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AGO物語  作者: AGOメンバー
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第二章 冒険と罠と牛男と

やっとダンジョン…いやただの廃坑です。

 タカキ達一行は、コボルトが住み着いている採掘所へと向う。

事前に確認したところ、シグロの町から歩いて約一時間ほどの所に件の採掘所はあるそうだ。

こうも町に近い所にモンスターが住みついてしまった事を知って住民達は安心出来ないのだろう、危険な存在が何時までも無くならない事に報酬が上がっていったのも頷ける。

仕事としては町からも近く向かう道中はさして険しい訳でもないので、一行は何事(ミール暴走)もなく遠目に現場が見えてくる所まで着いてしまう。


 装備の確認等、皆に声を掛けようとディオーネが一行を見廻すと珍しい事にミールが真剣な顔で何か悩んでいるようなので一声かける。


「ん?どうしたミール…何か問題か?」

「うぅ~ん…ねぇ、なんで採掘場にコボルトが住み着くの?」

「はぁ?そんなのコボルトの気まぐれ何じゃねぇの」

「え~!ディオーネそれって何か適当に答えてない?」

「気まぐれ…まぁ合ってるかもな。安全なんだよね、自然の洞窟だとそこに住みかにしている生き物にやられる恐れもあるし、採掘の跡地だと人も来なくなる上に自分で掘らなくていいからね」

「なるほどね、さすがリーダー」

「いやー、師匠から教わったんだけどね、内緒にしとこ…」

「(いや、聞こえてるよ…)」


 タカキって意外に天然…等とミールを除く3人は思うものの、口に出はださない分別はあったようだ。


 クレセントから鉱石の入荷が途絶えてからというもの、シグロや他の町でも所有している既存の採掘場を現在出来うる最大人工で掘り起こしてきたが収穫できる量も質も町の必要量に届かなかった。

それでも採掘しないことには町として維持が難しかったことから町の周辺こはかつての暮らしを取り戻そうとモグリで採掘場を作る者が増え、結果使われる当てのない採掘場が転々と出来てしまっているのだ。

その関係でコボルトのような亜人種が格好の住みかとして使用するに至り、鉱石不足の状態に加え町の住人にも被害が及ぶ原因の一つとなっているのは何とも皮肉なことではあるが。


― 採掘場の跡地 ―


 件の採掘場の入り口は崩れないよう確りとした木枠で作られており、まがなりにも一寸ちょっとやそっとでは崩れる心配はなさそうな代物であった。

左右には中に入った時の明り取りなのだろうランタンが掛けられてはいたが、油は切れおり錆も浮いているため使えそうもなかった。


「ここか?」

「うん」

「アランには懐かしく感じるんじゃね~の」

「ふんっ、ドワーフをおちょくるか、良い度胸だ!」


相変わらずの二人である。


「はいはい、そこまでね、行こうか」

「ああ」

「うむ」


さらっと二人をあやすディオーネ。(リーダー向きだと思うに一票)


「あ、あ; 待ってくれよ、松明が付かなくて…」

「ったく、人間は不便だな」

「ふん!、はっ!、とぉ!、いや!」


5分後…どぉぉ~(泣き出すタカキ)


「付かないよ~」


(マヌーに一票である)


「はぁ~、貸してみろ」


奪い取るように火口箱一式を手に取るアラン。

モノの数秒で松明に火を移すとタカキへと手渡す。


「ほれ」

「はや!ありがとう」

「行こうぜ、タカキ」

「おぅ!」


採掘場の中は湿気でジメジメしており、奥に進むにつれ採掘場とは異なる異臭が漂ってくる。


「何か臭う~」

「ああ、なんだこの臭い」

「腐臭だな、この中で依頼を受けた冒険者の遺体が、そのままになってるんだきっとね」

「なんでコボルトがそんなに強いんだよ、なぁ?」

「コボルトはゴブリンやオークに比べると強くはないが、知能が高いんだ。集団で狩りをする習性に加え罠を仕掛けたりする事もあるし、中には他の種族の言語も話せるのも稀にいるらしい」

「だとしたら、この中に罠があるかもってことか?」

「あり得るだろう…そうでもないとあそこまで報酬も上がらんし、少なくとも地の利は向こうが上だ厄介かもな(コボルトの罠程度でそこまでやれるものか?…(この感じ、空気の圧迫感…コボルトにしては重いなコボルト以外にいるかも…それとも先客がいるからそっちか?まぁ行けばわかるか)」


 この採掘場は鉱石が採取出来たのか坑道は意外にも広く広がっており、直ぐに探索が終わるだろうとタカキ達の勝手な想像を打ち消していた。

道は単調なので迷いこそしないが、長い時間何も変化が無い事に痺れを切らすものが一名出て来る。


「コボルト~どこなのよ!もぅ出てきて~」

「それで出て来たら苦労しないって」

「飽きたんだもん!」

「「「はや!」」」

「そういえば此処まで罠は無かったよな、有るのか?」

「さぁな、コボルトが住処にしてる部屋の付近とかじゃねぇの」

「ふむ、気が付いて無いようだな…此処に来るまでに鳴子や転倒させる罠は皆解除されていたぞ」

「え?そうなん?」

「うむ、坑道の脇に置いてあった木っ端や不自然な段差の近くにあるロープは先行している同業者が解除したものだろうよ…その先にも有るぞ」


 アランが指さす先を良く見れば木の蔦のようなものが坑道脇に丸めてあり、その先には先端が尖った石が幾つか置かれている。

注意しなければ分からないが、蔦が張られていた場所から転倒した場合丁度当たる位置に設置されている事から簡易的ながら立派な罠と言える物だ。


「ほぇ~、良く気が付いたね」

「ああ、坑道としては無駄な凹みや出っ張りが気になってな」

「なるほどねぇ~」


 そんなやり取りをして進んでいると奥の方が松明らしき明かりと男女の声が聞こえる。

坑道がややカーブしており姿こそ見えてはいないが、大松の明かりと思われる光はタカキ達の通路にまで伸びてる。

どうやら光源の位置は床からのようで、松明を床に置いて話しているようだ。近づくにつれ次第に聞こえる男女の声も鮮明になる。


「何やってんのよぉ!」

「わりぃ、解除しくじったわ」

「あんたはぁ、ハンターでしょうぉ、信じらんないぃ!」

「そんな怒るなって、俺様だってハンター成り立てなのよ、わかる? いくら天才の俺でも失敗の一つくらいはするわ」

「難しい罠ならわかるけどぉ… なんで足に引っかかると宙吊りになる定番の罠の解除に失敗するのよぉ!」

「いやー、面目ない;」

「面目ないじゃないぃ、信じらんないぃ、逆さまで頭に血がのぼるぅ」

「もぉ、登ってるじゃん」

「何ですってぇ! マジックミサイル撃つわよぉ!」

「おー、こわ;」


 痴話喧嘩が行わてる場所にたどり着くと、そこは話し合ってた通りに男女二人が宙吊りになっている何とも神妙な光景が広がっていた。

その光景を見て数秒固まる一行、が直ぐに再起動を果たしたタカキが声をかける。


「あの~、大丈夫ですか?」

「見てわかるでしょうぉ! 大丈夫な訳無いでしょうがぉ、助けなさいよぉ!」

「あ、はい;」


 まず女性の方から下ろした方が無難かなとディオーネは落ちないようアラン、ルージュに声を掛け、しっかりと支えると縄を切るようにタカキに合図を送る。


「まず、この縄から切ってくれタカキ」

「あいよ。はっ!」


シュッン

2本同時に切る…これがタカキ クオリティ;

無論、男性の方は支える人は居ないため重力に逆らう事無くそのまま落ちる。


「げふ!」


1ダメージ残りHP2…女性の方は3人で持っていた為ダメージ無し。


「あははは、解除失敗の罰ね」

「タカキ; この縄からって言ったよな;」

「ごめん、ついね;」

「いててて、手荒いなぁ」

「ごめん、大丈夫かい?」

「ああ、なんとか大丈夫だよ。サンキュー」


 罠にかかってた二人を助け一段落ついた所でお互い話し始める。


「助けくれてぇありがとね あたしはぁアルベルト・ライザ。こう見えても魔法使い(マジックユーザー)よ。ライザでいいわぁ あっ、こっちがね」

「あっ俺ね、俺はディレント・シーストン。駆け出しのハンターだ、シースと呼んでくれ」


 ライザはこの辺りでは珍しい金色の瞳をもった美少女だ。

艶のあるブロンドの髪をアップ気味に一纏めにしていても腰の辺りまである長い髪は、ケアが行き届かないこの時代にしてはかなり珍しい髪形と言える。

言動はいささか悪いようだが、思った事をストレートに話すあたり心根は良い様だ。

シースは金髪碧眼の理想的なヴァレンティアっこ(ヴァレンティア王家の血筋に見られる容貌)で町の娘達がキャーキャーと騒ぎたてそうな美男子だ。

正直なところ見れば見るほど選んだ職業を間違えてるような二人組だ。


 タカキ達も簡単に自己紹介し此れまでの経緯などをお互いに話し合う。

ライザとシースはシグロがら山沿い面した(ノルス)の出身で、モンスターに村襲われた時に何も出来なかった悔しさと、宝を見つけて貧しい村の助けになればと冒険者になったらしい。

今回は簡単なクエストで報酬が高いからと直ぐに飛びついたが失敗だったかなと表情を曇らせる。


 二人だけだと不安だろうし罠解除や魔法の専門家が居れば自分達も助かるので、報酬は頭割りになるが一緒に組むのはどうかとタカキとミールが誘ったところ、不安だったのだろう二人は色よい返事を返してくる。


「んとぉタカキにディオーネ、ルージュ、アランにミールね、よろしくね♪」

「よろしく~(にぱっ)」

「しかし珍しいよな、PTにエルフ族とドワーフ族の割合がこんなに多いなんて」

「あぁ~俺が成り行き上リーダーやってるけど、どちらかと言うと俺が元々組んでいた皆のPTに入ったって感じなんだよね」

「ふ~ん、タカキがリーダーなのね冴えないけどぉ、よろしくね」

「…」


ごもっともですライザさん;


「んじゃ今、使える魔法を知っておきたいので教えてくれないかな」

「いいよ~、まだレベル低いから1日一回しか使えないけど」

「だな、俺はコボルト相手だしな数匹いるとしてスリープ(眠り魔法)にした」


 低レベルモンスターに対する定番魔法ともいえるスリープをチョイスしているディオーネ。他の連中も似たようなチョイスになるので確認するまでも無いだろうと思案しながら隣のミールとライザに目を向ける。


「「マジックミサイル(魔法の矢)よ(だよ)」」

「…」


一同(女性陣、血の気多いことで…)


「もちろん俺は取って置きの腹話術(ベントリロキスム)さぁ!」

「あ、スクロール買ってくれたぁエルフだったのね、しかも使ってるなんて紳士ね」

「まぁな」

「ベントリロキスムってどんな魔法なんよ、あんまり聞かなくてね」


そうするとシースの後ろから声が聞こえる。


「こうゆう魔法さ」

「うぉ!、なんだ! 後ろから声が、すげなぁおい」

「今、使ってどうすんだ取って置きをなんだろ…」

「あー! しまった…(ガクッ)」

「…(おいおい;)」


 正式にPTを組むかはこのクエストが終わってから決めてくれれば良いからまずは先を急ごうと、クエストを忘れ賑やかになったPTの尻を叩くように先を急がせるディオーネに苦笑交じりで同意する一行。

リーダーはディオーネでいいじゃね?と何時もながら思うタカキであった。


 シースも加わり罠に掛かる事も無く進む一行、脇道も無くなり一本道となった坑道には強い腐臭が充満しており目が痛くなる程だ。


「んー、キツいな!」

「臭い強くなったな、何かあるかもしれない警戒しよう」


 警戒しながら歩を進める事数分、道が開け広間が見える。

広間は人が20人は入れくらいの広さで、奥は分かれ道になっているようだ。

広間に踏み込むと更に臭いが強くなり、先に探索した冒険者なのだろう獣に食い荒らされたような人らしき遺体が数体目に入る。


 タカキは強烈な腐臭を放つ遺体の状態を良く見ようと近づくが光の加減か良くは見えない。ふと松明が直ぐ近くで灯され全体を把握できるようになった。

見ればシースが肩を竦め「他人事じゃないぜ?」と小声で呟きながら松明を掲げてくれている。

遺体は無惨にも原形をとどめてないのや、誰の物だか判別できない腕や足が散乱しており、中には上半身と下半身が別れているものもあった。

数が多い事があるとはいえ、こんな事が非力なコボルトに出来るものなのかと疑問に思う惨状だ。

タカキの本能が「別の何かが居るのではないか」と警鐘を鳴らす。


「な、なんなのよぉ」

「ひどい…」

「おいおいコボルトってよ、こんな力強いのか?…見た限りじゃ大きな罠をかける地形でもない訳よ。ディオーネさんよぉ、どう思うよ」

「ああ、ルージュの言うとおりコボルトの強さではないのはわかったが一体何がいるんだ…」


 一行が不安を感じてる中、奥の分かれ道の左側からヒタヒタと足音を立ててコボルト達が姿を現す。

ホールに入ってきたコボルト達は三匹のようだ、それに気づき戦闘体勢を取る一行に対しコボルト達はホールの中ほどに達つすると何か話しだす。


「コボ、コボコボ」

「コボコボ言ってて判らないよ;」

「あっ俺、コボルト語解るは訳すな」


ディオーネが手を上げ、皆が攻撃しないよう制止の合図を送りコボルトの言葉に耳を傾ける。


「ディオーネやるな~」

「コボコボコーボコボ(訳:よく来たな命知らずの者達よ)」

「コーボコボコボコボ!(訳:おいら達、悪のコボルト三人組!)」

「コボ!(訳:テレ!)」

「コボ(訳:ペコ)」


― ブチッ ―


「あ~、もぉ! コボコボって、うるさぁいぃ!マジックミサイルぅ!!」

「…え゛?」

「ラ、ライザさん…;」


コボルト目掛けてマジックミサイルが唸る。そして、しゃべり始めたコボルトにhit!


「コ…ボォ…(訳:コ…キャ…)」


コボルトに6ダーメジ、ライザはコボルトを倒した!


「コボォ~!(訳:コキャ~!)」

「ライザさん…こえ~…」(一同)

「コ、コボコボーコボ!訳:(よ、よくもコキャを!)」

「コーボッボ、コボボー、コボコボ!訳:(こうなったら先生~、お願いします!)」


 コボルトが、そう言うと奥の分かれ道の右側から足音聞こえてくる。

その足音が大きくなるにつれシルエトもハッキリしてきたて…モンスターの身の丈2メートル以上、腕、胸板共に尋常じゃ無いくらい隆起しており、両手で持つはずのバトルアックスを片手で持ち軽々と振るう、その顔は牛の形をしていた…牛男ミノタウロスである!


「ミノォーーー!」

「コボボーボコボ コボコボ!訳:(この方はミノルスタ・ミタローン通称ミンボゥ先生だ!)」

「コボボ!、コボッてください!訳:(先生!、やっちゃってください!)」

「マジでミノタウロスかよ、しかも『ってください!』は共通語になってるよ!」

「ミノミノ(訳せる方がいないので、みんなで想像して入れてみよ~)」

「まずい!このまま通路まで逃げて、迎え討とう」


そう言って全力で走り出す一行。


「通路を抜けたところなら、こっちが有利戦える」

「うむ、あ奴の持ってるアックスはいい物だ」

「見てるとこは、そこなの!ねぇ…」

「まったく、ドワーフは毛深いのは心臓までとはね、恐れ入ったよ」

「うむ、冷静沈着といってくれ」

「あの報酬じゃ割に合わないよな、なぁ」

「シースは、か弱いぃ私を守ってね♡ 魔法使っちゃったしぃ」

「はいはい、か弱いね(何処がか弱いんだか)ボソ」

「ん? 何か言ったぁ!」

「んや、おー怖…」

「ねぇ、タカキが一緒に来てないよ?」

「何~!(一同)」

「まさか、あのまま戦う気か…相手はミノタウロスだぞ、幾らタカキでも分が悪い…」

「戻ってタカキを助けよう!」

「だな」

「ったく、世話かかるリーダーだ」

「だね、あはっ」

「うむ」

「おいおい戻るのか;」

「行くわよシース!」

「はいはい…(とんだリーダーだ)ボソ」


 タカキの居るホールまで、またも全力疾走で戻る一行であった。

やっとライザ(魔法使い)とシース(盗賊)が登場…あとは僧侶か?

タカキPTって結構大人数だよな。

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