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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、ノアとフィナの誕生日を祝う
570/929

565 クマさん、魔法を教える その2

申し訳ありません。

前回の564話、後半部分を修正させていただきました。

修正箇所も大きいので、

564 クマさん、魔法を教える その1(7/29 22:30修正)

(7/29 22:30修正)のタイトルが書いていない間にお読みになった読者様は、申し訳ありませんが、先に前回の564話を先に読んでいただければと思います。

読者様にはご迷惑をおかけします。


くまなの



 わたしがクマさんパペットを差し出すと、フィナは人差し指に大きな指輪をした小さな手を伸ばす。わたしはそんな手をパクッとクマさんパペットの口で咥える。


「それじゃ、やるよ」

「は、はい」


 フィナは目を閉じる。わたしはノアにやったことと同じことをする。魔力を流して、フィナに魔力を感じてもらう。

 フィナの体がビクッとする。


「体に変なものが流れてきます」


 変なものって、魔力だよ。……たぶん。


「体中に流してみるから、自分の魔力も感じてみて」

「はい」


 フィナは目を閉じたまま集中する。わたしは握っているフィナの右手から左手、胸、お腹、頭と足に魔力が流れるイメージをする。自分の体ではないから、実際に流れているかは分からない。ただ、イメージをする。でも、フィナは魔力を感じているのか、体をビクッとさせる。


「どう?」

「ノア様が言っていた通りに、自分の体の中に何かが流れているのが分かります」

「それが、魔力です。感じてみてください」

「はい」


 ノアのアドバイスにフィナは頷く。


「ユナお姉ちゃん。手を離してください。やってみます」


 わたしはクマさんパペットが咥えていたフィナの手を離す。手が空いたフィナは、両手で祈るように拳を握る。「頑張って」と声をかけようと思ったが、フィナは集中しているのでやめる。

 フィナの手に力が入る。そして、口を開く。


「光って!」


 フィナが声を発すると、ぼんやりとフィナの右手は光っていた。


「……できました」

「フィナ、おめでとう」

「ノア様、ありがとうございます」


 二人は手を取り合って、喜んでいる。

 うん、うん、よかった。フィナだけ、魔法が使えなかったら、可哀想だからね。


「でも、こんなに早く魔法が使えるとは思いませんでした。普通は何日もかけて魔力を感じて、できるようになると聞いていましたので」

「そうなの?」

「わたしは今回が初めてだから、詳しくは分かりませんが、お姉様もお父様も、初めは時間がかかると言っていました」


 そうなると、二人は優秀なのかもしれない。


「ユナさん、魔法の練習を続けてもいいですか?」

「魔力は大丈夫?」

「魔力を集めるのに、少し疲れましたが、魔力は大丈夫だと思います」

「はい、わたしも大丈夫です」

「なら、もう一度やってみようか?」

「はい」


 ノアは魔力を集めようとするが、わたしに視線を向ける。


「ユナさん、自分の光魔法がどのくらい明るいか確認したいので、家の中に行きませんか。暗い部屋で確かめてみたいです」


 確かに、外だと日陰に移動しても、明るさは分かり難い。まして、二人の光魔法は、明るいほうではない。

 だから、暗い部屋で光の明るさを確かめるのは良いことだ。自分の成長も分かる。


「いいんじゃない」


 フィナも同意したので、わたしたちはお屋敷の中に入る。


「どこに行くの?」


 てっきり、ノアの部屋を暗くするものだと思ったら、違う通路を進むので、尋ねる。


「地下です。部屋がありますので」


 貴族のお屋敷だ。地下ぐらいあるよね。


「牢屋とかじゃないよね」

「似たような部屋はありますが、基本、食料が保管してあります。それから、武器や普段使わないものも仕舞ってあります」


 食料の備蓄は大切だしね。

 わたしたちは階段を降りていく。天井にある魔石が光っているので暗くはないが、この光がなければ真っ暗だ。

 ノアは地下通路を歩き、ドアの前で止まる。


「ここです」


 ノアはドアを開ける。窓一つないので、部屋の中は暗い。


「明かりを点けることはできますが、それでは練習になりませんので、ユナさん、光魔法で部屋の中を照らしてもらえませんか?」


 わたしは光魔法を部屋の中に放り込む。クマの顔をした光が部屋の中を照らす。部屋は思ったよりも広く、何も置かれていない。


「ありがとうございます」


 わたしたちは部屋の中に入り、ドアを閉める。


「椅子があればよかったんですが」

「椅子ならあるよ」


 わたしはクマボックスから椅子を3つ取り出す。


「ユナさんのアイテム袋は、なんでも入っていますね」

「なんでもじゃないよ。入っているものしか入っていないよ」


 当たり前だけど、入れたものしか入っていない。椅子やテーブル、家具などはクマハウスを増やすときに使うので、買いだめしてある。毎回、買いに行くのは面倒だからね。

 わたしは円になるように椅子を三つ並べ、座る。


「ユナさん、申し訳ないんですが、光を消してもらえますか」


 まあ、わたしの光があったら、練習の邪魔だ。

 光を消すと、部屋の中は暗くなる。


「なにも見えません」


 フィナの言うとおりに、見えない。気配や息遣いで、二人がいるのが分かるぐらいだ。


「フィナ。二人で、この部屋を明るくしましょう」

「はい」


 二人は、さっそく光魔法を使ってみる。


「うぅ、上手に魔力が集まらないです」

「さっきはできたのに」

「魔力がないとか?」

「分かりません。もし、さっき使った魔力が全部だったら困ります」

「それじゃ、もう一回手を握ってやってみようか?」

「はい」


 わたしは黒と白のクマさんパペットを差し出し、二人に握ってもらう。暗いので、二人がクマさんパペットを握るときは軽く光らせる。握ったら、クマさんパペットの光を消す。

 そして、先ほどと同じようにする。


「そう、こんな感じです」

「はい、ユナお姉ちゃんと自分の魔力を感じることができます」

「それじゃ、離すよ」


 わたしは二人の手を離す。


「光って」

「光って」


 二人の手が、明るく光る。


「なんとなくですが、分かった気がします」

「はい、わたしも今度は一人で、魔力を集めることができそうです」


 今度は手助けなしで、一人で光魔法を使ってみる。

 顔が見えないが、二人が集中しているのが伝わってくる。


「光って」

「光って」


 二人が魔法を発動させると、二人の手が光る。


「できました。さっきより、明るいです」

「はい。でも、わたしの光はノア様より暗いです。魔力のせいでしょうか?」


 確かに、フィナのほうが少し暗い。

 暗い場所でやっているので、明るさも比べやすい。



「魔力も大切だけど、イメージの差もあるんじゃないかな?」


 わたしは二人に魔法を消してもらう。そして、薄い光をイメージをする。わたしのクマさんパペットはぼんやりと光る。


「わたしたちの光より、暗いです」


 蛍の光というべき、目に優しい明るさだ。

 次に、白クマさんパペットに魔力を集めると、強く光らせる。


「眩しいです」


 フィナとノアは手で目を覆い隠す。

 白クマさんパペットは部屋全体を照らすほどに光っている。


「魔力量が少ない可能性もあるけど、イメージで明るさは調整できるよ」


 ちなみに、わたしには、この2つの光魔法の魔力量の差が分からない。わたしは他の人より魔力量が多い。だから、光魔法程度だと、この二つの差は感じ取れない。水が入ったバケツから、水を一滴、二滴、使ったぐらいじゃ、分からないのと同じことだ。


「とりあえず、魔力を集める練習と、明るくするイメージの練習だね」


 どっちが、足りないか分からないので、両方、練習させることにする。どっちにしろ、両方とも魔法を使うには大切なことだ。

 二人は「はい」と返事をすると、黙々と練習を始める。

 でも、二人とも、魔法が使えてよかった。これで、教育係として無能のレッテルは貼られずにすみそうだ。


「はぁ、先ほどよりは明るくなりました。でも、ユナお姉ちゃんみたいに明るくできないです」

「でも、さっきよりは明るくなっていますよ」


 ノアの言うとおりに、暗い部屋でやっているので、光の明るさの差が分かりやすい。

 初めの頃に比べたら、光の明るさが強くなっている。

 イメージは大切だ。知っているものと知らないものでは、イメージをするのは難しい。

 元の世界では、この世界より、光が溢れていた。

 都会に住んでいたわたしは、外を見れば、どこでも光があった。車のライトや、いろいろな眩しい光を知っている。

 この世界の住民が見たこともない魔法を使うことができないのと一緒だ。たぶん、電撃魔法はほとんどの人がイメージできないと思う。

 それと同じことだと思う。


 でも、現状だと魔力を集めるのが上手になったのか、イメージが上手になったのか、判断に迷うところだ。


「魔力を集める量って、一定にできる?」

「そんな微調整できないです。魔力を集めるのも、なんとなくできているだけなので」

「わたしもです。そんな細かいことできないです」


 まあ、それはわたしもだ。

 魔法を使うとき、かなり大雑把に魔力を集め、魔法を使っている。光魔法だから、MPマジックポイント10とか、炎だからMP20とかやっていない。

 魔力を集めて、適当に使っている。


「それじゃ、数を数えようか」

「数ですか?」

「5秒間だけ魔力を集めるとかして、魔法を使う。そうすれば、ある程度は魔力は一定になるでしょう」

「確かに、そうですね」


 一瞬で魔力が集まる場合もあるけど、初心者の二人なら、大丈夫だと思う。それに、もし早く魔力が集まっても、それはそれでいいことだ。


「でも、魔力を集める感覚は一定ね」


 それから、何度も光魔法の練習をする。

 二人は初めの頃よりも、魔法の発動が早くなり、光も明るくなっている。


「今日のところはここまでにしよう。慣れない魔力を使って、疲れているでしょう」


 クラーケンを討伐したとき、魔力の使い過ぎで倒れた経験がある。本当に疲労が凄かった。二人の魔力がどのくらいか分からないし、どのくらい魔力を使ったかも分からない。無理をさせるわけにはいかない。


「そうですね。部屋に戻って、ララにお茶を淹れてもらいましょう」


 わたしたちは暗い部屋を出て、ノアの部屋に移動して、ララさんにお茶を淹れてもらうことにする。

 神聖樹のお茶でも用意してもらおうかな。




無事に二人とも魔法が使えるようになりました。


8/7(水)ぐらいで、書籍(コミックも含む)作業も落ち着く予定です。

そのぐらいから通常に戻れるかと思います。


【お知らせ】

Amazon、kindleにて、クマ1巻がKindle Unlimited読み放題に含まれています。加入している読者様がいましたら、お読みになっていただければと思います。


※いつも誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。お礼の返事ができませんので、ここで失礼します。


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― 新着の感想 ―
バ◯姉の‥‥‥‥‥‥‥w
[一言] お茶で回復しながらの修行 ○豆を食べながら修行するみたいな
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