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異世界の不確定能力(アンノウンスキル)  作者: 焔伽 蒼
第五章 夜魅・奇襲編 
105/140

【#098《白折更の異常能力(シリアルスキル)》】

【昼、都市クレイシス・中央広場】



魅紅side



私はデュゴスを出しているのに、更は未だ武器を出さない。

単純な戦闘力なら昔から私の方が上だった……けど、今の更からは強い気配を感じる。



「ミク、貴女に取って朗報よ。リョウヤ・マイ……あとリューネを襲撃しに言った夜魅とヒュースが破れた」


「……本当に? 良かったぁ~……」



皆が無事、それだけで気持ちが軽くなった。ただで際、旧友と戦うのに気が重かったけど……でもヒュース程の魔導士を倒すなんて、良夜本当に強くなったわね。



「……? ミク、嬉しそう」


「え? 私そんな顔してた?」


「うん、してた」



私が嬉しそう……でも、良夜が強くなることは普通に嬉しいことだもの。


それ以外の意味はないわよね。……多分。



「ミク、出来れば戦いたくない。考え直して。ワタシは貴女と戦いたくない」



更は嘘や誤魔化しをする時、スカートを掴む癖がある。今の更が嘘を言っていない事は分かった。



「私もよ。 私も更とは戦いたくない。せっかく再会したのに……死んだと思ってた親友といっぱい喋りたいのに……まさか夜魅になってたなんて」



親友が敵だなんて悲し過ぎるわよ。でも、更は冷静な分析が出来る。それだけに、自分の言動を曲げる事なんてめったにない……ううん、少なくても“私は一度も見たことがない”。



「更……貴女なら分かるわよね? 夜魅がやっている事を」


「エエ」


「その貴女が何で夜魅に協力しているのかが分からない。 支土に助けられたからと言うなら、なおのこと支土を犯罪者にしない為にも止める筈」


「エエ、そうね」


「……だから理由が解らない」


「エエ、だから一緒に来て? 全て本拠地で話すから」



更は何一つ変わっていなかった。どんな状況でも表情を変えず、全てを見透かすような瞳をしている。


そして、人の話を余り聞かないところも。そんな一つ一つが懐かしくて、少し笑ってしまう。



「フフ、変わってなくて安心したわ」


「うん、ミクもね」


「そうね。だから解るでしょ? 私の考え!」



デュゴス(鎌モード)を構え、紅炎を纏わせた。



「解る。 連れていくには、ミクを倒すしかないって事が」



更から戦闘の気配が漂ってくる。


昔はそんな気配を纏うような子じゃなかったし、そもそも戦闘能力も0に等しかった。


口論や策戦になると、中々勝たせて貰えなかったけど……純粋な物理戦闘なら私に分がある!


怪我をさせないように捕らえる。



「あ、一つだけ変わった所があるわ」


「?」



……。


…………!?



「うそ……それって……」



目の前で有り得ない事が起こり、言葉が上手く出ない。


だって……更が炎を使えるなんて……!



「ワタシもね、焔を使えるようになったの。白くてキレイでしょ?」



(ほむら)……火や炎とは違う天塚一族の異常能力(シリアル・スキル)


一族の天塚以外にも直系分家から焔を発現させる者はいた。


それが居城を許された更と黒子の家系、“白折家(しらうり)”と“日影家(ひかげ)”……更が発現した白炎はまさしく、白折の焔。



「……凄いわね……専用の鍛練も無しに焔を発現するなんて、そんなことお婆様でしか出来ないことよ」


「頑張ったわ」



少しドヤ顔になっていた。何て言うか……気のせいなのかもしれないけど、更が表情豊かになった気がする。



「頑張ったせいか見せてあげるわ。来て、白狼」



その呼びかけと共に、更の身体からにじみ出る白炎が、狼の形へと変化した。それも3匹もいる。

確かに細かい形を作るのは凄く高度な技術ではあるけど……



「え……それだけ? 攻撃しないの?」


「するわ。 というか、もうしてるわ」



瞬間、白炎の狼が動き出した。



「遅延攻撃!? でも、そんな大きい的、避けるのは簡単━━━!?」



私が狼を交わした瞬間、信じられない事態が起きた。


交わした筈の狼が再度襲いかかって来た。



「そんな……一度放たれた魔法が、向きを変えるなんて!」



それも一度や二度じゃない。明らかに私を追って来ている。これじゃあ、まるで生きているみたいじゃない!



「どうかしら? ミクの紅炎が、圧倒的な熱量を誇るように、ワタシの白炎にも他より秀でたモノがあるの」



ミクは白炎を更に出現させた。さらに二匹の狼が生成された。



「ワタシが生み出す白炎の生き物達には意志が宿る」



次回へ続く!!


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