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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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隣人失格

作者: 真っ逆
掲載日:2026/06/14


その町に、一人暮らしの高齢の女性、Aさんが住んでいました。

Aさんは足腰が弱く、買い出しに行くのも一苦労。それを見かねた隣人のBさんは、定期的に「何か買ってきましょうか?」と声をかけ、代わりに買い物をしてあげるようになりました。


Bさんは純粋な善意から手伝っていましたし、Aさんもいつも嬉しそうに「ありがとう、本当に助かるわ」と、お礼に小さなお菓子などを渡していました。

周囲の住民も「Bさんは本当に優しい人だね」と褒め称え、誰もが美しい助け合いの光景だと思っていました。




1年ほど経った頃、Aさんの物忘れが少しずつ激しくなっていきました。

ある日、Bさんがいつものように買い物を済ませて届けると、Aさんは怪訝な顔でこう言いました。


「頼んでいたお釣り、500円足りない気がするんだけど……」


Bさんは驚き、レシートを見せて計算が合っていることを丁寧に説明しました。その場はAさんも「私の勘違いね、ごめんなさい」と納得したように見えました。


しかし、これを境にAさんの疑心暗鬼は加速していきます。


「昨日、Bさんがうちの庭を覗いていた」

「頼んでいない高い品物を勝手に買ってきて、お金を請求された」


Aさんは近所の人たちに、Bさんの悪口を少しずつ吹き込むようになりました。最初は誰も信じていませんでしたが、Aさんがあまりにも悲痛な顔で、具体的に「被害」を訴えるため、次第に周囲の目も変わり始めます。


「Bさん、本当はAさんのお金を誤魔化しているんじゃないの?」

「親切を装って、お年寄りを騙しているのかも」


そんな根も葉もない噂が町内に広まり、Bさんは周囲から白い目で見られるようになってしまいました。挨拶をしても無視され、まるで犯罪者予備軍のような扱いを受けます。

純粋な善意をあそこまで踏みにじられ、さらに周囲から孤立させられたBさんは、精神的に限界を迎えました。


「もう二度と、あの人の手助けはしない。関わるのをやめよう」


そう心に誓い、BさんはAさんの家に行くのを完全にやめ、完全に無視することに決めました。




Bさんの手助けがなくなってから、Aさんの生活は一気に困窮しました。足腰が悪いため自力で満足に買い物へ行けず、頼れる親戚もいません。

近所の人たちも、口ではBさんを批判していましたが、自分が代わりにAさんの面倒を見るほどの覚悟はなく、誰も手を差し伸べませんでした。




それから1ヶ月後。

Aさんの家の前を通りかかった住民が、異変に気付きました。郵便受けには新聞が溜まり、家の中から異臭が漂っています。

警察が駆けつけたところ、Aさんは室内で孤独死していました。死因は栄養失調と衰弱でした。




この結末を知った町の人々は、手のひらを返したようにBさんを責め立てました。


「あなたが急に買い物をやめたりするから、Aさんは亡くなってしまったんだ」

「見殺しにしたのと同じだ」と。


結局、Bさんはその町から逃げるように引っ越していきました。




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