光魔法の練習だよ。光魔法は魔力の集め方やイメージの練習には最適みたいだしね」


 それに他の魔法と違って、練習もしやすい。


「そうですが、どのくらい明るくなればいいですか?」

「う~ん。これぐらい、できたら、合格かな」


 わたしは眩しいほどの光を作りだす。クマの顔が照明灯のように眩しく光っている。


「ユナさん、眩しいです」


 ノアとフィナは手で目を隠す。


「そんなの無理です。それに、そんな明るい魔法、使いません」

「使うよ。ってよりも、二人には他の魔法より、この魔法を覚えてほしいんだけど」


 わたしは光を消す。


「どうしてですか?」

「もし、襲われたとき、目くらましになるからね」


 目がくらむほどの光を放って、相手の視界を封じるのはよくある設定だ。元の世界でも閃光弾が活躍しているし、有効な方法だと思う。夜にしろ、昼にしろ、いきなり眩しいほどの光を目に受ければ、目を閉じるし、すぐには視界は復活しない。目があれば、人にも魔物にも有効だと思う。

 ただ、やり過ぎると、相手の目を失明させる恐れもあるが、襲ってくる相手にそこまで気にしたら魔法は使えない。

 まずは、身を守ることが大切だ。

 もちろん、一番いいのは、そんな状況にならないことだ。


「たしかに、眩しくて、目を開けていられませんから逃げられますね」

「二人は可愛いんだから、気をつけないといけないよ」


 二人は成長すれば、綺麗になり、美人になる。身を守る護身魔法は、あって困ることはない。


「だから、覚えても無駄にはならないよ」

「分かりました」

「はい、わたし頑張ります」


 二人は素直に頷き、光魔法の練習を続ける。

 でも、今度は、他の魔法の練習もしてあげないとダメだね。



遅くなりました。

書籍13巻、コミック3巻の作業終わりました。(8/30発売です)

あとは店舗特典の最終確認ぐらいなので、大丈夫かと思います。

でも、次は14巻に向けて、少しずつ動かないといけませんね。


そして、書籍13巻とコミック3巻の表紙が公開されました。

書籍はユナとカリーナです。コミックはユナとフィナです。

どちらも可愛いです。

画像は活動報告や、下記の作者のTwitterなどで、公開しています。他にもAmazonさんなどのでも公開されていますので、見ていただければと思います。


今回も店舗特典はあります。店舗先などが分かりましたら、活動報告で報告させていただきますので、お待ちください。


※いつも誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。お礼の返事ができませんので、ここで失礼します。


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【光】【持続光】【光変化】【閃光】
魔力は静電気に似ている‥‥ なんとなく納得します。  その媒体は“下敷き”ですね w
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