【#054《My Memory DaysⅡ》】
真美が帰宅してからは、舞はぴったりくっついたままで、真美も舞と遊んで楽しそうにしていた。
今は慰霊碑の前で花摘みをしていた。この周辺の中でも、丘の上は花々が咲いていて、とても綺麗な場所である。直ぐ側には草原があり、丘は太陽光が暖かく、今日のような晴れの日は最高の遊びスポットとなっていた。
「真美お姉ちゃん、コレあげるっ!」
舞は手で編んだ花の髪飾りを真美に渡す。
「可愛いね。ありがとね、舞」
頭を撫でてあげると、舞は「えへへ」と喜んだ。その無邪気な笑顔を見ていると、真美までほんわかな気分になる。
「真美姉さーん、舞ー!」
すると、丘の下から白いワンピースと、薄茶色のハットを着けた女性が、真美と舞の方へ近付いてきた。靴下等は履いてなく、素足にお洒落なサンダルを履き、艶やかな髪質に、腰まで流したロングヘアーは服装とマッチしていて、シンプルの中の美しさを表したような女性は、帽子を取って深くお辞儀をした。
「お帰りなさい、真美姉さん」
「ただいま。麻夜」
礼儀正しい女性は、次女の麻夜(16歳)だった。舞は顔を明るくしてトタトタ麻夜の元へ駆け寄る。
「おかえりなさーい、麻夜お姉ちゃん!おとーさんから夕方くらいって聞いてたけど、早かったんだねっ」
「はい。会議が思ったより早く終わったので、舞と遊ぶ為に急いで戻って来ました」
「わぁーい♪」
「その感じだと家に挨拶無しで来たね~?」
「ふふ、両親に挨拶するのと、舞と遊ぶの、どちらが大事かは考えるまでもありませんから」
「おーい、良い感じの笑顔で、トンデモ発言してるぞ~」
「そうでしょうか?」
「いや、自覚あるでしょ? 麻夜もだんだんお父さんに似てきたよね」
「可愛い妹の為なら、姉は限り無くバカになれる自信があります」
やたらドヤ顔で宣言する麻夜。そんな姉バカ気味に苦笑をする真美だが。
「ちょっと待って。そのセリフだと、私も含まれない?」
「違うのですか?」
「違う━━━とは言えなくもないけど、姉バカとは違うような……!?」
そこで言葉が途切れた。遅れて麻夜も気付く。
「……いますね」
「うん、場所は草原を抜けた先にある岩盤地域に一体。麻夜、舞を連れて家に戻って━━━」
「はい。舞を連れ帰ってから、直ぐに追い付きます」
「ちょ! 何を言ってるの、駄目よ!貴女は戦闘に向いて無いんだから!それに会議の後でしょ?相当疲れが溜まってるわよ、貴女のエレメントが弱まってるの見えてるんだから!」
会議と言うのは、一族定例会議で、屯朶の権力者が集まって今後の方針などを話していく現場なのだが、麻夜の父親等の言動のせいで当主の家族はあまり良く思われていない。
それに加えて、次期当主になる予定の麻夜は、時に批判されること等もあり、異様にストレスになるのである。
真美はそれを知ってるからこそ、家で休養して貰いたかったのだが、麻夜の愛情は予想以上に深いものだった。
父親の言動は家族を大事にするが故と逆に感謝をし、本来次期当主は真美なのだが、屯朶が再び表へと出るために国家公務員になったことも尊敬している。そんな家族を誇りに思い、またそれを悪く言う屯朶の権力者達すらも、一族の繁栄を願ってのことと見習う程のモノを持っていた。
「手伝わせて下さい、姉さん」
「ん~……分かったわ。その代わり、戦闘が始まったら出来るだけ遠くに離れてよ?」
「はい! それじゃ、舞を家へ」
「わたしもいく!」
「さ、流石に駄目よ!」
「そうですよ!舞はまだエレメント使えないじゃないですか!」
「やだやだ!いくのー!わたしもいくのー!狼さんがわたしの家に向かってるんだもん!わたしも家を守りたいー!」
『!?』
その言葉に真美と麻夜は驚いた。
「姉さん!」
「ちょっと待って!」
真美は瞳を閉じ、意識を集中する。
「確かに、こっちへ近付いて来てる!しかも速い!舞を送ってる暇がない……!」
真美は舞を見てしばらく考える。
(舞は私達の誰よりも、敵の気配を読み取った……間違いなくエレメントによる感知術……しかも、敵の姿まで捕らえているって言うの……?そんなこと、私にですら出来ないのに……出来るのは、縁感知を使えるお母さんぐらい……)
考えて内に、その存在は着実に近付いて来ていた。真美は決意する。
「考えていてもしょうがないね!麻夜は舞を守って!敵は私が倒す!」
「はい!」
「うんっ」
(二人は私が護ってみせる!)
『to be continued』
どもども、焔伽 蒼です!
現在、友人に舞のキャラ画を描いてもらっています。出来上がり次第、人物記録にアップします。その際は、後書きにて報告します!




