460 くまゆるとくまきゅうの戦い
くまゆるとくまきゅうの戦いです。
「くぅ~ん」は自由に脳内変換してください(笑)
ユナが大蛇の封印に辿り着く頃、くまゆるとくまきゅうも封印の場所に到着していた。
「くぅ~ん」
「くぅ~ん」
くまゆるとくまきゅうが同時に鳴く。どうやら、主人のユナのため、どっちが先に到着するか競争していたようだ。
でも残念ながら、ここには勝負を見届けた者は誰もいなかったので、どっちが早く到着したのか分からなかった。くまゆるとくまきゅうは、お互いの体を擦り合い、同着を認める。
それに、そんなことで争っている場合ではない。目の前にはワイバーンがヴォルガラスを食べている姿がある。上を見れば、ヴォルガラスともう一体のワイバーンが威嚇しあっている姿もある。
「くぅ~ん」
「くぅ~ん」
くまゆるとくまきゅうは顔を引き締める。
主人のユナからの指示は建物の中にある封印をヴォルガラスとワイバーンから守ることだ。そして、無茶をしないこと、くまゆるとくまきゅうは自分たちが傷付くと、主人のユナが悲しむことを知っている。だから、怪我をしないように目的達成を心がける。
くまゆるとくまきゅうが食事をしているワイバーンの前に姿を見せると、ワイバーンは首を上げ、唸り声をあげる。食事の邪魔をされて怒っているようだ。
でも、くまゆるとくまきゅうは恐れた様子もなく「くぅ~ん」と鳴いて対抗する。
ワイバーンはヴォルガラスの肉を飲み込むと、くまゆるとくまきゅうに向かって一歩踏み出して、次の獲物を見つけたように口を開く。
「くぅ~ん」
「くぅ~ん」
くまゆるとくまきゅうは前足に力を入れて、戦闘態勢に入る。
ワイバーンは翼を羽ばたかせると空に飛ぶ。そして、くまゆるとくまきゅうの上で旋回を繰り返し、一気に滑空して、鋭い爪を持つ足でくまゆるとくまきゅうに襲いかかる。くまゆるとくまきゅうは左右に分かれ、ワイバーンの攻撃をかわす。
攻撃をかわしたくまゆるとくまきゅうは、地上に降りてきたワイバーンに向かって襲いかかる。だが、ワイバーンはすぐに翼を羽ばたかせて、くまゆるとくまきゅうの攻撃をかわす。
「くぅ~ん」
くまゆるは悔しそうにする。
空を飛ぶワイバーンに対して、どうすることもできずに地上にいると、数羽のヴォルガラスがくまゆるに襲いかかってくる。
「くぅ~ん」
くまゆるは、まとわりつくヴォルガラスに腕を振ったり、口を大きく開いたりして、威嚇する。
「くぅ~ん」
くまゆるはくまきゅうを呼ぶが、くまきゅうは別のワイバーンから攻撃を受けていた。
「くぅ~ん」
くまゆるは力を込める。すると、胸のリボンの中にあるクマモナイトが光る。そして、腕を振り落とすと、爪の先から風の刃が飛び出し、ヴォルガラスを切り刻む。
そして、くまきゅうのところに助けに行こうとすると、逃げたワイバーンがくまゆるに襲いかかってくる。
ワイバーンと一対一の構図が出来上がる。
でも、数は多くないがヴォルガラスの存在も残っている。
くまゆるとくまきゅうは、ヴォルガラスを気にしながら、ワイバーンの相手をする。
そして、くまゆるとくまきゅうは、ワイバーンと戦いながら、合流する。
くまゆるとくまきゅうは、お尻を向けあい、お互いの背中を守る。
2体のワイバーンがくまゆるとくまきゅうの上で旋回を始める。襲うタイミングを計っているようだ。
くまゆるとくまきゅうが様子をうかがっていると、ワイバーンが上空から襲いかかってくる。
くまゆるとくまきゅうはワイバーンが正面から来るように合わせる。
「くぅ~ん」
「くぅ~ん」
くまゆるとくまきゅうのリボンが光る。クマモナイトの影響で身体能力が上がる。くまゆるとくまきゅうは、迫ってくるワイバーンに向かって走り出す。
お互いに交差するとき、ワイバーンの鋭い爪がくまゆるとくまきゅうを襲い、くまゆるとくまきゅうの鋭い爪がワイバーンを襲う。
わずかにくまゆるとくまきゅうの爪がワイバーンにかすり、ワイバーンの体から血が流れる。ワイバーンは「ギャギャ」と怒りの鳴き声を発する。
くまゆるとくまきゅうがワイバーンに対して優位に戦っているとき、封印の建物の一部をヴォルガラスが壊そうとしていた。さらに他のヴォルガラスも建物の上に集まり出している。
くまゆるとくまきゅうは、封印がある建物を守らないといけない。
「くぅ~ん」
「くぅ~ん」
くまゆるとくまきゅうは話し合う。
主人のユナの頼みは、封印がある建物を守ること。魔物を倒すこと。
優先順位を決める。
「くぅ~ん」
「くぅ~ん」
くまゆるとくまきゅうは話し合いを終える。くまゆるがワイバーンを相手にすることになり、くまきゅうが封印の建物を守ることになった。
「くぅ~ん」
「くぅ~ん」
お互いに鳴くと、くまゆるとくまきゅうは駆け出す。
くまきゅうは、建物に入ろうとするヴォルガラスを倒し、そのままジャンプをして、建物の屋根に上り、ヴォルガラスに攻撃を仕掛ける。ヴォルガラスは空に飛んで逃げる。
「くぅ~ん」
くまきゅうから逃げたヴォルガラスは、空を飛び、建物の周りを回りはじめる。くまきゅうは立ち、腕を振り、爪から風の刃を飛ばし、ヴォルガラスを落としていく。
くまきゅうがヴォルガラスから建物を守っている間、くまゆるとワイバーンの戦いは始まっていた。
ワイバーンが上から攻撃を仕掛け、くまゆるが下で待ち構える形になる。
「くぅ~ん」
くまゆるはワイバーンに向かって鳴く。
すると、ワイバーンは翼を羽ばたかせ、風を飛ばしてくる。くまゆるは地面を駆ける。ワイバーンは逃げるくまゆるを追いかける。
くまゆるは反転して、迫ってくるワイバーンに向かって飛び掛かる。くまゆるはワイバーン目掛けて爪を振り落とす。
命中すると思ったくまゆるの爪は、ワイバーンが翼を羽ばたかせて上に逃げることで、かわされる。ギリギリのところで、くまゆるの攻撃は届かなかった。
「くぅ~ん」
くまゆるは地面に着地して、悔しそうにする。
くまゆるは体に魔力を込め、ホバリングするワイバーンに向けて腕を振るうと、爪先から、風の刃が飛ぶ。
でも、ワイバーンはかわしてしまう。くまゆるはかまわずに何度も風の刃を飛ばす。
ワイバーンがくまゆるの風の刃から逃げようとしたとき、後ろから白い襲いかかるものがいた。
「くぅ~ん」
くまきゅうが建物の上から、ワイバーンに襲いかかったのだ。くまきゅうの鋭い爪がワイバーンの翼を切り裂く。くまゆるが飛ばしていた風の刃は、ワイバーンを建物のほうに誘導していた。そこにくまきゅうが建物の上から攻撃した。後ろからの攻撃だったので、ワイバーンは気づくことができず、くまきゅうの攻撃を受ける。
くまきゅうの攻撃を受けたワイバーンは、地面に叩きつけられる。ワイバーンは立ち上がって逃げようとするが、くまゆるがワイバーンの首に爪を突き刺した。
「くぅ~ん」
「くぅ~ん」
くまゆるとくまきゅうのコンビネーションでワイバーンを討伐した。
残りは、一体のワイバーンと数体のヴォルガラスだ。完全にくまゆるとくまきゅうが有利となった。
ユナと、くまゆる、くまきゅうがそれぞれの封印がある建物に到着する頃、カガリも封印の建物に到着していた。
早く終わらせて、クマのところに行かねばならぬ。
シノブとクマの嬢ちゃんのことも心配じゃが、クマが一番心配じゃ。クマの嬢ちゃんは、あのムムルートが戦力として当てにしている。その力は未知数。変な格好はしているが、シノブとサクラも認めている。
そして、シノブのことは知っている。本人はお調子者じゃが、根は真面目な奴。ジュウベイの弟子で、それなりの実力の持ち主。一流かと問われれば、実力は不足している。だが、あの年齢を考慮すれば、十分に強い。ワイバーン一体ぐらいなら任せられる。問題はあやつのところにワイバーンが何体いるかじゃ。数が増えれば最悪な状況もあり得る。
それはクマの嬢ちゃんとクマたちにも言えることじゃ。どこの場所も不安を抱える。ここは妾が早く討伐して、他の場所に駆けつけねばならぬ。
建物の周辺にはヴォルガラスが飛び、その上空ではワイバーンが二体飛んでいる。
「まずは邪魔なヴォルガラスどもじゃな」
ヴォルガラスが一体、妾に向かってくる。
「篝火!」
妾は手に集めた魔力で炎の玉、篝火を飛ばす。篝火に包まれたヴォルガラスは、悲鳴をあげながら、地面に落ちる。
その悲鳴に反応した他のヴォルガラスが妾のほうを向く。
「焼き鳥にしてやるから、かかってくるがいい」
妾は、襲ってくるヴォルガラスを焼き鳥にしていく。
建物から離れて妾のほうに来てくれるのは楽でいい。建物にいては篝火は使えんからのう。
そして、ヴォルガラスを順調に焼いていると、空から大きな鳥が凄い勢いで降りてきて、妾が焼いたヴォルガラスを食べ始める。ワイバーンが2体地面に降り立った。
自分のほうからやってきてくれるとは、ありがたい。
「篝火」
ヴォルガラスを食べているワイバーンに向かって篝火を放つが、翼によって防がれる。
食事の邪魔をされたワイバーンが唸り声をあげ、顔を妾のほうに向ける。
どうやら、食事の邪魔をされたのが癇に障ったようじゃ。
まあ、妾もお酒を飲んでいるところを邪魔をされたら怒る。
ワイバーンは食事を止め、翼を広げて羽ばたかせる。
妾に向かって風の刃を飛ばしてくる。妾は身を翻してかわす。それと同時に篝火を撃ち込むが、固い皮の翼によって防がれる。
流石にヴォルガラスのようにはいかんか。
大蛇のことを考えると、あまり力は使いたくないんじゃが。
ここで出し惜しみをして、建物が壊され、封印が解かれでもしたら、大惨事になる。
それに、ここにいる魔物を倒しても終わりじゃない。
クマの嬢ちゃん、くまゆるとくまきゅう、シノブが他で戦っている。どこか一ヶ所でも封印が解かれたら終わりじゃ。
体内に力を込める。お尻辺りの服が揺れる。服の下から新しい尻尾が出て、二尾になる。
「ふぅ、久しぶりにやると、疲れるのう」
尻尾を振って、問題がないことを確認する。
「それじゃ、続きを始めようか」
それぞれの場所で戦いが始まりました。
やっぱり、くまゆるとくまきゅうは別々より、一緒がいいですね。
カガリさんの尻尾が増えました。
まだまだ、増えそうですね。