99話 お茶会の最中
◇
「重命さん、重命さん!」
ん? わたしを呼ぶ声? ザワザワと賑やかな部室を見回すと森下先輩が小さく手招きをしてわたしを呼んでいるように見えた
わたしは自分で自分の顔を指差し(わたし?)とゼスチャー気味に聞いてみると、うんうんと二回大きく頷く森下先輩
わたしは席を立って森下先輩の方へと向かっていった
「森下先輩、おつかれさまでした! テストどうでしたか?」
こういうの社交辞令って言うのかな?
わたしは散々みんなに聞かれているであろう挨拶から森下先輩へ入っていった
「ありがとう 後は 運を天に任せる だね」
まぁ大丈夫ととっていいんだろう…
正直結果が出るまでわからないよね、わたしは共通一次試験を受けてないからよくわからないし
「で、なにか?」
まさかわたしのそんな挨拶が聞きたくて読んだわけでもないだろうと森下先輩へわたしを呼んだ真意を聞く
「ここではあれなんで、少し外でもいいかな?」
なんの話しだろ?とは思ったけどあんまり聞かれたくない話しだろうな、ということは容易に想像がつく
わたしは「いいですよ」と森下先輩に告げると上着を取りに戻る 一月の半ばを過ぎた今は寒さがピークに近かった
ー ガチャ
部室の外へ出ると想像以上に寒く感じた
部室の中が暖かかったのでその温度差で余計に寒さが増して感じるのかも
吐く息の白さも寒さを可視化させていた
「こっち こっち」と手招きする森下先輩
なんだって言うんだろう…
「すまない重命さん こんな寒中に呼び出してしまって…」
ほんと、上着のダッフル着てても寒いのに森下先輩は学ラン姿なの寒くないのかな…
「どうしたんですか?」
「実は…前に話したことあると思うんだけど…」
「前部長のことなんだが…」
前部長⋯桃香さんのことかな?
そう言えば確か森下先輩は桃香さんのことが気になるって言ってたっけ
「桃香さんがどうかしたんですか? 確か桃香さんも進学組でしたよね?」
どうしたんだろう? わたしより森下先輩のが桃香さんと接触もあるだろうに… も、もしやっ!?
「もしかして告白したんですかっ!?」
それまで寒さで真っ白に見えた森下先輩の顔が見る見る赤くなる
「そう、そうなんだよ… 部長に打ち明けた」
おおっ!! すごい!! そういう度胸はあるんだ、なんか不思議…
「いつですか?」
「共通一次試験が終わってからかな… とりあえず一区切りしたし、僕の励みにもなるかな?って」
いやいや、励みになるどころか落ち込んだら?って考えなかったのかな?
「君には打ち明けてたから一応報告しておこうと思ってね… 流れとは言え相談にも乗ってもらったみたいなもんだしね」
確かに話しはしたけど、そんなアドバイスしたかな? でも森下先輩がそう思ってるんならいいけど…
律儀と言うか、なんと言うか…
「で、どうでした? 桃香さん?」
少しニヤけてた表情が急に締まる
森下先輩の返事にほんのちょっと緊張しちゃう




