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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、異世界を楽しむ
36/905

32 クマさん、買い食いをする

日刊って怖いですね。

いきなりブックマークが増えて驚きました。

たくさんのブックマークありがとうございます。

特に書き始めの頃にブックマークをしてくれた人に感謝を。

 フィナの母親の健康状態は良好だ。

 完全に治ったと思って間違いないだろう。

 名前はティルミナさん。

 ティルミナさんとゲンツさんは結婚することになった。

 今は4人で住む場所を探している。

 今のフィナの家では4人で暮らすには狭すぎで。ゲンツさんに至っては狭い家で1人で住んでいるらしい。

 

 でも、なぜか、フィナとシュリがクマハウスにいる。


「えーとなんでここにいるのかな?」

「ゲンツおじさん、じゃなくて、お父さんとお母さんを二人っきりにさせてあげようと思って」


 それって10歳の娘が考えること?


「迷惑でしたか?」

「別にいいけど、4人でいることも大事よ」

「家が見つかったら4人で暮らしますから大丈夫です」

「でも、なんで勉強しているの」


 そう、クマハウスでシュリが文字の勉強をしている。


「わたしはお母さんから、文字は教えてもらいました。でも、シュリはお母さんが病気になったから教えてもらうことができなくて。わたしも、家の仕事やお金を稼がなくちゃいけなかったので、この子に教えてあげられなくて」


 でも、勉強って言っても汚い紙に文字が書いてあるだけなものだ。

 書くものが無ければ、練習する紙も無い。

 見て文字を覚えるだけだ。

 これで覚えられるのだろうか。


「なら二人とも、勉強道具を買いに行こう」

「えっ」

「そんな勉強法じゃ、覚えるのに時間がかかるよ」

「でも」

「お金の心配ならいいわよ。結婚祝いと思えば」

「結婚するのはお母さんなんですけど」

「細かいことは気にしないの」


 2人を連れてクマハウスを出る。

 2人は仲良く手を繋いでる。

 仲が良い姉妹だ。

 まずは本屋に向かう。


「すみません!」


 本屋のお婆ちゃんに声を掛ける。


「なんじゃい。そんなに大きな声を出さなくても聞こえておるよ」

「すみません、子供用の絵本ありますか? 文字の勉強をしたいんですけど」

「絵本、文字の勉強かい。それなら、これと、これと、あれじゃな」


 お婆ちゃんが3冊の絵本と文字表らしきものを持ってきてくれる。

 とりあえず、全部買うことにする。


「ありがとう」


 お金を払って店を出る。

 次に雑貨屋で紙と書くための道具を買う。

 一通り勉強道具は揃い、小腹が空いたので広場の屋台で買い食いをすることにした。

 広場に来るといろんな屋台が並んでいる。

 美味しそうな匂いがあっちこっちから漂ってくる。

 広場に入って一番近い屋台に向かう。

 串焼きを売っている。

 良い匂いがする。


「おじさん3本頂戴」

「おお、クマの嬢ちゃんか。3本な。はいよ! いつもありがとな」


 おじさんが3本渡してくれる。

 わたしはそれを1本自分の口に咥え、残りのをフィナとシュリに渡す。


「ありがとうございます」

「ありがとう」

「次はあっちに行こう」


 屋台が並んでいる広場を見て、次の獲物(食べ物)を探す。


「クマの嬢ちゃん! 野菜のスープはどうだい」


 近くの屋台から声がかかる。

 大きな鍋から湯気が上がり、とっても美味しそうだ。


「そうね。3つ頂戴」

「まいどー」


 木の器に、温かい野菜のスープをよそってくれる。

 食べ終わったら器は返すシステムになっている。

 スープを受け取り、二人に渡す。


「クマの嬢ちゃん。なら、スープにパンはどうだい?」

「ずるいね。クマのお嬢ちゃん。こっちの焼肉はどうだい」


 今度は周りの屋台から声がかかる。


「それじゃ、こっちは絞りたての果汁はどう?」


 いろんな果物の果汁を売っているお姉さんも参戦してくる。


「そうね。今日はパンって気分だから、小さいパンを3つ頂戴」

「おお、ありがとよ」


 パンを販売しているおじさんが礼を言ってパンを渡してくれる。

 買わなかった店には謝罪をしておく。


「今度買いに来るから」

「いいってことよ」

「今度は食べに来ておくれよ」


 パンを受け取り、周りの屋台の人に挨拶をして、近くの空いているベンチに座る。

 最近、広場の買い食いが増えたせいか、屋台の人たちと顔見知りになってしまった。

 このクマの格好のせいかも知れないけど、広場を歩くと声を掛けられる数が日毎に増えている。

 それで、よく買い食いをしてしまう。

 太ってないといいけど。

 クマの服の上からお腹の肉を摘んでみる。

 大丈夫だと信じたい。

 太らないスキルでもあればいいんだけど。

 

「それじゃ、食べましょう」

「ありがとう。ユナお姉ちゃん」

「ありがとう」


 シュリが姉の真似をしてお礼を言う。

 2人揃ってかわいいな。

 3人で、ゆっくりとスープとパンを食べる。

 スープにはニンジン、だいこんが入っている。

 基本的に日本にあった食材は結構見かけることはできた。

 でも、米と醤油、味噌が見つからない。

 ラーメンとかそば、うどん。麺類も恋しい。

 他の国ならあるのかな?

 でも、このスープもパンも十分に美味しい。

 食べ終わると、勉強するためにクマハウスに戻ることにした。


 後日、買い食いをしたことがティルミナさんとゲンツさんにばれて、わたしが怒られることになった。

 2人がせっかく用意した夕飯を食べなかったそうだ。

 買い食いは食べ過ぎに注意しよう。

 でも、勉強道具は感謝された。

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― 新着の感想 ―
命の恩人だけどちゃんと文句は言う。 しっかり者のお母さん、ティルミナさんあってのフィナかな。
[気になる点] 醤油に関して気になります。  調味料として醤油が無いか知られていない地域であれば、魚を発酵させて作った魚醤が使われているので気になりました。   魚醤の難点は醤油より臭いや味の癖が強い…
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