第一話
こんにちは。俺こと中島雄二です。
今日は学校生活の初話ならありがちな入学式。
ではなく。
俺の最も嫌いとする梅雨の6月。
今日も雨がザーザー降ってます。
俺、雨の匂い嫌いなんだよねー。
湿度高いし、梅雨だから蒸し暑いし。最悪だろ。
だから今日はテンション低いです。
そのテンションの低さに気付いた智文が話しかけてきた。
「よぉ、雄二。テンションあがるゲームでもやろーぜ」
智文は二カッと笑ってる。
「なにやんの?」
「ジャーーーン!」
智文が出したのは『黒ひげ危機一髪』。
うん。まあ、テンション上がるな。
「二人だけでやんの?」
これをやるならもっと人いた方が楽しいだろ。
「ノンノン。二人だけだとつまんねーだろ。なかやんとはじめ入れたから」
いや入れたって、それ絶対お前の独断だろ。なかやんとはじめ、ここにいねーし。
あ、なかやんってのは中原達也で、はじめってのは上村はじめ。
俺と智文は幼馴染で、なかやんとはじめは高校入ってから友達になった。
言い忘れたけど、高校1年ね。
「じゃ、呼んでくるわ」
智文が二人を探しに行った。
俺はまた机の上に頭を乗せる。
「中島くん」
「ん?」
顔を上げたら学級委員長がいた。
学級委員長は、色白で眼鏡をかけてて黒髪のストレート。いかにもリーダー的なオーラを醸し出している。
肌フェチな智文は学級委員長にゾッコンだ。
学級委員長は、その智文に気付いているのかいないのか、全然見向きもしないけど。
「これ。体育祭の種目、出たいのあったら選んで」
そっか。もうそんな季節か。種目は50m走、100m走、パン食い競争、障害物リレーなどがある。
中学では無かった種目もあっておもしろい。
「じゃあ、2人……」
「障害物リレー!」
後ろから聞き覚えのある声が乱入してきた。
この声は……。
「そうだよな!雄二」
「……なかやん」
「じゃあ中島くんは障害物リレーで」
「ちょっと待った。それ、俺の意見じゃないじゃん」
「何言ってんだよ、一緒にやろうって言ったのお前だろ?」
そんなこと言ってねーよ。
障害物リレーは苦手だ。
「違うよ」
お、また新たな声が。俺の味方か?
「雄二は俺と2人3脚出るんだよ」
俺の味方だー! 嬉しい!
しかも智文じゃん! やっぱり幼馴染はわかってくれるな。
「委員長、体育祭って1人何種目まで?」
「3」
急に口数減ったな。「3種目」でいいのに「3」って。やっぱ、智文の好意を気付いてて、素っ気なくしてんのか?
「じゃあ、雄二は2人3脚と障害物リレーに出ろ。それでいいだろ、なかやん?」
「おう!」
「中島くんは2人3脚と障害物リレーに出るのね? 協力ありがとう」
え、ちょっと待って!
あぁー、委員長が行ってしまわれた…………。
コノヤロー、結局俺の意見じゃねーじゃん。
「さて、やろうぜ。黒ひげ危機一髪!」
ジャンケンの結果、なかやんから時計回りで黒ひげ危機一髪が始った。