21 クマさん、タイガーウルフの討伐に行く
クマハウスを出てくまゆるに乗って移動する。
クマの靴を使っても問題はないんだけど。
最近の移動はくまゆるとくまきゅうがお気に入りだ。
片方に乗り続けると機嫌が悪くなるので交互に乗ることにしている。
くまゆるに乗りながら探知魔法を使い、この辺りを調べる。
レベルも上がって探知距離も広がっている。
無数の魔物が探知に引っかかる。
これかな?
「二匹いるみたい。番いかな」
くまゆるに向かう方角の指示を出す。
くまゆるは走り出し、木と木の間を駆け抜けていく。
枝とか草むらはくまゆるが全て搔き分けて進んでいく。
クマの靴で走り抜けるとこうはいかない。
近くにウルフがいるが今日も無視して進んでいく。
しばらく進んでいくとタイガーウルフの反応が近くなる。
くまゆるに止まるように指示を出す。
川が近くを流れているのか、水の流れる音が聞こえる。
どうやら川の近くにいるみたいだ。
くまゆるから降りてゆっくり行くか、このままくまゆるに乗っていくか悩みどころ。
襲い掛かってくるならいいけど、逃げ出しでもしたら追いかけるのも面倒なことになる。
まして二頭いるのだから。
これがゲームの狩人とかなら風向きとか匂いとかで気づかれないように進むのだろうが、そんなスキルは持ち合わせていない。
やっぱり、くまゆるで突入かな?
くまゆるに向かってタイガーウルフがいる場所に向かうように指示をだす。
くまゆるが走り出す。
山の中を黒い影が駆け抜ける。
くまゆるは川に出ると、そこには二頭の大きなトラ、タイガーウルフが川の側で休んでいる姿があった。
こちらに気づくとのっそりと立ちあがる。
「ギュウルル」
様子を見ている。
「思っていたよりも大きいね」
一頭はくまゆると同じ大きさはある。
もう一頭は一回り大きい。
小さい方がメスで大きい方はオスかな?
くまゆるからゆっくりと降りる。
顔を撫でて、小さい方の相手をくまゆるにお願いする。
二頭のタイガーウルフに向かって風魔法を飛ばす。
タイガーウルフは敏捷な動きで簡単にかわす。
くまゆるはメスのタイガーウルフに向かって走り出す。
わたしは炎の魔法をオスに向かって飛ばす。
タイガーウルフは右にかわし、そのままわたしに向かってくる。
速い!
ウルフと違ってスピードも瞬発力も違う。
一瞬でタイガーウルフが間合いに入ってくる。
土の壁を作る。
でも、簡単に破壊される。
うーん、普通の魔法は効かないみたい。
飛びつかれる距離まで迫られる。
上空にジャンプして逃げる。
タイガーウルフは上を見て唸っている。
滞空時間を利用して上空で悩んでいると。
タイガーウルフがジャンプした。
「うそ!」
落下中のわたしに向かってタイガーウルフが鋭い牙を向けてくる。
「くまぱんち」
タイガーウルフの口を広げている横っ面を殴り飛ばす。
タイガーウルフは地面に叩きつけられる。
わたしは着地と同時に無数の氷の矢を飛ばす。
氷の矢は全て弾かれる。
ゴブリンキングもそうだったけど、普通の魔法じゃ今のわたしのレベルだとダメージ与えられないのかな。
それならゴブリンキングを倒した方法を試してみる。
地面に深い穴を開けてタイガーウルフを落とす。
穴に近寄って攻撃をしようとした瞬間、タイガーウルフは壁を使い駆け登ってくる。
そのままの勢いで爪が襲い掛かってくる。
後方にステップでかわす。
落とし穴は駄目みたいね。
その一方でくまゆるは一回り小さなタイガーウルフと戦っていた。
爪と爪の攻防。
牙と牙の攻防。
互角の戦いをしている。
普通のクマだったらスピードで負けるところだが、うちのクマはスピードも速い。タイガーウルフよりも速い。持久力も高く街からこの場所まで走ってきても疲れる様子はない。
でも、うちのクマと互角とはあのタイガーウルフ意外と強いな。
あっちのタイガーウルフはくまゆるに任せて目の前のタイガーウルフを倒すことにする。
あの毛皮は欲しいから、なるべく傷つけたくないし、どうしようかな?
「ウォーターベアー」
熊の形をした水が現れる。
水の熊はタイガーウルフに向かって走りだし、タイガーウルフを両腕でしっかりと捕まえる。
そのまま顔を自分の体に押し付ける。
タイガーウルフの顔は水の熊の中に入っていく。
タイガーウルフは熊に押さえつけられて動けない。口から大量の空気を吐き出し、息苦しそうに頭を振っている。
クマ系の魔法はやっぱり強いな。
くまゆるの方を見るとタイガーウルフを押さえつけているところだった。
水の玉を作り、タイガーウルフに向けて放つ。
水の玉はタイガーウルフの顔を包み込む。
二頭のタイガーウルフは逃げ出そうとするが、水のクマ、くまゆるにそれぞれ押さえつけられて逃げ出すことはできない。
しばらくすると、二頭は動かなくなる。
討伐終了。
クマボックスにタイガーウルフを仕舞い、クマハウスに戻ることにする。