98話 卒業生を送る会 茶道部
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結局なんにも進展しないままだらだらと時間は流れ…三学期へとなだれ込んだ
この時期、受験を控えた三年生は登校してくる人数がガタンと減ってしまうのは例年のことだ
部活動もとっくに卒部していた三年生だけど部活単位での送別会は多く開かれていた
共通一次試験を終えた頃、うちら茶道部も三年生部員の送別会を兼ねたお茶会を毎年催していた
去年わたしは一年生だったので三年生との関わりも少なかったけど 今年の三年生は一年生の頃からお世話になってる先輩たちだ つき合いもそれなりに長い
森下先輩にも、桃香さん(部長)にもお世話になってる
そんな大切な先輩たちを送る会だ!
わたしは去年の送る会以上に気合が入っていた
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おつかれさまでしたぁー!
あちこちから共通一次試験を終えた先輩たちを労う声がする
手応えは?難しかったですか?等々の無邪気な質問に先輩たちも答えづらそうだ
とりあえず一区切り、と笑顔とリラックスした様子が先輩たちの表情から垣間見れる
茶道部員は全員でも15人ほどの部員数なんだけどいつも以上の活気で部室も狭く感じる程だった
「今日はわたしたち三年生のためにありがとう 今の二年生は次、三年生になります 後輩たちの面倒しっかり見てあげてね! 一年生は二年生になるんだから、後輩ができるんだしお手本となれるよう頑張ってね!」
部長の桃香さんが三年生を代表して挨拶をする
みんな黙って桃香さんの話しを聞いてる
中には涙ぐんでる先輩もいて わたしもぐっとくる
顧問の市原先生も三年生へエールを送る
過去は味わったことがなかった目の前の光景
部活っていいものだな…
来年はわたしがあっち側にいるんだ、なんて気が早くも来年の今頃に想いを馳せていた




