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異世界の不確定能力(アンノウンスキル)  作者: 焔伽 蒼
第二.五章 旅立ち前夜編
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【#036《旅立ち前夜》】

皆様、誤字脱字等で読みにくいとあれば改善しますので、どんどんツッコンで下さいね?

「ああ~。これはどういう事だ」



良夜は目の前に横たわる三名と、その横でムスッとした態度でふてくされている魅紅と宰を見て、質問をしていた。


ちなみにここはラ・フェイスの大客間(和風・畳仕様)、その畳の上で倒れている三名を横から見ていくと、身体中(主に顔)(あざ)(こぶ)だらけの渕垣(ふちがき)シン・疲労困憊で立てなく成る程ダウンしている倉崎リュウ・全身焦げだらけ+切り傷だらけで重症な伊座波(いざなみ)ケイの姿があり、魅紅と宰は浴衣を着て満喫しているが、思わぬ邪魔(覗き野郎)が入り、風情が壊されたと不機嫌でいた。

ちなみに良夜の後ろには、怯えて足の影に隠れるミイシャと、苦笑している風代(かざしろ)ユウがいた。


ユウは温泉で何があったのかは、大体察しがついているみたいで「やっぱり、こうなったか……」と呟いていた。


ただ、なぜミイシャがここまで怯えてしまっているのか?魅紅と宰は、彼らに何をしたのか。



「早乙女、そいつらが起きたら言っておいてくれ。『次、同じ事をやったら微塵(みじん)斬りにする』とな」


「ああ、伝えておく」



宰はそのまま部屋を出て行った。そして後ろから良夜の肩をちょんちょんと魅紅がつついてきた。



「ちなみに貴方が覗いたら、微塵斬りにされた後に焼き肉にするわよ?」



この時、良夜は本気で身震いした。



(この二人には絶対逆らわないようにしよう)



コクッと頷くと、魅紅も満足そうに出ていった。



「怖かったです……」


「そうだ、ミイシャ。俺も汗を流したい。帰ってきたばかりで悪いけど、温泉に案内して貰えないか?」


「あ、はいっ!勿論です!」



パァッと一気に明るくなった。よほど案内が好きなのか。良夜は「仕事好きだなー」と感心した。



「それでは早乙女様が温泉へ入っている間、ドラゴンさんに食事与えておきますね」


「ホント何から何まで世話になるな……。このお礼は必ずする」


「お礼だなんて良いですよ。仕事ですし、早乙女様方と居ると楽しいですし!」


「そうか……。ああ、後さ、出来れば早乙女様は止めてくれないかな?名字で呼ばれるのむず痒いんだよね」



ミイシャは「?」と言った感じだったが、直ぐに無邪気な笑顔を向けてきた。



「はいっ。では良夜様と呼ばせて頂きますね!」


「本当は“様”もいらないんだけど、それで良いよ」


「はい、では良夜様、温泉へご案内致します」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



それから一時間後、良夜は裏山から温泉の効能に衝撃を受けながら、歩いてラ・フェイスに帰って来ていた。



「ミイシャから聞いてはいたが、凄い治癒効果だな……身体的な疲労もそうだが、不思議にも心の疲れまで回復したな……」



軽くなった身体で歩く内にラ・フェイスの屋根と明かりが見えてきた。その二階のベランダで、魅紅が夜風に当たっているのが見えた。



「なんか元気がないな……。お、良いこと思い付いた」



良からぬ企みを思い付いたようだ。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



「予定はだいぶ決まって来たわね」



魅紅はついさっきまで宰と今後の動きについて話し合っていた。

そして、大方の予定が決定したところでそれぞれ部屋へ戻って、明日以降の動きに備えて休むことになっていた。

だがどうも、魅紅は休む気になれなかった。それは良夜の件についてだった。この世界ではないノーマジーと言う別世界の住人だ。

そんな彼をこっちに連れて来てしまったあげく、怪我までさせてしまった事に罪悪感を感じていたのだ。



「良夜には何から話したら良いのかしら……」



謝るべきか、明日からの動きの説明をするか、それとも普通の何気ない会話をしようかと、魅紅は悩みきってしまっていた。



「会話に悩んだらまず最初に思った事を話せば良いと思うぞ?」


「そうね……謝罪が先よ━━━良夜!?」



魅紅はいつの間にか隣にいた良夜に驚いた。



「よ!」


「よ!じゃないわよ!ビックリしたじゃない!?」


「いや、悪い……ここまで接近して気付かれないとは思わなかった、マジで」



実際、良夜の言った通りだ。魅紅は家の事情上、幼い頃より戦闘訓練を積んで来た。その実力は一人でA級犯罪者をも(しの)ぐ程である。

だから、気配を察知する(すべ)もかなり長けている訳なのだが、良夜の接近に全く反応出来なかったので魅紅自身も驚いていた。



「ど、どうやって、ここまで来たの……?全く気配を感じなかったわ」


「裏山から瞬脚を使ってベランダ下まで一気に接近して、そこからジャンプしてここに着地した」


「瞬脚使えるようになったの!?それにしたって気配を感じない筈は……」


「気配を消せたのは、これのお陰だと思うな」



そう言うと良夜は右手を上へ上げると、銀色の稲妻のような光が現れ、身体を蛇のように巻き付いていく。それが全身に行き渡ると、光は良夜の身体を覆うオーラのように一体化した。



「それが何よ━━━!?」



魅紅は異変に気付いた。



「うそ……こんなことって」


「やっぱりこれのお陰だったみたいだな」


「何よ、その力……気配が完全に無いじゃない……」



不思議な感覚だった。目の前にいるのに、目を瞑るとそこには誰も居ないように思える。

気配どころか、魔力や力の痕跡すらも感じない。



「奇妙な感じね……完全な気配の遮断なんて。それも結界の一種なの?」


「ああ。霊源結界『伍ノ型“断絶”』ってやつだ。ただ、これは気配遮断は完璧だがリスクがあってな……」



良夜が言葉を言い終わる前に、身体を纏っていた銀色のオーラが消えてしまった。

同時に良夜の気配が戻る。



「見ての通り、この技は長続きしないんだよ。裏山からこれ(断絶)を掛けて来たから、持って5分と言ったところだな」


「5分……それじゃ、戦闘で使うにはリスクが大き過ぎるわね」


「ま、そういう事だな」



そろそろさっき魅紅が言いそびれた話を聞こうと、「んで」と良夜は言葉を挟む。



「俺に何か話そうとしてたんだろ?聞かせてくれないか?」


「あ……」



魅紅もすっかり忘れていたのか、ふと思い出したかのような反応を取る。



(謝罪をしたい……と言うのもあるけど、今は明日の話をしよう。どのみち伝えなくちゃ、いけない事だしね)



「明日、お昼になる前にここを出るわ」


「明日か、まあいつまでも泊まってる訳にもいかないしな。……あいつら、闇裂く光の連中は了解得てるのか?」


「えぇ、これは貴方が温泉へ行っている間に、暫くは共に行動する闇裂く光ボス━━━宰と話し合った結果よ。今頃、全員に報告しているんじゃないかしら」


「そうか。ちなみに行き先は?」


「ここから東へ数km離れた所にある町“メティア”に行くわ」


「メティア?そこはどんな町なんだ?」


「通称、医療の町とも言われている、治癒魔法・薬剤生成・病魔対策に特化した町よ。そこに行って、貴方が能力を使った時の反動を無くすようにしてもらうわ」


「!? そんなことまで出来るのか……?」


「わからないわ。でも不可能ではない筈よ。貴方も温泉入って来たのなら分かるでしょ?」



そこで頭に浮かんだのは、ミイシャが言っていたエレクシアの存在だ。

あの温泉にはエレクシア(薬)の素材となる、エレクシアの葉が浮いていた。それの効果があの温泉の効能を引き出していると説明をされた。


さっき良夜が能力(断絶)を使っても、身体へ反動が来てないのも効能が聞いているからだろう。



「確かに否定は出来ないな」


「それにエレクシアを調合出来る人も居るかもしれないし」


「何か俺の為に寄り道させるみたいで悪いな」


「良いのよ。三日前、貴方に助けてもらったお礼もあるから。宰達も戦力増加に繋がるなら問題ないって……思考が賞金稼ぎよりだけど」


「そうか。医療の町『メティア』……そこに行けば、俺の能力について知っている人間もいるかもしれないな」



良夜の中でアルカティアへ来た事により、知りたい事があった。

それは地球では異常とされていた能力の事だ。魔法や能力が当たり前とされている異世界『アルカティア』ならば、この能力(霊源結界)の事を知っている人物がいるのではないかと言う事だった。



「今日は明日に備えて休んでね」


「分かった。お前もな」


「もちろん!」



二人は少し笑うと、魅紅は部屋の中へ、良夜は二個隣の自分の部屋へ外から帰った。


良夜が異世界へ来て四日目の夜が終わり、五日目の朝を迎えた。



『to be continued』


どもども、焔伽(ほとぎ) (あおい)です!


本日、ギリギリラインをもって何とか10万文字を達成できました!

今思い返せば大変な三ヶ月でした。募集開始から期限までの10.11.12.1月と、その内11.12.1月は仕事が残業やら、やむ得ない家庭の事情やら、休みとは思えない(むしろ仕事の方が楽)年末年始の冬期休暇やら等、悪条件が重なるに重なってやっと今日達成できる運びとなりましたが……ほんっと~に!間に合ってよかったです。


そして、時間にも余裕が出来たので、久しぶりに冒険の書を更新したいと思っています。並行して本編も進めます!ちなみに結果落ちたとしても、ちゃんと完結まで創りますので、そこはご安心を!


最後にこれも余裕がなくて言えませんでしたが、一ヶ月遅れながら挨拶させて頂きます。読者の皆様、2014年明けましておめでとうございます!アンノウン以前からの読者様やお気に入りして下さる37名(焔伽蒼の誇り)や興味を持って見て下さる読者様にとって、良い1年を送って貰えるよう小説更新と言うエールを送るよう僕自身頑張っていく所存であります!

未だ見る人から見れば小さき小説ではありますが、一人でも純粋にハマって下さる読者様が居るならば、焔伽蒼(に関する各小説)は富士見です!

では今年これからも、宜しくお願い申し上げます。


                           焔伽 蒼

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