92話 さすがマキ?
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それでも それから大したもので吉田くんは来なくなった マキの言う通りホントにわたしのこと狙ってたんだろうか? でも、間違いなくマキの計画は功を奏したようだった
ただ、それと引き換えにわたしの『秘めたる想い』が一人歩きして行ってた
文芸部の子には『それってもしかして?』と聞かれるし、まさかまさかのユミにも冷やかされた
ユミは継人のこと知ってるしね
継人が卒業していたのがせめてもの救いだった
聞いてくる子たちにはある程度の事情を話して納得してもらってるつもりだったけど…
それにしても まさかわたしを狙ってくる男子がいるとはね… 過去はそんな話し1ミリ足りともなかったのにね?
◇
このあと『継人』との噂を聞かなくなるまで二学期ほぼ丸々必要だった… 「人の噂も七十五日」とはよく言ったもんだ、と実感したわけだ
体育祭だ、文化祭だ、といろいろあった二学期
卒なくこなして17歳の思い出をつくった
それなりに過去と違ってる部分はあったけど 変わっていく時間の流れを止めることはわたしには不可能だった
なんとか抗おうとするけど やっぱり流される
緩やかに見えても相手は『海』のように大きな存在だ…
だけど、そんなことさえ考えなければただただ楽しい毎日を過ごせてた
すっかりわたしは17歳の重命美紗緒を満喫していた
なんなら、本来の自分を思い出さないことさえ増えていた…




