第二章 洞窟 迷パーティー
短いです;
どうにも説明が足りない文と成っていますので、後で加筆するかもしれません。
種族特性のインフラビジョンを拡大解釈していますが、突っ込みは無しでお願いしますね;
一行は掘り跡をたどり、例の洞窟の前に辿り着いた。
時は夕暮れ間近、森の深さも手伝って、洞窟内は見事に真っ暗である。
「さすがに何も見えないな」
木陰から洞窟を覗き込むタカキ。
「ここは俺がざっと見てくるわ」
ディオーネが足早に洞窟に駆け寄り、中に入って行く。静かな森。聞こえて来るのは木々のせせらぎくらいか。
暫くして、ディオーネが帰って来た。
「OK、入り口付近は何もない。奥に続く一本道だ」
「よし、行くぞ」
タカキの合図で洞窟に踏み込む。
「暗いな。明かりを着けてくれ」
「えっと…タカキ、見えないの?」
「こう暗くてはね、何もわからんよ」
「そうか、タカキはヒューマンだったな。不便な種族だよな」
ディオーネの鋭い突っ込み。
「へ?お前らは見えてるのか?」
「ハッキリとはいかないけど大体はね…モンスターに気付かれずに探索するには便利なんだよね…本当に人間は出来ないの?」
「灯りがないと見えん!(キッパリ)」
「え~。しょうがないなぁ~。アラン、松明点けてあげて」
「うむ」
アランの灯した松明で辺りは明るくなった。
人工的な洞窟を警戒しながら奥へと進むと、道が三方向に分かれている所に出た。
3つに分かれたその道は、何処も真っ暗で先は見えない。
タカキがどの道に進むか悩んでいるとミールが当然とばかりに無い胸を張って右手側を指さす。
「右でしょ」
「「んじゃ、左だな」」
と、すかさずディオーネとルージュが声を揃えて言い放った。
「も~。なんでよ~。タカキはどっちにするの?」
元は三択なのに、何故か二択の強要をするミール。
「じゃ、真っ直ぐで」
タカキもなかなかのキレ者だ。
リーダー権限で真っ直ぐ進む事になったが、ミールは不機嫌だ。
不機嫌ついでに先頭をずんずん進むミール。灯りが後ろに有るので、暗視を使って先にある扉にいち早く発見し、相談もせず勝手にそーっと扉を押し開ける。
…つもりだった…
ギイィィィィ!
もの凄い音と共に扉から明かりが漏れる。
驚いたミールも覚悟を決めて扉を覗き込もうとするが、隙間から鋭い切先が飛び出して来た。
間一髪!頬をかすめるほどの角度で突き出された剣。
同時に中から声のような音がする。
「…誰…ダ…」
「ミール、です?」
ミールは咄嗟に返事をしてしまった。しかも何故か疑問形。
「…ニー…ル!?…サ…マ?なのか」
扉が開くと、声の主はゴブリンで、何やら怯えているように見える。
「※@#¢マダ……ミツ…カラナ。コロ…サ…イデ」
誰かと勘違いしているようだ。
状態が把握出来ないミールのもとにタカキ達がやって来た。
「大丈夫か?ミー…」
「しっ!私を誰かと勘違いしてるみたいなの。このまま上手く誤魔化して、ニールとか言う人物に成りすませれば大事にはならなそうな感じよ」
「ニール?!」
タカキはクレセントでの出来事を思い出し、怒りがこみ上げて来るのを感じた。
「コイツら、奴の仲間か!」
怒りに満ちた殺気を纏うタカキの姿を見て、ゴブリンは更に怯えている。
「待って、落ち着いて。ここで無闇に争うのは得策じゃない。話が出来るなら話し合いで乗り切りましょうよ。何かの情報も得られるかも知れないし」
ミールの必死の説得にタカキも何とか平常心を取り戻した。
怯えるゴブリンを手玉に取るように、ゴブリン語を会得しているルージュを通訳として会話をするミール。
「ゴブゴブ」← ルージュ
「ゴブ、ゴブゴブ」← ゴブリン
「ゴブゴブゴ?」← ルージュ
「ゴブゴブゴブ」← ゴブリン
…
…
タカキ達ヒューマンにはこんな風に聞こえているに違いない。
そんな会話を聞きながら部屋を見回すと、ここは調理場のようで奥には足枷で繋がれているアウロラの姿もあった。
何とかゴブリンを説得し、無事アウロラを解放させる事に成功したミール達。
こってりタカキに絞られたアウロラを連れて街に帰った時には、とっぷりと陽は沈んでいた。
- アウロラの実家(料亭ルシチ) -
アウロラを説得しギルドに無事保護した事を報告し、取ってきてしまった石板を返却しようとすると、ギルドの石板ではない事を告げられる。
どうやら魔法的な処理が施されているようなので持ち帰るよう言われるてしまった。
石板の件は腑に落ちないが、アウロラから助けてもらった礼がしたいという申し出に一路アウロラの家である食堂へと足を向けた。
ようやく一段落ついたタカキ達一行は、そこでアウロラの母親(ルシチの女将)の好意で夕食を頂ける事になった。
食事をくれるならと、昼に獲ったウリ坊を提供した事で一層豪華になった夕食を頂きながら、ミールとルージュが聞いてきたゴブリン達の話をまとめている。
どうやらあのゴブリン達は、ある石版を探すようニールという魔族に命令された友ゴブがいて、その手伝いをするためシグロ近郊のあの洞窟を根城に活動を続けており、アウロラを監禁してたのは美味しいスープが作れる事を知って飯炊き専用の捕虜とするためだったようだ。
意外にもあのゴブリン達は秩序だって行動しておりタカキの知るゴブリンとは大分異なる種族のようだ。
ゴブリン達は二ールという名前とその残虐さだけを友ゴブから聞いていたから、ミールとニールを聞き間違えて怯えていたようなのだ。
「とまぁ、こんな所かな」
ルージュが簡素にまとめる。
「と言う事は、最初に襲われたのは俺達があのスープを平らげたせいか?」
「そうみたい(てへぺろ)」
「なんだよ。やっぱりミールが諸悪の根元じゃねーか!」
「うむ」
「なによー。アランまで!も~皆共犯じゃないか~」
「あはは……」
和やかな雰囲気の中、タカキだけは一人悩んでいた。
手に入れた石版がギルドの用意した物では無かった事、スレイブニルの手下が付近に居る事、剣圧が物足りなかった事、ミールとニールの呼び名が似すぎている事etc...
ともかく、タカキ率いる迷パーティーの誕生である。
何故か違う小説のような気がしてなりません…って、作者違うしw
やっぱ「ほのぼの」感が足りないせいかな?
既に12月となってしまいましたが、タカキPTメンバー全員は未だ登場していない状況…本当に大丈夫なのだろうかこの小説;