499 クマさん、絵本4巻を描く
【注意】絵本の4巻になりますが、次の中事項をお読みになってください。
【0 web版と書籍版の違いについて】の変更点に書いてありますが
絵本3巻の最後の街に入るときに手乗りクマさんになったクマですが、子熊にさせて頂きました。
読者様には申し訳ありませんが、普通の子熊としてお願いします。
web版の絵本の3巻も手乗りクマから、子熊に修正させて頂きました。
ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いします。
くまなの
和の国から戻ってきたわたしは、フィナを預かっていた件で、ティルミナさんに会いに行く。いきなり、フィナを呼びつける感じになっていたので、謝罪も含めてだ。
でも、ティルミナさんは怒った様子もなく、「ユナちゃんのことは信用しているから大丈夫よ」と言われた。ただ、娘が2人ともいなかったので、ゲンツさんは寂しがっていたらしい。
「あと、素敵な絵をありがとう」
わたしが描いた、フィナとシュリが着物を着た絵は喜んでもらえた。
ゲンツさんは2人の可愛い姿が見られなくて残念がっていたそうだ。わたしが描いた絵より、実際のフィナたちのほうが可愛いから仕方ない。
ちなみにゲンツさんへの言い訳としては和の国から贈られた服を、わたしが着させたことになっている。
そしてティルミナさんに、翌日もフィナの貸し出し許可をもらう。
ティルミナさんからはいつも通りに自由にしていいと言われた。
「ユナお姉ちゃん、絵本を描くの?」
テーブルの上には紙と描くものが用意してある。
先日、サクラに絵本を渡したら、久しぶりに描きたくなった。それにフローラ姫も待っているかもしれないから、そろそろ描かないといけない。
描きたいと思ったときに描かないと、怠け者のわたしはいつまでも描かない。
前に絵本を描いたのは学園祭に行く前だ。それから砂漠に行ったり、ミリーラの町にみんなで旅行に行ったり、ドワーフの街や和の国に行ったりして、絵本は描いていなかった。
そんなわけで、久しぶりに絵本を描くことにしたのでフィナを家に呼んだ。
「女の子が街に行ったあとはどうなるんですか?」
絵本は病気が治った母親と妹と一緒に新しい街に行ったところで終わっている。
これから女の子の新しい生活が始まるところから始まる。
「こんな感じに考えているけど」
わたしはフィナに絵本の簡単な内容を説明して、絵を描き始める。
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絵本 くまさんと少女 4巻
女の子は家族と新しい街にやってきました。
女の子の腕の中にはくまさんがいます。
「お母さん、どこに行くの?」
女の子は新しい街で不安そうにします。
くまさんを抱きしめる腕に力が入ります。
母親は冒険者ギルドに行くと言いました。
冒険者ギルドは魔物を倒したり、魔法を使ったりして、住民の役にたって、お金を貰うところです。
女の子にとって冒険者ギルドは怖いところです。怖い顔をした大人の人がたくさんいる場所だからです。
女の子たちは冒険者ギルドにやってきました。
とても大きな建物です。
剣を持った冒険者が建物の中に入ったり、出たりしています。
女の子と妹は不安そうにします。そんな娘たちに母親は微笑みます。その笑顔で女の子と妹は少しだけ不安が消えます。
女の子たちは冒険者ギルドの中に入ります。
建物の中には、剣など武器を持った怖そうな人たちがたくさんいます。そんな冒険者の視線が女の子たちに集まります。
「くま?」「クマ?」「熊?」「ベアー?」
女の子たちが抱く、くまさんに目が向けられます。
妹は怖がって、母親の後ろに隠れてしまいます。でも、女の子はくまさんを強く抱きしめ、視線に耐えて、母親の前に立って、母親と妹を守ろうとします。
母親は女の子の頭に手を置き「大丈夫」ってやさしく微笑みます。
母親は受付に行くと、誰かの名を口にして呼んでほしいとお願いします。
受付の女性は女の子や母親が抱いているくまさんに驚きますが、呼びに行ってくれます。
しばらくすると、女の子たちの前に大きな体の男が現れ、母親との再会を喜びます。
女の子たちは部屋の奥に通されました。
男性は冒険者ギルドで一番偉いギルドマスターでした。
ギルドマスターは女の子、妹、母親が抱いているくまさんを見ます。
「それはクマか?」
一緒に住めるようにお願いをします。
くまさんは命の恩人です。
ギルドマスターは考え込みます。
「それにしてもクマか、懐かしいな」
ギルドマスターは女の子が抱いているくまさんの頭を撫でようとして手を伸ばします。すると、くまさんが口を開きます。
「あの時の泣き虫冒険者が、ギルドマスターとは驚いたよ」
くまさんがお話をしたのでギルドマスターは驚きます。
「……おまえ、あのときのクマか?」
「久しぶり。お漏らし冒険者」
くまさんがそう言った瞬間、ギルドマスターの顔が青くなりました。
「お漏らしは治った?」
ギルドマスターはくまさんの口を塞ごうとしますが、できません。
「やっぱり、森のクマか」
くまさんとギルドマスターは知り合いのようでした。
そのおかげもあって、女の子はくまさんと一緒に住むことができるようになりました。
「それにしても可愛くなったものだな」
ギルドマスターはくまさんの頭を撫でようとします。
くまさんはその手に噛み付こうとしますが、避けられます。
ギルドマスターは笑い、くまさんは悔しそうな顔をします。
女の子も可笑しく、笑みが出ました。
そして、母親は冒険者ギルドで働けるようになりました。
母親は冒険者ギルドで仕事を始め、女の子と妹は冒険者ギルドで遊ぶようになりました。
「おまえたちも今後、この女の子とクマには手を出すなよ。そんなことをすれば、冒険者カードの剥奪だからな」
ギルドマスターはお世話になることになる女の子たちを紹介すると、そんなことを言いました。
冒険者たちは驚きましたが、頷いてくれました。
黒いくまさんは母親に、白いくまさんは妹に、くまさんは女の子と一緒にいることになりました。
そして、まだ母親が長い時間働けないのを手伝うため、女の子は魔物や動物の解体作業を手伝うことになりました。
そのうち、冒険者ギルドの中ではクマと一緒にいる女の子として、知られることになりました。
そんなある日、女の子はくまさんが森に行きたいと言うので、近くの森に散歩に行くことになりました。
くまさんは女の子を乗せて草原を走り、森の中を走っていきます。
くまさんはとてもはやく走ります。
そして森を抜け、街道を走っていると、くまさんが止まります。
「魔物がいる」
くまさんの言葉に女の子に緊張が走ります。
くまさんの走る速度が遅くなっていきます。
女の子の位置からでも数匹のウルフがいるのが見えました。
「人がいる」
魔物の近くには止まった馬車がありました。
その馬車の近くでは守るように男性が棒を振り回しています。
「来るな」
男性がウルフに向かって棒を振ります。
よく見ると、馬車の近くには母親らしき人が子供に覆い被さるように守っている姿がありました。
ウルフは唸り声をあげて、家族に襲いかかろうとします。
母親の腕の中に子供は抱きしめられています。
女の子には、その姿は街に行くとき、魔物に襲われたときに、お母さんが守ってくれた光景に被りました。
女の子はあの家族を守りたいと思いました。
でも、女の子にはなんの力もありません。
「くまさん、たすけて」
女の子はくまさんにお願いします。
くまさんに危険なことをさせることになります。
でも、女の子にはくまさんにお願いをすることしかできませんでした。
くまさんは女の子の気持ちを受け止め、馬車に向かって走り出します。くまさんはウルフに向かって唸り声をあげます。
ウルフがくまさんに襲いかかろうとします。くまさんはさらに威嚇するように唸るとウルフは逃げていきます。
女の子は安堵の表情を浮かべます。
「大丈夫ですか?」
女の子は家族に声をかけます。
「くま!」
父親が棒をくまさんに向けます。
女の子はくまさんが危険でないことを説明します。
男性はくまさんに危険がないとわかると棒を下ろしてくれます。女の子はお礼を言われます。
なんでも、家族は街に果物を運ぶところだったそうです。それが馬車の車輪が溝にはまって動けないところをウルフに囲まれてしまい、逃げられなくなったそうです。
父親は車輪を見て、困った顔を浮かべます。
馬が力を込めますが、溝にはまった車輪は動きません。
「くまさん……」
女の子がくまさんにお願いすると、くまさんは馬車の後ろに移動します。そして後ろから馬車を押すと、馬車の車輪が溝から抜け出して動き出します。
これで馬車は動くことができます。
父親からお礼を言われ、お礼として女の子は果物をもらいます。
母親と妹にお土産ができて喜びます。
後日、女の子とくまさんが家族を救ったことが冒険者ギルドに広まりました。あの救った家族が街に来て、くまさんのことを聞いて尋ねたそうです。
くまさんが大きくなれることはギルドマスターの口によって冒険者ギルドの中では知られていましたので、冒険者ギルドではすぐに女の子ってことは気付かれました。
女の子は母親から危険なことはしてはダメと怒られました。
それから数日後、女の子はギルドマスターに呼ばれます。
女の子に依頼が来ました。
女の子はくまさんを抱きながら不思議そうな顔をします。
女の子は冒険者ではありません。依頼がくることはありません。
でも、ギルドマスターの話を聞いて女の子は驚きます。
依頼をしてきたのはこの街で一番偉い人でした。
だけど、ギルドマスターは安心だから、行っても大丈夫だと言います。
そのときは一緒にくまさんと行くように言われました。
「頼んだぞ」
くまさんが一緒なら安心です。
ギルドマスターはくまさんに手を出そうとしますが、くまさんは噛みつこうとします。でも、またしても避けられます。
話を聞いた女の子の母親は心配しましたが、ギルドマスターの言葉もあって、女の子を行かせることにしました。
女の子はくまさんと一緒に、この街の領主様の家に向かいます。
領主様の家はとても大きく、女の子は立ちすくんでしまいます。
「大きい」
女の子は帰りたいと思っていると、門の扉が開き、小さな女の子が顔を出します。
「くま!?」
扉から出てきたのは綺麗な服を着た金色の髪をした女の子でした。女の子の目にはお姫様のように見えました。
金色の髪の女の子が話しかけてきます。
「冒険者のくまさん?」
女の子は一瞬、金色の髪をした女の子がなにを言っているのか分かりませんでした。
話を聞くと、女の子がくまさんを使って魔物を倒したことになっているみたいでした。
女の子は冒険者ではなく、散歩をしていたら、魔物に襲われている人がいたから、くまさんにお願いして、追い払ったことを説明します。
女の子はなにもしていないことを話します。
それから女の子はこのお屋敷に呼ばれたことを話します。
すると、女の子を呼んだのは金色の髪の女の子だと言います。
金色の髪の女の子は噂になっているくまさんと一緒にいる女の子に会ってみたかったそうです。
女の子はお屋敷に招待され、たくさん、くまさんのお話をしました。
女の子と金色の髪をした女の子は楽しい時間を過ごしました。
女の子に金色の髪をした女の子の友達ができました。
くまさんと少女 4巻 終わり
遅くなって申し訳ありませんでした。
7月に書籍作業ををサボったのが大きかったです(笑)
夏休みの宿題もそうですが、前もって少しずつやらないと駄目ですね。
書籍作業は8割ほど、終わったのですが、まだ、書き下ろしなどが残っていますので、投稿は3日~4日ぐらいにさせて頂きます。
※感想の返信もしばらくお休みにさせて頂きます。
あと、PASH!ブックス公式サイトができました。
クマの試し読みができ、029先生のカラーの口絵を見ることができます。
ちょっと、得した気分になれます。
下にリンクを貼って置きますので、よかったらサイトを見ていってください。
これからはここから情報が出るそうです。