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異世界の不確定能力(アンノウンスキル)  作者: 焔伽 蒼
第二章 異世界渡航編
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【#018《闇裂く光のボス》】

「これで終わりよ!“緋々(ヒヒ)・紅炎時雨(コウエンシグレ)”!」



そして無数の炎球は、無数の弾丸となって放たれた。


その連弾は、伊座波の閃光弾雨や如月の黒連弾を全て撃ち落とし、それでも余りある紅炎時雨は術者である如月・伊座波を含め、射線上にいる風代・渕垣すらにも降り注ぐ。


それから30秒間に渡って降り注いだ炎の雨は、辺りを焼け野原にし、多大なダメージを闇裂く光の連中に与えた━━━と思われたが、それは違った。


四人は……いや、六人は無傷だった。それも彼らがいる地面まで、綺麗に残っていた。他は真っ黒に焦げていて、草も残っていない。なのに、なぜ無事なのか……いや、それよりも、後から来た彼女と彼は何者なのだろう。そんな事を魅紅は考えていた。



「ありがとう、リュウ」



突如現れた彼女はリュウと呼ばれる彼に礼を言う。



「まあ、仲間の為だ。良いさ、(つかさ)


「……」


『ボス!』



如月が不機嫌そうにあさっての方向を向き、また伊座波・風代・渕垣の三人は、宰に対してボスと呼んだ。



(ボス……と言うことは闇裂く光のと言うことよね)


(まさか女性とは思いませんでしたね)



魅紅とハーベルトは、賞金稼ぎの中でも有名な組織のトップが、女性だと言う事に驚きを隠せずにいた。


見た目は17・8ぐらいの、蒼いポニーテールでキリッとしたサファイアを思わせる瞳をした美少女だが、腰に差した大刀とそれに似合った武士のような服装をした姿が、周囲に鋭い気圧を発しているように見せていた。


良夜・魅紅・ハーベルトは、宰と呼ばれる少女を見て直ぐに感じ取った。「彼女は違う……さっきまで戦っていた魔導士とは別次元の強さをしている」と。


そして、その読みは当たっていた。



「私を『ボス』と呼ぶなーー!」



宰は、ボスと呼んだ仲間三人に対して一括。しかも、三人の前髪が3mm程、パサッと切り捨てられていた。



『……すいません……』



三人が如月みたいなしゃべり方をしているが、実のところ振るえているだけである。

それはそうだろう。今、三人の前髪を斬ったのは間違いなく宰だ。恐らく腰に差した大刀で切ったのだろう。



「……見えた?良夜…ハーベルト……」


「いえ……全く見えませんでした」


「手が少し動いたのは見えたが……いつ刀を抜いたのかが分からねぇ……」



そう、宰の抜刀はその場にいた誰もが見えなかったのだ。いつ抜いて、いつ斬って、いつ納めたのか、まるで分からなかった。だからこそ、伊座波らも恐れるし、良夜達も戦慄していたのだ。


辺りに静けさが増す中、闇裂く光トップの宰は良夜に目を向ける。



「お前、中々良い目をしているな」


「あ?俺?」


「そうだ。僅かではあるが、私の動きが見えていたな?」


「……見えたといっても手が少し動いた程度だがな」


「どうかな。意識して集中すれば見切れたんじゃないか?」



それには「確かに」と言う心があった。宰が言うように完全に見切れるかどうかは怪しいが、抜刀が来ると分かっていれば、その初期動作から動きを読み取り、普通に交わす事も出来るだろう。



(ただ、それには霊装状態である必要があるけどな)


「魔力こそ感じられないが、何か不思議な力を感じる……何者だ?」



(つかさ)の問いに、良夜はどう答えようか迷っていると、ハーベルトと魅紅が後ろから瞬脚で飛び出してきた。



「御嬢様!彼女は強敵です!二人がかりで行きます!」


「気が乗らないけど、仕方無いわ!数の不利もあるしね!」



どうやら魅紅とハーベルトは、今の戦力差を考えて、数を減らすより先に一番強い相手を二人で協力して倒す作戦に変えたようである。



「俺がやろうか?」


「リュウは下がってて構わない。ユウ、ケイ、シン、希少能力(レア・スキル)の使用を許可する。あの二人を始末……いや、生け捕りにしろ」



宰の号令と共に、風代・伊座波・渕垣は首を縦に振り、さっきまでとは違う覇気を含んだ目付きに変わる。



希少能力(レア・スキル)発動!!』


「“閃光光来(せんこうこうらい)”!」



伊座波の身体が淡い金色に光出す。



「“虚無封解(きょむほうかい)”!」



風代から巨大な魔力が吹き出る。



「“夢想顕現(むそうけんげん)”!」



渕垣を中心に半径100M以内が、結界で覆われる。

皆はその結界の中、オレンジ色に染まった世界に閉じ込められた。



「何!急に周りの気色(けしき)が変わった!?」


「恐らく結界に閉じ込められたのでしょう!気を付けて下さい!」



魅紅は首をコクッと振るとデュゴスを構え、またハーベルトも手刀を構えた。


渕垣は楽しそうに笑う。



「能力が何かも分からずに突っ込むとはなぁ!夢想顕現が五!“夢現世界”を特と味わえ!大砲×2」



その言葉を発した瞬間、渕垣の左右に一個づつ大砲が出現した。



「発射!」



ドドォンッ!



大砲から放たれた防弾は、魅紅とハーベルトが何とか切り捨てたが、まだ攻撃は終わってなかった。



電磁砲(レールガン)×8!」



今度は電磁砲台が8つ現れ、レールガンを放った。流石に電撃を切ることは出来ず、二人をギリギリラインで避けていく。

その時だった。ハーベルトの目の前に、いきなり伊座波が現れた。



「!?(いつの間に!速いなんてレベルじゃ……!)」



パパァンと目に見えない掌打が二発、ハーベルトの身体に打ち込まれ、かなり後方まで吹っ飛ばされた。



「がはっ!」


「ハーベルト!」


「君の相手は僕だ」


「え━━━?」


「“崩壊拳”!」



風代の異様な魔力を纏った拳が魅紅を狙う。魅紅はデュゴスで防いだが、風代のパンチをデュゴスごと魅紅を押し返した。



「きゃああ!」


「魅紅!似非執事!」



即座に良夜が心配する声をあげるが、宰は不思議そうな顔をしていた。



「やはりか。仲間を助けないと言うことは、お前の力は何らかの理由で使えないのだな」


「ぐっ……」



いきなり強くなった敵に、二人が押されている上に、自身が戦えないと言う所まで知られた。



「……!(マズイ……!勝ち目が無さすぎる!せめて霊源結界が使えれば……っ)」


「刀×100!」



渕垣の言葉と共に空から刀が、良夜に向かって降り注ぐ。



『to be continued』


これより帰省により溜め込んだ小説をまとめて更新させていきます!4話連続配信SPです♪

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