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異世界の不確定能力(アンノウンスキル)  作者: 焔伽 蒼
  第一説「屯朶舞過去篇」
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【#064《My Memory DaysⅩⅡ》】

向かい来る素粒弾を前に、落下中の麻夜は嬉しそうに笑う。



「やっと本気になってくれたのですね、真美姉さん!元素壁!」



目の前に展開した紫の壁が、素粒弾を全て防ぎ切る。



「防がれる事は想定してたよ、麻夜!」


「え?麻夜お姉ちゃん……?」



舞が真美の顔と空から落ちてくる人影に目を見やる。



「……」



ついに舞に知られてしまった。今の麻夜を見せたく無かったから、最速で村を出ていき、安全な場所にかくまってから麻夜を救いに行こうとしていたのだが、追いつかれるのが予想以上に速かった。


恐らく跳脚も使えるようになったのだろう。麻夜の潜在力はそれほどのものと言う事だった。


だからこそ、真美は今の麻夜を本気で抑えなければならない。



「舞は下がってて!大気のエレメントを集束……!」



真美の両手に緑と白のエレメントが集まりだす。そのエレメントに呼応するかのように、舞は無意識に縁感知の力を発動していた。だからこそ見えた。真美の両手には未だかつてない程のエレメントが集まっているのが。



「緑と白がまざってる……きれい……」



舞がその色鮮やかさに見惚れたように、麻夜もまたその色に魅入られていた。



「姉さんのエレメント色の緑と、大気や自然のみに固定された白色の合成……見惚れてる場合じゃありませんね……!五天元素壁!」



五色に輝く立体正方形の壁が作られる。



「痛いけど我慢してね!元素砲天撃!」



緑白く彩られたエレメントの砲撃は、大気を振動させて向かい来るモノを全て打ち壊していく勢いで、麻夜の元素壁に接触し大爆発を起こした。



「……ごめんね、麻夜……。こうでもしないと、貴女を止めれそうに無かったから……」



爆煙に包まれた上空を見上げて、これから麻夜を救出しに行こうとした瞬間だった。



「心配してくれるのは嬉しいですが、それはまだ余裕があると言う事ですね。でしたら!」



キラキラと爆煙の中から五つの光がちらつく。



「うそ!?アレを防ぎ切ったの!?」


「私が防御の方が得意なのを忘れましたか!?姉さん!五光閃!」



五色の光は、光線となって地上へ降り注ぐ。



「五元素を単体で放った!?五つの異なるエレメントを同時に操るには、高度の操作技術が必要なのに……!」


「それぞれに五元素の効力を付与されている元素砲撃!これを避けれましょうか!?」



真美は瞬時に分析した。向かい来る砲撃は、赤・青・緑・黄・茶、赤は火・青は水・緑は風・黄は雷・茶は土、それらはエレメントを熟知している真美にかかれば2秒と必要しなかった。



「麻夜、貴女に面白いものを見せてあげる。周囲の元素(エレメント)を、体内エネルギーへと変換して取り込むことにより生まれる、物理的な身体能力の向上」



言葉を続けながら、真美の身体には緑色のオーラに満たされていく。


更に瞳にエレメントを現す紋様が刻まれ、色も緑色に強く輝いていく。



「更に付加能力で縁感知が一時的に使えるようになる特典付き!私はこの力を“元装(エレメント・ツール)”と呼んでいるわ」



エレメント・ブレードをノーモーションで作り上げ、跳脚で飛び上がる。

ブレードで赤の砲撃を切り裂き、青の砲撃をノーモーションで元素壁を展開し防ぐ。

茶の砲撃が青の砲撃の僅かな誤差で狙って来ていた。その距離、真美の顔に当たるまで10cm、だが真美は焦ることはなかった。ただその緑色の瞳で、その茶の砲撃を睨む。


その瞬間、バキュゥンッと言う音と共に茶の砲撃は軌道を45度に反らされた。



(五元素の中で一番破壊力のある土がずらされた!?これも縁感知の能力なのですか!?)

《クカカ、ならばあのチビを狙え。隙が出来る》



介入したかのように、頭に廡魔の声が響いてくる。



「……っ!ああああ!」



麻夜が苦しみながら、緑と黄の砲撃を真美から舞へと変更した。

風と雷のエレメントだけに速度はかなりのもので、一瞬で真美の横をすり抜ける。



「!? 麻夜……!」


「え……?」



きょとんと立ち尽くす舞を護るべく、ブレードをブーメランのように投げ放つ。

かろうじて緑の砲撃は相殺に成功したが、最も速い黄の砲撃は間に合わなく、舞へ襲い掛かる。



「舞!」


「姉さんの相手は私です!」



麻夜がブレードで真美に斬りかかる。それをエレメントで強化された手刀で防ぐが、流石にブレードと手刀では力負けしてしまい、真美は吹き飛ばされた。



「っあ!」



激しい痛みが襲うが、それこそ作戦の内だ。吹き飛ばされた勢いに跳脚をプラスさせて、極限までに加速した真美は黄の砲撃をも追い越し、舞の救出に間に合った。

そして、緑色の眼で黄の砲撃が近付いた瞬間、軌道をずらした。



「真美お姉ちゃん、ありがとう……でも、どうして麻夜お姉ちゃんが……」



涙混じりに舞が真美の袖を引っ張る。

こんな舞を見ても、真美は言葉が出ない。こればかりは、どうやっても言葉など見付かる筈もなかった。

だからこそ、真美は笑顔を向けた。



「舞、貴女は“お姉ちゃん達”が護るからね」



地上に降り立った麻夜と、舞を背に立ち上がる真美はにらみあった。


そして、真美は緑色の大剣をイメージされたブレードと、麻夜は新たなブレードと小型になる代わりに二本に別れた紫色のツイン・ソードを構えた。



「勝たせて貰います!真美姉さん!」


「必ず護ってみせる!舞も、麻夜も!」



次回へ続く!!




どもども、焔伽(ほとぎ) (あおい)です!


割と早めに投稿できました!良かったです。そろそろMy Memory Daysは終わりそうです。三章はもう少しかかりそうですが。

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