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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、従業員旅行に行く。
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369 クマさん、ワイバーンと戦う (4日目)

 ワイバーンが地面に降り立つ。「グヴァ」と大きく口を開き、唸り声をあげる。ワイバーンはタールグイの役目でしょう。それに、ここは桜の木が近くにあるわけじゃない。ワイバーンは桜の木に惹き付けられて来たんでしょう。どうして、わたしのところにやってくるのよ。

 タールグイを見ると数体のワイバーンと戦っている姿がある。そのうちの数体がわたしのところに来たみたいだ。いったい何体いるのよ。


 正面のワイバーンから視線を離さないように周囲を見ていると、さらに上からワイバーンが二体目、三体目と地上に降りてくる。

 そして、ワイバーンはギョロっとした目で、くまゆるに向け、嘴を閉じたり開いたりする。嘴から涎みたいな液が流れ落ちる。

 ちょ、もしかして、くまゆるを食べに来た?


 冗談じゃない。わたしはくまゆるとワイバーンの間に移動する。

 くまゆるを食べようとするなんて、わたしが許さないよ。わたしは先手必勝で乱れ撃つように炎の魔法をワイバーンに向けて撃ち込む。だが、ワイバーンは翼を正面に閉じるようにして炎の玉を防ぐ。さすが竜種、弱い部類に入ってもドラゴンだ。この程度の魔法攻撃じゃ倒せない。

 それなら、これならどう。わたしはクマの炎をワイバーンに投げる。ワイバーンは大きく翼を広げると「グワァワァワァ」と声をあげると、飛び上がってしまう。

 飛ぶなんてズルい。ちゃんと正面から受け止めようよ。


 それにしても、ワイバーンがくまゆるを食べに来たとは思わなかった。食べるなら桜の木の花でしょう。どうして、くまゆるを食べようとするかな。

 まあ、なにがあろうと、くまゆるは絶対にわたしが守る。

 わたしはくまゆるを送還させようとすると、くまゆるは「くぅ~ん」と鳴いて首を横に振って、後ろに下がる。


「くまゆる?」

「くぅ~ん」

「戻らないと、食べられちゃうよ」

「くぅ~ん」


 くまゆるは再度、首を横に振る。


「くまゆる?」


 いつもなら、わたしの指示に従ってくれるのに、今回は嫌がる。


「もしかして、一緒に戦いたいの?」

「くぅ~ん」


 くまゆるは嬉しそうに鳴く。


「わかったよ」


 わたしはため息を吐きながら、くまゆるに近付くと頭の上にクマさんパペットを置く。わたしの言葉が通じたのか、くまゆるは避けない。

 ワイバーンは三体。こっちはわたしとくまゆる。本当なら、くまゆるを餌と思っている相手と戦わせたくない。本当なら、無理やりでも送還させたい。でも、くまゆるはわたしと一緒に戦おうとしている。その気持ちを素直に受け止めることにする。

 本当に危険な場合は嫌がっても送還するつもりでいる。


「それじゃ、一緒に戦ってくれる?」

「くぅ~ん」

「でも、無理しないでいいからね」

「くぅ~ん」


 わたしとくまゆるは戦う準備に入る。わたしは空に向けて氷の矢を無数に飛ばす。ワイバーンは避けて、翼を大きく広げ、空中で留まる。そして、地面にいるわたしに向かって炎の玉を吐き出す。わたしはワイバーンの炎の攻撃を風の魔法で相殺する。やっぱり、空を飛ばれると、こっちが不利だよね。

 それにしてもワイバーン三体同時は厄介だ。

 確実に一体一体倒していくしかない。

 わたしは跳び上がる。自由に空を飛ぶことはできないけど、高く跳び上がることはできる。

 ワイバーンより高く飛び上がり、くるっと回って、ワイバーンの背中に向かってクマさんキックを撃ち込む。でも、ワイバーンは翼を翻してクマさんキックをかわす。

 ずるい。

 こっちは空中で方向転換はできないのに、空中で方向を変えるなんて卑怯だ。

 クマさんキックを空振りしたわたしは地面に着地する。そんなわたしにワイバーンの一体が鋭い爪をわたし目掛けて、襲い掛かってくる。あの足に掴まれたら簡単に逃げ出すことはできない。

 わたしは横にかわす。わたしがいた場所にワイバーンの爪が刺さり、地面に穴が空く。クマ服を掴まれたら、穴が開いたりするのかな?

 痛そうだから、試そうとは思わない。

 ワイバーンは翼を広げると、再度飛び上がろうとする。

 逃がさない。

 地面に降りてきてくれた相手を逃がすつもりはない。

 わたしは風魔法を使って、竜巻を起こす。ワイバーンは翼を小さく閉じて防ぐ。わたしは構わずに炎を撃ち込み、ファイヤートルネードが完成してワイバーンを焼く。

 さすがにダメージは通るよね?

 そして、ファイヤートルネードが消え去ると、残ったのは焼かれたワイバーンの姿だった。


「倒した?」


 ワイバーンの翼がゆっくりと開く、翼はボロボロだ。でもファイヤートルネードに耐えたみたいだ。

 そこまで防御力が高いの?

 魔物は魔力次第で防御力が上がるって言うけど。硬すぎない?

 不意打ちの無抵抗なら、あんなに簡単に倒せたのに。戦うとなると面倒な相手だ。

 でも、あの翼じゃ、もう飛べないはずだ。

 わたしはクマボックスから、ミスリルナイフを取り出す。

 右手の黒クマさんパペットには柄が黒いナイフ。

 左手の白クマさんパペットには柄が白いナイフ。

 と、それぞれのクマさんパペットにナイフが握られる。

 さて、斬れるかな? もし、斬れなかったら、ガザルさんに文句を言わないといけないね。


 わたしは駆け出す。ナイフに魔力を込める。ワイバーンは傷ついた翼で守るが、ミスリルナイフが簡単に翼を切り裂く。ワイバーンの翼の防御が緩む。わたしはそのまま、後ろに回り込み、厄介な翼を切り落とそうとする。だが、その瞬間、長い尻尾が横に薙ぎ払ってくる。わたしは腕を上げてとっさに防ぐが弾き飛ばされる。

 でも、ミスリルナイフで翼に致命的なダメージを受けているワイバーンは空を飛ぶことはできない。

 わたしはすぐに体勢を整える。止めを刺そうとするが、もう一体のワイバーンが炎を吐いて邪魔をしてくる。その炎を風魔法で相殺する。

 横目でくまゆるの様子も窺う。くまゆるもワイバーンと戦っている。早く、こっちを片付けて、駆け付けないといけない。せめてもの救いは、ワイバーンがわたしのところに二体来ていることだ。くまゆるが二体のワイバーンに攻撃をされていたら、やられていたかもしれない。

 くまゆるが一体を引き付けている間に早く倒す。

 わたしは足に魔力を込め、瞬発力を上げる。ワイバーンが尻尾を振り回すが、かわし尻尾を切り落とす。そして、振り向き様に逆のナイフで首を切る。

 ナイフは直接、手に斬った感触が残る。魔法と違って直に切った感覚が伝わってくる。でも、今はそんなことを言っている場合じゃない。わたしは再度、首をナイフで斬る。

 ワイバーンは最後に大きく翼を広げると地面に倒れる。

 これで一体。残りは二体。


 ワイバーンが崩れ落ちると、上空にいるワイバーンが「グヴァ」と鳴くと降りてくる。このワイバーンを倒せば、くまゆるのところに行ける。

 わたしはチラッとくまゆるの方を見る。くまゆるは少し離れた場所でワイバーンと戦っている。

 ワイバーンはくまゆる目掛けて炎を吐く。くまゆるはジャンプしてかわす。

 上空から攻撃ができるワイバーンに対して、空を飛べないくまゆる。圧倒的にくまゆるが不利な状況だ。でも、くまゆるは逃げ出さずに戦っている。

 ワイバーンがくまゆるを捕らえるように大きな足がくまゆるを襲う。


「くまゆる!」

「くぅ~ん!」


 くまゆるはワイバーンの爪をかわし、ワイバーンの体に体当たりをする。ワイバーンは地面に落ちる。そこにくまゆるが攻撃を仕掛ける。

 くまゆるの真っ赤なツメがワイバーンの翼を切り裂く。翼から血飛沫が出る。

 おお、くまゆる強い。

 くまゆるのツメは魔力を込めると、赤くなり攻撃力が上がる。命中すればそれなりにダメージを与えることができる。ワイバーンは翼が傷つきながらも、飛び上がる。あっちは大丈夫そうだ。


「くまゆる、無理をしちゃダメだからね。わたしが他のワイバーンを倒すまで、引き付けるだけでいいから」

「くぅ~ん!」


 さっさと、もう一体を倒して、くまゆるのところに行く。

 わたしはナイフを構え、ワイバーンに向けて駆け出す。ワイバーンが翼を羽ばたかせ、風を巻き起こす。砂や葉が舞う。

 それでもわたしは足を止めない。クマさんフードが顔を守ってくれる。ナイフで切りかかろうとすると横から、長い尻尾が飛んでくる。

 それはさっき、喰らったよ。わたしはワイバーンの尻尾をしゃがんでかわす。尻尾が振り切れ、止まったところをナイフで斬る。

 でも、浅かった。ワイバーンは嘴をわたし目掛けて突き下ろしてくる。わたしは嘴の横にクマさんパンチを打ち込む。嘴が横を向く。わたしの前にワイバーンの首が現れる。

 チャンス。

 わたしは首目掛けてナイフを降り下ろす。でも、横から尻尾が戻ってくる。尻尾の方が速く、弾き飛ばされる。

 ダメージはクマさん防具のおかげでノーダメージ。

 でも、チャンスだったのに逃がしてしまった。

 そして、ワイバーンは翼を広げて、空に逃げ出そうとする。ここで逃がすと面倒になる。そう思ったとき、ワイバーンの後ろからくまゆるが体当たりする。ワイバーンは空に舞い上がることができずに、バランスを崩して地面に倒れる。


「くまゆる!」


 くまゆるの後ろからワイバーンがくまゆるに襲い掛かってくる。

 わたしは右手に持つミスリルナイフを投げ、走り出す。ミスリルナイフはワイバーンの体の中心に奥深く刺さる。ワイバーンの動きが鈍くなる。わたしは走りながら、クマさんパペットに魔力を集める。クマさんパペットが電撃を纏う。

 わたしはくまゆるとすれ違う。そして、飛び上がり、くまゆるに向かってくるワイバーンに向けて、電撃クマさんパンチを打ち込む。

 電撃クマさんパンチがワイバーンの胴体を捉え、ワイバーンは電撃で硬直する。ワイバーンは翼を羽ばたかせることが出来ず、わたしとともに地面に落ちていく。

 ワイバーンは体から地面に落ち、わたしは足でちゃんと着地する。わたしはそのままミスリルナイフを握り締め、ワイバーンの首を斬った。


 わたしはすぐにくまゆるのところに駆け寄る。

 くまゆるは倒れているワイバーンにクマパンチをしている。


「くまゆるどいて」


 わたしが叫ぶと、くまゆるはワイバーンから離れる。倒れているワイバーンに電撃パンチを食らわして、ミスリルナイフで止めを刺す。


「……終わった」

「くぅ~ん」

「くまゆる、ありがとうね」


 わたしはくまゆるを優しく撫でてお礼を言う。


脳内設定で、くまきゅうがくまゆるにユナのことをお願いしているシーンが浮かびました。

でも、それを知ることができないユナです。


くまゆるを活躍させようとしたら、少しぐだぐだになってしまいました。戦闘シーンは難しいですね。

次回、部屋に残っているフィナ視点になる予定です。違ったらすみません。


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― 新着の感想 ―
「落ちろ、カトンボ!」
[気になる点] くまゆるが絡んでぐだぐだと言うより子供を連れてく展開でぐだぐだになってますね
[一言] 本編以外で使った?知らない後出し設定は読みにくいです。いつの戦いで知ったのか、異世界生活がまだ短いので時間配分は大事だと思います。
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