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AGO物語  作者: AGOメンバー
11/26

熱き想い…そして決意! 10

ええ~っ?そういう展開?みたいな落ちなんですが…

強引すぎますが、仕様ですw

 キノコ狩り事件からから一年が経た。

王位継承権を持つ王族の命にかかわる事件であったのだが、公には真実とは異なる事件と成っている。

直接関係した者は死罪になっても可笑しくは無い出来事であったが、王妃であるレイナ=クレセントが何を思ってか事件の真相を揉消すよう指示した事で関係者の首は未だ繋がったままだ。


 彼の事件は公にはシオン姫と王妃とが婚姻相手についての口論が原因で姫が城を抜け出し、森の手前で直ぐに身柄が保護された事となっている。

当然、その日の傍仕えであるタカキやマイはシオン姫の行動を止める事が出来なかった事から半年間の謹慎処分となり、その上司である侍従長カスティーラ、女官長コーウェン、騎士団長シノサトは、その年の俸給を減俸とした事で事件は一応の決着となっている。


 ただし本事件は姫と王妃との間で発生した口論が発端となっている事から、王の寛大な処置として「これまでの役職までは奪わない」としており、本人が望めば引き続き同じ職務に就いても良いとしていた。


 当然タカキはそのまま付き人として職務に就く事を希望。周囲の歓迎ムードの中、今も去年と同様その任に就いている。

実はシオンの恐怖症は特定の人物以外では未だ克服したとは言い切れない状態であったため、タカキの復帰を待っていた者は少なくなかったのだ。




- 騎士団トレーニングルーム -


「はっ!」


 踏み込みと同時に抜剣!

此処の所は是ばかり練習しているんだが…ふみ~何かが違うんだよな…一年前プレシアに飛びかかって来た狼に切りつけた、あの感覚が未だ掴めない。

偶然にしろ一度は出来たのだ、再現出来れば今後の成長につながるはずなんだがな~。


「ふん!」


 顎先から汗が滴り落ちるほど同じような動作を延々と続けていたタカキだが、自身を呼ぶ声にその手を休めると声の方へ身体を向ける。


「タッカキィ~」


 見ればシオンがお付きの侍女アイを連れ、遠くも無いのに手を大きく振りながらトレーニングルームに入ってくる所だ。

シオンの淑女としては落第となる素振りに、後ろに控えるアイは仕方のない方ですねと困った表情で付き従っているが、不穏な気配にシオンがアイの方を振り向くと何でも有りませんよと目を伏せ、持っていたバスケットをシオンに手渡すとタカキには聞こえない音量で「胃袋鷲掴み作戦開始です」と告げる。

数瞬後、2人して吹きだす。


「シオン?」


いぶかるタカキを余所にシオンは含み笑いを抑えながらツツツッと傍に寄る。


「頑張ってるね」

「あぁ…」

「ん?なんか元気ないぞ?お弁当作ってきたからこれ食べて元気だして。はい!」


持ってきたバスケットを見易いよう両手で胸の前まで持ってくると蓋を開け見せる。


「おぉ~助かる~」

「ふふっ、タカキの為にお料理の勉強もしてるんだから」

「嬉しいよ、ありがとうシオン。折角だから外で食べようか、天気も良いしね」


窓から入り込む光に目を細めながら答え「さぁ、行こう」と振り向きながら微笑むタカキ。


「う、うん///」




 外は思った通りの晴天だ…う~ん空が高いな、風はまだ寒くないし良い感じだ。

手を伸ばせば届く所にシオンの笑顔があるし…手造り弁当とか…俺幸せ過ぎ?


 ベンチに腰を下ろしながら益の無い考えをタカキが廻らせている傍らではアイがポットからお茶を用意しており着々と昼の用意がされている。


「では、いただきます。おっ!クレ茸の肉巻きか」


 小ぶりなフォークで勢いよくクレ茸の肉巻きを口に放るタカキを「幸せいっぱいです」と顔に書いているかのように目を細め「どんどん食べてね」と促すシオン。

そこには一年前まで常備品であった糸念話の姿は無い。


「お~クレセントの塩とコショウのシンプルなだけにクレ茸の存在を活かして、それを包むかのように肉のジュウシーな事…ん? この肉は牛肉だと思うけど普通のよりしっかりしてる…と言うか野生さを感じさせるような…ブランドもの?」

「いえ。牛ではないですよ」


ハムハム…なんの肉なんだろ?んまいよな。


「ミノタウロスよ」

「ミノさんね、ミノ…ぶふぉっ!」

「サイガ叔父様がはぐれミノ仕留めたって、持ってきてくれたの♪」


 え~~~; ちょっとはぐれミノって、ミノタウロスって群れなしてるの? あんなんが水牛みたいに群れてるの?!こえよぉ~;


「コーウェンさんと一緒に捌く所からやったんだよ。最初はねアイ達もラクセル様の為にお弁当作るわ!って、意気込んでたんだけど…ミノタウロスを見たとたん叫んで出て行っちゃったの…想いが足りないのね、想いが!」


…普通は逃げるよな。何となくコーウェンさんは慣れていそうだけど…シオンは逞しくなられて…このままだと、尻に敷かれる?…ん~気にしない、気にしない。


「次はっと、これは唐揚げやん。いただきます、アム」


サクッ


「衣はサクサクで皮はパリッと肉はジュワワっと…肉汁が今まで食べたことのない鶏肉だな」

「そうね、コカトリスのお肉だもの」

「コカトリスか、それでこの肉汁なんだ……」


コカトリスて…そりゃ巨大な鶏に見えるけどさぁ


「これもサイガ叔父様が天然ものだからうまいぞって持ってきてくれたの」


 まてまてまて、コカトリスの天然ものて養殖ものあるの!ねぇ?

養殖営んでいる人は大丈夫なの?石化されたら養殖どころじゃないよね?!危ないよね!


「この唐揚げもねコーウェンさんと捌いたんだよぉ~でね、アイとマイとミィが今度こそって来たんだけど…物を見たとたん腰抜かして泣き出しちゃって…仕方なくまた二人で作ったのよ」


見やればアイが面目ないと言いたげな顔でお茶のお代わりを差し出してくる。


あぁ~何か光景が目に浮かぶな~。


「美味しかったよ、またお願いできるかな」

「はい。…そういえば先ほどは悩んでいたみたいでしたけど?」

「あぁ…何か”しっくり”こなくてね…いろいろと武器を試して、この剣が重心も握りも一番合っているとは思うんだけど…一年前のあの時の感触を感じてからもっと抜打ちで威力が出せるんじゃないかなっと思っていてね、違和感ってゆうのかな?何だか落ち着かなくてさ…あっ、ごめん詰らないだろこんな話」

「ううん…そっかぁ、今身近にある剣は全部試したんだよね…あっ!まだタカキが試してない剣があるかも!明日持ってきますね」

「あ、うん」



― 城内奥殿の一室 ―


「たしか…お父様のコレクションに…あったぁ!」

「何をしてるの?シオン」


 後ろから声を掛けられビクッ!と飛び上がりそうになるシオン。恐る恐るといった感じで振りかえると、そこにはレイナが厭きれ顔で佇んでいる。


「あっ、お母様!…その、これをタカキに使ってもらうと思って…」

「?…それは王のお気に入りですね…全く使った所は見た事もありませんが」

「今タカキが困っていて…これが必要になるかも知れないの。…私、彼の力になりたいの…お母様お願い、我儘を許して」


ジィィっと音が聞こえそうな程レイナはシオンを見つめる事数秒、諦めたように口を開いた。


「ふぅ、本気なの?…分かりました。あの人には宝の持ち腐れでしょうし、私が何とかしておきます」

「ありがとう!お母様!早速タカキに渡してきます!」


嬉しそうに走り去る我が子を見ながら目を細めるレイナ。


「ふぅ、あの子も随分と変わったわね…愛の力かしら?(ニマァ)おほほほ」


 シオンはやや細身の黒鞘の剣を両手で大事に抱えながら昨日タカキが練習していた場所へと急ぐ。

今日お付きの侍女ミィは何度も荷物を持つと言ったのだがシオンは頑として首を縦に振らなかったため、諦めてシオンが何時剣の重さに音を上げても良いように直ぐ後ろで付き従う事にした。

内心では「一生懸命な姫様って、もぅ~とっても可愛い♡」等と思っているのだが、傍目には優秀な侍女然としており一分の隙もないのだ。


「タッカキィ」


 昨日と同じ場所で練習をしているタカキを見つけ駆け寄ると「これを試してみて、お父様の道楽で埃を被っていた物なの」と言いながら黒鞘の剣を渡す。


「こ、これは?」


 行き成りシオンから渡された剣に驚きながらもタカキはその剣を鞘から抜き出す。

シャァァン

刃が鯉口を滑らかに抜ける。

タカキは刀身を目の前に掲げ繁々見つめる。


「剣と違って細身で片刃なのか…騎兵用のサーベル?いや違うな…まるで刃に吸い込まれるような感じがするね…」

「刀て言うらしいの。サイガ叔父様の祖父様…タカキの曽祖父様の生まれ故郷の武器なのだそうよ。お父様が仰っていたわ」

「刀か…俺にこの武器を使っていたご先祖様の魂が少しでも有れば愛称は良いのかな…なんてね。少し振ってみます。シオン危ないので少し下がってね」


 五・六歩ほど後ろに下がるシオンとミィ。

真剣の間合い等読めない2人は肩を寄せ合うように確認をとる。


「はい、この位下がれば宜しいですか?」

「うん、大丈夫だよ。さてと…刀身と柄の長さからすると片手半剣バスタードソードの様な物か…両手の方が良いのかな?まっ良いか!」

「むん!」


ビュッ


この感じ…身体の一部のような感覚。あの時に近いな…抜打ちで試してみるか。


タカキは納刀すると、柄に手を添えながら窮屈きゅうくつとも思えるほど身体を捩じると、徐に鯉口を切った。


チャッ

「はぁっ!」


抜刀術とでも言えば良いのか、素人のシオンの目では追い切れない凄まじい一閃だ。


「これだ…この武器だ!ありがとうシオン!」

「良かった喜んでくれて。これで今年はラクセルさんに勝てそう?」

「どうかな、でもこいつを使いこなせれば勝機はあるはずだ」

「月神闘技祭に間に合いそう?…頑張ってね」

「ああ!」



― 無人島 ―


 その頃、クレセントから約14海里離れた地で男達は時が満ちるのを静かに待っていた。

数年前までは急な海流と複雑な構造の岩礁地帯が囲んでいるため無人であった島に、今では五千を超える住人がいる。

角や翼等とても普通の「人」にはない物を持っている者も少なくは無い。


「もう少しで身体が癒える。皆待たせたようだな…漸くクレセントに攻めこむ時が来た!」


長である男の声に応え、眼下に控える者達が口々に「応!」と野獣のように答える。


「クックック…平穏で代わり映えの無い日常は終焉を迎える。刺激的な日々を俺と共に味わうがいい」


第一章はやっと後半戦に入りました。

何時冒険が始まるのやら;

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