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異世界の不確定能力(アンノウンスキル)  作者: 焔伽 蒼
第二章 異世界渡航編
34/140

【#028《ドラゴンの猛威!》】

ドラゴン・ブレスが放たれようとした瞬間、魅紅の横を2つの影が通り過ぎる。


片方の影はドラゴンの頭上へ跳躍(ちょうやく)し、もう片方の影はドラゴンの足元の間合いに入った。



「園臣流奧技“百花烈閃(ヒャッカレッセン)”!」



ドラゴンの脚を中心に横凪()ぎの剣撃が入り、ドラゴンが痛み故に奇声を上げ、ドラゴン・ブレスを中断させた。


そして、痛がっているドラゴンの鼻っ柱に空から蹴りが来る。



「急所を突かせて貰います!“稲妻(イズナ)落とし”!」



その雷のような鋭い蹴りが、ドラゴンの鼻っ柱に当たると、その衝撃で地面に倒れる。


龍種を相手に善戦した2つの影は、魅紅とリュウの元へやってくる。



「大丈夫ですか!?御嬢様!」


「ハーベルト……」


「リュウ、大丈夫か?」


「ごめん……大丈夫には大丈夫だが、ドラゴン相手だとお手上げだ」



ハーベルトとリュウは、ドラゴンが魅紅達のいる方向に飛んでいったのを確認すると、それぞれの仲間の為に戦闘を中止して最速で駆け付けたのだ。



「にしても、良く私の脚に追い付いて来れましたね」


「園臣流剣士は、剣でも体捌(さば)きでも速力を第一とするからな。それでも追い掛けるのにやっとだったが」


「それでも私の瞬脚に、走力で着いて来れるのは貴女ぐらいでしょうね」



(つかさ)とハーベルトのやり取りに、魅紅とリュウをあっけらかんとしていた。



「何だか打ち解けていない?」


「そうですね……」



魅紅はついリュウに訪ね、リュウもなぜか敬語で返していた。


これはこれで、宰とハーベルトが違和感を感じていた。



「ゴォ……ォォ……」



するとドラゴンが起き上がって来た。息を荒げ、瞳もさっきまで緑色だったのに真っ赤に光っていた。



「ゴギャァァァ━━━」



ギュォォン!と奇声と同時に空から、黒い光線が飛んでくる。


それがドラゴンの後ろ首に当たり、ドラゴンは悶絶するような痛みに襲われる。



「ゴギャァァァァァァァア!!」



ドラゴンは痛みか、もしくは羽虫のような人間にダメージを食らわされた怒りからか、今まで以上の怒号を上げる。


それだけで地震のような揺れが襲い、大地も砕け、木々も倒れていく。


足場を崩されバランスを失う魅紅を、ハーベルトが砕けた地面を上手く移動し助ける。



「ありがとう!」


「いえ!ここは逃げましょう!戦いで疲弊している我々には勝ち目はありません!」


「そう……みたいね!」



魅紅はドラゴンを見ると、仕方なく頷く。

さっきあれだけの攻撃を受けたのにも関わらず、ドラゴンの身体はかすり傷程度しか付いていなかった。



「あれが龍の鱗……レア・メタル級の硬質なんて反則よっ!」



それらをわかっているのは、闇裂く光メンバーも同じで、倒れてくる木を斬り裂きながら宰が先導してドラゴンから距離を起き出している。


また黒い光線を放った上空のカイも悔しそうにしながら、宰達の撤退の手助けをしていた。



「……チッ……“黒連弾”……」



カイの暗黒物質の塊が、宰達の進行方向の障害物等を破壊し、道を開けていく。


するとドラゴンはカイの存在に気付き、翼を光らせる。



「ゴギャァァァァァァァア!」



光った翼からは、羽が鋭い刃のようになり、かなりの速さで飛んでいく。




「なに……!」



ドラゴンの新たな技に驚き、回避が間に合わなくなる。

だが、如月の前に伊座波が瞬間的に現れ、如月を連れてその場から移動した。


ケイの瞬脚で数十M離れた地点まで一瞬で移動した。

そこにはユウもいた。



「……余計なことを……」


「お前ちょっとは感謝しろよ!ぐふっ」



ケイはわずかに血を吐いた。それをユウが心配そうに見ていた。



「大丈夫!?伊座波君魔力もほとんど無いのに無茶するから!」 


「光速移動とは言え……一時的に使用するぐらいなら……大丈夫だと思ったんだが……」


「とにかく伊座波君は休んで」


「悪い……」



ズズゥゥゥゥン!



「爆発音……まさか、またドラゴン・ブレスを?」


「……三発目だ……二発目は宰と執事によって寸前で阻止されたがな……」


「え!?いつのまに協力しあうようになっているの!?」


「理由は……どうあれ、宰が良しとしているなら……それを信じればいい……」


「伊座波君……。そうだね!」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



魅紅達のいる場所は黒煙で包まれていた。


黒煙が晴れて来ると、そこには魅紅をかばって倒れているハーベルトと、同じく宰をかばって倒れたリュウがいて、魅紅と宰も満足に立てない程のダメージを受けていた。



「うっ……ハーベルト……!」


「不覚……まさかドラゴンの技がブレスだけではないとは……!」



ドラゴンが使ったのは、龍激砲(ドラゴン・ブレス)ではなく、翼から舞う羽を飛ばす千羽刃(ウイング・スレイグ)だった。

その無数に迫る羽が当たった場所は、小規模な爆発を起こす。


それに彼らはやられた。



「グルルルゥ!」


「……!」



しかも、ドラゴンは止めを刺そうと、そこから更に龍激砲(ドラゴン・ブレス)を放とうとしていた。



「このダメージじゃ、交わせない……!」


「ここまでか!」



そして、ドラゴン・ブレスは放たれてしまった。

ビームのような砲撃は、その熱量に空間が蜃気楼で歪み、真っ直ぐに魅紅達を捉えた。



『to be continued』


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