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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、異世界を楽しむ
31/901

27 噂のクマっ娘

2巻該当部分ここからになります。


 クマハウスを建てて数日、名物通りになってしまった。

 空き地に誰も知らないうちに建物が出来上がり、その家の形がクマで驚き、その住人まで熊の格好をしている。

 クマハウスの周りには、遠巻きからこっちを見ている人たちがたくさんいる。

 そのため、わたしは最近外出をしていない。

 初日は食事をするために出かけていたが今は家で自分で作って食べている。


「ユナお姉ちゃん、今日の分の解体終わったよ」


 フィナは毎日解体しにくるので、3日解体したら1日休みを与えている。

 さらに解体数は1日5体までとした。

 そのため、ほとんど半日で終わってしまう。


「ありがとう、気をつけて帰ってね」

「うん、ユナお姉ちゃんは仕事に行かないの?」

「そのうち、行くよ……」


 確かに最近、引きこもっている。

 このままじゃまずいよね。

 明日の朝一でギルドに行くかな。




 翌日、久しぶりに早く起きてギルドに向かう。


「ああ、ユナさん! やっと来てくれた」


 へレンがわたしを見つけると叫ぶ。

 近所迷惑なことを。


「おはよう、ヘレン」

「もう、どうしてたんですか。待っていたんですよ」

「待ってた?」

「はい、指名依頼が入っているんです」

「指名依頼?」

「はい、 クリフ・フォシュローゼ様より依頼が来ています」

「…………だれ?」


 そんな名前の方は知りませんよ。


「ご存知ありませんか。伯爵のフォシュローゼ様はこの街の領主様です」

「領主様?」

「はい」


 凄い面倒ごとになりそうだ。

 貴族と聞くと漫画や小説だと王族と肩を並べるほど面倒ごとを持ってくる存在だ。

 できるなら関わりたくない。

 だから、


「パスで」

「えっ」

「お断りで」

「えっ」

「わたし、帰るね」

「ちょ、ちょっと、待ってくださいよ」


 受付から乗り出して、わたしのクマの服を掴む。


「なによ」

「なに、帰ろうとしているんですか」

「帰って寝るからよ」

「まだ、朝です」

「わたしがいつ寝ようといいでしょう」

「それじゃ、話を聞いてからにしてください。こちらはユナさんが中々こなくてフォシュローゼ様の使いの方が何度も来ているんですから」

「わたしには関係ないでしょう」

「話だけでも聞いてください」

「ヤダ」

「お願いしますよ~」

「聞いたら断っていいの?」

「どうして、そんなに嫌がるんですか」

「お婆ちゃんの遺言で、貴族と王族には近寄るなって言われたの」

「なんですかそれは」

「だって、貴族とか王族は、自分が気に食わないとすぐに殺したり、牢屋に入れたりして。良い女を見つけると体を求めたり、断ると、脅迫したり、何も罪がないのに罪人にしたり、平民からお金を巻き上げたり、金にものを言わせて好きなことをやっている存在でしょう。

 さらにその子供たちも横柄で、威張っていて、わがままで、自分が偉いと思っている人種でしょう」

「なんですか、その偏見な考えは」

「違うの?」

「確かに、ユナさんが言う貴族はいます」


 いるんだ。


「だけど、フォシュローゼ様は違います。フォシュローゼ様は優しい方ですよ」

「会ったことあるの?」

「ありませんけど」

「それじゃ、わからないじゃん」

「そんな悪い噂聞きませんし」

「裏で、殺していたらわからないじゃん。死人に口なしって言うし」

「どうして、そんな考えに行くんですか」


 漫画や小説の影響とは言えない。


「おい、こんな混み合っている朝に何を騒いでいるんだ」


 筋肉だるま=ギルドマスターがやってきた。


「ギルマス!」

「ヘレン、朝は混み合うのは知っているだろう。なにをやっているんだ」

「わたしのせいじゃありませんよ。ユナさんにフォシュローゼ様より指名依頼が入っているのですが、貴族に変な偏見を持っていて話を聞いてくれないんです」

「偏見?」

「貴族は気に食わないと人を殺すとか、女をみると体を要求するとか、その子供も横柄でわがままとか、そんなこと言うんですよ」

「たしかに、そうだな」

「やっぱり」

「ギルマス!」

「ああ、悪い。確かに、そんな貴族は存在するな。でもフォシュローゼは違うから安心していいぞ」

「絶対?」

「ああ、知り合いだしな」


 確かに冒険者ギルドのマスターなら領主とも面識があってもおかしくはない。


「お願いしますよ。断るとギルドの信用問題が」

「うーん、わかったわよ。話だけ聞くわ」

「ありがとうございます。っと言っても話すことはないですけど。ただ、家に来てほしいとだけ言い付かっています」

「なにそれ?」

「たぶん、噂のクマっ娘を見てみたいだけだろう」

「クマっ娘?」

「知りませんか、ユナさんの呼び名ですよ」

「ブラッディベアーなら知っているけど」


 嫌な二つ名だけど。


「それは、男性冒険者からの呼び名です。女性冒険者や子供たちからクマっ娘とかクマさんとか呼ばれてますね」


 知らなかった。


「でも、噂って」

「クマの格好していて、単独でウルフ、ゴブリンの群れを討伐、さらにゴブリンキングの討伐、新人の討伐数にしては多く、さらに召喚獣にクマを呼び出して、クマの家まで建ててりゃ、噂になるだろう」

「クマの家ってなんですか?」


 どうやら、ヘレンは知らなかったらしい。


「知らないのか、こいつ、土地を借りて家を建てたんだよ。それがクマの形をしているんだよ。しかも、それが知らないうちに建てられたから話題になっているぞ」

「先日の土地にそんなことが、知りませんでした」

「それで、わたしが噂のクマっ娘だから、その領主様は会いたいってこと?」

「そうなるな」

「冒険者ギルド、商業ギルド、街の門、街の警備兵、全てからおまえさんの情報が流れていったんだろうな」

「情報って」

「ああ、冒険者ギルドからは有望なクマの格好をした新人ってことで、上に報告しているな。商業ギルドなら、知らないうちに家を建てたクマっ娘で報告しているだろうし、門兵はクマの召喚獣のことを報告しているだろうし、そんな格好で街を歩いていれば街を警備する者からも報告が行くだろうし、そんだけ、あちこちから報告が上がれば会ってみたくなるだろう」


 なにそれ、怖い。

 個人情報保護法は無いの?

 普通に冒険者の依頼をこなして、普通に魔法で家(クマの家)を建てて、乗り物(召喚獣クマ)で討伐先に向かって、普段着(クマの服)で街を歩いているだけなのに。


「それって断れないの?」

「さあな、普通貴族の依頼を断る冒険者はいないからな。断るなら街から逃げるからな。そんなことするなら大概は会うことにする」

「面倒くさい」

「そう言うな、興味本位なだけだろ。会うだけ会ってみたらどうだ」

「ちなみに会いに行くとして、いつ会いに行けばいいの? 領主様だって暇じゃないでしょう」

「はい、何日か予定を聞いてます。明日と5日後の午後ならいつでもいいそうです」


 会う日まで決められているのか。


「わかったわよ。会いに行くわよ」


 仕方なく、明日の午後に会いに行くことになった。

 今日は仕事をする気が無くなったので、途中の屋台でお昼のご飯を買って帰った。


思いつきで書いたから、領主と会って何するか、何も考えていない。

明日までに考えます。

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― 新着の感想 ―
あとがきで爆笑した思い出の回
[良い点] 思いつきな話が面白いから(笑)
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