表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の不確定能力(アンノウンスキル)  作者: 焔伽 蒼
第三章 屯朶三姉妹編 
56/140

【#050《虚無封解の奥の手》】

ユウは考えた。ケイから時間稼ぎを頼まれて、かっこよく了承してしまったが、コレ(迫り来る吹雪)をどう(しの)ぐかと後悔の念にかられていた。



「えぇい!ままよ!虚無封解20%解放『崩壊破』!」



虚無の魔力によって構成された光線が、吹雪へと激突する。


威力は崩壊破の方が高く、吹雪を吹き飛ばす事に成功した━━━のだが。



「……まだ」



ヒュースが呟くと、吹き飛ばされた雪は上空で集束していき、やがて巨大な雪玉が作られた。


ユウは「なっ━━━!?」と驚愕をあらわにしている。それもその筈だ。雪玉は1t以上あるのではないかと思う程、巨大で圧倒的質量を見せていた。


これはヒュースの布石だった。最初の吹雪を防がれる事は予想していたのだろう。だから、第二の攻撃準備があった。


それにはユウも意を突かれたらしく、次の防御へ移るのに遅れが出てしまった。


ヒュースはそれが狙いだったのかは、その無表情な顔からは読み取る事は出来なかったが、静かに魔法を唱え、雪玉を落とした。



「……『雪塊(せっかい)』」



ユウは焦りながら、崩壊破を撃ちまくり、何とか相殺させようとするが、予想以上に雪玉は硬かった。

よく見ると、雪玉の周りには薄い氷の膜が張られていることに気付く。

その氷の膜が、崩壊破を防ぎ雪玉を守っていた。しかも、一度砕いても、氷の膜は砕けた箇所から直ぐに修復されていたのだ。



「ふ、防ぎようがないじゃん!伊座波君、まだなの!?」



後ろにはケイがいる。ケイの周りには光球が何個か作られていたが、まだ未完成だった。

ケイのあの技をやるには、光球が今の倍は大きくないと駄目だと言うことを分かっていたユウは、まだヒュースとあの技を近付けさせる訳にはいかないと諦め、次の技を発動する決意をする。



「うぅ……めっちゃ体力消耗するけど、仕方ない!やってあげるよ!僕の虚無封解、最大の技であの雪玉をぶっ壊す!いいかい、伊座波君!?僕は全力を込めて、あの雪玉一回分の時間は作る!だけど、それっきりだからね!間違いなく僕は倒れるから!」



ケイは首を縦に降った。それを了承の合図と取ったユウは、雪玉に向かってジャンプする。



「……何をする気?」


「見てなよ!僕の勇姿を!渾身の一撃を!」



ヒュースの問いに、ユウは自身たっぷりに答える。



「……よく分からない。……けど、むだ。その氷の膜は、私の得意な防御結界みたいなもの。壊すには圧倒的な力で破壊するしかない」



ユウはフッと笑う。



「その言葉を聞いて安心したよ!虚無封解40%解放『極限崩壊拳』!!」



今までとは比較にならない虚無の魔力が集中したユウの拳が、雪玉の氷の膜に触れる。瞬間、氷の膜が半分程砕け散った。



「……あれだけ氷の膜を壊すなんて……。でも、修復はされる。それに、あなたは手遅れ」



手遅れと言うのは、ユウのジャンプによる突進+雪玉の重力に任せて落ちてくる落下が重なって起きる衝突の事を意味していた。


ドスンッ!!と鈍い、本当に鈍い音が鳴り響く。


ユウは雪玉に空中で衝突した音だった。その鈍痛は計り知れない。



「……だから言ったのに。何をする気って……」



ヒュースは呆れたかの、僅かに声のトーンが下がった。



「へへ……時間は……稼いだよ……」



ユウは微かに笑いながら、残りある意識を経って、地上へ落ちていった━━━その瞬間だった。



キィィィィィィィィイィ!



突如、ユウの体が光だした。━━━そして、大爆発を起こした。その威力は、極限崩壊拳すら容易に越え、周囲の物質、雪玉や氷の膜も含めて全てを呑み込み、跡形もなく消し飛ばした。



「……うそ。氷の膜が修復される暇もなく……まだあんな力を残していたなんて」


「いや、残してないんだよ、逆に」



すると、ヒュースの後ろから声がする。慌てて、飛び退く。


油断していたとは言え、まるで気配に気付けなかった。その事実は、ヒュースの冷徹な心に寒気を感じさせた。



「風代の希少能力(レア・スキル)は特殊でさ」



ヒュースを見据えて、ケイは呟く。なぜかケイの両足が金色に光を帯び、左右の両手付近にも光球が浮遊して事に気になったが、今はケイの言葉に耳を傾ける事にした。



「……さっきの人は、何をしたの?」


「まあ、簡単に言うと自爆かな」



苦笑混じりに言う。ヒュースは怪訝そうな顔をしたが、黙って聞いていた。



「思ったより表情見せるんだね、君は」



パキパキッとケイの周り、氷の剣が作られる。いつでも串刺しに出来る距離だ。



「……」


「ひょっとして怒ってる……?まあ、良いか。虚無封解ってのは、通常の魔力とは違う虚無の魔力を使うんだよ。虚無から生み出される魔力、詳しくは本人ですら分かってないからオレからは何とも言えないけど、無限の魔力と置き換えて良いんじゃないかな?意識ある内は、その無限の魔力を使って破壊力の高い贅沢な攻撃をするけど、一度意識を失うと、その有り余った魔力が暴走して、さっきのような大爆発を起こすんだよね」


「……それで自爆ってこと」


「そう。過去にも一度だけ技の練習していたアイツが、謝って自分に直撃してしまい、そのまま意識を失ってからの大爆発をやらかしたことがあるけど、今回のはわざと意識を失う手段を取ったからな。自爆と言う言い方が正しいよ。あ、ちなみに、その一回目の爆発以降、オレらの中では“天然爆発男”と呼んでいるから、君もそうやって呼んであげてな」


「……わかった」


「意外と素直何だな!?頭を撫でてあげようか?」


「……そんなことしなくていい。どうせ、不意討ちされる」


「そんなつもりは無いのだが……(過去に何かあったのか?)」


「……話してくれてありがとう。勝負を始めよう」


「そうだな(やはり、悪人ではない……ただ、操られているわけでもない……となると━━━)」



ヒュースは指をクイッと動かすと、ほぼ0距離にある氷の剣達がケイを貫こうとした。



「━━━!?」


「……バイバイ」



どこか寂しそうな表情のヒュースが、別れの言葉を告げた。



『to be continued』


どもども、焔伽(ほとぎ) (あおい)です!


きました!50話です!やっとです!配信ペースがめちゃくちゃでグダグダでノロノロでダランダランでトロットロな僕がつーいーに!50話達成です!いよいよ長編ものっぽくなってきましたね~!お気に入り者も58人もいてくれて嬉しい限りです!テンション上がってきたーーーー!


一人増えるたびに一人盛り上がってる人間なのですよ、僕は。他にも見てくれてる読者様にも感謝感謝ですね。


物語的には、まだ序盤なのでフラグを立てて行く段階ですかね?ちゃんとフラグ回収出来るか不安ではありますが、頑張っていきます!万が一、矛盾などが物語で起こったら、教えてください。本人、気づいてないかもしれません(すいません)


では、今後ともお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ