↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

【黒猫の箱庭】エッセイ集

【黒猫の箱庭】意外な楽しみ

作者: 黒猫の箱庭
掲載日:2026/08/05

匿名性がありますが、ノンフィクション・エッセイです。

 小学生から中学生の頃の私にとって夏休みは特別なものだった。

 何が特別だったのか?と言えば幼稚園の頃の私は虫を触っても平気だったが小学生の頃に遭ったある出来事が原因で虫を触るのが怖くなってしまったからだ。

 とは言え小学生から中学生の頃の私は父と母、姉と共に母方の祖父母の所へ行くのが楽しみだった。

 この頃の私は祖父母からお小遣いを貰う事よりも祖父母が行っている農作業を手伝う事で自分も誰かの役に立つ事が出来るのだと言う実感と喜びを感じていた。

 勿論、小学生に出来る事など限られているが茶畑の中にある茶垣の葉を摘み袋に入れて、それが一杯になると一輪車に乗せて倉庫に運ぶ事をしていた。

 畑と言うからには虫がいるのも当然の事で茶垣の中に何度、蟷螂の巣や卵を見たか?毎年、数えていた。

 実際、虫を触るのは苦手な私だが見るだけならば平気なので蟷螂の幼虫を見つけては今日は縁起が良いと喜んでいた思い出もある。

 また、ある時は学校の自由研究で朝顔を育てる事になり母が朝顔の苗を私が持ってきた数の2倍以上に増やした事があった。

 また別の夏休みの時には蚕を育てる事となり父が知り合いの農家から桑の葉を分けて貰い、それを与える事で無事、蛾まで成長させた。

 小学五年生の時、夏休みに公園へ出掛けて偶然、出会った少年からカブトムシを分けて貰い越冬をさせれないか?挑戦した時もあった。

 川へ泳ぎに出掛け川海老を見つけたり川底に足がつかず流された事もあった。

 父方の祖母が盆踊り用に姉の為の浴衣を縫っているところを観察したり糠床にある漬物を移動させる時に手伝ったりもした。

 虫が苦手と言いながら虫を見る機会が多い私だが父方の祖母の手伝いも母方の祖父母の手伝いも嫌いではない自分がいる事にはすぐに気が付いた。

 茶摘みをしたり川に遊びに行く事を私は楽しみにしていたのだ。

 反面、夏休みの時に学校へ行く事を私は億劫に感じていた。

 勉強が苦手だからと言う理由ではない。

 夏休みの時に学校へ行くと仲の悪い同級生達とよく顔を合わせるからである。

 とは言え必要があれば夏休みの時にも学校へ行くがあり鶏の飼育当番や小鳥の飼育当番の時には様子を見に行った。

 勉強が苦手な私が夏休みに一番、苦戦していた事はポスターの制作である。

 絵を描く事、事態は好きなのだが下手であり得意とは言えない。

 特に人間を書く事は苦手であり風景を描く事は不得手である。

 私が選挙ポスターを描くのに時間が掛かるのは必然だった。

 まず構図を考えるのに最低三日は掛かり下書きを描くのに一日が掛かる。

 そして色を塗り乾かすのに一日は掛かるので合計、五日間はそれに没頭する事になるのだ。

 小学生の頃は、それが理由で何時も選挙ポスターの制作を夏休みの最後の一週間に行っていたが中学一年の時、同級生から合唱コンクールのポスターの制作を頼まれ夏休みの最初の一週間にポスターを仕上げる事に変えた。

 以降、中学三年間は時間の掛かるものを先に終わらせていた。

 中学生の頃、部活に入ってはいたが家の事を優先していた。

 と言うのも私が当時、入っていた部活は野球やテニスの様に夏休みでも学校に行くような類の部活ではなく夏休みの間、事実上休部の扱いとなるコンピューターグラフィック部や漫画研究部に所属していたからだ。

 中学生になっても私は夏休みに祖父母の農業の手伝いで茶摘みをする事を楽しみにしていた。

 茶畑の中へ入り茶垣の新芽を摘みながら姉と談笑するのが楽しかったのだ。

 毎年新芽をどれくらい袋に詰めらるか?姉と競ったり一袋につき何グラムくらいになるのか祖母に質問をしていた。

 集まった袋の数が少なかった年は来年はもっと頑張るぞと思い、多かった年は来年もまた頑張るぞと気合を入れた。

 中学生になってからは小学生の時と違い川へ遊びに行く事はなくなったが、それでも夏と秋に祖父母の農作業を手伝う事は私の楽しみの一つである事に変わりはなかった。

 そして、それが大人になってもずっと続くのだと当時の私は思っていた。

 少しずつ変化を感じ取れる様になったのは私が中学三年の時だった。

 中学一年の時には既に感じていた夏の暑さが一年毎により顕著となり、日中、行っていた茶摘みが三時以降に行われる様になったからだ。

 それも手摘みによる作業よりも農機による作業が増えた為、私と姉は父が刈った葉を袋に詰める作業が多くなった。

 こころなしか新芽の入った袋の量も去年より少なく感じた事を今も覚えている。

 最低、家で飲む分だけでも確保出来れば良いと父も母も言っていたが茶屋で売って貰う分もあるに越したことはないと私は思っていた。

 中学卒業後、父から告げられた言葉は私の想像とは異なるものだった。

 伯父が茶畑にある茶垣を全て伐採し別な木を植えたと聞いたからだ。

 結果、二度と茶摘みは出来なくなったが私の夏休みの思い出となった。

家の光の公募に投稿し損ねたエッセイ供養。

※筆者本人(黒猫の箱庭)の許可を得て投稿してます(pixivにも)。


【黒猫の箱庭】意外な楽しみ

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=28779826

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。