カブトムシ「目が覚めたら、ツノに魚肉ソーセージが刺さっていた件」
完全にネタ作品です。真面目な小説をお求めの方はバックお願いします。
「目が覚めたら、ツノに魚肉ソーセージが刺さっていた件」
「縦方向に刺さっていないだけマシ……なのか?
良く分からん。
それでも動き辛い。飛べない。視界が狭い。隠れられない。
さっきから上から下から色んな生物に狙われている気がするんだが、これ何て死亡フラグ?」
「くっくっく。お困りのようだな、カブトよ」
「っ貴様……クワガタッ! 一体、何しに来やがった!」
「何しに来たとは随分だな。同じ甲虫目のよしみで助けてやろうと思ったんだが……」
「はっ! 騙されるかよ!
そんなこと言っておきながら、俺を真っ二つにでもする気なんだろ!
今までどれだけの同胞が貴様らクワガタのハサミの餌食になったか!
忘れたとは言わせんぞ!」
「いいのか?
このままでは鳥に喰われるか獣に喰われるか、それとも蟻に分解されるか、そんな未来しか待っていないんじゃないか?
黙って死を受け入れるくらいなら、一か八か俺の言葉を信じてみろよ」
「ウルセェ!
例え本当だとしても、誰がクワガタなんかに借りを作るかよ!
そもそもこのソーセージ、お前が仕組んだんじゃないだろうな!」
「おいおい、言いがかりはよせよ。
ソーセージのどこにもハサミの痕なんかついていないだろう。
そいつは人間の仕業さ」
「人間……だと……!? 奴ら、一体何の恨みがあってこんなことっ!」
「恨み? 違うな。もっと単純な理由だ。
お前の角にソーセージを刺したそいつはこう言っていた」
『わっ、ソーセージ落としちゃったー。どうしよう。
あ、カブト虫。ちょーどいいからカブちゃんにコレあげるねぇ。プスっとな♪』
「……と」
「うわああああ! 人間コノヤロぉぉぉぉおおお!!」
「というわけで、弟よ。無知は時として罪となるのだ。よく覚えておきたまえ。
あー、魚肉ソーセージうめぇ」
「いきなり人の部屋に入ってきて意味わかんねぇ話を始めるのは止めろ。
あと、モノを食いながらしゃべるな。
俺、宿題してんだよ。頼むから出てってくれ」
「ちなみに、カブト角ソーセージ事件はノンフィクションだ。
お隣の幼女の無邪気な残酷さに全俺が泣いた。
あ、ソーセージの破片飛んだ。三秒ルール。三秒ルール」
「見てたんなら止めてやれ! 人のノートに食い物飛ばすな! 落ちたモン平気で食うな!
いいから出ていけ!」
「あ、他にもノンフィクションあるぞ。
いつだったかカブトとクワガタを同じ虫かごに入れてたらなぁ、次の日にカブトの頭と胴体が……」
「言うな! それ以上言うな!
俺はお前と違って繊細なんだよ! グロいアレコレを想像しちゃうだろ!」
「じゃあ話変えるけど、ツノにソーセージが刺さってる状態をオスの象徴に肉がつき刺さってる状態って言い換えると一気にイヤらしくなるよな」
「知るか! 心底どうでもいいわ!」
「ところで、聞いてくれ。この後の展開としてクワ×カブ(擬人化無し)を考えてるんだが、こいつをどう思う?」
「すごく……節操無しです……。
じゃねぇよ! マジで出てけよ!
聞きたかねぇんだよ、そんな話! 少年のロマンを穢すな!」
「さすが我が弟。素晴らしいノリツッコミだ。
褒美にこのソーセージを咥える権利をやろう」
「いらねーし!
つーか、何だよ咥える権利って! 食う権利じゃねぇのかよ!」
「オイシイのに」
「貴様から見た絵面的な意味でな!
それよか、さっきから何度も出てけっつってんだろうが無視すんな!」
「虫だけに!」
「ウッセェ! オッサンか貴様は!」
「はっはっは。お姉さんですよ、私は。
いやぁ、きれいにオチたし、ソーセージなくなったし、戻ろっかな」
「あぁ、出てけ出てけ。あと、オチてねぇからな。それだけは譲らねぇからな」
「へーい! 魚肉ソーセージ補給完っ了!
今度はクワガタ視点で『ニクいライバルは魚肉ソーセージ~アイツのオスは俺のもの~』という切ない片恋の話をだな」
「出てけぇぇええええ!!」