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AGO物語  作者: AGOメンバー
15/26

熱き想い…そして決意! 14

あぁぁぁ、「もう今までのノリじゃ無いので読みたくない」とか、そんなこと言わずに最後まで付き合ってよ~って、泣きが入りそうな感じで書いてます。

書き手も辛いとか、しょうもない作品に成りつつありますね;

 涙を払い、急ぎ城へ向かうタカキとシオン。

城へと向かう途中にはゴブリン等のモンスターと出くわすが、道中で合流した街の警護に充てられていたクレセントナイツの協力を得て、無事大手門前へと辿りつく事ができた。


 大手門は内部から開けられたのであろう、閂はそのままとなっており頑丈な扉自体には殆ど損傷もない。

付近には祭り最終日に守備に充てられていた事を嘆いていた顔見知りの門兵の首が、唖然とした表情のまま開け放たれている門を見つめているだけだ。


「シオン様、我々は此処から更にモンスターが入らぬよう門を死守いたします。先行して隊から4名城内の謁見の間へ行かせます。シオン様は4名を追う形で城内へお急ぎください!タカキ、道中姫を頼んだぞ!」

「分かった、すまない。皆頼んだぞ!」

「はっ!」


 タカキは先行する4名の背を確認すると、大手門を守る騎士達から見送りを受けつつシオンを守る様に城内へと足を踏み入れた。

遠く剣戟の音が響く中、先行した4名が倒したのか真新しい血痕とモンスターの亡骸が転がる廊下を注意しながら奥へと進む。


「…敵の本体は既に城の中なのか?…急ごうシオン!」

「はい」


 脇の通路からギャッギャと躍り出て騒ぐゴブリン達を蹴散らしながら、タカキはシオンの走る速度に合わせ目標とした謁見の間へと急ぐ。


 漸く二の丸がもう直ぐそことなった頃、モンスターの強さが増してきたのだろう先行した4名がオークや人狼と思われる大量のモンスターの亡骸と共に横たわっていた。

最後の生き残りであろう人狼のモンスターは先行した4名にかなりの深手を負わされ錯乱しているのだろう、足を引きずりながらも騎士の亡骸に一撃を入れようとしている。

タカキはさせるものかと人狼の首目掛け刀を滑らせ止めを刺すと、刺さった刀を抜くため思い切り人狼の腹を蹴り込み抜けた刀の血糊をブンッと払った。

まだ生き残りが居ないか注意深く周囲を窺い安全を確認すると2人は騎士の亡骸の瞳を瞑らせると先を急いだ。


「やはり敵本体は既に城内にいるのか?モンスターの質が変わってきた……ハァハァ」


 シオンも疲労を感じる程だ。自分を守りながら戦闘をこなしているタカキが疲れていない訳がない。

タカキ…試合の後だもの体力回復しきってないんだわ。それに私のことを考えて戦ってる… 私、いつまでタカキの負担になってるの? いつかタカキに頼られるようになりたいのに。

疲労の色が見え始めてきたタカキの歩く背中を見つめ、シオンは自身の力の無さに泣きそうになりながらも足を動かし続けた。


 2人がやっとの思いで城の二の丸を抜けると、そこは真っ赤な絨毯と間違えるほどの血痕と、兵士や騎士達の屍で埋め尽くされており敵対者の圧倒的な力を見せつけられる光景が広がっていた。


「う、嘘だろう……」

「何なのこれ……」


茫然となる2人。

ハッとタカキは気を取り直すとシオンの手を取り奥へ急いだ。


「中へ急ごう!王達が心配だ!」

「タカキ…うん」


 騎士達の亡骸を頭の中から振り払う様に本丸の中に入ろうと扉を潜ろうとしたタカキの頭を目掛け、大型のメイスが振り下ろされる!


「くっ!」


ガッキィィン


 とっさに持っていた刀で大型のメイスを受け流すと、扉からを遠ざかるべく左手でシオン腰を抱くと後ろへと大きく跳躍する。

油断なく扉に切っ先を向けながらタカキが吠える。


「出て来い!」


 扉の影からのっそりと出てきたのは2mを超えていそうな巨躯を持った浅黒い肌を持った男だった。

男は筋肉の塊のような巨躯を左右に振りながら扉の前まで来ると、大型のメイスを肩叩きの様に軽くポンポンと叩きながらニヤニヤと顔を厭らしく歪める。


「そんな折れそう武器で俺の相棒メイスを流すとは…ハッ、生きの良いのが居るじゃねぇか。しかも女連れとは見せつけてくれるねぇ、ああん?」

「くそっ、こんな時に…」

「何焦ってんだ?城に行ったってよ~王はとっくに逝っちまってるぜぇ~…それよりよぉ~俺は今すっげ~暇なんだわ~。だから~暇つぶしに付き合ってくれよぉ、ああん?」

「ふざけるな!」


 この先に行くには…戦うしかないのか。覚悟を決めろよタカキ!

焦る気持ちを捨て、正眼に構えシオンを背に隠すように移動すると、相手の動きを見失わないよう睨みつける。


「いいねぇ~切り替えしが出来てよぉ~好きだぜ、俺はスカラ…お前は?」

「タカキ・シノサト…参る!」

「ああん?そんじゃぁ~行くぜぇ!」


 そのまま真正面から激突すればタカキは大型メイスの膂力に押し負け取り返しのつかない状態になっていたであろう。

しかし、2人が激突する直前にタカキの前に突然影が飛び込んで来る。

影はスカラの攻撃を厚手の剣で弾き返すと、間髪いれずに体勢の崩れたスカラの胴に剣を振った勢いを加えた蹴りを喰らわせ吹き飛ばした。


「タカキ!何やってんだ、しかっりしろ!!こんな相手に真正面から当たる奴が居るか!」


その姿は全身返り血で元の色が分からなくなってはいたが、紛れなく騎士団長サイガだった!


「隊長…」

「こいつの相手は俺がする。お前はシオン様とこの先にある地下への隠し通路を使い脱出しろ。シオン様が知っている筈だ」

「な、親父!」

「そこには脱出用の船がある。残ってる人とシオン様を連れだすのだ。俺も後から追う!」

「くっ、了解!」

「…おじさま気をつけてください」


タカキ、シオンがさっきまでスカラが塞いでいた扉から城の中へと入って行っていくと、それを待っていたかのように吹き飛ばされたスカラが徐に首をコキコキと鳴らしながら起き上がった。


「ふぃ~、いい攻撃じゃねぇか、ああん?そんじゃぁさぁ~、楽しもうやぁ、ああん?」

「言われるまでもない…しかし急ぐのでな、楽しむつもりはない!」

「面白れぇなぁ、ああん?」


飛びかかるスカラとサイガ。

重い剣戟の音が辺りを震わせる。



----------------------------


 城内に入ったタカキとシオンは先程まで苦難が嘘のように奥澱へと抵抗も無く進む事が出来た。

だからであろうか、少しばかり余裕が生まれたからか向かう途中に瓦礫に混じって野菜や肉のなどの食材が散乱しているのを目にして気に掛ける事が出来た。


「料理の準備中だったのね…あの子達無事かしら…」

「ん?」


 タカキが散乱した食材の後を目で追うと、通路の中間という不自然な位置に白い壁が存在していた。

不思議に思いその壁に近づくと、ひんやりと冷気を発している。


「この壁…氷で出来てるのか?」

「!!」


その氷の壁をよく見ると……中にはアイ、マイ、ミィの姿が…


「なぜ三人が氷の中に…」

「こ、こんな事って…アイ、マイ、ミィ…やっぱり私…なにも出来ない…王の娘であるのに、みんなに甘えてばかりでごめんなさい…」

「嘆いている場合じゃない!シオン、王の許へ急ごう!」

「うぅぅ、…うん」


 ここも激戦だったのだろう謁見の間に近づくにつれクレセントナイツの中でも王の護衛やサイガが選んだ屈強な騎士達が屍となって横たわってた…状況を認識する度に不安がつのる2人。

そして謁見の間にたどり着くと、その不安は現実へと変わる。


 謁見の間の最奥には王と王妃がピクリとも動かず横たわっており、それを山羊の角なのか異型の角を生した男が路傍の石でも見るかのように佇んでいる。

さらにその男を守るかのよに、三日月刀を持った者とハンドアックスを持った者が、両脇に控えており容易に近づく事は出来そうもなかった。


「王!」

「お父様!、お母様!!」


思わずと叫んだ2人に気が付いた男3人の内、ハンドアックスを持ったの男が喜色満面に口を開く。


「お!?こいつは、俺が頂く…よろしいでしょか?スレイプニール様」

「まぁ、良いだろ、ブッダ」

「へへっ、いただき~!」

「ちぃ、先越されたか」


 スレイプニールと呼ばれた男から許可を得たブッダと呼ばれた男は三日月刀を持つ男に手をヒラヒラとしながら前を開けるよう指示する。


「ゲッツは、さっきまで楽しんでたろうによ、前を開けな」

「フンッ、奴らでは弱過ぎて物足りん」

「まぁそう言うなや…ちぃと楽しんでくるわ」


 タカキはこれまで通りシオンを背に隠すように前へ出る。


「シオンは俺の後ろに…離れていた方が良い」

「はい!」

「大丈夫、必ず君を守り通す!」


タカキは一端納刀すると、腰を屈め窮屈そうに身体を捻ると鯉口からカチャリと鍔を少し上げる。


「そんな細っこい武器で女を守り通すって?格好良いわ~」

「…あの武器にあの構え…油断するなブッダ!やるぞ!その男」

「大丈夫ですって、ニール様」

「そうか!ブッダてめぇが負ければ俺が楽しめる。思いっきり油断して負けて来いやククッ」

「うるせぇ、ゲッツ!この俺が負ける訳ないだろが!!」


 ブッダはゲッツの方に真っ赤にした顔を向け怒りを口にしている。タカキはこの隙を逃さなかった!

この状況では勝ち目はない。相手が油断してる今こそが勝機、隙をついて戦力を削る!

…この後オヤジとラクセルが来れば尚良い!シオンの助かる率が上がる!


「だから、この隙を突かせて貰う!」

「じゃあい…!?」

「早い!」


タカキは一瞬でブッダの懐に入ると同時に抜刀!ブッダの胴に一閃が決まる!


「な、何だ?…な、なにしや・が・・れ・・」


ブッダの口から言葉ではなく粘度を持った液体が流れ出ると同時に上半身と下半身がズルリと別れ倒れる。


「マジかよ……貴様ぁぁぁ!ぶっっっっ殺すぅ!!」

「待てゲッツ…私が相手しよう」

「ニ、ニール様…しかし、い、いえ畏まりました」


仲間の死に激昂したゲッツを一睨みで黙らせるスレイプニール。


「油断してたとはいえ見事だ。一閃でブッダを葬るとはな。私が直々……」


スレイプニールが前に出たところで、謁見の間にクレセントナイツ数名がタカキの所へと辿りついた。


「タカキ大丈夫か!?」

「王は…王!」


 スレイプニールは自分の口上が邪魔された事に不快感を覚えたのだろう。不機嫌そうに呪文を唱え始める。


「…全く無粋な…邪魔をするな!!…ライトニングボルトォ!!」


スレイプニールの指先から雷のような青白い閃光が迸る。

その閃光は壁に跳ね返りながらタカキ、シオンの後ろに居たクレセントナイツのみを貫いた!


「ぐぁぁぁ」

「うわぁぁ」


「ふっ…とんだ邪魔が入ったな」

「な、何だ今のは…」

「ん?そうか、確かこの国には魔導師がいなかったな。魔法を見るのは初めてか?ならば教えてやろう…

先程の術はライトニングボルトと言ってな、雷撃の魔法さ…王や王妃にも使ったがな」

「「ッ!!」」


息をのむ2人を面白そうに眺めながらスレイプニールは短い詠唱と共に一本の光る矢を自身の目の前に出す。


「で、この魔法はマジックミサイルといってな…魔導師が使える初歩の魔法なんだが…術者のレベルが低いと一本しかだせない。ふふっ、しかし~私くらいの術者になると…」


さらに光る矢が10本増える


「一回に出せる数が違うのだよ。ふふっ、遠慮は無用だ…全て喰らうが良い。マジックミサイル!!」


11本の光の矢がタカキ目掛け音も無く高速で飛んでくる。


「刀で防げばダメージ軽減出きるはず…なっ!すり抜ける!」


ドスドスと全ての矢がタカキへと吸い込まれるように命中すると、光の矢は役目が終わったとばかりにスーッと消えてなくなり、後には血だらけになったタカキが横たわるだけだった。


「がふ!」

「そんな…タカキィ!」


顎を摩りながらスレイプニールは然も可笑しそうにタカキへと問う。


「悪いね、言い忘れていたよ。魔法は魔力の宿る武器、防具でなければ軽減すら出来ないものなのだよ…返事がないようだが死んだか?…ふむぅ、聞いてるかのね?次はこの娘が危ないのだが…守り通すのではなかったのかな?騎士君」

「そう、だよな…守り通さなきゃな!」

「タカキ~!」


 やや感心した風に驚きの表情をワザとらしく作りあげるスレイプニール。

しかしその表情は長くは続かず、もう少し遊べると瀕死になったネズミを前にした猫のように口の両端をニィィと吊上げる。


「ほぉ…あれだけ受けて、まだ起てるのか…素晴らしいではないか。では敬意評して、もう一つ魔法を教えてやろう…こちらに向かう途中見たであろう?三人の娘が氷づけになっていたのを」

「ダメ~!!!」


シオンが咄嗟にタカキを突き飛ばすのと同時にスレイプニールの魔術が発動する。


「求めるは静寂なる凍てつく障壁…アイスウォール!」

第一章もいよいよ大詰めです。

出てきたキャラ達が此処に来て皆居なくなってしまって…この小説おかしいんじゃないかと本気で思う人も多いかと思いますが…仕様です;

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