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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、和の国に行く
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473 クマさん、大蛇を倒す

 終わった。あとは胴体が残っているけど、頭を全て破壊したんだから、終りだよね。

 頭が無ければ、生物は活動できない。

 ただ、頭の一部を破壊しても再生している。だから、再生する可能性は残っている。でも、再生に必要な魔力の源となる大蛇の頭の中にあった魔石は全てクマボックスに回収してある。

 まあ、考えても答えはでない。その辺りはムムルートさんとカガリさんに話を聞くしかない。

 わたしはサクラと一緒にくまきゅうに乗って、ムムルートさんとカガリさんがいる場所に向かう。

「ルイミンさんは大丈夫でしたか? 怪我とかはしてませんか?」

 サクラは隣のくまゆるに乗るルイミンに尋ねる。

「くまゆるちゃんが守ってくれたから大丈夫ですよ」

 ルイミンは手を伸ばして、くまゆるの頭を撫でる。

「くぅ~ん」

 くまゆるも嬉しそうに鳴く。

「わたしもくまきゅう様が守ってくださいました」

「くぅ~ん」

 くまきゅうも鳴く。

 くまゆるとくまきゅうはしっかりと二人を守ってくれたらしい。

「二人ともありがとうね」

「「くぅ~ん」」

「でも、ルイミンもサクラも頑張り過ぎだよ。危なかったら、逃げないと駄目だよ」


 カガリさんが風の大蛇の頭を倒したあと、わたしは一番近い封印されている建物に向かった。そしたら、建物が無かった。それを見たときは流石のわたしでも慌てた。

 駆け寄ってみると、建物の地下にルイミンとくまゆるがいるのを見たときは安心したけど、なにをやっているのかと思った。


「だって、カガリさんが戦っているのに、逃げちゃダメだと思って」


 なんでも、風の大蛇の巻き起こす風によって、建物が飛ばされてしまったそうだ。

 風が強かったおかげもあって、ルイミンとくまゆるがいる地下には建物の瓦礫は落ちずにすんだと言う。そして、ルイミンは逃げ出すこともせず、封印を続けたらしい。風は吹いたらしいけど、くまゆるが支えてくれたらしい。

 その話を聞いたとき、くまゆるを叱ろうとしたが「わたしが、もう少しだけってお願いしたんです。だから、くまゆるちゃんは悪くありません」とルイミンがくまゆるを庇ったので叱れなかった。

 だから、わたしは代わりにルイミンの頬を左右に引っ張り、軽く叱り、「頑張ったね」と声をかけた。

 それから、くまゆるに「ルイミンを守ってくれてありがとう」とお礼を言った。


 建物が崩壊し、封印のほうも限界がきていた。

 ルイミンの魔力も限界にきていた。ルイミンが手を離すと、地面は揺れだし、岩の大蛇の頭が復活した。

 それで岩の大蛇を倒してから、サクラがいる建物に向かった。

 サクラのところに来てみれば、こっちはこっちで、ギリギリ限界まで頑張っているし。

 もう少し、命は大事にしようよ。


「それで、ユナ様。カガリ様のお姿が見えないのですが」


 サクラがルイミンの話を聞いて、後ろに乗るわたしのほうを見る。


「それは……」


 わたしはサクラから目を逸らす。

 大きな狐のことや、幼女になってしまったことを話してもいいのか分からない。

 ルイミンには大狐のことは見られていたので、説明はしたけど、サクラは見ていない。もし、大狐に変化できることを知ったら、どう思うか分からない。

 化け物と思うかもしれないし。それにともなって幼女になったことも説明しないといけない。

 どこまでわたしの口から話していいかわからない。

 わたしが黙っているとサクラが声をあげる。


「も、もしかして、カガリ様になにかあったのですか!?」

「ごめん、わたしの口からは言えない」


 わたしがそう答えると、サクラの目に涙が浮かび始める。


「えっ、どうしたの?」


 いきなり泣くサクラに、わたしは驚く。

 なんで、泣き出すの?


「カガリ様のことは姉のように母のように慕っていました。でも……」

「もしかして勘違いしていない? カガリさんなら生きているよ」


 わたしの言葉にサクラが驚いたように顔を上げる。


「そうなのですか!? それじゃ、カガリ様は生きてるのですね!?」


 サクラは涙を拭いて、安堵の表情を浮かべる。


「ユナ様が口にできないと言うので」

「死んだと思ったんだね」

「……はい」

「大丈夫だよ。大きな怪我もしてないし」


 幼女になったけど。


「よかったです。それでは、どうして話してくれないのですか?」

「ごめん、それは自分で確認してもらえるかな」

「……はい、わかりました」


 サクラは聞きたそうにしていたが、頷いてくれる。

 わたしたちはムムルートさんが封印を守っている場所にやってくる。建物が見えてくると、小さな女の子が立っている姿があった。


「ユナさん、小さな女の子がいます」

「ここに女の子が? どうやって島に?」


 ルイミンとサクラは小さな幼女カガリさんを見て、首を傾げている。

 くまゆるとくまきゅうに乗ったわたしたちは幼女(カガリさん)のところに向かう。


「嬢ちゃん。よくやった」


 幼女(カガリさん)が駆け寄ってくる。

 幼女に嬢ちゃんって呼ばれると変な感じだ。

 服は相変わらず、ぶかぶかの大きい服を着ている。まあ、幼女の服なんて持っていないだろうから、仕方ないけど。


「サクラもルイミンも無事のようじゃな。よかった」


 幼女(カガリさん)は2人の体に触れる。

 そんな幼女に対して、2人は混乱している。

 やっぱり、サクラもこの状態のカガリさんは見たことがなかったみたいだ。


「えっと、もしかしてカガリ様ですか?」


 カガリさんは改めて自分の姿を見る。


「この姿には理由があってのう」

「無事でよかった」


 サクラはカガリさんを抱きしめる。


「お主も無事で何よりじゃ」


 カガリさんはサクラの背中に手を回して、抱きしめる。

 カガリさんが大人の姿なら、親子のように微笑ましい光景のはずなのに、幼女の姿のせいで、微妙な感じだ。でも、二人にとっては関係ないのだろう。


「それじゃ、ムムルートのところに行くぞ」


 カガリさんが歩きにくそうにしているので、くまゆるの上に乗せてあげる。

 わたしたちは建物の中に入り、地下にいるムムルートさんのところに向かう。

 ムムルートさんはみんなと同じように魔法陣に手を当てて魔力を流している姿がある。


「お爺ちゃん!」


 ルイミンが声をかけて駆け寄っていく。それでわたしたちのことに気づく。


「嬢ちゃん、全て倒したのか? 大蛇の反応が弱くなったぞ」

「ルイミンやサクラが頑張ってくれたおかげで倒せたよ」

「神聖樹のときもそうだったが、本当に凄い嬢ちゃんじゃな。封印する結界が無駄になったぞ」


 どうやら、封印の結界も準備してあったみたいだ。


「あのう、ユナ様が大蛇の頭を倒してくださいました。これで終わりなんですよね」


 サクラがいまだに魔法陣から手を離さないムムルートさんに尋ねる。


「正確には終わりではない」

 

 その言葉にサクラは驚く。


「選択肢は二つある。一つはこのまま、大蛇を封印をする」

「封印って、ユナ様が全て倒してくれました」

「ああ、嬢ちゃんが大蛇の頭を倒してくれた。だが本体は生きている。封印を解けば動く可能性がある」


 頭を破壊したのだから、倒したと思っていたけど、そう簡単なことではないみたいだ。

 それにしても、頭が破壊されたんだから、死んでくれてもいいのに。


「あと、もう一つの選択肢はなんですか?」

「決まっているだろう。封印を解いて、胴体を倒す」


 だよね。でも、一番分かりやすくていい。


「それでいいよ」

「ユナ様!?」


 わたしが倒すほうを選択するとサクラが驚いた表情でわたしを見る。


「ユナ様。まだ、戦うのですか?」

「倒せばこの国の人も安心するし、ムムルートさんも後顧の憂いなく村に帰ることができるでしょう」


 ムムルートさんはそのためにやってきたのだ。

 もっとも、わたしが話すまで忘れていたみたいだけど。そこは言わないでおく。


「そうですが、ユナ様にこれ以上、戦ってもらうのは……」

「大丈夫だよ。中途半端にしておきたくないだけよ」


 ここまできたら、止めをさして終わりにしたほうがいい。


「それじゃ、大蛇の胴体の封印を解くってことでいいのか?」


 ムムルートさんが確認するようにわたしたちを見る。


「戦うこともできない妾には、決めることは出来ぬ」

「わたしはユナさんの判断に任せます」

「……ユナ様、よろしくお願いします」


 大蛇に止めをさすことになった。


「嬢ちゃん、休みは必要か? もう少しならこのまま維持することができるから、休むことはできるぞ」


 流石、ルイミンやサクラと違って魔力の容量が違うみたいだ。


「大丈夫だよ。さっさと終わらせて、帰ろう」


 それに長居をして、他の人が来たら面倒くさい。ここまで来たら、わたしたちで倒して、終わらせたほうがいい。


「カガリやサクラの嬢ちゃんはどうする? 島から逃げるなら、そのぐらいの時間はあるぞ」

「ここまで来て、妾が逃げられるわけがなかろう。嬢ちゃんと一緒に残る」

「わたしも残ります。最後まで見届けます」

「もちろん、わたしも残りますよ」


 ムムルートさんの問いに三人は答える。


「三人とも戦えないんだから、くまゆるとくまきゅうから離れたら絶対にダメだからね」


 そこだけは念を押しておく。

 くまゆるにはルイミンが乗り、くまきゅうにはサクラとカガリさんが乗る。


「それじゃ、手を離すぞ」


 ムムルートさんが魔法陣が描かれている絨毯から手を離すと、結界の魔法陣が赤黒く点滅し始める。


「どれほどの時間があるか分からん、急いで出るぞ」


 わたしたちは建物の外にでて、さらに離れる。

 しばらくすると、地面が何度も何度も揺れる。

 地揺れが起き、蛇のような大きな体が地面から盛り上がってくる。

 大きなとぐろを巻いた蛇の胴体が動き出す。

 そして、起き上がると頭が四つ復活していた。


「嘘。ユナ様が倒してくださったはずじゃ……」


 サクラが絶望のような表情で大蛇を見ている。

 胴体の魔石。思いつくのはそれだ。

 まさか、頭を四つとも再生させるとは思わなかった。

 ただ、違うことはそれぞれの頭には属性が纏わりついていない。これは魔石を回収したのは正解だったみたいだ。

 これなら大丈夫そうだ。


「それじゃ、行ってくるね」

「わしも行こう」

「ムムルートさんは三人の傍にいてあげて、それに魔力を使って消耗しているでしょう?」

「それなら、嬢ちゃんもじゃろう」

「あの大蛇ぐらいなら、わたし1人で大丈夫だよ」


 わたしは駆け出す。とぐろを巻いている大蛇の体を使って、駆けあがる。炎は無いし、風も水も纏わりついていない。普通の大蛇だ。

 わたしは大蛇の頭の近くに跳びあがり、4つの大蛇の頭がわたしのほうを向く。

 そんなにわたし(クマ)を食べたければ、食べさせてあげるよ。大蛇の口に合わせて、炎のクマを作りだす。

 そして、それぞれの口の中に放り込む。

 炎のクマはとぐろを巻いて迷路のようになっている大蛇の体の中を進軍する。 

 大蛇は苦しみ始める。それでも炎のクマは大蛇の体の中を進んでいく。炎のクマが通ると大蛇の体の一部が赤くなっているのが外側からでもわかる。

 再生するかもしれないので、二弾、三弾と炎のクマを大蛇の口の中に入れていく。

 大蛇は苦しむ。体を何度も地面に叩きつける。

 再生が追い付かなくなったのか、大蛇は次第に動かなくなった。



これで大蛇は討伐の討伐は終了です。

あとはそれぞれの話になりそうですね。

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― 新着の感想 ―
[一言] ユナ「フィナ、解体は任せたよ」 いや、王様にスコルピオンと合わせて売ろう
[一言] 余字:は討伐 これで大蛇は討伐の討伐は終了です。
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