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87話 帰り道
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バス停でマキと別れた
カラコロ カラコロ
帰りの坂道を一人下駄の音を響かせ上っていく
今バスを降りた人たちのほとんどがこの坂を上って家路につく
目的はこの坂を登るって意味じゃ同じだけど みんな全然知らない赤の他人
人がたくさんいてもわたしは一人を感じてた
物事って、一度転がり出すとあっという間にスピードが上がってく… そのくらいマキのこと知るスピードが早い
わたしとマキの歴史がそうさせるのか、マキの人懐っこさがすごいのか、そんなことはどうでもいいことだ
マキが思い悩んでることに対してもわたしは「その先」を知っている
でも、そんなこと言えるわけもないし 信じてもらえるなんて思えない
仮に信じてもらえてマキの未来が変わったら、それこそどうする?だ
マキがどんな判断をくだそうともわたしはなにも言えない ただ、信じるのみだ… 歴史の歩みと、マキ自身の判断を⋯
少し重くなった足取りは歩き慣れた坂道をいつも以上に意識させていた…




