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異世界の不確定能力(アンノウンスキル)  作者: 焔伽 蒼
第三章 屯朶三姉妹編 
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【#041《屯朶三姉妹》】


良夜と魅紅は村を探索して行く中で、ある建物に目が止まっていた。


それは屯朶の村の中において、唯一建物の形状が他とは異なる塔のようなものだった。



「何かしら……塔?」


「戦国時代とかにある警鐘とか鳴らしたり、監視したりする塔に似ているな……」


「ニホンの建物のこと?」


「ああ、だけどここまで立派な造りではないが……」



二人が見上げている塔は、村から少し離れたところにある草原区域の先にある丘の側に建っていた。


最初、村を探索していた二人だが、魅紅が「向こうの方に建物が見えない?」と気付き、良夜も見ると「確かに……。少し遠そうだが、ここからでも見れるって事は高層建築物だろう。調べてみるか」と、向かうと一面草原が広がる区域に出て、その先にあったのが丘の上に建つ塔だった。


全てが真っ白な造りの建物で、てっぺんは球状になっていて、高さこそビル3階分もあるにも関わらず、窓などが見当たらない不可思議な形をしていた。



「ここまでシンプルだと、これは人が入ってどうこうする為に造られたとは考えにくいな……。地球でもモニュメントと言う似たような物があるが、これもそうなのか?」


「……」



良夜の問いに魅紅は答えない。塔を見たまま、黙っていた。



「……魅紅?」


「あそこに文字がある……」


「文字?」



魅紅は塔の上の方を指差す。良夜もその方向を見ると、確かに何かが書かれているように見えた。



「高くて見えないわね……」


「なら、よじ登れば良いんじゃね?」


「掴む場所とか無さそうよ?」


「瞬発力でてっぺんまで登ったら、文字の側で壁に指で穴を開けて掴めば問題ないだろう」


「貴方、本当に魔力の無い世界の住人なの?」


「気力や霊力はあるからな。ちょっと行ってくる!」


「待って!」



良夜がジャンプしようとした瞬間、何者かの声が飛んでくる。

これは魅紅の声ではない。

なら、誰の声だ?二人は声がしてきた後ろへ振り替えると、そこにいたのは長い黒髪に、前にも左右の肩から長く結わいて流しているのが女性がいた。その綺麗さと可愛いさをあわせ持つ女性は、良夜に日本女性を思い出させるような身近な存在にも感じられた。


その女性は、良夜と魅紅が何かを言い出す前に口を開いた。



「私は……屯朶舞(しゅぜん まい)。その塔に触れないで……!」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



屯朶の村を回っていたハーベルトと宰も、この村の人間と出会っていた。



「あたしは屯朶真美(しゅぜん まみ)!君らは何者かな?」


黒いショートヘアーで、凛々しい瞳をした背の高めの女性が、ハーベルトと宰に質問する。



「天塚一族執事隊筆頭“ハーベルト”と申します。屯朶一族の長と話があって参りました」


「私は園臣宰、故有って行動を共にしている者です」


「ならあたしの家へ行きましょうか?立ち話もアレだしね」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



屯朶の村入り口付近では、宰達を追って入ろうとしたケイ・ユウ・シンは、ある女性に出会っていた。

黒髪ロングの美少女は丁寧に挨拶をする。



「お客様ですか?私は屯朶麻夜と申します。宜しければ村長の所までご案内しますが……」


「せっかくだし案内してもらおうよ?」


「悪くないな。歩き疲れたとこだし」


「いや、カザヤンフチヤン、宰達探さないとダメだろ?」


「カザヤンフチヤンって、なんか呪文みたいだよね」


「伊座波、馬鹿(風代)は放っといて案内してもらおうぜ」


「そうだな。能天気なカザヤン(馬鹿)は放っとこう」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



それから三組は、それぞれの屯朶一族の者の誘導に従い、草原区域のど真ん中にある小さな一軒家に案内された。


皆がそれぞれ別の屯朶の人間に案内されて来たのに驚いたが、真美と言う一番年上に見える人に居間に案内されてから、三人とも部屋を出ていってしまった。



「まさか、皆が皆別々の場所から案内されてくるとはな。それと、また一人居なくなってね?」



良夜の質問に「倉崎なら」とケイが答えた。



「行方不明のカイを探しに行った」


「なるほど。つうか自由過ぎるだろ、あの暗黒使い!」



するとハーベルトが宰に話し掛けた。



「そういえば、暗黒使いで思い出しましたが、彼とはどういう経緯で仲間にしたんです? “暗黒のカイ”、犯罪者の中では誰もが知るS級犯罪者です。かつて十天大魔導師が創った封印魔法(シェエル・マジック)を扱い、目的の為なら人殺しも問わないような残虐非道の人間ですよ」


「話せば長いくなるからな……簡単に言えば、瀕死の彼を私が助けたのが、共に行動をするようになった理由かな。詳しくはまたの機会にしてくれ」


「そうですか。分かりました(結果として疑問が増えただけな気もしますが……。彼の心変わりと彼を瀕死にまで追い詰めた誰か━━━)」



その時、居間のドアが勢いよく開かれ、中に真美と舞が勢いよく入ってきた。正確には勢いよく入って来たのは真美であり、舞は真美の服を引っ張りながら静止させようとした結果、力に負けて引きずられて入ってきたである。



「お待たせー!いや~ごめんね、急だったもので用意の時間が掛かっちゃったんだけど、あたし特性のクッキーと麻夜特性の紅茶と舞の気の効いたおもてなしがお客さんを満足させるからね~!」


「お姉ちゃん、落ち着いて!そのテンションは失礼だと思うよ!?ほら、お客さんもポカーンとしてるしぃ!」



実際、良夜達は唖然としていた。最初に合流した時、彼女達が三姉妹で上から【真美(長女)】【麻夜(次女)】【舞(三女)】と言うのは聞いていたが、その時の丁寧な自己紹介からは今の真美のテンションは想像出来なく、つい驚きの余りに反応に困ってしまっていた。



「大丈夫だよ!だって慣れっこだもん!」



その時、コツンとお盆で真美の頭を麻夜が叩いた。



「あたっ」


「慣れっこだから大丈夫と言うのは、大丈夫ではありませんよ?姉さん」


「麻夜ぁ~、痛いよぉ~」


「角でないだけマシだと思って下さい」


「そ、それはマシだねぇ~」



言い訳をする真美に対して、麻夜がお盆の持ち方を横から縦へと変えると、真美はそそくさと引いていった。



「フフ、何て言うか……」


「ほのぼのしていて良いな」


「うん……」



良夜と魅紅だからこそ羨ましく思う。その暖かい光景は、昔の自分たちが憧れた家族の姿。


真美はコホンと咳払いして、顔をこちらへ向けてくる。

麻夜と舞も、横で正座して話を聞く体勢になった。



「それであたし達と同じ御三家である天塚一族のお姫様と、筆頭執事様はどういったご用件で来られたのかな?」



『to be continued』


どもども、焔伽(ほとぎ) (あおい)です!


二日前に気づいたのですが、偶然にも40話達成と同時に、お気に入りして下さる方も40になりました!この偶然には驚愕しました。

それだけです。

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