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異世界の不確定能力(アンノウンスキル)  作者: 焔伽 蒼
第五章 夜魅・奇襲編 
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【#095《雨水vs舞・リューネ》】

【昼、都市クレイシス・平野地】



舞side



「次は強力なの行くぜ!?“水流大突破”!」



雨水さんの両手からは、さっきまでとは比べ物にならない程の、水の砲撃が放たれてきた。



「負けない!」



再び大地のエレメントを借りて、土の壁を出現させる。



「ハッ、素人が! 俺が二度もその程度の防壁を破れないとでも思ったか!?」


「え……」



土の壁に亀裂が入ってくる。そのまま砕かれた土の壁は、激しい水流と共にわたしを呑み込んでいく。



「きゃあああ!」



5m程流されたところで止まったけど、土の破片による打撲や、地面を擦れた時の痛みでまともに動けなくなっていた。



「おいおい、呆気ねぇぞ!水よ、俺の命に従え、12の弾丸となって、敵を撃ち抜け!“水弾12連”!」



追撃……!?


水の弾丸が迫ってくる。うそ、こういう時の防ぐ術は……だめ、思い付かない!


目の前まで弾丸が迫ったところで、目の前に巨大な影が降り立つ。



「ゴァァァァァァア!!」



成体姿になったリューネちゃんだった。

その巨大な口から放たれる一喝のみで、水の弾丸は消し飛び、砂土を巻き上げ、風圧が放たれる。



「チッ!竜種か!」


「リューネちゃん、ありがとう……」



リューネは頭をこくっと下げた後、翼を左右に広げた。先から先までで20mにも及ぶ翼から羽が舞散る。


そして、その羽が刃のようになり、雨水さんへ向かって飛んでいく。


千羽刃(ウイング・スレイグ)、着弾時に小規模な魔力爆発を起こす羽を飛ばす竜のみが使える魔法って良夜くんが言ってた。



(竜種に関する情報は余りに少ない。無闇に防護するより回避した方がいいな!)



雨水さんは足に水を纏って、まるで波に乗るかのように高速で回避移動をしていたけど、リューネちゃんの魔法の威力はそれらの行動を無意味にする。


着弾した場所が爆発していき、直撃こそ逃れられているけど、爆風や熱風に少しずつダメージを負っているのが分かる。



「くそ!一発一発が中級魔法並の威力をしてやがる! でたらめ過ぎるぞ!竜種!だが!」



その時、雨水さんがリューネちゃんに向けて手をかざしてきた。



「生物である以上、弱点は同じ筈だぜ!」



攻撃を避けながら、器用に狙いを定めつつ詠唱を始めた。



「水よ、強者を溺れさせる力を貸せ、堅牢なる水篭となれ!“水牢檻”!」


「ゴァァァボボ……!」


「リューネちゃん!?」



リューネちゃんの顔を、水球で閉じ込められ、凄く苦しそうにしていた。



「顔は弱点の宝庫だからな。流石の竜種も息が出来なきゃ、満足には戦えねぇよなぁ!」


「そんな……!リューネちゃんが死んじゃう!」



早く!早く助けないと……!


わたしは直ぐにリューネちゃんの身体を登って、顔に纏われている水を手で掻き出そうと試みる。



「ダメ……はらってもはらっても直ぐに水が……!」



雨水さんは常に魔法を発動状態にしているのか、いくら水をはらっても直ぐに復活してしまう。



(でもそのおかげか、雨水さんは他の魔法や攻撃をしてこない……これにはそれだけの集中力が必要ってこと……)



ならわたしが今のうちに雨水さんを倒す?


ダメ!わたしの攻撃じゃ、直ぐに倒し切れないし、倒しても魔法が解けるとも限らない……そんなことをしていたらリューネちゃんが……


わたしはこの時、自分の不甲斐なさを痛感していた。


後から考えれば、他にも解決する方法はあったと思う。


だけど、身体の痛みやリューネちゃんの命が架かっていると言う焦りから、冷静な対処を思い付く事が出来ずにいた。



(どうすれば……)


「その竜が死んだら、次はテメーだぜ女!」


(わかんない……良夜くんなら、魅紅ちゃんならどうするんだろう……わかんないよ、わたしに出来る事なんて何も……)



だけど、思い出す。わたしはお姉ちゃん達に誓ったんだ。優しさを持ち、強さを手に入れ、もう心配かけないと!



「あ……めない……。……諦めない!」



目が熱い……この感覚をわたしは知ってる。10年前に一度使ったきり、自由に発動させれなくなった縁感知!



「……?(何だ……奴の目が白く光って……)」



見える。リューネちゃんを襲っている水が、青いエレメントとして認識出来る。


その光りは大気に浮いている水のエレメント(水分)を集めて作り出している。いくらはらっても、復活するのは大気の水分があるから。


普通に考えれば、大気中の水分がある限り、対処法はない……けど、わたしは屯朶!


昔にお母さんから聞いた屯朶の禁忌技の一つに、物質をエレメント化させて自らのエレメントとして支配する技があると聞いた事がある。


使い方なんて知らない。だけど、直感がする。


わたしはリューネちゃんを助けたい。だから水球に手を入れた。


その瞬間、水球が青い光へと変わる。


これが物質のエレメント化、そして━━━



「なに!? 水が消えた!?」


「“真気功”!」



青い光はわたしの身体の中へ吸収されていく。



「う……く……!」



苦しい……!力が身体の内から暴発しそう!



「負けない!」



吸収したエレメントを支配する。



「“水流大突破”!」



わたしはそう呪文を放った。



「なんだと!?(俺の技を……!)」


「だが俺の技で俺をやれると思うな!!詠唱破棄“水流渦中壁”!」



わたしが放った水魔法は、雨水さんの防壁魔法で防がれる。



「リューネちゃん、いま!」


「っ!?」


「グルゥ!!」



雨水さんが魔法発動している最中は、他の魔法を使えない。わたしが放った水魔法は、雨水さんを一ヶ所に留めるための足止め!本命は口が自由になったリューネちゃん!



「ゴァァァァァァア!!」



リューネちゃんの口にエネルギーが満ちていく。すごい……風のエレメント・水のエレメント・また体内から火のエレメントも集束されていってる。


これが竜種の最強の魔法。龍激砲(ドラゴン・ブレス)



「や、やめろ……(あれはマズイ……!)」


「グルゥアアアア!」



ドォォォォッ!!と激しい音と、大気を切り裂きながら砲撃が放たれた。


そして、水の防壁魔法を一瞬で蒸発させて、雨水さんを呑み込んだ。


砲撃は爆発をさせないため、やや上に撃たれた為に地面を数十M削った程度で済み、雨水さんも直撃は免れ、意識こそなかったけど死なせずに住んでいた。



「勝ったね、リューネちゃん!」


「グルゥ」



わたしはリューネちゃんと心を通わせる事が出来た気がした。



次回へ続く!!


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