いらなくないですか
さりげなく新キャラでます(^^
……遂に誘拐犯のアジト的な所に連れ去られちゃいましたマリノアです。
ああぁぁぁぁ……着いちゃいましたよぉぉ…
私が一体なにしたというんですか…
ただ庭でお兄様のお悩み相談!をしていただけだというのにぃぃぃ……
やっぱりあれですか、待機してろという言いつけを破ってお兄様と外に出たのがいけなかったんですか…いやでも、あそこで嫌がってたら余計にお兄様のストレスが溜まっていたかもしれませんし、
そんなことをしたら私の誓った恩返しがむしろ仇で返したってことになる可能性がありますからダメですし
………そもそも何で私まで連れ去られたんでしょうか?
お兄様はチートの象徴的存在ですからわかりますが、そんな大した力も持ってない私ですよ?
…いや、理由はわかっているんです。
ただ理不尽すぎて泣けてくるくらいにひどい理由で……
まだアジト的な所に着くちょっと前の時でした…
精神年齢があれなだけに若干冷静だった私は、小さい声でしたが聞いてしまったんです。
『あのチビは気づいたら一緒に掛かってた』…という会話を!!!
つまり私って、ただ単にとばっちりで連れ去られただけですよね!?
……………………………………………………………………もうこれは記憶から消すことにします…
「くそっ…」
………ん?どうしたのでしょうか?
「…おにーさま、だいじょうぶ?」
「……ああ、うん。ちょっと力がでないだけだから平気だよ。」
…お兄様、そんなに疲れきったお顔をしているのに平気って嘘ですよね?
明らか何度も何かをしようとして全部ダメだった時に出る顔ですよねそれ!?
…………あれ、力が出ない?
「ん?おいおい、何無駄な抵抗してんだよ、坊っちゃん。」
「つかとっくに気づいてる筈だぜ?その縛った縄に無効化の魔法が掛かってるってな!」
「………っ、」
…誘拐犯さん達の悪どい笑い声って結構響きますね………………………………………て、えええぇぇぇ!?
お兄様魔法使えないんですか!?
あ、だからさっき魔法を使おうと魔力を消費してたから、あんなに疲れてたんだ…
「まあ、死なない程度にしとけよ。くたばったら面倒だからな。」
「…………」
…こんな時に全く助けになれない自分が情けなくて仕方ないですね…
足を引っ張ってばかりいるなら、せめて少しでも私の力をお兄様に渡せるようになっていて、無効化の魔法だけでも解かせられたらどんなに今の状況が楽になれたか…
「「………」」
………なんでしょうか、どこからかすごい目線を感じるのですが…
とりあえずその目線を辿ってみると、
「「………」」
誘拐犯さんからはちょうど死角になっている場所に、なんともそっくりな二つのお顔が私をガン見していました。
……もしかしてこの二人も誘拐されたのでしょうか?
見た目はお兄様と同年代っぽいですし、服も(若干ボロボロですが)寝間着らしい感じです。
普通お兄様の世代の人ならまだ十歳にも満たない年頃ですし、知らない場所にいるならまだ泣いててもおかしくないのに、
何故あの二人はもうポーカーフェイスを取得しているのでしょうか……
此方を見ている目は見た目に反して仕事をこなしている人の顔つきですよ…
お兄様といい、この二人といい、何故こうも大人びている人に会うんですかね…?
……じゃなくて、とりあえず目が合ったからには何か話した方がいいですね。
そのまま知らんぷりは気まずいですし。
「あ、「逃げてください。」…え?」
突然の言葉に私が戸惑っていると、女の子が間も置かずに
「ここはすぐに爆発が起こります。ライヴァ様の縄は片割れが解除に取り掛かっておりますのでご安心を。貴女様は私が責任を持って脱出の手助けをいたします。」
うえ、だ、え!?
「……あんたたち誰?何で助ける?」
「そのお話はまた後で。今は…」
「うあああぁぁぁ!!!」
「脱出する事だけを考えてください。」
とても大きな爆発音と共に誰かの絶叫が響き渡りました…
……って、あれ?その爆発音のした場所にとても見覚えのある姿が見え隠れしているような…
するともう一人の男の子が、
「…早い到着ですね。」
「…?………は!?」
「…あ、やっと見つけた、二人とも怪我はない?」
な、なんと煙の中からお姉様が現れました!
…さっきの爆発はお姉様が起こしたんですか!?
というか、なんか、すごい威圧感ハンパないのですが……
とか言ってますがそれよりも嬉しさが勝っているのでもうお兄様と一緒にお姉様に向かって走ってますよ!
「ねーさま!」
「マリ!無事でよかった…何か痛いことされなかった?」
「ん、へーき。にーさま、まもってくれた!」
優しくお姉様がよかった、といいながらなでてくれました…
お姉様の手はいつ触っても気持ちいいですね~…
「…………ごめんなさい…」
「………」
…きっとお兄様は謝りたくて仕方なかったんですね………あ!私、謝ってない!!
「…まあ、私もワガママ言ったせいでもあるし、こっちも謝んなきゃいけないから…お互い様ってことでいいじゃない。」
お姉様も自分に非があると思っていたらしく、あっさりと許してくれました。
「……っ、うん!」
…よかったですね、お兄様!
そう思いながら二人に抱きつこうとしたら…
「よし。アーニャ、オーリア、二人をよろしく…」
「…ふっざけんじゃねえよこの糞餓鬼どもがぁ!!!!」
「「!?」」
え、あれ?何でお兄様達が向かいにいて、首にナイフがあるんですか?へ?
「…下手に動くんじゃねえぞ。こいつがどうなるかわかってるならな…!」
「……っひ!?」
…な、ななななナイフがぁぁぁ!!首にくっついて若干切れてるぅぅぅ!!!
…というか、何二人の足を引っ張るようなこと……………
「「…………あんたいちいち五月蝿い。」」
「…は?………ぐぁっ!?」
「…マリノア様、救出成功。」
「此方もその他誘拐犯員全て確保成功。」
「…二人ともありがとう。後のお片付けは私に任せて。」
「姉さんだけだと大変だろ?僕もてつだうよ。」
………をしているはずなのになんですかね、この余裕っぷり。
私がいてもいなくても変わらない気がしてならないんですけど。
…あれ?二人ともどこに行きました!?
まさか、もう片付けとやらを始めたんですか!?
「…お怪我は大丈夫ですか?マリノア様」
「……ん」
あ、そういえば少し切られたんだった…意識し始めたらズキズキしてきました…
「…傷は浅いようですね。軽い応急措置で大丈夫だと思いますが、念のために戻ってからもう一度治療させていただきます。…少し荒い移動ですのでお気をつけ下さい。」
そんな、大したことはないので大丈夫ですのに……………………て、荒い移動?
ブンッッッ
嫌な予感を察知した瞬間に、二人によっておもいっきり空に投げ込まれました。
…………どんだけ力あるんですかぁぁぁ!!!
天井を痛みもなく越えた後の記憶は、全く覚えていません。気づいたら次の日で、自分のベッドにいました。
その時にはもうお姉様達がいて、私が家に着いてからたった十分後に帰って来たそうです。(…………誘拐犯さん達って、大人ですよね?数もそこそこいましたよね?
…返事が怖くて聞けませんでしたけど。)
そしてあの双子さんはある事情でお姉様に拾われたそうで、今日から使用人兼私の護衛として働くそうです。
(護衛ってことは、……もう私ボッチにならなくて済むってことですよね!?)
その数日後、ある犯罪組織が一夜にしてアジトごと消え失せた、という噂が国中に広がり、すごく話題になりました。
次はやっと主人公の能力が分かる……ようにしたいです