【#123《シュレイ遺跡、魔物掃討戦》】
パソコンが壊れ、やっと修理が終わりました。
小説再開します!お待たせしてすいませんでした。
【夜、シュレイ遺跡、地下2階層・中央】
ユメと千種が警戒をし出したと同時に、空から高速で鳥型の魔物が飛翔してきた。
それもかなりの大きさだ。
まるで戦闘機のような速度と大型船のような巨体で飛来してくる。突然の不意打ちに誰もが反応に遅れる。
(間に合わねぇ……!)
ヒュォォ……と寒い風が吹く。
(この凍てつくような風……リンシェか?)
良夜の想像通り、その冷風はヒュースが巻き起こしているものだった。
ヒュースは子が親に物をねだるかのような無垢な瞳で、良夜の裾をクイクイと引っ張る。
「……良夜さん、アレは処分してもいい?」
「あ、ああ……頼む!」
「……ん、わかった」
ヒュースは即座に向かい来る大型の鳥魔族に手を向ける。
すると手から吹雪が砲撃として放たれ、瞬く間に鳥魔族に直撃する。
そして周囲の大気をも急激に下げる冷気の伊吹は、鳥魔族を凍らせていく。
直ぐに逃げようと飛来を止めて旋回に移る鳥魔族だが、ヒュースの冷気はそれを許さない。まるで生きているかのように、高速で逃げていく鳥魔族を追い、まずは翼を完全に凍らせた。
羽ばたけなくなり、滑空していく。ともなれば、最早ヒュースの冷気からは逃れられない。数秒もしない内に冷気は鳥魔族を呑み込み、完全に凍らし尽くした。
「すごい……あれほどの巨体を……」
千種が感嘆する。
「千種さん、私達もやりますよ!」
「そうだね!」
千種とユメは敵に向かう。
「舞は下がっててくれ!」
「私もやるよ!」
良夜と舞も前へ出た。
「さて、やるか!〝霊装〟!」
良夜は身体強化用の霊源結界の弐ノ型を発動させて、普通では出せない跳躍力を生み出し、一気に敵の懐へ入る。
(瞬脚━━━からの!)
「八卦無天流〝旋迅脚〟!」
風を収束したかのようなうねる蹴りが、魔物の顔面を蹴り飛ばした。
魔物をギャンッ!と呻き、地面を転がる。
「エレメント集束!素粒砲ー!」
大気から白いエレメントが放たれ、目の前の魔族を倒す。
「ユメ!今の……」
「真美大隊長の白いエレメントですね……」
「うん、同じ色なんだね……」
「はい、しっかりと受け継がれているんですね。姉妹の絆が」
そう言ったユメの瞳は、涙で潤ませていた。
ユメと千種はかつて尊敬し慕っていた先輩、真美の事を思い出し、真美の力が舞に宿っているのを見て、舞がそんな真美に応えるように白いエレメントを使っていることが堪らなく嬉しかったのだ。
「!? 元素壁!」
元素が集束し、ユメと千種の背後に壁を作り出す。
「ギョエ!?」
「「!?」」
ユメと千種は背後から聞こえてきた奇声に振り向くと、二足歩行型の魔族が顔を抑えて怯んでいた。
「千種さん!」
「ええ!空波撃!」
圧縮された空気の塊が、二足歩行型の魔族にぶつけ止めを刺す。
「よそ見してたら危ないよ、二人とも」
「ありがとうございます、舞ちゃん」
「本当に頼れる子になったんだね、舞」
ユメと千種の暖かい笑みを受けて、舞は頬を赤くし顔を反らした。
少し離れた所では、良夜がゴリラのような獣型の魔族と戦っていた。
「はっ!」
「ゴア!」
良夜の掌打が魔族の一体に入り、膝を着く。
「破錐!」
バチィッ!と鞭のような形状をした結界エネルギーで、二体を消滅させた。
「!? 消滅した!?」
「はい……LV1~2程度の下位種とは言え、一撃で跡形もなく消し飛ばしています」
「空気を伝って感じる……良夜君が扱うあの光……高密度のエネルギーが凝縮して形を成しているみたい……あんなので打たれたら、並の身体じゃ消滅してしまうわ」
「羅生!」
良夜は迫る魔族を防ぐ。
「八卦無天流〝角打弔肘〟!」
気と霊装によって強化された肘が心臓に打ち込まれ、魔族の命を刈り取った。
「破錐ぃ!」
そして即座に破錐を振るい、敵に止めを入れていく。
「ゴァァァア!」
地響きがする。同時に舞の側で飛んでいたリューネがクルゥ!と警戒していた。
「な、なんだ!?」
「地震……?」
「違います!あれを見て下さい!」
ユメが指差す方向には、建物を破壊して歩いてくる巨人がいた。
「お、大きい……!」
「マジかよ……ビル4階ぐらいの高さはあるんじゃないか?」
「あれは……巨人魔族!LV4の中位種です!」
「……私がやる」
ヒュースが誰よりも早く巨人魔族に向かって駆け出した。
「……貫いて、氷槍弾」
展開された10本の氷槍は巨人魔族を貫く。
「ゴァァ……!」
苦痛の声を上げるが、まだヒュースの攻撃は終わらない。
「……止め、氷天昇砲波!」
氷雪の砲撃がビームのように襲う。
巨人魔族は満身創痍ながらも逃げようとするが、足元は氷で固定されているせいか身動きが取れない。
そして、砲撃は直撃。一瞬で凍り付き、砕け散った。
「うそぉ……倒しちゃったよ……」
「た、倒しちゃいましたねー……LV4クラスを一瞬で……」
「リンシェちゃん、やっぱり強い!」
「クルゥ!」
千種・ユメ・舞・リューネの反応に満足したのか、ヒュースは鼻を高くして
「……ん、倒した」
ぶいサインを見せた。一同は苦笑いをする他なかった。
「よ、よくやったリンシェ」
リンシェは頭を撫でてあげた。
「……気持ちいい」
猫のように目を細めて撫でられるヒュースの姿は、全員をキュンとさせた。
次回へ続く!!