【#016《闇裂く光vsハーベルト》】
「えぇ、無口な貴方がこう言った過激な手段を取るとは意外でした。…………しかし、彼らは良いのですか?」
ハーベルトは指を下に向けて指す。その方向には如月の攻撃に巻き込まれて、屍の山と化した渕垣・伊座波・風代の三名の亡き姿があった。
しかし如月は、全く興味も無さそうに見向きもせず言い放つ。
「……構わない……」
『構えよ!』
その冷徹な言葉に、屍だった三名は如月に激しくツッコム。先程から息の合った三名である。
「俺らごと攻撃してどうすんだ!死ぬわ!」
「……伊座波はゴキブリ並の生命力があるから大丈夫だろ……」
「何、その嫌な生命力の例え!」
「そうだよ!如月君はもう少し━━━」
「……うるせえ……」
「伊座波君と扱いが違う!?」
「如月!おま━━━」
「死ね!」
「俺だけ罵倒されたー!“……”はどうした!何で俺だけハッキリ言われてんだ!しかも不機嫌な感じで!」
「渕垣君うるさいよ」
「戦いに集中しろよ、フチヤン」
「あれ?お前らは俺の味方じゃなかったの?」
またもや言い合いを始めてしまう。隙だらけ……に見えるが、ハーベルトは少し焦っていた。
(一見隙だらけな様子ですが、ここまで凹凸激しい地形だと私の瞬脚は使えない……それに、彼らはまだ“アレ”を使っていない。闇裂く光の全員が持っている希少能力を……)
「……さて、始めよう……」
如月は右手に暗黒エネルギーを集束させた。
「……“ダーク・ストリーム”……」
暗黒の光線が放たれた。ハーベルトは瞬脚で交わすが、足場が悪いせいで先程までのような速度が出なかった。それが隙となる。
「追い付いた。俺らもアンタ程速くないけど、瞬脚は使えるからな」
ハーベルトが移動した先には、伊座波が待ち構えていた。
伊座波はハーベルトの両手を掌で払い、ガードを崩してから溝に掌打を入れた。
「“天砲”!」
伊座波の魔力が込められた掌打はハーベルトを吐血させるまでにダメージを与えた。
同時に渕垣と風代が後方で呪文を詠唱していた。
「風よ・突風と成りて・敵を切り裂け!“風嵐”!」
「火よ・炎柱と成りて・敵を滅せ!“砲炎”!」
風代が風を、渕垣は火を右手から放った。
「魔法ですか!」
ハーベルトは直ぐに体制を立て直し、交わそうとするが異変に気付く。
「!?(身体が動かない……!)」
気付くとハーベルトの両足が地面に現れた黒い液体のような中に沈んで動けなくなっていた。
(如月の仕業ですか……!ですが、まだ両手があります!)
「光よ・相手を捕縛せし縄と成れ!“光鎖縛陣”」
ギュギュッ!
光のリングが出現し、ハーベルトの両腕を身体ごと縛る。
「バインド!?(しかも五大性質とは違う光の性質……)」
「これで逃げることも、防ぐことも出来ない!」
「……っ!」
ハーベルトの目の前まで迫る火と風の砲口。両手両足を封じられ、動く事も叶わず本格的にマズイと焦る。しかし、打開する策がない。
(すいません……御嬢様!貴女を護りきれなかった!)
最後に脳裏に過ったのが、皮肉にも良夜の姿だった。
(御嬢様を任せたぞ……異界の能力者!)
ハーベルトは良夜なら魅紅を護れる。それだけの力がある。最後にそう確信していた。
そして、攻撃はハーベルトに━━━
「“炎熱焦破”!」
空から激しい紅炎が襲ってくる。その紅炎は、ハーベルトに向かいくる火や風を吹き飛ばしてしまう。
「これは、紅炎……」
「……(……現れたか……)」
「大丈夫!?」
「魅紅御嬢様……」
ハーベルトの前に現れた魅紅は、夜でも燃えるような紅い髪と瞳をしていて、見る者を魅了する雰囲気を出していた。
その姿を確認した伊座波と如月は、嬉しそうに笑う。
「お目にかかれて光栄です、姫様♪」
「……強敵……」
「手合わせ、してもらえるかな!」
如月と伊座波は、ほぼ同時に動いていた。如月は空から飛んで向かい、伊座波は瞬脚で地上から向かった。
そこで瞬脚中の伊座波の後ろから声が聞こえてくる。
「よ♪それ瞬脚って言うんだってな?魔力じゃなくても気でも使えたぞ」
「!?」
伊座波がビクッと驚き、声のする後ろに振り向くと、そこには良夜がいた。
(瞬脚中のオレに追い付いてきた━━━!)
「これは瞬脚のコツを見せてくれたお礼だよ!」
良夜は更に瞬脚の速度を上げて、伊座波を抜かし待ち伏せする。
そして銀色のオーラを纏った拳を、向かいくる伊座波の腹に打ち込んだ。
「我流“覇剛打ち”」
メキッとあばらが折れる音がし、逆方向へ吐血しながら吹っ飛んだ。
「……死ね……」
一方如月も暗黒物質で作り上げた槍を持って、魅紅に攻撃をした。
ドカァッ!と槍が地面を抉る。しかし、そこに魅紅はいなかった。
「……!」
「甘いわね。私は近距離戦の方が得意なのよ?」
魅紅はいつの間にか、如月の後ろに回り込んでいて、しかも両手には身の丈程もある長い槍を持っていた。
「これは紫炎の鎌・デュゴス……」
デュゴスに紅炎が纏っていく。そして、魅紅はデュゴスを如月に向けてシュッと振った。
「……当たらねぇよ……」
だが如月は再び浮遊して交わしていた。しかし魅紅は続けて言った。
「射程範囲よ“灼嵐炎天”!」
瞬間、デュゴスが振られた虚空から炎が生み出され、それが竜巻のような砲撃となって、空にいる如月に飛んでいった。
「なに……!」
ゴォォォォォォオ!
瞬く間に如月は炎の竜巻に呑み込まれ、その炎は夜の闇すらも照らした。
『to be continued』
どもども、焔伽 蒼です!
二日連続配信できました!やんややんや♪
現在、本編だけで手一杯なので後書きではあまり語れません。申し訳ないです。
ただ、誤字脱字等があれば、遠慮なく教えてください♪多いと思うので汗




