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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、学園祭に行く
251/904

247 クマさん、シアの依頼を受ける

早めに書き終わったので、


100万文字突破!

 あとは練習あるのみだ。

 綿菓子の作り方を教えたわたしはそろそろ帰らせてもらうことにする。

 フローラ様のところに行って、絵本を渡さないといけないからね。


「それじゃ、みんな当日までにしっかり練習するんだよ」

「ユナさん。待ってください!」


 帰ろうとしたわたしをシアが引きとめる。


「うん? なに?」

「あのう、冒険者ギルドでユナさんに護衛の依頼を頼んだら、いくらぐらいで引き受けてくれますか?」

「護衛?」


 あれって、自分で決められるもの?

 指名依頼だとできるんだっけ?

 たしか、冒険者ギルドで指定している最低金額があって、それに追加することによって金額が増えていく。

 高ランク冒険者を雇うなら、それなりに金額をあげないとだめだ。


「シア、どこかに行きたいの?」

「いえ、そうではなくて。もし、ユナさんが学園祭に来てくれるなら、一緒にノアを連れてきてほしいんです。あの子も将来は王都の学園に入学すると思うし、去年も見たいと言っていたけど。駄目だったから。ユナさんなら何度も王都に来ているし」


 たしかに散歩感覚で王都に来ることが多い。

 まあ、それもクマの転移門のおかげだけど。


「それにクマさんもいるから、安心してユナさんにお願いができると思って」


 つまり、わたしに王都までノアを護衛してほしいってことか。

 シアはわたしがクマの転移門で王都に来ていることは知らないから、くまゆるたちで移動していると思っているみたいだ。

 知らないから仕方ないけど。


「それで、わたし、お小遣いがあるから、王都までノアを……」


 優しい良い子だね。

 そんな話を聞くと無料で引き受けたくなっちゃうよ。

 それに、シアからお金をもらうには抵抗がある。

 そもそも、護衛の相場を知らないし、前回の護衛の代金もいくら貰ったか覚えていない。


「そういうことなら、わたしが払うわよ」

「お母様?」


 話を聞いていたエレローラさんがシアの案に賛同して、依頼料を払ってくれると言う。

 まあ、シアから貰うよりはエレローラさんから貰った方が心は痛まない。


「ユナちゃん。学園祭に来てくれるようだったら、ノアを一緒に連れてきてもらえる? 護衛の依頼料はわたしが支払うわ。それと、フィナちゃんやシュリちゃんもお願いできるかしら」

「フィナにシュリですか?」

「こないだユナちゃんのお店に行ったときには、フィナちゃんにはお世話になったからね。でも、フィナちゃんだけを連れてくると、シュリちゃんが可哀想でしょう。お礼を兼ねて二人を屋敷と学園祭に招待したいわ」


 たしかに、シュリはいつも姉を見送って一人でお留守番をしている。

 それも文句も言わずに。

 たまに、ズルいとか言うけど。基本、聞き分けが良く、素直にお留守番をしている。

 でも、二人が貴族のエレローラさんのお礼と聞いて、受け取るかな?

 シュリなら、なにも考えずに王都に行けることに喜びそうだけど、フィナは…………成長したから大丈夫かな?


「でも、小さい子を三人も護衛だと、ユナちゃんにも負担が掛かるわね」


 クマの転移門を使えば負担は0です。とは言えない。

 それに、ノアとシュリを連れてくることになった場合、クマの転移門を使うか悩むところだ。

 別に二人が言いふらすとは思っていないけど、機密情報を知る人物は少ない方が良い。

 なにかの弾みで漏れる可能性もある。

 ノアだと寝言で「ユナさん、クマさんの転移門凄いです。むにゃむにゃ」とか言いそうだ。

 まあ、寝言なら夢で済ますことができるけど。


「ユナちゃんは三人を護衛しながら、王都に来るのは問題はない?」

「くまゆるたちなら、二人乗れますから、とくに問題はないですよ。魔物や盗賊に襲われても逃げることもできます」


 ドラゴンにでも襲われない限り逃げることはできる。

 一度は会ってみたいけど、そうそうに会う相手ではない。


「ユナちゃんは強いし、くまゆるちゃんたちもいるから、普通の冒険者に頼むよりは安心ね」


 会話の流れがすでにノアたちを連れてくることになっている。

 まあ、別に連れてくるのはいいんだけど。

 問題は連れてくる方法で、悩むところだ。


「それじゃ、三人をお願いしてもいい?」

「構いませんけど。クリフがノアを連れてくることを駄目って言ったら、フィナたちはどうしますか?」

「その場合は、フィナちゃんたちだけで構わないわ。フィナちゃんたちにお礼をしたいのは本当だから。それにクリフもユナちゃんが護衛するって言えば、駄目とは言わないと思うわ」


 クリフの許可が下りなかったら、ノアには諦めてもらおう。

 フィナたちの方は大丈夫かな。

 ティルミナさんはわたしのことを信頼してくれているから、フィナたちの本心の問題かな。


「でも、たしかにクリフのことを考えると少し心配ね。ユナちゃん。今からクリフ宛に手紙を書くから少し待っててもらえる?」


 エレローラさんは席を立ち、わたしの返事を待つ前に部屋から出ていってしまう。

 引き受けたからには、あとは移動方法を考えないといけない。

 まあ、二択しかないけど。


「ユナさん、ありがとう。でも、これでノアも喜んでくれると思う」

「あとはクリフの許可が出ればいいね」


 ノアもシアも貴族だけど、ミサの誕生会のときに会った馬鹿貴族の馬鹿息子とは違うね。比べるのも可哀想だけど、同じ貴族とは思えない。

 そういえば馬鹿貴族の息子は親戚のところに引き取られたんだっけ。

 ミサも誘ってあげたいけど、さすがに今回は無理かな。


「でも、フィナちゃんの妹ですか。どんな子なんですか?」

「フィナにそっくりで良い子だよ。それと、ノアとシアみたいに仲良し姉妹だよ」

「ふふ、学園祭が楽しみになってきました。ノアに会えるのも嬉しいけど、フィナちゃんと妹さんに会えるのが楽しみです」


 ノアに会うのは国王の誕生祭以来だし、フィナはゴーレム事件以来になるのかな。


「それじゃ、学園祭に呼んでも恥ずかしくないように、綿菓子が上手に作れるようにならないとね」


 シアと会話をしている間もマリクスたちは綿菓子を作る練習をしている。


「うぅ、もう甘くて食えない」

「僕も」


 マリクスとティモルが練習で作った綿菓子を頑張って食べている姿があるが、ギブアップ状態のようだ。

 まあ、綿菓子は何個も食べられる物じゃないからね。

 砂糖を口に入れているようなものだし。

 口の中が甘くなる。


「ほら、二人とも食べないと、次が作れないですわ」


 カトレアが作った綿菓子をマリクスに差し出す。


「カトレアも食べろよ」

「太るから遠慮しますわ」

「おまえな~」


 女の子が甘い物が好きでも、限界はあるし、体重を気にするよね。

 わたしも試食で食べ過ぎたのが気になる。

 女の子なら、仕方ないことだ。

 だから、ここは男の子たちに頑張ってもらうことにする。


「これで口直しするといいよ」


 クマボックスからおやつのポテトチップスを出してあげる。

 塩味だし、口直しには良い。


「ユナさん、ありがとう」


 マリクスは口の中にポテトチップスを入れる。

 そして、食べてから、


「もしかして、これでもいいんじゃないか?」


 マリクスはポテトチップスを食べながら答える。

 たしかに、いいかもしれない。マリクスに言われて気付いた。

 どうも、学園祭とかお祭りってイメージで、ポテトチップスを販売するって考えが思いもしなかった。

 違う世界のわたしじゃ、学園祭にポテトチップスを販売するなんて、思い付かないアイディアだね。


「うん、そうだね。これも美味しいし」

「セットで売れば、凄いことになるわ」


 ティモルとカトレアが賛同してポテトチップスを食べる。


「でも、ジャガイモは売っているの?」

「売っている場所はありますよ」


 わたしの疑問にスリリナさんが答えてくれる。


「値段も安いですから、貧困層では食べられています」


 そうなんだ。わたしが知らなかっただけなのか。


「なら、大丈夫だな」

「でも、やめた方が良いかと思います」

「なんで? こんなに美味しいのに」


 マリクスはポテトチップスを食べながらスリリナさんに尋ねる。


「ユナ様のおかげで、腹痛などの症状の原因は分かりましたが、全員が知っているわけではありません。

もし、ポテトチップスの材料がジャガイモと知られたとき、クレームをつけられる可能性があります。もし、ポテトチップスを食べたお客様が腹痛を起こした場合、マリクス様たちが疑われると思われます」

「そうだよな。俺もユナさんからジャガイモって聞いたときは驚いたからな」

「だから、貴族や富裕層が来られる学園祭ではお出ししない方がいいかと思います」


 スリリナさんがポテトチップスを学園祭に出すことのデメリットを教えてくれる。

 クリモニアでは普通に受け入れられているから、良いアイディアと思ってしまった。

 確かにジャガイモが腹痛を起こすと思っている人は多いんだよね。


「たしかにそうだな」

「作ったは良いけど、文句を言われたら気分は悪いですしね」

「それに、ユナさんがせっかく綿菓子を教えてくれたんだし」

「それに4人じゃ両方は無理かもね」


 4人は話し合った結果、ポテトチップスは諦めることになった。

 しばらくすると、手紙を持ったエレローラさんが戻ってきた。


「あら、どうしたの。なにかあったの?」


 マリクスたちの様子がおかしいことに気付いたエレローラさんが尋ねる。

 エレローラさんにポテトチップスのことを説明する。


「そうね。スリリナの言う通りね。ポテトチップスはよした方がいいわね。余計なトラブルを誘うようなことはしない方がいいわ」


 四人もすでに納得していたので、反論するようなことはなかった。


「それじゃ、ユナちゃん。これをクリフによろしくね」


 エレローラさんがクリフ宛の手紙を差し出す。

 わたしは受け取って失くさないようにクマボックスに仕舞う。

 これで、わたしがここにいる用はなくなった。

 最後に学園祭の日にちを聞いて、おいとまさせてもらう。

 今度こそフローラ様のところに行かないと。

 帰る前にマリクスたちのためにポテトチップスは多めに置いていく。


「それじゃ、ユナさん。今日はありがとうございました」


 シアがお礼を言うと、三人からもお礼を言われる。


「それじゃ、学園祭を楽しみにしているから頑張ってね」


 お屋敷を後にして今度こそお城に向かう。

 あれ、エレローラさんはお城に戻らなくていいのかな?




感想欄でポテトチップスやフライドポテトのことを書かれるかと思ったら、誰も書いていなかった。

やっぱり、学園祭とかお祭りと言われてポテトチップスを売ろうとは思わないですよねw



書籍購入特典、追記しました。

東武ブックス様で3巻のイラストポストカードプレゼントされるそうです。

詳しくは活動報告で確認をお願いします。


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― 新着の感想 ―
>いえ、そうではなくて。もし、ユナさんが学園祭に来てくれるなら、一緒にノアを連れてきてほしいんです。あの子も将来は王都の学園に入学すると思うし、去年も見たいと言っていたけど ノアールが王立学園に入学…
[一言] ポテトチップスは皮剥き器でやると楽ですよ
[一言] 高校の時食中毒流行ってその場での調理が禁止で袋にはいったポテトチップスやりました 専門学校の時はたこ焼き屋さんでした。
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