表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の不確定能力(アンノウンスキル)  作者: 焔伽 蒼
第六章 夜魅・決戦編
139/140

【#132《ユメ・千種vs黒羽》】



魅紅の話を聞き終えた良夜は、「そういうことか……」と納得していた。



「だから、私の友達を……助けて……っ!」


「分かった」



即答だった。



「となると白折も助けなきゃな。やっぱり支土は倒さなければ駄目な気がするな」



良夜は他にも支土とは話したい事も出来たと思考する。


どのみち戦うはめにはなりそうだがと、ため息をするが直ぐに決意をする。



「悪いんだが、その白折の説得と相手を頼めるか?」


「うん、私も更とは話し合えたいし、それは私がやるべき事だから」


「頼む。俺は支土の相手をする!」


「分かった!あ、あの、良夜……?」



再び支土達のいる場所へ向かおうとすると、魅紅に呼び止められた。


振り向くと通り過ぎ様に魅紅は言い逃げをするように言う。



「ありがとう。良夜、かっこよくなったね」


「へ? あ、うん……え!?」



振り返ると魅紅はすでにいない。いくら魔力を回復させたからって、速力に魔力を使わなくてもとも思う。



「って待て!まるで今までカッコ悪かったみたいな……!」



そう言うが、内心はドキドキしていた。



「くそ……やっぱカッコ悪いな、俺……」



顔を赤らめながら魅紅の後を追った。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



その頃、岸辺の方では宰vs暁美(明依)・ユメor千種vs天歌・舞orリューネvs黒羽が戦いを開始し、その内一つの戦いに決着がつこうとしていた。


森の中で爆発が起きる。



「っ!これほどの実力をしていたとは!」



爆煙の中から現れた黒羽はグチる。



「国連の幹部とは言え、俺の領域(テリトリー)内において、ここまで自由に動けるとは想定外だ!」



黒羽の魔法は影、領域とは黒羽が展開する〝影縛結界〟、自分の陰を広げ領土を作り、その中に入った者を陰の中に引きずり込み束縛する魔法だ。


厄介な木々喝采を使うユメを捕らえたまでは良かった。


だが、ユメは木々喝采〝千草花(せんそうか)〟と発した瞬間、今まで黒羽に手も足も出せなかった千種が、全く異なる戦いをし出した。



「全く。避けないで欲しいな、早く君を倒してユメの拘束を解きたいんだからさ」


千種は木の上に立ち、黒羽を見下ろす。千種の瞳や髪が緑色に発光していた。



「今度こそ当てる!」



千種が手を木に触れると、緑色の発光が渡っていき、枝やつたが伸びて黒羽を襲い出す。


黒羽は陰を使った防御を展開するが、そのつた等は形をぐにゃっと変えて、防御を避けるように黒羽を狙った。



「くっ!またか!」



それをかする程度に留めて避けたが、苦悶の表情は消えない。

 


(奴の魔法は空気を操るだけじゃなかったのか?それなら天歌と同じだから対策は取りやすいと思ったが……くそ!本当の力は樹木操作だったとは!)


「また交わしたか……(私がユメの恩恵を預かっていられる時間は限られているし……そろそろ決めた方が良いよね!)」



千種は決して樹木を操る魔法を使える訳ではない。


ユメの木々喝采〝千草花〟は、千種にユメの魔力を送り続けることで、一時的に木々の支配権を譲渡する技だった。


その間、ユメは魔力を送り続ける為、いつか魔力切れを起こすし、当然他の木々喝采は使えない。


ユメが何らかの危機で身動きが取れない時に、最終手段として使う荒業だった。


だがこれはユメに取っても、千種に取っても技の一つであり、互いに信頼しあった上で行える技だから、立派な一つの魔法とも言える。



「空気と木々喝采を合わせれば、こんなことも出来るのよ」



木々から無数の葉っぱが手裏剣のように飛び出す。



「葉も操作出来るのか……!おおおおおお!」



全方位から襲い来る葉を防ぐ為、陰を自分の回りに集めて球状に囲っていく。出来たのは巨大な球だ。


葉っぱは全て防がれたが、これは千種の計算の内だ。



「バカね。自ら逃げ場と視界を無くすなんて」



気付けば千種から緑色の発光が消えていた。



「千種さん、お疲れ様でした。おかげで解放されました」



ユメを縛っていた陰は、全て防御の為に使われてしまった為、ユメが解放されることになったのだ。



「それでは私もお見せしましょう。取っておきの拘束技を。木々喝采〝樹齢花(じゅれいか)〟」



その瞬間、地響きが発生。

黒羽が閉じ籠る球状の陰を囲うように、辺りの木々が集まっていき、一つの樹へと合体しようとしていた。



異変に気付いた黒羽が球を解き放ち、逃げようとするが、ユメの技の方が圧倒的に早かった。


千種がボソッと「魔力量の差よね」と呟くが、黒羽には聞こえない。


そして気付けば、辺りの木より三倍も大きな樹木が完成。


黒羽はその中心に閉じ込められてしまった。



「終わったわね、ユメ」


「はい。魔力・体力がなくなりかけたら、改めて拘束して国連へ連行しましょう」



そう言って、二人はパンっとお互いの手を打ち合った。



次回へ続く!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ