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82話 花火大会へ
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「ただいまぁー」
夕飯の支度をしながらの母のおかえりの声
この匂いは肉じゃがかな?なんて考えるだけでお腹が空いてくる
「おかあさーん、あのさぁ花火大会行ってもいいでしょー? その日なんもないよね?」
予定を聞くフリをして こっちの予定を伝える
なんもないのは知ってるんだけど
「なにも予定入ってないわよ お盆の予定だけ覚えててくれたら大丈夫だから」
お盆は毎年里帰りしてたからその予定は知ってる
「誰といくの?」
ぐつぐつ煮立つ鍋の音と母の声はなぜか相性がいい
「マキだよ! なに?そんなの気になるの?」
年頃の娘を持つ母の気持ちはわからないわけじゃなかった
「そういうんじゃないけど、聞かれた時に答えられないのも親としてね…?」
苦しい言い訳のように聞こえるけど、まぁこの時代じゃ連絡取る手段が限られてるからそういうもんか
わたしは母の承諾を得るとマキに電話をかけた
もちろん花火大会へのGOサインの電話を!




